新型コロナウイルスの影響により、仕事に関する環境は大きな変化を見せています。自宅で仕事をする機会が増えたり、なかには個人事業主として独立を考えたりする人もいるでしょう。今回は個人事業主が自宅兼事務所として賃貸物件を借りる際に、知っておくべきポイントについて解説します。個人契約と個人事業用契約の違いや、入居審査の注意点などを詳しく見ていきましょう。
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家の契約

 

個人事業主が賃貸物件を借りる際には、個人契約と個人事業用契約の2種類があります。まずは、それぞれの主な特徴について見ていきましょう。

個人契約とは、入居者の個人名義で貸主と賃貸借契約を交わす形態です。貸主が法人であっても、借主が個人であり、事業用目的でなければ個人契約となります。

 

一方、貸主が知人などのケースで、借主が個人的に部屋を借りる際には「個人間契約」を結びます。言葉が似ていることから誤解しやすいですが、それぞれ異なる意味を持っているため注意が必要です。

個人事業用契約は、個人名義ではあるが、事業用目的で貸主と賃貸借契約を行う形態を指します。個人事業用契約が結ばれる主なケースは、個人事業主が借りた部屋を事業のために従業員の住まいとして使用したり、事業用オフィスとして利用したりする場合などです。

家の契約

 

どちらの契約形態で物件を借りたとしても、部屋の使い方などにはそれほど大きな違いはありません。両者のもっとも大きな違いは、契約を結ぶ段階にあります。

 

ここでは、個人契約と個人事業用契約の手続きの違いについて解説していきます。

個人契約で審査をされるのは、入居する本人の収入や家賃支払い能力などです。

 

一方で、個人事業用契約は事業の規模や経過年数、売り上げなどが重要な審査基準となります。そのため、事業の信用度や規模が十分かどうかが審査に通るポイントとされているのです。

 

個人事業主の場合は、単純な収入だけでなく、事業内容や決算報告書を基に審査されることもあるため、就業者より審査に通りにくいケースもあります。

どちらの契約形態においても、入居をするまでに指定された必要書類をそろえなければなりません。個人事業用契約は個人契約と比べて必要書類が多いため、準備にはより多くの手間がかかります。

 

個人事業主が個人事業用契約を結ぶうえでは、「確定申告書類」や「課税証明書」「事業概要をまとめた資料」などの提出が求められることもあります。項目が多く、個人契約以上に審査の日数も長くなりやすいため、期間の面でゆとりを持っておくことが重要です。

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固定費を下げる

 

個人事業主が賃貸物件を借りる際、事業用契約は個人契約と比べてさまざまなメリット・デメリットがあります。ここでは、長所と短所の両面から掘り下げてみましょう。

個人が事業用契約を結ぶもっとも大きなメリットは、月々の固定費を抑えられる点にあります。オフィスが必要な職種である場合には、自宅と別に事務所を構える必要がなくなるため、固定費の大幅な削減につながるのです。

 

また、個人事業用契約にしていれば、家賃の一部を経費として計上することもできます。

業態にもよるものの、自宅兼事務所として個人事業用契約を結ぶ場合には、不特定多数の人の利用が想定されます。そのため、単純な居住目的として物件を借りる場合と比べて、敷金が高くなりやすい面があります。

 

また、敷金は預け金として計上するため、経費として計上はできませんので、注意が必要です。

物件探し

 

個人事業主が自宅兼事務所として賃貸物件を借りる際には、居住用として契約をする場合と異なる点がいくつかあります。ここでは、主な注意点について詳しく見ていきましょう。

自宅兼事務所として賃貸物件を利用するのであれば、トラブルを避けるために、きちんと貸主に許可をとらなければなりません。なぜなら、居住用物件と事務所用物件とでは、固定資産税などの税率や消費税の課税の有無に大きな違いが生じる場合があるためです。

 

事業用として利用することによって固定資産税などの税率が上がったり、消費税の課税対象が増えたりすれば、貸主の負担が大きくなってしまうため、思いがけないトラブルに発展するケースもあります。そのため、基本的には「事務所利用可」となっている物件を探す必要があるのです。

事務所可となっている物件でも、すべての業態の事業が許可されるわけではありません。たとえば、ニオイや汚れが発生したり、人の出入りが頻繁にあったりする場合には、利用が認められないケースもあります。

 

個人事業用契約を結ぶ際に事業内容まで審査されるのは、こうした理由も大きく関係しています。不安な点があれば、業態や業務時間なども含めて事前に細かく相談しておきましょう。

通常の賃貸物件を自宅兼事務所として借りた場合、物件によっては住所を公開できないケースもあります。ほかにも入居者がいる場合には、迷惑がかかってしまう可能性があるため、ホームページなどへの掲載が禁止されていることがあるのです。

 

また、社名や看板などの掲示が禁止されている物件もあります。事務所利用可となっていても、細かなルールは物件ごとに異なるため、事前に確認をしておきましょう。

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家を借りる

 

個人事業主は安定した収入のある就業者と比べて、入居審査が厳しくなりやすい面があります。ここでは、入居審査に落ちやすい例と、審査通過のために知っておくべきポイントを見ていきましょう。

事業開始から2年目までは、前年度の収入証明書が発行できないことが原因で、審査では不利になってしまう可能性があります。ただ、「信用力の高い会社から同じ業種で独立をした」などのケースでは、開業後間もない時期でも審査に通る場合はあります。

 

また、収入に対する家賃の割合も審査の重要項目の一つです。就業者であれば月収の3分の1以下が目安とされているものの、個人事業主の場合は税金や経費などの一時的な支出が大きいと判断されるため、家賃の割合を高く設定していると審査に落ちてしまう可能性もあるのです。

審査をスムーズに進めるためには、必要書類を漏れなく用意するとともに、収入に関する信用度を高める工夫も大切です。取引先の件数や業務内容を示す書類があれば、そろえておきましょう。

 

また、賃貸物件を借りる際には、保証人か保証会社の利用を求められることがほとんどです。保証会社を利用する際にも審査が必要となるため、信用情報に不安がある場合には、可能な限り収入の安定している親族などに保証人を依頼するほうが無難です。

 

さらに、個人事業主の場合は、個人事業用契約であっても借主個人の信頼性が審査されます。身なりや態度が与える印象も入居審査を左右する可能性があるため、誠実な対応を心がけましょう。

個人事業主

  • 賃貸物件の契約形態には個人契約と個人事業用契約の2種類がある
  • 個人事業主が個人事業用契約を行えば、固定費削減などのメリットが生まれる
  • 個人事業用契約は個人契約よりも必要書類が多く、審査項目にも違いがある
  • 自宅兼事務所として借りる際には、事務所利用可となっている物件を探す
  • 入居審査では安定した収入の証明と保証人の用意がカギとなる
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