賃貸物件を選ぶ際には、部屋の階数が重要視されるケースも多いといえます。
特に、最上階の部屋にはほかの階数にはないメリットがあるため、家賃が高く設定されているところも少なくありません。
今回は賃貸物件の最上階の特徴について、ほかの階層と比較をしながら、メリットとデメリットの両面を詳しく解説していきます。
最上階の物件
眺望以外の魅力も…最上階の3つのメリット

マンションの場合は、最上階とそれ以外の階数でさまざまな違いが生まれます。ここでは、マンションの最上階にはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
眺めがよく開放感がある
最上階の大きなメリットとしては、まず眺めの良さが挙げられます。マンションの立地や総階数にもよるものの、周りに高い建物がなければ、部屋から景色を楽しむことができるのです。
また、ほかの建物と比べて高いところにある部屋であれば、カーテンを開け放しておいても周りから見られる心配がなく、プライバシーを守りやすいでしょう。部屋全体に開放感が生まれる点も最上階の魅力だといえます。
日当たりと風通しが良い
眺望の良さとともに、日当たりと風通しの良さも最上階のメリットだといえます。物件自体の高さにもよるものの、周りに遮る建物がなければ、昼間は照明をつけなくても明るい状態が保たれるでしょう。
通風性の高さから室内の空気循環も良く、湿気がこもりにくいため、カビなどの発生リスクも低いといえます。
騒音が気になりにくい
眺めの良さや日当たりに関するポイントは、高層マンション特有の魅力であり、低層マンションでは最上階でもなかなか得られないメリットだといえます。しかし、階上からの騒音を気にせずに済む点は、建物の最上階が共通で持っている特別な魅力です。
上の階から直接伝わってくる生活音は、たとえ室内に防音加工を取り入れても、なかなか完全に予防できるものではありません。最上階であれば、初めから気にする必要がないため、静かな生活環境が手に入りやすいのです。
眺望以外の魅力も…最上階の3つのデメリット

さまざまなメリットがある最上階には、意外なデメリットもあります。ここでは、主なデメリットを3つに分けて見ていきましょう。
外気の影響を受けやすい
建物の最上階は、ほかの階よりも外気の影響を受けやすい面があり、夏場は暑く冬場は寒いといったデメリットがあります。特に、屋上や天井から熱が伝わりやすいため、夏場は冷房効率が落ちてしまうことも。
建物の断熱性能にもよるものの、ほかの階と比較をして室温の管理が難しいところは部屋選びの際の注意点だといえます。
災害の影響を受けやすい面もある
建物の構造上、地震による揺れの強さは低層階よりも高層階のほうが大きい傾向があります。さらに、揺れている時間も高層階のほうが長いため、室内の建具などをよりしっかりと固定しておく必要があるのです。
また、万が一エレベーターが故障してしまったときには、地上への移動が困難になることもあります。特に、総階数の高いマンションの最上階に住む際には、避難ルートなどを事前に確認しておくことが重要です。
家賃が高くなりやすい
同じ建物内にあっても、階数によって家賃が異なるケースは少なくありません。より快適な条件に恵まれている最上階は、家賃も高く設定されているのが一般的です。
特に、建物が密集しがちな都心部においては、低層階と上層階の日当たりが大きく異なる場合も多いといえます。そのため、設備や間取りが同じであっても、家賃に開きが生まれやすいのです。
最上階の物件最上階に住むなら重要! 自分でできる手軽な暑さ対策

気になるデメリットはあるものの、やはり何ものにも代えがたいメリットを持っているのが最上階でもあります。ここでは、デメリットのひとつである外気の影響に関して、自分でできる対策を紹介していきます。
手軽にできる暑さ対策とは
外から侵入してくる暑さに対応するためには、断熱カーテンなどを使用するのが有効です。夏場だけではなく、冬場は冷気の侵入を防ぐこともできるため、最上階では特に重宝するアイテムだといえます。
ただ、せっかくの日当たりの良さが生かせなくなってしまう面もあるため、常に設置をしておくよりはシーズンを区切って利用するといいでしょう。そのため、取り外ししやすいタイプのものが便利です。
また、夏場は風通しの良さを生かすために、適度に窓を開けて室内の通気性を保つことも大切となります。ただ、最上階でも防犯面で穴がないわけではないため、夜間や留守にするときにはきちんと戸締まりを心がけましょう。
冷暖の効率を高める方法としては、サーキュレーターなどを利用するのも有効です。部屋全体の空気循環を良くすることで、エアコンの温度をそれほど下げなくても、快適に感じられるようになります。
意外と住みやすい? 最上階以外の階層のメリット・デメリット

どのような条件を重視して部屋探しをするのかは人によってさまざまであり、求める特徴やメリット次第では、最上階以外の階層も有効な選択肢となる可能性もあります。
ここでは、それぞれの階層の主なメリット・デメリットを見ていきましょう。
階層の定義
マンションにおいては、階数の高さと階層の関係性について、明確な基準が設けられているわけではありません。
ただ、国土交通省が1995年に発表した「長寿社会対応住宅設計指針」においては、「6階以上の高層住宅」にエレベーターを設置し、「3~5階の中層住宅」にも可能な限りエレベーターを設けるといった目安が示されています。
そこで、今回は2~5階を低・中層階、6階以上を中・高層階と設定したうえで解説していきます。
2~5階の低・中層階
2~5階の低・中層階は、最上階ほどの眺望や日当たりの良さは期待できないものの、エレベーターを使わずに階段で問題なく上り下りできる点は大きなメリットです。
また、1階よりも防犯上の安心感があり、1階や高層階より物件数も多く、比較的に住みやすいと感じる面が多いといえます。
さらに、2階以上の中層階に共通した特徴として、1階や最上階と比べて外気の影響を受けにくいといったメリットもあるのです。一方で、中層階に共通したデメリットとしては、階下と階上、両方の騒音問題を気にしなければならない面があります。
また、低・中層階は高層階と比べて周囲からの視線が気になりやすく、車の走行音が聞こえやすいのが難点となる場合もあります。
6階以上の中・高層階
6階以上となれば、建物の立地によっては十分な日当たりと眺望が確保できることも多いといえます。また、それでいて高層マンションの最上階よりは家賃が抑えられるケースが多く、コストと生活環境とのバランスを取りやすい面もあるのです。
また、意外にも防犯性においては、最上階よりも優れていると考えられる場合が少なくありません。屋上が不審者の侵入ルートとなってしまうケースも多いため、かえって中・高層階のほうが安全だと判断されることもあるのです。
ただ、周辺に高い建物が多いエリアでは、日当たりに物足りなさを感じてしまう可能性もあります。高層階のメリットが得られないようであれば、家賃や移動の簡便性を考えて、低層階のほうが良い選択となる場合もあるのです。
最上階の物件角部屋か中部屋か…階数以外で目を向けておくべきポイント

部屋の快適さを左右するポイントは、何も階数だけに限られているわけではありません。部屋の位置や方角といった特徴も大切な要素となるのです。
ここでは、階数以外で目を向けるべきポイントを紹介します。
住戸の位置に関するポイント
建物の両端に位置する角部屋は、片側がほかの部屋に接していないことから、騒音問題のリスクが軽減できたり、日当たりが良くなったりするといったメリットがあります。
一方で、部屋と部屋に挟まれた中部屋と比べると外気の影響を受けやすくなり、冷暖房の効率は落ちてしまいます。また、建物のつくりによっては大きな柱や梁(はり)が設置されていることがあり、中部屋よりもやや狭く感じられるケースもあります。
方角に関するポイント
部屋の方角は、日当たりを考えるうえで重要なポイントとなります。もっとも日照時間の長い南向きは冬でも室温が高く、洗濯物も乾きやすいといったメリットが大きな特徴です。
しかし、日差しの入りにくい北向きと比べて夏は暑く、直射日光の当たる家具やフローリングが日焼けしてしまうといったデメリットもあります。また、東向きや西向きは、それぞれもっとも日の当たる時間帯が異なることから、生活スタイルに合わせた判断が重要です。
過ごしやすいと感じる部屋の位置や方角は、人によって異なります。そのため、あらかじめ優先すべき条件を明確にしておくことが、理想的な部屋探しの第一歩となるのです。
メリットとデメリットを押さえたうえで最上階の物件を検討しよう

- 最上階は眺望や日当たり、通気性に優れ、騒音問題につながりにくいといったメリットがある
- デメリットとしては外気の影響を受けやすい、災害の影響を受けやすい、家賃が高いといったものがある
- 最上階に住むのであれば、暑さや寒さへの対策が重要
- 階層ごとにメリットとデメリットがあるため、最上階以外の特徴も押さえておくといい
- 階数だけでなく、住戸の位置や方角などにも目を向けておくことが大切
公開日:










