家を建てるときには、住み心地や利便性とともに、地震に対する安全性を意識することが大切です。

今回は住宅の耐震性に関わる「耐震構造」について、具体的な仕組みと特徴を紹介します。「制震構造」や「免震構造」との違い、工事費の目安などを通じて耐震構造への理解を深めましょう。
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壁のひび割れ

耐震構造について詳しく見ていく前に、まずは地震が建物にどのような影響を与えるのか確認しておきましょう。

「気象庁震度階級関連解説表」では、ある震度が観測された場合、その周辺で実際にどのような現象や被害が発生するのか、震度や構造別に具体的な状況が示されています。

 

一般的な木造住宅における影響は以下のとおりです。

震度階級(※)

耐震性が高い場合

耐震性が低い場合

5弱

・壁などに軽微なひび割れや亀裂が見られることがある

5強

・壁などにひび割れや亀裂が見られることがある

6弱

・壁などに軽微なひび割れや亀裂が見られることがある

・壁などのひび割れや亀裂が多くなる

・瓦の落下や建物の傾きが見られることもある

・倒壊の危険性が生まれる

6強

・壁などにひび割れや亀裂が見られることがある

・建物の傾きや倒壊の危険性が高まる

7

・壁などのひび割れや亀裂が多くなる

・まれに傾くことがある

・傾くものや倒れるものがさらに多くなる

※木造建物の被害は、地震動の周期や継続時間によっても差が生まれるため、必ずしも震度のみが被害の度合いを直接的に示すわけではありません。

 

耐震性の高さについては、1981年に施行された「新耐震基準」がひとつの判断基準とされており、おおむねそれまでの旧耐震基準によって建てられたものを耐震性が低いとして取扱っています。

 

ただ、工法や壁の配置といった個別要因による影響も大きいため、必ずしも建築年代だけで耐震性を判断できるわけではない点は理解しておきましょう。

 

いずれにしても、耐震性が低い場合には震度6の段階で傾きや倒壊の危険性が生まれるとされています。一方、耐震性が高い場合は震度7でも大きな被害が生まれるリスクが小さいとされています。

新耐震基準は、震度6~7程度で重大な被害が生まれないように設けられた基準です。現在建てられる建物は、すべてこの基準を満たさなければならないため、地震に対して一定以上の強さを持っていると考えて問題ありません。

 

ただ、2016年の熊本地震では震度7レベルの地震が立て続けに起こったこともあり、新耐震基準を満たした木造建築物のうち倒壊率が10.9%と、1割程度の建物は大きな被害を受けてしまいました。

 

旧耐震基準の倒壊率は28.2%であったため、比較をすれば被害の防止に有効であるといえるものの、現行の基準で必ずしも倒壊を防げるというわけではありません。

 

そのため、地震への安全性を高めるためには、現在の基準を満たすとともに、耐震性を高める工夫が求められるのです。

耐震構造イメージ

耐震構造とは、地震の揺れに耐えることができるように設計された建築物の構造のことです。ここでは、耐震構造の仕組みと特徴について詳しく見ていきましょう。

耐震構造とは、具体的には「建物自体の強度を高めて地震に耐えられる建物の構造」のこと。柱や梁、床、屋根、壁といった構造部分の強度を高め、筋交いや構造用合板、専用の接合金具などを使って補強が行われます。

 

耐震性を高める方法としては、もっとも広く普及しており、多くの住宅をはじめ、自治体の建物や学校などでもこの耐震構造が用いられています。

耐震構造のもっとも大きなメリットは、耐震工法のなかでもっとも「コストが安い」点にあります。現在の耐震基準を満たすために、もともと採用されているケースがほとんどなので、新築する場合は追加費用がかからないことも少なくありません。

 

また、建物自体の強度を高める方法であるため、地震だけでなく台風などの横風に対応できる点もメリットです。さらに、地盤には特殊な加工を行う必要がなく、地下室などの設置もできます。

 

一方、地震の揺れそのものを抑える仕組みではないため、ほかの工法と比べて振動を感じやすい点はデメリットです。そのため、激しい揺れが起こった場合は、建物自体が無事であっても家具の倒壊や損傷が起きてしまうことがあります。

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制震構造・免震構造との違い

建物の耐震工法には、耐震構造のほかにも「制震構造」と「免震構造」の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴についても見ていきましょう。

制震構造とは、壁などの建物内部に制震材を組み込み、地震の揺れを抑える仕組みのことです。耐震構造とは異なり、建物自体の揺れを制御できる構造なので、家具や家電の転倒を防止できる点が大きなメリットといえます。

 

また、繰り返しの揺れや台風などの揺れにも強く、メンテナンスの負担も耐震構造よりも軽減されます。一方、耐震構造と比べれば導入コストが高くなってしまう点はデメリットです。

免震構造とは、建物の土台と地盤の間にアイソレーターなどの免震装置を取り入れて、地面からの揺れを遮断する方法のことです。

 

現在の耐震工法においては、もっとも耐震効果が高いとされており、建物に地震のダメージが伝わらない点が大きなメリットです。

 

一方、免震は基礎工事の段階から特別なシステムを導入する必要があり、現在の技術では導入コストがもっとも高くなります。また施工できる会社も限られており、依頼先を見極めるのも難しい面があります。

 

こうした理由から、一戸建てで免震構造を採用するのはややハードルが高く、どちらかといえばビルやマンションなどで導入されるケースが多いです。

耐震補強の工事費の目安

具体的な工事費については、施工箇所や施工内容によってバラつきが生まれるものの、一般的には先ほど紹介したとおり、「耐震<制震<免震」の順に費用が高くなります。

 

耐震の場合は最初から導入されているケースが多く、リフォームによって後から施工する場合でも、費用は50万~100万円程度となることがほとんどです。

 

一方、制震は耐震構造と組み合わせて取り入れられることが多く、1棟あたり50万~100万円を目安に追加料金がかかります。また、内壁や外壁を解体してから取り付ける場合は、リフォーム費用としてさらにコストがかかります。

 

免震は一戸建ての場合、プラス料金として300万~500万円程度を目安に費用がかかります。ただ、すでに建物が建てられている場合は、地盤にシステムを導入するために一から建替えを行わなければなりません。

 

そのため、免震構造については、新築時に設計段階から導入を判断するのが現実的だといえます。

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耐震等級を確認する

耐震等級とは住宅の耐震性能を示す指標のひとつであり、具体的な基準は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められています。

 

注文住宅を施工会社に依頼する場合や、建売住宅・中古住宅を購入する場合には、施工会社や物件の情報に耐震等級が示されているケースも多いので、事前に詳しい仕組みを押さえておくことが大切です。

 

ここでは、耐震等級の内容について見ていきましょう。

耐震等級は地震から人命や建物を守ることを目的として設けられた基準であり、「損傷防止」「倒壊等防止」の2つの目標を達成できるかどうかが評価されます。

 

損傷防止とは「数十年に一度起こり得る地震などに対して、著しい損傷が生じないようにすること」を示しており、倒壊等防止は「数百年に一度の地震でも人命が損なわれるような壊れ方をしないようにすること」が想定されています。

 

なお、前述した耐震基準はすべての住宅で順守しなければならない「義務」であるのに対して、耐震等級はあくまでも「任意」となっています。

 

そのため、高い耐震等級が示されている場合は、「最低限の基準により高い耐震性能がプラスされている」と考えて問題ありません。

耐震等級

 

耐震等級は耐震性の高さに応じて、以下のように階級分けされています。

耐震等級

  • 等級1:建築基準法で求められる耐震基準と同等の強度を満たす構造
  • 等級2:等級1の1.25倍の強度を満たす構造(避難所指定される学校や病院など)
  • 等級3:等級1の1.5倍の強度を満たす構造(災害復興拠点となる消防署や警察署など)

施工会社のなかには、最高基準である耐震等級3を標準としているところもあるので、地震に強い家づくりを依頼するうえでは詳しく会社の情報を調べておくといいでしょう。

耐震等級は申請を行って認定されることで、初めて取得できるものです。耐震性能を求めるだけであれば、あえて取得する必要はないといえるものの、認定によって得られるメリットもいくつかあります。

 

たとえば、「住宅性能証明書」を取得するためには、耐震等級の認定が必要条件です。

 

住宅性能証明書とは、住宅の品質の高さを示すお墨付きのようなものであり、取得すれば「住宅ローン金利が優遇される」「売却時に有利な条件で買い手を見つけられる」といったメリットが生まれます。

 

また、地震保険には耐震等級に応じて保険料が割引される制度が設けられています。等級1で10%、等級2で30%、等級3では50%が割引されるため、家計にとっては大きなメリットといえます。

 

耐震等級の高い住宅を実現するためには、どうしてもコストがかかってしまうので、取得によって受けられる経済的なメリットもきちんと理解しておきましょう。

耐震構造の家

  • 耐震性が高い場合では、震度7までなら重大な被害を受けないように想定されている
  • ただ、繰り返される地震などで倒壊してしまう可能性もないわけではない
  • 耐震構造は建物そのものの強度を高めて地震に耐える工法であり、コストの安さがメリット
  • 耐震と制震、免震はそれぞれ地震に備える仕組みが大きく異なり、費用面にも違いがある
  • 地震に強い家づくりでは、耐震等級の仕組みも理解しておくことが大切
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更新日: / 公開日:2021.10.22