週1回以上の在宅ワーク、時短や時差出勤なども定着
働き方も多様にみられるコロナ禍。在宅ワークも一般化してきており、従来とは異なる暮らし方、生活スタイルがみられるようになってきている。
旭化成ホームズ株式会社 くらしノベーション研究所では、普及が進んだ在宅ワークにおける暮らしの現状について、昨年4月に続き9 月に二度目の調査を、夫妻どちらかが在宅ワークをしている人を対象に実施した。PCR検査のコロナウィルス陽性者数が一段落し、経済活動の再開が進んでいる時期であるが、そのような状況下でも、在宅ワーク者の実施頻度は夫妻共通で週1回以上が約8割、週3回以上が5割となっており、在宅ワークが定着していることが読み取れる。
また、出勤前や早い時間での帰宅など、終日ではない在宅ワークも2~4割みられること、夫の時差出勤や妻の時短勤務がそれぞれ2割程度あることなどから、柔軟な働き方が一定の割合を占めるようになってきている。
家族との時間や睡眠時間が増加。光熱費の不安も
在宅ワークとなると家族と過ごす時間が増加する。家族一緒の夕食の機会も増え、夕食の時間が早まる傾向もみられる。特に、長子が幼児や小学生の場合、夫の夕食開始時刻の早まりが大きく、食べ始める時刻も他の世代より早いことから、家族と一緒に夕食をとっていると推測される。
また、通勤が不要な在宅日は、起床時間も夫妻共通で約30分遅くなり睡眠時間が増加。長子が幼児や小学生の場合に、夫の就寝時間が他の世代より早くなる傾向がみられる。在宅ワークは、睡眠時間を確保できるという点で、子育て世代の忙しさを緩和する効果があるようだ。
一方、在宅時間が長くなり、家族みんなで食事をし、調理の機会も増加すると、電気やガスといった光熱費もアップする。これら光熱費増の不安が増えたと多くが回答している点にも注目したい。
LD派は家事並行、個室派は仕事に集中できることをメリットと感じている
在宅ワークが日常化してくると、効率的に、また集中して仕事をすることができるスペースの確保が重要になってくる。実際にはどんな場所で仕事をしているのだろうか。調査によると、夫の場合LD派(ダイニングテーブル+他のLD)が4割、個室派(共用個室+専用個室)は6割の比率。一方、妻はLD派が75%と答えている。
在宅ワークのメリットとして高かったのは、「通勤時間分を他に使える」「家族と過ごす時間が増える」「宅配便や書留などの受取」「災害時対応しやすい」だが、特に「仕事の合間に調理や洗濯などの家事ができる」など家事関連を挙げるのはLD派が多く、個室派は「仕事に集中できる」ことを挙げる人がLD派より多い結果となっている。調理をする機会の増加が夫38%妻58%という結果と合わせて考えると、在宅ワークという生活スタイルの中でも、夫の家事参加の増加以上に妻が多くの家事を担っているであろうことが推測される。
夫の家事は在宅ワークをきっかけに増加
在宅ワークが増えることで、家事の分担に関して何等かの影響はみられるのだろうか。在宅ワークによる夫の家事時間の増減をみてみると、若年層(長子小学生以下、子がいない場合は40代以下)の夫の65%、熟年層(同中学生、50代以上)の夫の52%が増えたと回答。その中でも、在宅ワークをLDで行う夫の方が、若年層、熟年層共に、個室派より家事の時間が増えたと答えている。夫の家事分担を増やすためには、日々の家事作業を実感でき、仕事の合間の時間を活用できるLDでの在宅ワークの方が効果的なのかもしれない。
本人の在宅ワーク時に配偶者に立入りや音の配慮が生じている
在宅ワークは、本人にとってはメリットを感じる面も多いものの、在宅ワークをしていない配偶者には負担となる場合もあるようだ。たとえば、在宅ワーク中は、仕事スペースに立ち入らない、音を出さないという配慮が必要になる。LDでの夫の在宅ワークでは、妻の約8割がこれらを配慮し、逆の立場の場合、配慮している夫は約7割という結果に。個室の場合では約8割が立入らない配慮をしているが、これはLDと異なり立入らなければならないシーンが少ないことによると思われ、LDでの在宅ワークの方が配偶者のストレスにつながりやすいことが示唆される。
LDK周辺に兼用のスペース、コンパクトな空間を確保したい
夫婦の働き方や生活スタイルにもよるが、在宅ワークが日常化してくると、仕事をする場所の確保や空間づくりは、本人だけでなく同居家族の負担を減らすためにも重要になってくる。
コロナ禍、実際の家づくりの中では、在宅ワークを想定していた割合(経験者+未経験想定者の計)は、2020年引渡では4割近く。2年前(2018年引渡)では2割程度しか想定していないことを考えると、プランニングに対する要望にも変化がみられるということになる。
今回の調査から、旭化成ホームズでは、在宅ワークの空間としては、「LDK周辺のカウンター+Web会議用の逃げ場」と「仕事専用あるいは寝室兼用の個室」に整理して提案をしている。現実的には、仕事専用の個室が確保できるケースは現役世代では少なく、他の用途と兼用したワークスペースをいかに確保できるかが課題となるようだ。
たとえば、LDK周辺に設置する子どもの勉強場所を兼ねたワークスペースを確保する。仕切りを高くしたり建具で仕切る工夫も考えられる。またWeb会議時の逃げ場となり収納としても使えるような1帖大程度のスペースを確保するのもいいだろう。
専用の空間をプランニングするのであれば、2畳程度のスペースを確保したいもの。独立して設ける、もしくは寝室の一角に配することで空間を有効に活用できる。造り付けの収納などを設けても使いやすい。
今後、社会状況によって、また職種などによって、在宅ワークも多様なスタイルがみられるだろう。もちろん、家族構成や働き方によっても、住まいのどこに仕事のスペースを確保するか、どのような空間づくりをするのかはそれぞれだ。
調査からもわかるように、家づくりを進める中では、在宅ワークをする本人の使い勝手だけでなく、在宅する家族がストレスを感じることなく過ごせる工夫も重要なポイントだ。自宅というプライベートな空間の中に、どのようなワークスペースを取り込めば仕事がしやすく、家族も居心地がいいのか、日々の過ごし方をイメージして検討すること。現状だけでなく将来をイメージし、仕事と家事、子育てなどの変化を見据え、トータルに考えることが大切だろう。
【調査概要】 調査の目的:在宅ワークしている本人と同居配偶者の意識を調べ、家づくりに役立てる / 調査時期:2020年9月17日 ~ 9月23日 / 調査方法:Webアンケート調査 / 調査対象:1990年1月~2020年8月引渡の自社設計施工の住宅 / 有効回答数:夫妻どちらかが在宅ワークをしている方 n=1,492(本人回答1,213(内252は配偶者も在宅ワークしている)+ 在宅ワークしていない配偶者回答279)在宅ワークは週7時間以上勤務の就業者が、月1回以上実施していることを条件とした
取材協力:旭化成ホームズ株式会社






