不動産を購入する際には、建物の耐用年数について正しく理解しておくことが大切だといえます。特に、中古物件の売却や購入を考えるうえでは、重要な指標のひとつとなるポイントです。今回は、耐用年数をきちんと押さえるうえで必要な知識に触れながら、木造住宅の耐用年数を解説します。また、中古木造住宅を購入する際に、注意すべきポイントについても見ていきましょう。

木造住宅

 

不動産とは、土地およびその定着物のことをいいます。土地の定着物として代表的なものは建物です。また耐用年数とは、一般的には使用可能期間を示した年数だといえます。しかし、単なる「寿命」とは異なるものであり、意味を誤解しやすい単語でもあるため注意が必要です。

 

土地には、耐用年数という概念がありません。耐用年数は、建物や設備等の使用可能な期間が限られるものに対して設定されます。

 

ここでは、耐用年数の基礎知識について見ていきましょう。

 

建物の価値は、一般的に年月の経過とともに減少していくものです。そのため、住宅を購入したときと売却するときでは、当然、価格に違いが生まれます。

 

そこで、不動産(土地・建物)を売買する際には、現在の価値がどの程度のものであるかを判定する物差しとして、耐用年数が用いられるのです。耐用年数が経過したからといって、必ずしも住宅として利用できなくなるわけではないため、誤解のないように理解しておきましょう。

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住宅

 

耐用年数には大きく分けて、「法定耐用年数」と「物理的耐用年数」、「経済的耐用年数」の3種類があります。ここでは、それぞれの違いについて解説していきます。

 

法定耐用年数とは、税務会計上不動産の価値を公平に評価するために、国が指定した建物等の耐用年数のことです。たとえば、住宅では、鉄骨鉄筋コンクリート造は47年、レンガ造は38年といったように、構造や用途などによって一律に定められています。

 

法定耐用年数に基づいて計算をすれば、建物等の現在の価値をある程度は把握することが可能です。

 

物理的耐用年数とは、その不動産に実際に住み続けられる年数を示したものであり、一般的にはその期間を過ぎたら処分をするのが前提とされています。そのため、寿命に近いものと捉えて問題はありません。

 

しかし、厳密には立地や管理状態によって、住み続けられる年数には違いが生まれます。それは、古い木造の寺院や建造物が、何百年にもわたって使用されていることから考えても明らかです。

 

経済的耐用年数とは、経済的な価値がなくなってしまうまでの期間を示した数字です。経済的耐用年数は、破損や老朽化、設備などの機能、市場性などを見て総合的に判断されます。

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木造住宅

 

耐用年数が示す意味を理解したうえで、ここでは木造住宅の寿命について見ていきましょう。また、耐用年数と税金の関係についても解説していきます。

 

木造住宅の法定耐用年数は22年とされているものの、実際にどれくらい住めるかは個々の住宅やメンテナンス状況によって異なります。そのため、住宅が安全かどうかといった基準で判断をするならば、物理的耐用年数で考えることが重要です。

 

ただ、細かな条件によって差が生まれる物理的耐用年数は、専門家であっても正確な判断が難しいとされています。30年で取り壊される物件もあれば、80年にわたって利用され続けている物件もあるため、工夫次第で寿命を延ばすことも可能な場合があります。

 

また、住宅としての快適さを保つうえでは、水回りなどの設備にも目を向けておく必要があります。給排水設備、電気設備などの法定耐用年数は15年とされているため、30年以上住み続けるのであれば、一度は入れ替えの必要があると考えておきましょう。

 

木造住宅は鉄骨造や鉄筋コンクリート(RC)造と比べて、固定資産税が安くなる傾向にあります。それは、経年劣化の下落スピードが、ほかの構造よりも速いと評価されているためです。

 

木造一戸建て住宅の場合は、新築から22年で法定耐用年数を超え、税金が下限に達します。しかし、下限といっても税金負担がなくなるわけではなく、それ以降は新築時の評価額の2割で固定される仕組みです。

 

中古住宅の耐用年数を求める方法には、「見積法」と「簡便法」の2つがあります。見積法は今後の使用可能期間を耐用年数として見積もる方法です。しかし、実際には見積法で正確な耐用年数を割り出すのが難しいため、あまり使われておりません。

 

その場合には、簡便法を用います。簡便法は、一定の計算式に当てはめて耐用年数を算出することができます。購入する物件の経過年数が、すでに法定耐用年数を過ぎている場合は、「法定耐用年数×20%」として計算します。

 

木造一戸建て住宅の場合は、法定耐用年数が22年であるため、このケースでは「22年×20%=4年(小数点以下切り下げ)」となるのです。一方、経過年数が法定耐用年数未満の場合は、「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」で求めます。

 

たとえば、すでに15年が経過している物件の耐用年数は、「(22年-15年)+15年×20%=10年(小数点以下切り下げ)」となります。

 

経過年数ごとに表にまとめました。

経過年数

耐用年数

5年が経過している物件

(22年-5年)+5年×20%=18年(小数点以下切り下げ)

10年が経過している物件

(22年-10年)+10年×20%=14年(小数点以下切り下げ)

15年が経過している物件

(22年-15年)+15年×20%=10年(小数点以下切り下げ)

20年が経過している物件

(22年-20年)+20年×20%=6年(小数点以下切り下げ)

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住宅のメンテナンス

 

これまでに見てきたとおり、木造住宅に長く住み続けるためにはメンテナンスが大切となります。ここでは、住宅の劣化を見極めるポイントやメンテナンスを考えるべき時期について解説していきます。

 

住宅の劣化スピードは、部位によっても異なります。まず、外壁については、紫外線や湿気といった自然環境による劣化に目を向けることが大切です。

 

外壁や屋根の色あせや汚れ、コーキング材の劣化などを意識して、必要に応じたメンテナンスを行いましょう。外的な状況によっても異なるものの、コーキング材は築10年を迎えたあたりから、劣化が始まるケースが多いとされています。

 

内装については、日常的なケアが大切なポイントとなります。ドアノブや手すりなどの汚れをこまめに掃除したり、壁紙のはがれを放置しないように注意したりしながら、長く使えるよう心がけることが重要です。

 

水回りなどの設備についても、築10年を超えたあたりから劣化が始まるケースが多いとされています。キッチン本体については、30年は使用できるとされているものの、ガスコンロや換気扇といった細かな設備に不具合が発生することもあります。

 

いずれの場合においても、そのまま放置をせずに、できるだけ早い段階で買い替えを検討することが大切です。

 

使用頻度や手入れの状態によって多少の違いは生まれるものの、外壁や床下は約30年、屋根は20年~50年、内装は20年、設備は20~30年が入れ替え時期の目安となります。バラバラに点検や修理を行うよりも、まとめて依頼することで価格が抑えられる場合もあるため、メンテナンスは計画的に行いましょう。

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ホームインスペクション

 

中古木造住宅を購入する際には、価格を抑えられる分、新築よりも注意しておかなければならないポイントが多くなります。ここでは、どのような点に目を向けるべきか、具体的に見ていきましょう。

 

築年数が経過した物件を選ぶ際には、まず主要となる構造躯体について見極めることが大切です。構造躯体とは、建築構造を支える骨組みにあたる部分のことを指します。構造部分に不具合がある場合は、直ちに大がかりな建替えを行わなければならないこともあるため、購入の前に確認しておきましょう。

 

外壁部分については、雨漏りの有無や雨どいの劣化、亀裂などを細かくチェックしていきます。続いて、建物の内部においては、ドアや窓の立て付け、設備の動作などを細かく確かめることが大切です。

 

また、フローリングの床鳴りや沈みが生じている場合には、きちんと原因を確かめる必要があります。シロアリによる被害や下地の劣化が発生している場合は、専門家に対処を依頼しなければならない可能性が高いのです。

ホームインスペクションとは、住宅の設計に明るい建築士などの専門家が細かな調査を行い、物件の診断をしてくれるものです。一般的にはチェックが困難な床下や天井裏なども、ホームインスペクターに依頼することで調査をしてもらえます。

 

費用については、5~8万円程度が相場とされているものの、住宅の構造や細かな依頼内容によって異なります。そのため、利用する際には、調査してもらいたい範囲や内容を明確にしておくことが大切です。

 

LIFULL HOME’Sの住宅評価は、建物の専門家による建物検査の報告書(住宅評価書)が付いた中古住宅を探せるサービスです。住宅評価書では「価格査定」「建物検査」「シロアリ検査」「設備検査」の4点にわたって物件の状態を確かめることができるため、中古住宅を探す際には役立つ仕組みとなっています。

 

通常、住宅の検査結果を確認できるのは、不動産会社に問合せをした後のこととなります。しかし、LIFULL HOME’S住宅評価で取り扱われている物件は、検索段階で結果を見比べることが可能なのです。

 

安心できる住宅を探すうえで、利用を検討してみるといいでしょう。

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木造住宅

この記事のポイントをおさらいしておきましょう。

  • 耐用年数には法定耐用年数、物理的耐用年数、経済的耐用年数の3種類がある
  • 住宅の寿命に近い意味合いを持つのは物理的耐用年数であるものの、正確に算出するのは困難
  • 木造住宅の法定耐用年数は22年とされているが、実際の寿命は30年~80年と大きな差がある
  • 寿命を延ばすためには劣化の見極めとこまめなメンテナンスが重要
  • 中古住宅の購入にはホームインスペクションやLIFULL HOME’S住宅評価の利用が便利
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