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暑かった夏も終わり、すっかり秋めいてきたこの頃。過ごしやすくなったらおいしいコーヒー片手に読書にふける、なんていうのも贅沢な秋の過ごし方ですよね。

 

そこで今回は、読書好き、カフェ好きのどちらの心もわしづかみにする文学カフェ、「BUNDAN Coffee&Beer」を訪問。文豪の名前にちなんだメニューを味わいながら、目と舌でどっぷり文学に浸ってきました。

 

やってきたのは東大駒場キャンパスのおひざ元、駒場公園内に建つ日本近代文学館。ここは川端康成や井上靖など、そうそうたる小説家が歴代館長を務めた日本文学の総本山。閑静な敷地に建つその建物からは、文学の香りがプンプン漂っています。

 

BUNDAN Coffee&Beer

BUNDAN Coffee&Beer

「BUNDAN Coffee&Beer」があるのは1階の一角。入り口を入ってすぐ目に飛び込んでくるのは、天井までの高さがある大きな本棚。小説はもちろん、評論、エッセイ、料理、漫画、猫にまつわる本などなど、ありとあらゆる蔵書が並んでいて、約2万冊あるこれらの本はすべて閲覧(購入は不可)できます。

 

キッチン前のスペースに置かれている本やグッズは購入可能。昭和5年初版の復刻本、林芙美子の『放浪記』(右から書いてある!)には、2520円の値札がついていました。

 

天井までの高さがある大きな本棚と放浪記

天井までの高さがある大きな本棚と放浪記

(左)こちらは活字をモチーフにしたしおり、「活字ブックマーカー」(600円)。
なぜか“あ”が人気で、入荷すると常に“あ”からなくなっていくそう (右)店内で使われている本の“しおり”を使ったクッションとコースター。本好きにはたまらない演出です

(左)こちらは活字をモチーフにしたしおり、「活字ブックマーカー」(600円)。なぜか“あ”が人気で、入荷すると常に“あ”からなくなっていくそう (右)店内で使われている本の“しおり”を使ったクッションとコースター。本好きにはたまらない演出です

店内のテーブルやイスは趣のある古家具を使用。しかも購入もできるので、本とアンティーク家具が好きな人にとっては垂涎の空間。

 

アンティークな椅子

アンティークな椅子

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じっくり書棚を見回し、取材班が食事のお供に選んだのは、昭和の時代の魚博士(今で言ったらさかなクン?)、末広恭雄が書いた「魚の歳時記」。編集者が以前から読みたいと熱望していた古書で、堅苦しい学問とは違い、魚に関する雑学が興味深く書かれています。

 

末広恭雄の「魚の歳時記」

末広恭雄の「魚の歳時記」

お気に入りの本を選んだところで早速オーダー。メニューを広げると、鴎外コーヒーやら宇野千代のそぼろカレーやら、何やら不思議な名前が踊っています。

 

メニューについてマネージャーの阿部さんにお話しを聞くと、「文学と言うとちょっと堅苦しいイメージがありますよね。でも、たとえばメニューに作家の名前を付けることで、その作家とメニューの間にどんな繋がりがあるんだろう? などと興味を持ってもらえると思ったんです。これまで文学に興味がなかった人たちに楽しんでもらうためには、舌から文学に触れるというのも良いんじゃないかと。それでメニューにストーリー性を持たせ、読んで楽しめるメニューを考案しました」

 

小説の中に出てきている料理は、そのままだと今の時代にマッチしないこともあるため、素材や味付けをアレンジ。また、作家が好物にしていたものなどは、さまざまな文献を調べて再現しているんだそう。そのためひとつのメニューを作るのに、おおよそ2~3カ月もの時間がかかっているんだとか。

 

マネージャーの阿部さん

マネージャーの阿部さん

取材陣はコーヒーをオーダー。

 

いい香りを漂わせて運ばれてきたのは、コーヒー好きだったと言われる芥川龍之介の名を冠した「芥川 AKUTAGAWA(Brazil)」(700円)。

 

著書『彼 第二』にもコーヒー文化発祥の地とされる銀座のカフェーパウリスタで、「テーブルに座って……」というくだりがあり、このことからも芥川龍之介が日常的にコーヒーをたしなんでいたということがわかります。

 

ちなみにメニューには“銀ブラ”の語源についてのコメントが書かれてあって、何でも銀ブラとは、カフェーパウリスタで出されていたコーヒーがブラジルコーヒーで、そのコーヒーを飲みに行こう、つまり銀座でブラジルコーヒーを飲みに行こう、がいつしか“銀ブラ”と言われるようになったと記されていました。
“銀座でブラブラ買い物”が語源ではないそうで……。勉強になりました。

 

コーヒーをオーダー

コーヒーをオーダー

「芥川 AKUTAGAWA(Brazil)」

「芥川 AKUTAGAWA(Brazil)」

取材チームがいただいた「芥川」のほか、「寺山」や「鴎外」などのコーヒー豆は購入できます

取材チームがいただいた「芥川」のほか、「寺山」や「鴎外」などのコーヒー豆は購入できます

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朝食を堪能したばかりなのに、メニューを見ていたらまたまた食べたくなってきてしまった食いしん坊チーム。そこで今度はがっつりランチを食べようと言うことで、林芙美子の「牛めし」(味噌汁・漬物付き800円)をオーダー。出てきたのは期待通りのボリュームたっぷり系。うれしいことに生卵もついています!

 

林芙美子と言えば言わずもがな、代表作は『放浪記』。この牛めしもその放浪記の中で主人公が好きな食べ物として登場しています。

 

まずは卵をのせずにひと口食べてみると……。ボリュームはあるけど味はあっさり。ごぼうや玉ねぎもたっぷり入っているので牛肉が入っていてもヘルシーです。卵をのせるとコクのある牛めしに早変わり! 牛肉の深い味わいが口いっぱいに広がっていきます。
牛めしの丼ぶりと同じくらいの大きさがある椀の中には、林芙美子がお気に入りだったという野沢菜と里芋のみそ汁が。メインはもちろん、付け合わせにも作家の好物を再現させるなんて、並々ならぬこだわりを感じます。

 

林芙美子の「牛めし」

林芙美子の「牛めし」

店内にはジャズやボサノバ、クラシックがかかっていて読書環境は抜群。でも、これからの季節はテラスで鳥のさえずりを聞きながら本を読むのも至福のひと時。しかもおいしいビールが隣にあったらこんな最高なことはない! ですよね?
ということで、ドイツが生んだ文豪、ゲーテが愛した黒ビール「Kostrizer Schwarz(ケストリッツァーシュバルツ)」(900円)をテラスでいただくことに。

 

口に含むとほのかな甘さ。でも、徐々にほんのりとした苦みと酸味が追ってきます。普段、黒ビールは甘い感じがしてあまり飲まないのですが、これは清涼感があって飲みやすい。しかも普通のビールに比べて見た目もオシャレ。絵になります!

 

休日においしいコーヒーを飲みながら、はたまたほろ酔い気分で名著に浸ったら、日ごろの疲れなんて一気に吹き飛んじゃうかも。おすすめは朝のひととき。秋の夜長、ならぬ秋の早朝は、物語と食事をかみしめるぶらりブックカフェの旅に出かけてみませんか。

 

Kostrizer Schwarz

Kostrizer Schwarz

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BUNDAN Coffee&Beer
■住所 東京都目黒区駒場4-3-55(日本近代文学館内)
■営業時間 9:30~16:30
■定休日 日・月曜、第4木曜日

 

※2013年09月26日の情報です。最新の情報は訪れる前にご確認ください。

 

BUNDAN Coffee&Beer

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更新日: / 公開日:2013.09.26