年齢が低いほど死者・重傷者数が多い傾向がある
引越し先を選ぶ際、周辺環境の安全性を気にする人は少なくないはずだ。特に小さな子どもがいる子育て世帯なら、できるだけ交通事故に遭いにくい地域を選びたいだろう。
実際に子どもが被害者となる交通事故は、年齢が低いほど死者・重傷者数が多い傾向がある。警察庁が2018年から2022年に発生した交通事故を分析したところ、歩行中の小学生の死者・重傷者数は合計で2,165人だった。学年別でみると小学校1年生が508人で、6年生が160人。死者に絞ると1年生が10人で6年生は1人だった。1年生の死者・重傷者数は6年生の約3.2倍、死者数に絞ると10倍ということになる。
小学校1年生は、いわば「一人歩きデビュー」の時期。行動範囲が広がり子どもだけで遊ぶ機会も増える。下校時に道草をしたくなることもあるだろう。また、このような時期は、交通事故だけでなく、窃盗犯や暴行などの事件に巻き込まれる可能性も高まる。これらの事故・事件を未然に防ぐために我々大人はどのようなことができるのか、さらに地域ぐるみで未然に防ぐ取組みをしている事例などを紹介したい。
家庭での交通安全教育が重要
小学校1年生が安全に「一人歩き」できるようになるには、家庭での交通安全教育が重要だ。保護者は言葉だけでなく、一緒に歩きながら繰り返し安全な歩行の方法を教えたい。具体的な方法は、政府広報オンラインなどが参考になる。同サイトによると、小学校1年生の交通事故の多くは、道路の横断中に起こっている。安全な横断の方法は、以下のようなやり方だ。
・横断歩道や歩道橋、信号機が近くにあるときは、そこまで行って横断する
・横断する前に、「必ず立ち止まる」「右左(みぎひだり)をよく見る」「車が止まっているのを確認する」
・横断歩道では、手を上げる、手を差し出す、運転者に顔を向けるなどして横断する意思を表示する
・信号が青のときも、必ず右左を見て、車が止まっていることを確認してから横断する
・横断中も、右左を確認しながら歩く
また、子どもに交通安全を教えるには、普段から大人がお手本を示すことも大切だ。子どもが見ているところで信号無視をしたり、近くに横断歩道があるのに目の前から横断したりすると、子どもはまねをするもの。大人が率先垂範して交通ルールを守りたい。
大人が道路だけでなく、街中の見守りを行うことが重要
文部科学省の資料によると、小学生が被害に遭う事件は上位から①窃盗犯、②強制わいせつ、③暴行、④傷害、⑤恐喝となっており、そのうち窃盗犯が8割以上を占めている。これらの犯罪の発生場所は、上位から①駐車(輪)場、②共同住宅、③道路上、④都市公園、⑤一戸建て住宅だ。したがって子どもの安全を守るには、大人が道路だけでなく、街中の見守りを行うことが重要だ。
具体的な見守り活動の例は、おもに以下の4つだ。
●定点見守り
交通量の多い交差点や見通しの悪い道、人通りの少ない道などに立って通行する子どもたちを見守る。
●登下校への付き添い
特定の区間あるいは学校まで子どもたちに付き添う。通学路が広域にわたる場合は、地区ごとに引き継ぎをする例もある。
●点検・巡回
登下校中に限らず通学路を点検・巡回し、危険個所があれば学校や自治体へ報告する。
●ながら見守り
登下校の時間帯に合わせて庭の草花に水やりをする、家の前を掃除する、犬の散歩をする、といった方法で子どもたちを見守る。
しかしながら、見守り活動を含めた防犯ボランティア活動者は減少傾向だ。そこで近年は、無理のないように見守り活動を行い、小さな積み重ねによって地域全体で子どもたちの安全を守るコミュニティの形成が期待されている。例えば上記「ながら見守り」ならば、それぞれのライフスタイルに合わせて行うことができ、子どもたちを見守る目や危険個所の発見の機会を増やすことにつながる。
特徴的な地域の見守り活動事例
それでは「地域における通学路等の安全確保に向けた取組事例集」(文部科学省総合教育政策局等)などを参考に、実際に地域ぐるみでどのような見守り活動が行われているのかを紹介しよう。
マンパワーとIoTを組み合わせ、新しい見守り活動へチャレンジ(福岡県福岡市)
見守りを担う人たちの高齢化や不足、マンパワーで対応できることの限界をIoTなどの技術でカバーしようという取組み。市民局の防犯・交通安全課と協働実施事業者である九州電力送配電株式会社が協力し、2019年から小学生に見守り端末を配布。位置情報を記録して登下校等の安全確保に役立てている。
中学生を中心とした安全・安心なまちづくりへの活動(宮城県白石市)
2006年に市内3つの中学校が結団し、中学生を中心としたボランティア組織「PSCパトロール」が発足。現在は市内すべての中学校(4校)で活動している。活動内容としては、路上でポケットティッシュを配りながら犯罪防止を呼び掛ける「犯罪防止キャンペーン」や2月14日のバレンタインデーに合わせてチョコレートを配りながら痴漢防止を呼び掛ける「チョコっとボランティア」などがあり、中学生からメッセージを届けることで、一層の防犯意識向上につながっている。なお、いずれも警察官が帯同している。
ジョギングをしながら見守り(ジョグパト)(茨城県つくば市)
ジョギングやウォーキングを日課とする人が、市内全域を見守る取組み。従来型の見守りは、グループによって既定の時間・場所で行うが、ジョグパトは、個人が好きな時間・場所で行う。そういった自由度の高さから30代、40代の比較的若い世代が参加し、当初の狙い通り新規活動層を取り込めている。
農作業をしながら見守り(香川県丸亀市)
2015年、地元の小学生の下校時の見守り活動を行うため「クリックマン見守り隊」を結成。田園地帯という特色を生かし、隊員が統一したベストを着用し、農作業をしながら子どもたちに手を振ったり、声掛けをしたりして見守り活動を実施。
このように子どもたちの安全対策は、地域によって多種多様だ。子育て世帯ならば、引越し先を選ぶ際の参考にしたらいかがだろう。




