開業や先行まちびらきが続く大阪キタの2024年

大阪キタ地区の再開発が進んでいる。なかでも中心的存在となるのが「うめきたプロジェクト」だろう。かつてJR大阪駅の北側には広い貨物ヤードがあった。その24ヘクタールもの跡地を開発するプロジェクトだ。

2013年には「うめきた1期地区」として複合商業施設「グランフロント大阪」が開業。続く「うめきた2期地区」では、2023年3月に新たなホームなどからなる「JR大阪駅(うめきたエリア)」が開業し、大阪駅から関西空港まで乗り換えなしで行けるようになった。JR大阪駅(うめきたエリア)は、既存の大阪駅や、新設された大阪駅の西口と連絡通路でつながる。「サイバーな駅へようこそ」とJR西日本がホームページで紹介するように、近未来的な様相で、これからできる「うめきた2期地区」のまちへの期待をもふくらませた。そして2024年9月、いよいよ「うめきた2期地区」が先行まちびらきを迎える。

梅田周辺では、うめきたプロジェクトのほかにも、新規ビルの誕生や、老朽化に伴うビルの建て替えが相次いでおり、併せて一帯のまちづくりを考慮した動線づくりも進められている。本稿では「うめきた2期」よりひと足早くオープンした周辺施設を含む、大阪キタ地区の再開発の現在の様子と、これからの姿を紹介したい。

整備が進む「うめきた2期地区」を望む(2024年7月撮影)整備が進む「うめきた2期地区」を望む(2024年7月撮影)
整備が進む「うめきた2期地区」を望む(2024年7月撮影)うめきた2期地区に生まれる「(仮称)うめきた公園」(独立行政法人 都市再生機構 プレスリリースより)

旧大阪中央郵便局跡地に誕生した超高層ビル「JPタワー大阪」

2024年7月31日にグランドオープンを迎えたのが、「JPタワー大阪」(大阪市北区梅田3丁目)だ。旧大阪中央郵便局跡地に誕生した同ビルは、高さ約188m、地上39階、地下3階、塔屋2階の複合商業施設。JPタワーとは日本郵政グループが開発する超高層ビルに付けられる名称で、大阪は、東京、名古屋に次ぐ3つ目のビルとなる。

周辺の動線もしっかりと計画されている。2023年3月のJR大阪駅(うめきたエリア)の開業とともに新設されたJR大阪駅西口と直結。2階レベルでは、JR大阪駅南側の「サウスゲートビルディング」の2階と歩行者デッキでつながる。「JPタワー大阪」では、2023年11月にオフィスフロアが先行開業しており、これに合わせて歩行者デッキも開通している。ちなみに「サウスゲートビルディング」とは、大丸梅田店、ホテルグランヴィア大阪のほか、クリニックやレストランなどが入るJR大阪駅の駅ビル・複合商業施設だ。

また「JPタワー大阪」のビル南東に設けられた広場は、1階の歩道や地下1階の西梅田地下道(ガーデンアベニュー)に接続し、周辺の地下鉄や私鉄の駅とも行き来がしやすく、買い物客やオフィスフロアで働く人たちにとって、アクセス至便なつくりとなっている。

「JPタワー大阪」の顔ともいえるのが、地下1~地上6階に入る商業施設「KITTE大阪」だ。1階エントランスには、この地にあった、日本のモダニズム建築を代表するともいわれた旧大阪中央郵便局舎の一部を保存・移設しており、かつての大阪駅周辺を知る世代にとって注目のひとつだろう。「まだ知らない、まだ体験したことのない日本各地の魅力的なヒト・モノ・コトを集め、日本の良さを発見・再認識できる場所を目指したい」(KITTE大阪ホームページより)とするこの施設に、約110店舗が入る。
6階には、劇場「SkyシアターMBS」が入っており、こちらは2024年3月に先行オープン済みだ。

オフィスフロアは中層階の11~27階にある。また、8、9、17階には、同ビルで働く人向けに、食堂、ラウンジ、カフェ、コンビニ、会議室などが入るオフィスサポートフロアが設けられている。

7階および上層階の29~38階に入るのは、THE OSAKA STATION HOTEL, Autograph Collection(大阪ステーションホテル、オートグラフ コレクション)だ。運営は株式会社ジェイアール西日本ホテル開発で、マリオット・インターナショナル(本社:米国)と提携しての出店となる。「大阪ステーションホテル」という名称は、1874(明治7)年5月に開業した初代大阪駅がこの地にあったことに由来するという。

長年親しまれた大阪中央郵便局の一部を残しながら、オフィスに余暇にと盛りだくさんの要素を詰めた新スポットが大阪駅西口に誕生した。

JPタワー大阪(左)から大阪駅西口方向を望むJPタワー大阪(左)から大阪駅西口方向を望む
JPタワー大阪(左)から大阪駅西口方向を望むKITTE大阪の1階には、かつての大阪中央郵便局の一部を移設した(日本郵政不動産株式会社 プレスリリースより) 

JR大阪駅の新ステーションビル「イノゲート大阪」

JR大阪駅には、大阪ターミナルビル株式会社が運営する駅ビル「サウスゲートビルディング」(1983年築)と「ノースゲートビルディング」(2011年築)がある。これらは2011年以降「大阪ステーションシティ」として運営されてきたが、2024年、そこにもうひとつの駅ビルが加わった。「イノゲート大阪」(大阪市北区梅田3丁目)だ。既存の2棟同様、大阪ターミナルビルが運営する。

高さ約120m、地上23階、地下1階の「イノゲート大阪」には主にオフィスが入るが、下層階には飲食店も入り、仕事終わりのワーカーや周辺からの回遊客を取り込む場づくりがなされている。

12〜22階にオフィス、11階が貸会議室、9~10階はフレキシブルオフィス(レンタルオフィス)となり、6階のオフィスロビーにはオフィスワーカーをサポートするシェアラウンジ、カフェ、書籍・文具・食雑貨などの店舗が入る。下層階の3〜5階は飲食店フロア、1~2階はエントランスフロアという構成だ。

「イノゲート大阪」は、先の段落で紹介した「JPタワー大阪」とJR大阪駅西口改札を挟んで南北に位置しており、これらのビルの開業に合わせて、地上レベルでその間を行き来できる貫通通路が設けられた。また「イノゲート大阪」2階東側のエントランスと、既存駅ビルのひとつ「ノースゲートビルディング」2階とをつなぐ歩行者デッキも開通。既存の駅ビルとの回遊性も高めたつくりがなされている。

下層階の飲食店と、6階「TSUTAYA BOOKSTORE」、9~10階の・フレキシブルオフィス「コンパスオフィス」は、「JPタワー大阪」のグランドオープンと同じ2024年7月31日に先行オープンしている。上層階のオフィスは2024年秋の開業予定だ。

JR大阪駅直結の駅ビルとあれば、オフィスワーカーにとっては通勤時間を少しでも短縮できる好立地といえる。またJR大阪駅(うめきたエリア)から関西空港まで乗り換えなしで行けるとあって、フレキシブルオフィスは外資系企業のニーズも見込まれている。

大阪駅の新駅ビル 「イノゲート大阪」 飲食ゾーン「バルチカ03」(JR西日本プレスリリースより)大阪駅の新駅ビル 「イノゲート大阪」 飲食ゾーン「バルチカ03」(JR西日本プレスリリースより)

大阪駅直結の緑あふれる都市公園も。「グラングリーン大阪」が先行まちびらきへ

冒頭でも紹介したJR大阪駅の北西に広がる「うめきた2期地区」が、2024年9月6日に先行まちびらきを迎える。

「グラングリーン大阪」と名付けられた面積約9万1,000m2のまちは、大きく、うめきた公園、北街区、南街区の3つのエリアに分けられる。

注目すべきは、北街区と南街区をつなぐように広がる都市公園「うめきた公園」(大阪市北区大深町)だ。公園の面積は「グラングリーン大阪」の敷地の約半分となる4万5,000m2もあり、大規模なターミナル駅に直結する都市公園としては世界最大級(グラングリーン大阪ホームページより)となる。

「公園の中にまちをつくる」(プレスリリースより)という、従来とは逆の思想からつくられた公園には、約320種の木々1,500本と4万m2の芝生広場が広がり、都会の真ん中のくつろぎの場となるほか、各種イベントなどにも利用される予定だ。

先行まちびらきをするのは、「うめきた公園」のうちサウスパーク全面とノースパークの一部、そして北街区にあるホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」、中核機能施設「JAM BASE(ジャムベース)」、商業施設「グラングリーン大阪 ショップ&レストラン」(北館と公園内施設)だ。

「JAM BASE」は一般社団法人コ・クリエーションジェネレーターが管理・運営するレンタルオフィスやコワーキングスペースなどで、大学の研究機関や、多様な企業が入居し、新しいアイデアやイノベーションを起こす場を目指す。その主要施設となる「VS.(ヴイエス)」は、「訪れた人々の生き方や価値観に対して、変化と革新の入り口となる、新しい文化装置」(VS.ホームページより)と紹介され、特定のテーマやコレクションを持たない国内外の多様な文化を結ぶ展示施設だ。設計・監理を日建設計が、設計監修を建築家の安藤忠雄氏が担当した。キューブ上の建物も印象的だが、実は施設の大部分は地下に広がっている。緑豊かな公園の景観に配慮したものだという。自然と融合した新しい街の、ワクワク感をさらに高めてくれる施設になるだろう。

「グラングリーン大阪」は、2025年春ごろには南街区のオフィス・ホテル・中核機能施設・商業施設、2027年春ごろには公園全体が開園し、2027年度中に全体がまちびらきする予定だ。

分譲マンションも建設され、その立地と分譲価格は大きな話題も呼んだ。住まいあり、働く場あり、商業施設あり、文化施設あり。駅前に広がる都市公園は、日常も観光も取り込んだ今までにない都市の風景を描くことになる。

「グラングリーン⼤阪」全体図 。2027年春ごろには公園全体が開園、2027年度中に全体のまちびらきを予定する(阪急阪神ホールディングス株式会社 プレスリリースより)「グラングリーン⼤阪」全体図 。2027年春ごろには公園全体が開園、2027年度中に全体のまちびらきを予定する(阪急阪神ホールディングス株式会社 プレスリリースより)

親しんだあのビルも生まれ変わる。まだまだ続く大阪キタ地区の再開発

●大阪マルビル

大阪キタ地区のランドマークとして長年にわたって親しまれてきた「大阪マルビル」(大阪市北区梅田1丁目)。1967年に開業した同ビルも老朽化が進み、2022年に建て替えが発表された。翌年の2023年には営業を終了し、解体工事を開始。JR大阪駅の南側で少しずつ低くなっていくマルビルの様子に、名残惜しさを覚えた人も多いのではないだろうか。

だが、それはしばらくのお別れで済みそう。新しいビルも、円筒型のデザインが継承されるようだ。しかしその高さは192mと、旧「大阪マルビル」の123mを大きく上回る予定だ。

2025年には大阪で国際的な博覧会が開催される予定だが、この期間中、マルビル解体後の敷地は、会場に向かう来場者用のバスターミナルとして利用されるとのこと。その後、いよいよ新マルビルの建設が始まり、2030年の完成を目指す。

日本初の円形超高層ビルとして開業した「大阪マルビル」。背が高くなって生まれ変わる新マルビルも、再び大阪キタ地区のランドマークとなるのだろうか。完成が楽しみだ。

●芝田1丁目計画

「芝田1丁目計画」は、阪急大阪梅田駅(大阪市北区芝田1丁目)周辺で計画される再開発だ。大阪梅田駅は阪急電鉄のターミナル駅で、JR大阪駅の北東側に隣接している。2019年10月に「梅田駅」から「大阪梅田駅」へと改称されたこともあり、関西になじみの薄い人にも、大阪駅と梅田駅は同エリアであることがわかりやすくなっただろうか。
具体的には、駅に隣接するホテル「大阪新阪急ホテル」(1964年開業)や、オフィスや飲食店が入る駅ビル「阪急ターミナルビル」(1972年開業)の建て替え、駅に併設された商業施設「阪急三番街」(1969年開業)の全面改修が予定されている。

阪急阪神ホールディングスグループは「うめきた2期」地区の開発にも関わっており、2022年に竣工済の「梅田 1丁目1番地計画」(大阪梅田ツインタワーズ・サウス)と、今後始まる「芝田1丁目計画」との3つの大型開発で、大阪梅田駅エリア一帯の価値向上を目指す。またこれらの開発地域をつなぐ「(仮称)梅田コネクトロード」も計画され、回遊性が高まる予定だ。

2031年には、JR大阪駅(うめきたエリア)とJR難波駅、南海本線新今宮駅をつなぐ新しい路線・なにわ筋線も開業予定だ。これにより、関西空港からJR大阪駅(うめきたエリア)への所要時間が今より短縮されることになる。大阪の中心であり、京都や神戸への乗り換えポイントでもある梅田へのアクセスが便利になり、海外からの来阪者など、人の流れもますます活発になることだろう。

従来、梅田といえば関西随一のターミナルであるのはもちろん、オフィスや商業施設が林立する関西圏経済の象徴だった。しかし、グラングリーン大阪などのプロジェクトによって、マンションや大きな公園といった日常の安らぎも生まれることになる。これまでは想像ができなかった姿に変化しようとするキタ。生まれ変わる大阪の顔に期待したい。

「阪急ターミナルビル」(1972年開業)の建て替え、「阪急三番街」(1969年開業)の全面改修も予定されている(2024年7月撮影)
「阪急ターミナルビル」(1972年開業)の建て替え、「阪急三番街」(1969年開業)の全面改修も予定されている(2024年7月撮影)
「阪急ターミナルビル」(1972年開業)の建て替え、「阪急三番街」(1969年開業)の全面改修も予定されている(2024年7月撮影)
「梅田 1 丁目 1 番地計画」(2022年2月竣工)、「うめきた 2 期地区開発プロジェクト」「芝田 1 丁目計画」の3つの開発地域をつなぐコネクトロードも計画される(阪急阪神ホールディングス プレスリリースより)

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