著名な作品に登場する家の間取りを推理する「間取り探偵」が今回手がけるのは、人気ギャグマンガ「浦安鉄筋家族」の大沢木家です!
主人公の小鉄やその家族・友達を中心とするドタバタのせいで、作中では何度も屋根が吹き飛んだり壊れたりしている印象の家ですが、暮らしの観点で見るとどんな家なのでしょうか?
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千葉県浦安市に住む大沢木家。
その二男、大沢木小鉄が家族や地域の人を巻き込み大騒ぎするといったギャグマンガで、1993年~2002年「浦安鉄筋家族」・2002年~2010年「元祖!浦安鉄筋家族」・2010年~「毎度!浦安鉄筋家族」などシリーズ化され今なお四半世紀にも届く勢いで続いている作品です。

 

昭和にタイムスリップしてしまったのか?と思わせる家族を包み込むこの建物は、外観から少なくとも築30年は経過しているものと思われ、施主は連載開始時の小鉄の祖父である金鉄(76歳)とすれば、東京五輪・東海道新幹線の開通など、1960年代の高度成長第二期に建てられたものと推理できます。

 

その時、金鉄は40歳代後半、景気が良かったとはいえ、普通銀行では定期預金や国債、短期資金運用主体であったために金利上昇リスクのある長期融資が限られ、その資金繰りは親族からの借金や施工会社の割賦販売に頼るしかなく、かなり苦労して建てたものと思います。

これが大沢木家の間取り図だ!マンガの読者の方は、廊下で、ダイニングで、居間で、トイレで…様々な名場面を思い出せるのでは?

これが大沢木家の間取り図だ!マンガの読者の方は、廊下で、ダイニングで、居間で、トイレで…様々な名場面を思い出せるのでは?

 

さて、間取りはというと、やはり30年間同じ使い方をしているということは考えにくく、当時の間取りでは必要不可欠だった客間を金鉄の部屋に、これだけの家族を飲み込むために居間を居間兼主寝室に、2階の部屋は年頃の長男 晴郎・長女 桜に振り分けたのではないでしょうか。

 

この間取りで特筆するところは現在も当時と同じ使い方がされている炊事と食事が同時にできる部屋があること。
1951年に当時の建設省が定める「公営住宅基準設計」で、東京大学の吉武泰水(よしたけやすみ)教授が監修したC-51型によって戦後日本の間取りを席巻した寝食分離スタイルが採用されています。

 

寝食分離スタイルが採用された、C-51型の間取り

寝食分離スタイルが採用された、C-51型の間取り

 

炊事場と食事室を一緒にし、くつろげる場所としての居間を独立させたことによって、薄暗くて湿っぽい場所が指定席だった炊事場を、快適でこざっぱりとした空間へ移動変貌させ、主婦の動線が改善され、家事の時間が短縮できました。

 

これがまさに昭和30年代の間取りを象徴するダイニングキッチンです。(※注)

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しかし、刺激的な日々を過ごす大沢木家。5年後、小鉄が中学生になったときにはどうしたって最低でも1部屋足りません。

 

今の生活を見る限りでは建替えは難しそう。ではどうしましょうか。5年後、長女 中学二年生の桜は高校を卒業しています。進学することを前提に考えれば女の子だし家から通わせたいところ。

 

長男 浪人生の晴郎は24歳。千葉県浦安市で1K・30,000円以下のアパート物件をHOME’Sで検索してみたら、結構あったりします。

 

ここは彼に家を出て行ってもらいましょう。
この家族が抱える問題を将来きっと解決してくれる、天才幼児で三男の裕太のためにも。

 

長男より大事にしなくちゃだわ。

 

 

※注=ダイニングキッチンは1955年に発足した日本住宅公団による造語(和製英語)。
ダイニングキッチンの不動産取引における表示。公正取引規約第18条1項3号により台所と食堂の機能が1室に併存している部屋のことをいい、住宅の居室が1室の場合は4.5帖。
2室の場合は6帖以上で形状及び機能を有するものと定義されている部屋。

 

【概要】
所在地:千葉県浦安市
推定床面積:86.12㎡
間取り:4DK
構造:木造二階建
入居者:大沢木金鉄(祖父)・大鉄(父)・順子(母)・晴郎(長男)・桜(長女)・小鉄(二男)・裕太(三男)・スタスキー(チンパンジー)・ハッチ(犬)ほか

 

 

※掲載の間取り図はMEGASOFT 3Dマイホームデザイナーで作図しています。

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更新日: / 公開日:2016.09.17