多様化する社会の中で、住宅セーフティネットの重要性がますます増しています。しかし、国や自治体が厳しい財政状況に直面する現代においては、住宅セーフティネットがうまく機能しないケースも少なくありません。
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住宅セーフティネットとは、経済的な理由などによって住宅に困窮する世帯に対し、最低限の安全を保障するための社会制度を指す言葉です。戦後復興期における公営住宅制度が基盤となっていますが、現代では低所得者に限らず、高齢者、障がい者、外国人、災害被災者、母子世帯や父子世帯、DV被害者、犯罪被害者、ホームレス、被生活保護者など、想定する対象が広くなっています。また、住宅の供給やあっせんだけでなく、一定の者に対する住宅ローンの金利優遇や債務保証、バリアフリー改修に対する優遇税制、民間賃貸住宅に対する助成などを含めて、幅広く制度化されています。

 

なお、いわゆる「住宅セーフティネット法」とは、平成19年7月6日に公布・施行された「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」を指しています。この法律と並んで、住生活基本法(平成18年公布)に基づく「住生活基本計画(全国計画)」が平成23年3月に閣議決定され、そこで掲げられた目標に沿った施策が講じられているところです。

 

住宅セーフティネットの意義

住宅セーフティネットの意義

「住宅確保要配慮者」に対する住宅供給の担い手として、まず地方公共団体による公営住宅や、UR賃貸住宅が挙げられるものの、その数は限られています。一方で、民間の賃貸住宅では空家の増加などが大きな社会問題になっているにもかかわらず、低所得者や高齢者、障がい者、小さな子どものいる世帯などが入居を断られるケースも少なくありません。そのため、「住宅確保要配慮者」の入居を条件として、空家のある賃貸住宅のリフォーム費用を国が直接補助をする「民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業」に重点が置かれています。

 

また、平成23年度からは地方公共団体と宅地建物取引業者、賃貸住宅管理業者、家主、居住支援団体などが組織する「居住支援協議会」が都道府県などに設置され、この協議会の活動に対する助成が行われるようになっています。しかし、財政難のなかで社会保障関連の負担が増大し、思うように計画が進まないケースも少なくありません。

 

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さまざまな制度がある住宅セーフティネットですが、いずれも社会的な認知度が低く、必要とする人に対して情報が十分に行き渡らない懸念もあります。また、高齢者や障がい者などの住まいでバリアフリー化が十分でなかったり、低所得者向けに提供される賃貸住宅の質が低かったりといった問題もあるでしょう。

 

高齢者などが入居した場合における孤独死を防ぐための方策などでは、民間団体と行政側とが緊密に連携して見守りをすることが求められるものの、それが十分に機能していない事例も多いようです。生活に困っている人に対しては、住宅を提供するだけでなく毎日の生活を支援するための仕組みが重要ですが、それをどうやってトータル的なシステムにし、それを必要な人へどう提供するのかが今後の大きな課題でしょう。

 

さらに、生活保護を含めたセーフティネットに頼らず、何とか自立しようとしている人たちを支える仕組みがないため、そういった人が入居者となりやすい、いわゆる「違法シェアハウス」なども大きな社会問題となっています。倒産や解雇などによる失業で住まいをなくした人に対する、就労支援としての住宅セーフティネットも充実が求められます。

 

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更新日: / 公開日:2013.11.18