住宅の購入を検討している方のなかには、「将来のライフプランを考えて、住宅ローンはできるだけ早く返してしまいたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

今回は、住宅ローンの繰り上げのタイミングや、どのくらいの金額から繰り上げをすればよいかなど、賢く繰り上げ返済をするためのコツについて、具体的な金額で比較しながら解説します。

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住宅ローンの返済計画

 

繰り上げ返済とは、あらかじめ決められた毎月の返済やボーナス返済とは別に、住宅ローンの一部または全部を返済することをいいます。

 

繰り上げ返済をした金額がすべて元金に充当されるため、繰り上げ返済によって減った元金部分に対する利息を支払う必要がなくなり、住宅ローンの総支払額を減らすことができます。

 

繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの返済方法があります。

 

「期間短縮型」は繰り上げ前と毎回の返済額を変えずに返済期間を短縮する方法で、「返済額軽減型」は返済期間はそのままで毎回の返済額を減らす方法です。

 

また、繰り上げ返済を行う時期によっても利息の軽減効果が変わります。

 

期間短縮型の繰り上げ返済は、毎回の返済額が繰り上げ前と変わらない分、毎回の元金の減り方が大きくなるため、返済額軽減型よりも利息の軽減額が多くなります。

 

たとえば、「住宅ローン借入額が3,000万円で、借入金利が固定金利1.30%、返済期間35年」のローンを組んだ方が、「10年後に300万円を繰り上げ返済する場合」に軽減される利息を比較していきましょう。

当初

  • 毎月返済額   8万8,944円
  • 返済回数    420回(35年間)
  • 支払利息の合計 735万6,562円

ケース1:期間短縮型で繰り上げ返済する場合

  • 毎月返済額   8万8,944円=変わらず
  • 返済回数    375回=45回短縮
  • 支払利息の合計 630万4,569円
  • 軽減される利息  105万1,993円…Ⓐ

ケース2:返済額軽減型で繰り上げ返済する場合

  • 毎月返済額   7万7,226円=毎月の返済軽減額11,718円

  • 返済回数    420回=変わらず

  • 支払利息の合計 684万1,075円

  • 軽減される利息  51万5,487円…Ⓑ

比較

  • 利息の軽減額の差 Ⓐ-Ⓑ=53万6,506円

どちらの方法も利息が軽減されますが、期間短縮型のほうが、軽減される利息の合計が約53万円も多くなります。また、返済期間も約3.7年短縮されます。

 支払回数返済額支払利息
支払回数短縮回数

毎月
返済額
(円)

軽減額
(円)
支払利息の
合計(円)
軽減額
(円)

(①-②)
当初42088,9447,356,562 
①期間短縮型375▲4588,94406,304,569▲1,051,993▲536,506
②返済額軽減型420077,226▲11,7186,841,075▲515,487

 

繰り上げ返済は、早い時期に行うほど利息の軽減効果が高くなります。

 

先ほどと同じく「住宅ローン借入額が3,000万円で、借入金利が固定金利1.30%、返済期間35年」のローンを組んだ方が、300万円を「5年後」と「15年後」で繰り上げ返済をした場合の利息を比較してみましょう(期間短縮型の場合)。

当初

  • 毎月返済額   8万8,944円
  • 返済回数    420回(35年間)
  • 支払利息の合計 735万6,562円

ケース1:5年後に繰り上げ返済する場合

  • 毎月返済額   8万8,944円=変わらず

  • 返済回数    372回=48回短縮

  • 支払利息の合計 603万9,625円

  • 軽減される利息  131万6,937円…Ⓐ

ケース2:15年後に繰り上げ返済する場合

  • 毎月返済額   8万8,944円=変わらず

  • 返済回数    378回=42回短縮

  • 支払利息の合計 655万3,631円

  • 軽減される利息  80万2,931円…Ⓑ

比較

  • 利息の軽減額の差 Ⓐ-Ⓑ=51万4,006円

同じ金額を繰り上げ返済しても、5年後のほうが15年後よりも返済回数で6回分多く短縮でき、利息の軽減額も約51万円多くなります。

 支払回数返済額支払利息
支払回数短縮回数毎月
返済額
(円)
軽減額
(円)
支払利息の
合計(円)
軽減額
(円)

(①-②)
当初42088,9447,356,562 
5年後に繰り上げ372▲4888,94406,039,625▲1,316,937▲514,006
15年後に繰り上げ378▲4288,94406,553,631▲802,931

住宅ローン返済のため貯金する男性

 

“10万円貯まったから繰り上げしようかな? それとも、100万円貯まるまでは繰り上げを待とうかな?”など、繰り上げるタイミングがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

 

繰り上げ返済をしようと思ったら、まずは金融機関が決めている最低繰り上げ額を確認しましょう。たとえば、インターネット系の銀行では1円以上など、少額から繰り上げ返済をすることが可能です。

 

しかし住宅金融支援機構のフラット35の場合、窓口で手続きをする場合は100万円以上、インターネットで手続きをする場合は10万円以上と、最低繰り上げ額が定められています。

 

基本的には、「早めに」「こまめに」繰り上げ返済をすることが効果的です。

 

たとえば、最低繰り上げ額が10万円の場合は、100万円貯まってから繰り上げ返済をするのではなく、10万円貯まるごとに繰り上げ返済をすることがコツです。

 

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2つの返済方法のうち、期間短縮型のほうが利息の軽減効果は高くなりますが、必ずしも期間短縮型を選ばなければいけないということではありません。

 

長い返済期間の間には、子どもの進学など支出が増える時期や収入が減る時期もあります。このような時期には、期間を短縮するよりも毎月の返済額を減らすほうが、家計に余裕を持てるというメリットがあります。

 

ライフステージにより、2つの方法を上手に使い分けましょう。

 

とにかく少しでも早く繰り上げ返済をしようと必要な手元資金まで使ってしまうと、万が一のときに家計が不足する心配があります。

 

病気やケガ、会社の業績悪化や転職など大きな支出や収入減があったときに、預貯金を取り崩す可能性も考えて、生活費の半年~1年分の貯蓄を手元資金として残しておきましょう。

 

また、教育資金など大切なお金には手をつけず、繰り上げ返済には余剰金を充てることが大切です。

 

繰り上げ返済時に手数料を設けている金融機関もあります。特に固定金利型や期間固定特約型では高い手数料がかかることがあるようです。

 

また、金融機関によっては窓口での手続きには手数料がかかり、インターネットでの手続きには手数料がかからないところもあります。事前によく確認しておきましょう。

 

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合などに、一定期間、年末の借入残高に応じた金額を所得税から控除できる制度です。

 

入居時期により適用期間は異なりますが、たとえば2020(令和2)年12月31日までに入居する場合は13年間の控除が受けられ、そのうち1~10年目は年末残高の1%が控除限度額となっています(11~13年目は別の計算によります)。

 

それでは、住宅ローン控除の適用期間中の繰り上げ返済は得なのでしょうか? 答えは、「住宅ローンの借入金利によって異なる」です。

 

金利が1%以上の場合は、迷わず繰り上げ返済をしましょう。

一方、金利1%未満の場合、住宅ローン控除の適用期間中に繰り上げ返済をすると、支払利息が減る分は得をしますが、それ以上に戻ってくる税金が少なくなってしまいます。

 

つまり繰り上げをすると得をする金額が減ってしまうのです。このような場合には、控除期間中には繰り上げ返済はしないで、控除期間が終了した直後にまとめて繰り上げ返済をする方法があります。

 

ただし、得をする金額があまり変わらないのであれば、少しでも住宅ローンを減らしておいたほうが気持ちが楽になる、という方もいるでしょう。金額の大小にこだわらず、気持ちを優先させることも大切です。

 

繰り上げ返済は、早い時期から行うと効果が高くなりますが、無理をして繰り上げ返済をすることによるデメリットもあります。

 

家計とのバランスや手元資金の確認などトータルで判断しながら、かしこく繰り上げ返済をしましょう。

 

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更新日: / 公開日:2020.02.28