介護が必要になったご家族がいる場合や、将来に備えて自宅のバリアフリー化を進める際に、毎日使用するトイレのバリアフリー化は重要なポイントです。
トイレを改修する際には、どんなことを意識して、どの程度の工事費用を見込めばいいのでしょうか。この記事では、保険を適用する方法も交えながら、トイレをバリアフリー化するための方法をお伝えします。
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トイレをバリアフリー化する際には身体状況を考える

トイレのバリアフリー化を行う際には、まずは誰がどんな風に利用するトイレなのかを整理します。
例えば、歩いてトイレに行ける人と、車いすを利用してトイレに行く人とでは、トイレに備えるべき機能や、必要な面積が違います。
| 歩いていく場合 | 車いす利用の場合 | |
|---|---|---|
出入口の幅 | 幅が75cm以上 | 幅が80cm以上 |
| 面積 | 約0.5坪が理想 | 約1坪が理想 |
それぞれのケースに合わせて、利用者の身体状況を考えることが、使いやすく不便のないバリアフリー化を可能にするのです。

【場所別】トイレをバリアフリー化する具体例
トイレの中を見回してみると、使われているパーツや備えている機能は意外に多く、バリアフリー化の際にも多くの設備を入れ替えることになります。
ここでは、5つの箇所のバリアフリー化について説明します。
出入り口
まずは、出入り口のバリアフリー化です。
外からも鍵が開けられるようにする
万一、トイレの中に閉じ込められてしまった場合でも家族が救出できるように、外から鍵を開けられる出入り口にします。
段差のない吊り下げタイプの引き戸にする
一般的なドアでは、出入り口部分に段差ができてしまうことが多いため、段差のない吊り下げタイプの引き戸にします。
手すり
次に、手すりの設置です。
縦・横の手すりを設置する
ドアを開閉する際には、力が伝わりやすく、転ぶ心配が少なくなる縦の手すりが設置されていると便利です。また、トイレに入った後、便器までを伝い歩きする際には、横に延びる形の手すりも設置されているとよいでしょう。
L字型の手すりを設置する
縦と横の手すりの機能を両方備えた形の手すりで、便器の真横に設置して、便座からの立ち上がりや出入り口までの移動を支えます。
床
床の材質も、バリアフリー化において重要です。
汚れに強い材質
不自由な状態でトイレを利用していると、思わぬ形で床を汚すことがあるため、黄ばみなどが起こりにくい汚れに強い材質が人気です。
抗菌など清潔な材質
万が一転倒した場合でも気にならないように、掃除がしやすい、抗菌仕様などの清潔な材質を選ぶ人も多くいます。
滑りにくい材質
トイレの中で転倒すると、壁や便器に頭や体をぶつけるリスクが高いため、滑りにくさを重視した床も支持されています。
洗浄レバー・ボタン
洗浄レバー・ボタンの機能や設置する位置も大切なポイントです。
届きやすい場所に設置する
洗浄レバーやボタンは、便座に座った状態から手が届きやすい場所に設置して、簡単に操作できるようにすることが基本です。
大きくて触りやすいボタンにする
間違えてほかのボタンを押すことがないように、力が伝わり切らなくても操作でき、大きくて触りやすいボタンを設置します。特にお年寄りが同居する場合は、文字の大きさや分かりやすさも重視しましょう。
多機能タイプを選ぶ
ボタンを操作しなくても、センサーで自動洗浄できたり、手をかざすだけで洗浄できたりする、多機能タイプを選ぶこともおすすめです。
便器
車いすに乗ったままでも利用できる専用の対応トイレもあるので、予算を見ながら導入を検討しましょう。
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トイレに行くまでの道のりもバリアフリー化を検討する
トイレの中を完璧にバリアフリー化できたとしても、自室からトイレ、リビングからトイレに向かう際などの動線の対策が不十分では不安が残ります。
トイレに行くまでの道のりもバリアフリー化させることを検討し、手すりを設置したり、滑りにくい床にしたりするなどの対策を講じましょう。
トイレの場所そのものを移動できるのであれば、寝室から近い場所にトイレを配置すると事故が起こる確率が減ります。
トイレを利用した後に手洗いしやすいように、洗面台もトイレの近くに配置するか、トイレの中に配置すると便利です。
トイレをバリアフリー化する際にかかる費用
トイレのバリアフリー化工事でかかる費用の相場をお伝えします。工事の内容や、設備の機能によって価格には差が生まれますが、目安として参考にしてみてください。
| 工事の内容 | 費用の相場 |
|---|---|
| 引き戸への変更 | 5~15万円 |
| 手すりの設置 (壁の補強工事を行う場合) | 1~5万円 (5~10万円) |
| 床材の張り替え | 2~10万円 |
| 便器の変更 | 10~30万円 |
| 和式から洋式への変更 | 20~50万円 |
| トイレスペースの拡張 | 15~30万円 |
特に価格の差が大きいものとしては、便器の変更が挙げられます。
シンプルな便器には少額で交換できますが、温水洗浄便座を付ける場合や、最新機能が付いた便器に交換する場合には、高額な費用を見込まなければなりません。

トイレをバリアフリー化する費用には介護保険が利用できる

2007年にスタートした介護保険制度は、40歳以上の国民に加入する義務があり、月々に支払う介護保険料を財源に、地方自治体が保険サービスを提供しています。
トイレのバリアフリー化を行う際は、この介護保険制度を利用できるので、忘れずに申請を行いましょう。
適用するための条件と、対象になる工事を以下の表にまとめました。
| 支給額 | 工事費用の9割(最大20万円まで) |
|---|---|
| 保険の適用条件 | ・要支援または要介護認定を受けた人 ・福祉施設や病院への入所・入院をしていない人 ・被保険者証の住所と改修後の住所が同一であること |
| 対象の工事内容 | ・手すりの取り付け ・段差の解消 ・滑り防止および移動の円滑化のための床材の変更 ・引き戸への扉の取り換え ・洋式便器等への取り換え ・上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修 |
保険金を受け取るためには、着工する前に市区町村に申請を行い、上記の条件を満たす改修であることを確認します。
工事が終了したら正式な申請を行い、無事に認められた場合、最大20万円までの工事費用に対する住宅改修費が支払われます。
まとめ
トイレのバリアフリー化を行う際には、誰がどのようにトイレを使うのかを考えて、部屋からトイレまでの動線も考慮したうえで工事内容を決めましょう。
最大20万円までの工事に対しては、費用の9割を介護保険で賄える可能性もあるので、着工までに各市区町村の担当窓口に相談することも大切です。

更新日: / 公開日:2020.07.03









