住宅ローンを借り換えただけで500万円?

住宅ローンを借り換えた場合の効果についていくつかの事例を確認してみよう住宅ローンを借り換えた場合の効果についていくつかの事例を確認してみよう

40代から50代で住宅ローンを返済中の人は、この機会にぜひ一度、住宅ローンの借り換えを検討してみてはどうだろう。数百万円単位で老後資産を増やすことができる可能性があるからだ。もしかしたら、少ない労力で数ヶ月分、あるいは1年分の給料相当額を生み出してくれるかもしれない。

何年も当たり前のように払っていると何の疑問もなく習慣になっているケースも多いのではないかと思われる。この習慣を一時見直すだけで、老後がより豊かになるのであれば、検討してみる価値はあるのではないだろうか。ここでは住宅ローンの借り換えについて情報を共有していきたい。住宅ローンの金利は2008年以降長い間、下落傾向にあった。※1

もうこれ以上下がらないのではという状況からさらに下がり続け、2021年には、歴史的な低金利となった。中には「知らないうちにそんなに下がっていたの?」と驚かれる人もいると思うし、「何となく知っているけど、どれほどの効果があるかよくわからないので放っておいている」という人もいるだろう。今では変動金利であれば 0.5%を切っている住宅ローンは多くあり、長期固定金利でも一部 1%を切っているものもある。どれほどの効果があるかは、それぞれ当初の借り入れ条件で異なるが、具体例を挙げてみよう。

現在50歳で35歳のときに35年ローンで組んだ住宅ローンが3,000万円、返済期間もまだ20年残っている。これから子どもの高校、大学の教育資金が必要となり、出費も増加する見込み。一方で、60歳の定年を予定していれば10年を切る段階であり、老後の資産を真剣に検討する必要性も高まっている。そのような中で条件さえ合えば、容易に手をつけられる可能性があるのが住宅ローンの借り換えなのだ。

借り入れた当時に不動産会社にすすめられた住宅ローンは、そのときの借り入れ状況もあり、借り入れの条件がたまたま悪かったというケースもありうる。以下のような条件ではどのような返済見込みになるか見ていこう。

例えば…
利息だけでまだ約 710 万円を払っていく見込み。これを仮に 0.5%で借り換えることができればどのような効果が生み出せるのだろうか?

Aさん 50 歳・会社員・営業職・家族:4 人
項目 内容
住宅ローン残りの金額 3,000 万円
現在の借入金利 2.2%
残りの返済期間 20 年
総返済利息 約 710 万円

借り換えの効果例

【借り換え後】Aさん 50 歳・会社員・営業職・家族:4 人

■項目と内容
住宅ローン残りの金額:3,000 万円
現在の借入金利:0.5%
残りの返済期間:20 年
総返済利息:約 153 万円

単純な支払利息の差で見るとその差はなんと557万円。これ以外に借り換えの場合にかかる諸費用を考慮する必要がある。金融機関により諸費用は異なるが一例を挙げる。

諸費用の例

■諸費用と内容
融資手数料(借入額 ×2.2%):66 万円
抵当権設定登記料:12 万円
司法書士報酬、印紙代等:約 10 万円
合計:約 88 万円

先ほどの利息差557万円から約88万円を引くと約469万円となる。

住宅ローン借り換えメリット

約 557 万円-約 88 万円=約 469 万円

諸費用を含めても、これほどの効果があることがわかった上で借り換えないということは考えづらいのではないだろうか。日々の生活の中で数十万円、数百万円を簡単に生み出すことは大変なことである。住宅ローンの見直しを行ったことがない場合は、この際にぜひ一度見直していただくことをおすすめしたい。

住宅ローン借り換えのポイント

借り換えポイントとしては主に以下の3つがある。

●金利差
●残りの返済期間
●残りの返済額

それぞれ目安として借入金利差1%以上、残りの返済期間10年以上、残りの返済額1,000万円以上というのを聞いたことがあるかもしれないが、上記を満たさない場合でも効果が得られるケースもある。条件を変えて具体例を見てみよう。

借り入れの金利差0.5%のケース

現在借り入れている住宅ローンと現在市場にある住宅ローンの金利差が最も肝になる点だ。目安として現在と借り換え後の金利差が1%以上というのを聞いたことがあるかもしれないが、1%を超えていなくても効果が出てくることもある。例えば0.5%程度の差でも借り換えの効果が出る場合があるのだ。

【現状】現在の借入金利1.5%

■項目と内容
住宅ローン残りの金額 :2,000万円
現在の借入金利:1.5%
残りの返済期間:20年
総返済利息:約316万円

【借り換え後】現在の借入金利1%

■項目と内容
住宅ローン残りの金額 :2,000万円
現在の借入金利:1%
残りの返済期間:20年
総返済利息:約207万円
利息だけ見れば、約109万円の減額となる。ここから金融機関ごとに異なる借り換えの諸費用を差し引く。

借り換え諸費用の例

■諸費用と内容
融資手数料(借入額×2.2%):44万円
抵当権設定登記料:8万円
司法書士報酬、印紙代等:約10万円
合計 約62万円

住宅ローン借り換えメリット

約109万円-約62万円=約47万円

先ほどの例から比べるとそれほど大きく見えないかもしれないが、日常生活で考えると50万円近い金額は小さくはないだろう。

住宅ローンの残りの金額が800万円のケース

1,000万円以上というのが一つの目安として挙げられていることが多い。0.1%でも低ければ金利の支払いは下がるのではと思われるかもしれないが、借り換えの際には手数料や抵当権設定、司法書士など、それなりの諸費用が発生する。住宅ローンの残額が大きくないと、相対的に諸費用等の割合が大きく差額のメリットを打ち消してマイナスになる可能性もある。金利差が大きい場合は、1,000万円以下でも効果が出る場合がある。

【現状】現在の借入金利2%

■項目と内容
住宅ローン残りの金額 800万円
現在の借入金利 2%
残りの返済期間 20年
総返済利息 約171万円

【借り換え後】現在の借入金利0.5%

■項目と内容
住宅ローン残りの金額 800万円
現在の借入金利 0.5%
残りの返済期間 20年
総返済利息 約41万円
利息だけ見れば、約130万円の減額。ここから借り換えの諸費用を差し引く。

借り換え諸費用の例

■諸費用と内容
融資手数料(借入額×2.2%) 17.6万円
抵当権設定登記料 3.2万円
司法書士報酬、印紙代等 約10万円
合計 約30.8万円

住宅ローン借り換えメリット

約130万円-約30.8万円=約99.2万円

残りの返済期間8年のケース

住宅ローン返済の返済期間は、あと利息をどれだけ払う期間になるか、なので、長ければ長いほど効果は高くなる。目安として10年といわれるが、金利差と金額によってはそれ以下でも効果が出る場合がある。

【現状】現在の借入金利2%

■項目と内容
住宅ローン残りの金額 :1,500万円
現在の借入金利:2%
残りの返済期間:8年
総返済利息:約124万円

【借り換え後】現在の借入金利0.5%

■項目と内容
住宅ローン残りの金額 :1,500万円
現在の借入金利:0.5%
残りの返済期間:8年
総返済利息:約31万円
利息だけ見れば、約93万円の減額になる。ここから借り換えの諸費用を差し引く。

借り換え諸費用の例

■諸費用と内容
融資手数料(借入額×2.2%):33万円
抵当権設定登記料:6万円
司法書士報酬、印紙代等:約10万円
合計 約49万円

住宅ローン借り換えメリット

約93万円-約49万円=約44万円

上記は厳しめの条件を設定したが、それでも数十万円以上の効果が見込める可能性がある。複数の要件が重なると数百万円といった、より大きな借り換え効果がでることもある。

住宅ローン借り換え3つのステップ

第1ステップ 返済予定表の用意

金融機関からもらっている返済予定表を探してみよう。借り換えの際には金融機関からも必要書類として求められる。必要な情報は以下の通り。

1.借入金利
2.残りの返済額
3.残りの返済期間

第2ステップ 借り換え先の住宅ローンの比較と返済額の計算

上記の資料がそろえば、今からいくら利息を支払っていくことになるかを計算することができる。各金融機関のホームページ上でも、簡易の借り換え計算ができるようになっているので試してみると良いだろう。金融機関ごとに借り換えの条件はかなり差があるため最重要ポイントとなる。金利と手数料を含むその他費用が主な比較対象だ。

総返済利息の確認
借り換えの金額、残りの返済期間、金利がわかれば総支払利息が計算できる。固定期間が3年、10年などで、その後、変動にもどるといったタイプも選択できるが、固定期間が終了した後の割引率が大きく減少するものもある。従って全返済期間をみたときの総返済利息をみることが大切だ。

諸費用の確認
諸費用は意外にかかる。手数料型や保証料型などいくつかの形がるが、例えば手数料が借換額の2.2%となっている金融機関は比較的多い。一方で、諸費用部分を固定の金額で低く設定している金融機関などもある。
諸費用が低く設定されている場合は金利がやや高めになっていることが多いといえる。どちらが良いかは、具体的な計算で総額を出して比較しよう。

最重要事項は上記の条件だが、そのほかに検討する要素としては、住宅ローンに付加されるサービスがある。例えば住宅ローンに申し込む際は、一部を除いて団体信用生命保険の加入が必須だががんや重大疾病等の保険などがついているものが増えている。無料でついてくるものと、金利を増加して付加するものなどがあり、一つの検討材料にはなるかもしれない。

第3ステップ 返済計画の確認

住宅ローン支払額に削減が見込める場合でも、その削減額が大きくないケースでは借り換えを実行した方がよいと確実にいえないこともある。今後の返済計画によっては、削減効果が借り換えする費用を上回らないこともあるためだ。例えば繰上返済計画を立てている場合は、利息の削減効果は下がるため、それを前提にしたうえで比較する必要がある。場合によっては、あと数年で繰上返済という計画があるかもしれないし、60歳に退職金で一括返済という方法もあるかもしれない。

効果があるかないかは、いずれにしても現状の把握と、今後の計画で見ていく必要がある。また、もう少し広い視点で見ると、退職後のセカンドライフを想定する場合、現在のような低金利下であれば繰上返済をするのではなく、その資産を長期的な資産形成に回すという考え方もあるだろう。できれば現在から将来の資産余力を試算表上で客観的に把握し、自身のリスクと資産設計に対する考え方も十分考慮したうえで計画をしっかりと立てていただくことがベストだと思われる。

借り換えの検討は、まず現状の把握が必要となる借り換えの検討は、まず現状の把握が必要となる

借り換えの実行

計算上の効果が見込める場合は、実際に金融機関で借り換えの審査申し込みを行う。審査を経て借り入れの可否と最終的な条件が決定される。具体的な住宅ローンの借り換えの実行にあたっては、大きく以下の2つの方法が挙げられる。

1.別の金融機関への借り換えの申し込み
2.既存の金融機関との交渉

1のメリットとしては、数多くの金融機関のなかから自分の条件に合ったベストな住宅ローンと金融機関を選ぶことができる点だ。

前述したとおり既存の住宅ローンにないプラスの特典がある住宅ローンなどもある。デメリットとしては、借り換えに際して費用がかかる点だ。効果が費用を上回ればいいということになる。2のメリットとしては、新たな費用が発生せず、使い慣れた金融機関でこれまでと同様に継続でき、返済額が変わるだけということになる点だ。ただ、住宅ローン条件の見直しに応じてもらえるかは金融機関次第である。

ほかの金融機関へ借り換えた場合の条件や効果を含め、しっかりと準備したうえで交渉すると条件の見直しに応じてくれる可能性は高まるが、あっさりと断られる可能性もある。いずれのケースであっても総合的に比較検討し、効果が高い方法があれば、借り換えを進めていくのがよいではないだろうか。

既存の金融機関との交渉するのか、別の金融機関へ借り換えの申し込みをするのか。検討しより最適な方法を選びたい既存の金融機関との交渉するのか、別の金融機関へ借り換えの申し込みをするのか。検討しより最適な方法を選びたい

まとめ

住宅ローンの借り換えについてのポイントやステップ、効果について解説をしてきた。老後に向けた数ある対策案の中でも、住宅ローンの借り換えは、大きなお金を生み出し不安を解消するために効果的な方法の一つになる可能性がある。

長期的なライフプランを考えたとき、老後資金の不足を不安に感じている人もいるだろう。健康的な老後を目指すには、定期的な健康診断は大事だが、お金の面でも同様と考えてもらえるとよいかもしれない。問題や課題は早期発見したほうが、マイナスを小さくでき対策の効果はより大きくなる可能性が高くなるので、お金の健康チェックを検討してもらいたい。安心して楽しく過ごせる老後に向けて、本記事をぜひお役に立てていただければと思う。

※1参照:住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」
※この記事は2021年10月時点にLIFULL人生設計に記載された記事となります。

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