実際の物件問合せ数からユーザーの住みたい街をランキングした『首都圏版LIFULL HOME'S コロナ第7波下での住みたい街ランキング』(2023年版中間結果)を発表します。

首都圏の借りて住みたい街、借りて住みたい街のランキング中間結果と合わせて、コロナ前後の順位変動から、特徴的な街を取り上げてご紹介します。

ポイント

  •  「大宮」が前回1位の「本厚木」を僅差で逆転し暫定トップ
  • 上位は郊外エリアがほぼ独占 23区内では「葛西」が唯一のベスト10入り
  • コロナ長期化&テレワークの定着で“人気エリアの郊外化”さらに進む

※「前回比」は2022年2月に発表した2022年LIFULL HOME’S借りて住みたい街ランキングとの比較

順位

前回比

駅名(代表的な沿線名)

1

1アップ↑

大宮(JR京浜東北・根岸線ほか)

2

1ダウン↓

本厚木(小田急小田原線)

3

1アップ↑

八王子(JR中央線ほか)

4

1ダウン↓

(JR常磐線ほか)

5

2アップ↑

三鷹(JR中央線ほか)

6

キープ→

葛西(東京メトロ東西線)

7

4アップ↑

町田(JR横浜線ほか)

8

キープ→

(JR京浜東北・根岸線)

9

1アップ↑

川崎(JR京浜東北・根岸線ほか)

10

5ダウン↓

西川口(JR京浜東北・根岸線)

11

2ダウン↓

千葉(JR総武線ほか)

12

1アップ↑

川口(JR京浜東北・根岸線)

13

1ダウン↓

池袋(JR山手線ほか)

14

3アップ↑

船橋(JR総武線ほか)

15

1ダウン↓

荻窪(JR中央線ほか)

16

キープ→

吉祥寺(JR中央線ほか)

17

6アップ↑

橋本(JR横浜線ほか)

18

6アップ↑

立川(JR南武線ほか)

19

2アップ↑

三軒茶屋(東急田園都市線ほか)

20

2ダウン↓

高円寺(JR中央線ほか)

コロナ禍で2年連続1位の本厚木を僅差で抑えた大宮が暫定トップ

首都圏版「借りて住みたい街」ランキング2023年版中間結果は、コロナ禍で注目され2年連続1位に輝いた「本厚木」を僅差で抑え、「大宮」が暫定ながら初のトップを獲得しました。

 

「大宮」は都心から電車で30分程度、埼玉の中心で、駅勢圏(駅周辺の繁華性の高いエリア)も広く、都心同様に生活利便施設が豊富にそろっていて県内屈指の人気を誇ります。コロナ禍の長期化で、郊外化したニーズが少しずつ都心方面へと揺り戻し始めており、ユーザーが支持(問合せ)する街が2020年には箱根や軽井沢、宇都宮など首都圏外まで郊外化していたのが、徐々に都心に近寄ってきていますが、大宮は生活・交通利便性、物件の豊富さなどを兼ね備えており、その象徴的な存在として1位に輝きました。中間結果から、郊外人気は依然高いものの、コロナ長期化で同じ郊外でも人気になるエリアが都心方面に近づいてきていることがうかがえます。以下、暫定2位には「本厚木」、3位「八王子」、4位「柏」、5位「三鷹」とベスト5はいずれもJR山手線のターミナル駅まで乗り換えなし、しかも最短で20~40分程度でアクセス可能という共通点があります。

テレワークと物価上昇でコスパ重視 “身の丈郊外”な街に注目集まる

ベスト5以外でも「川口」(12位)、「船橋」(14位)、「橋本」(17位)、「立川」(18位)など、東京のベッドタウンとして機能してきたエリアが上位に躍進し、賃料が都心と比較して安価に済む割に、生活利便性も交通利便性も良好な街=“高コスパ”な街への注目が高まっています。テレワークと出社との併用が定着し、通勤ラッシュが大幅に改善されたことで、都心から1時間程度離れても快適に通勤可能な移動負荷の少ない街、かつ物価上昇を受けて“生活防衛”の意識が働き、コロナ禍でのライフスタイルに合った“身の丈郊外”を積極的に選択する賃貸ユーザーが増えています。

首都圏賃貸ユーザーの“郊外志向”継続。下半期も“コスパの良い街”が支持されるのか?

2022年上半期はコロナ第6波が発生し、政府の方針で行動制限が実施されないまま日常生活を送ることになったため、個人の自覚・感覚に基づいて慎重な行動をする人からコロナ前の生活に戻ろうとする人までさまざまな行動様式が見られました。

 

賃貸ユーザーも傾向は同じで、都内の利便性の高いエリアに住みたいという要望が一部見られたものの、都心方面にダイレクトアクセスが可能な郊外エリアの注目度はさらに高まり、自分にとって経済面でも生活面でも程よい郊外の街=“身の丈郊外”に転居して、マイペースで生活するというスタイルが定着し始めています。果たして、第7波の拡大によって下半期も同様の行動様式が継続するのか、最終結果が注目されます。

 

ポイント

  • 「勝どき」がマンション分譲好調。中間結果でも1位を守る
  • マンション開発の有無で注目度が劇的変化。「半蔵門」「田町」ほか都心も急上昇
  • 「茅ヶ崎」「学芸大学が上位に躍進。買って住みたい街も“コスパ”重視傾向

※「前回比」は2022年2月に発表した2022年LIFULL HOME’S買って住みたい街ランキングとの比較

順位

前回比

駅名(代表的な沿線名)

1

キープ→

勝どき(都営大江戸線)

2

1アップ↑

横浜 (JR東海道本線ほか)

3

1ダウン↓

白金高輪(東京メトロ南北線ほか)

4

16アップ↑

茅ヶ崎(JR 東海道本線ほか)

5

キープ→

平塚(JR東海道本線ほか)

6

1ダウン↓

本厚木(小田急小田原線)

7

233アップ↑

半蔵門(東京メトロ半蔵門線)

8

53アップ↑

田町(JR 山手線ほか)

9

66アップ↑

江戸川橋(東京メトロ有楽町線)

10

3ダウン↓

八街(JR総武本線)

11

8アップ↑

大宮(JR京浜東北・根岸線ほか)

12

2ダウン↓

八王子(JR中央線ほか)

13

5ダウン↓

千葉(JR総武線ほか)

14

2アップ↑

稲毛(JR総武線ほか)

15

2ダウン↓

(JR常磐線ほか)

16

1ダウン↓

目黒(JR山手線ほか)

17

キープ→

橋本(JR横浜線ほか)

18

26アップ↑

学芸大学(東急東横線)

19

23アップ↑

船橋(JR総武線ほか)

20

21アップ↑

南砂町(東京メトロ東西線)

マンション開発の注目度がエリア人気に直接影響。「勝どき」は広めの物件が高評価

首都圏版「買って住みたい街」ランキング2023年版中間結果は、コロナ前の2020年版(2019年調査)から3年連続トップを守っている「勝どき」が、今回も暫定1位となりました。

 

以前、倉庫や物流の拠点だった勝どきエリアは、2000年に都営地下鉄大江戸線が開通してから都心至近の湾岸の街としてタワーマンションや超高層オフィスなどが建設され、順調に発展し続けてきました。「勝どき」は東京五輪選手村の最寄り駅であり、その跡地が総戸数5,632戸(うち賃貸1,487戸)の新たな街“HARUMI FLAG(晴海フラッグ)”として生まれ変わることから、全入居が完了するまで注目が薄れる気配はありません。

マンション分譲活性化エリアが上位進出。コロナで郊外でもマンション開発進む

「勝どき」のほか、前回2位の「白金高輪」が暫定3位、「半蔵門」が233ランクアップの暫定7位と急上昇し、「田町」が同61位→暫定8位、「江戸川橋」も同75位→暫定9位と大きく順位を上げています。いずれも注目のマンション開発が行われているエリアであり、マンション開発エリアの最寄り駅が上位に進出しているという「勝どき」と同じ状況が発生しています。4位には16ランクアップした「茅ケ崎」、前回同率5位だった「平塚」「本厚木」もそれぞれ暫定5位、暫定6位と健闘しており、依然として首都圏郊外での人気も高く維持されています。

首都圏購入ニーズは都心と郊外に二極化。テレワークへの対応が住みたい街を決める

首都圏の住宅購入ニーズは、2022年版(2021年調査)からさらに都心と郊外との“二極化”が進み、テレワーク中心の生活に切り替えているユーザーは郊外でオンとオフを過ごすためのより広い住宅を求め、コロナ後の揺り戻しや資産性を強く意識するユーザーは利便性・資産性を重視して都心周辺で住宅を選択する傾向があります。このようなニーズの二極化を受けて、供給サイドも物件価格が高騰する都心周辺と価格が比較的安定している郊外での新規供給をともに活発化しています。コロナ第7波の拡大に伴うテレワーク実施率の上昇と円安による物価上昇懸念もあり、購入ユーザーも価格面から郊外を視野に検討していますから、最終結果ではさらに大きな順位の変動も考えられます。

ここからは、2019年版(2018年集計)以降の推移から、コロナ前後での順位の変動が特徴的な街からピックアップしてご紹介します。

 

中間結果1位の「大宮」および僅差で2位の「本厚木」は、いずれもコロナ前の2019年版(2018年調査)では7位と11位、上位にはランクしていましたが、当時は「池袋」「中野」「高円寺」ほか都心&周辺の街がベスト10をほぼ独占しており、さらに上位へと進出する可能性は高くありませんでした。ところがコロナ禍の発生とそれに伴うテレワークの導入などによって、その後の順位は大きく変わっています。

コロナ前と比べ順位を上げた準近郊&郊外の街

「大宮」はコロナ前の2019年以降、7位→5位→2位→2位→暫定1位とコロナ禍に入ってからベスト3に躍進し、「本厚木」も11位→4位→1位→1位→暫定2位とコロナ禍でトップをうかがう位置を確保しています。他にも「八王子」は2019年の10位→暫定3位、「柏」は2019年の16位→暫定4位、「町田」同17位→暫定7位とコロナ前と比べ大きく順位を上げていますが、これらの街(駅)はいずれも駅勢圏が広く、生活利便性が確保されているという共通点があります。また都心へもダイレクトにアクセス可能で、たまに通勤するにも便利な駅ばかりです。

駅名

2019年版

2018年)

2020年版

2019年)

2021年版

2020年)

2022年版

2021年)

2023年版
2022

中間結果)

本厚木

11

4

1

1

2

大宮

7

5

2

2

1

八王子

10

7

4

4

3

16

16

9

3

4

町田

17

22

14

11

7

※順位を記載。2021年版(2020年)以降がコロナ禍(以下同)

コロナ以降、順位を下げた都心&周辺(23区内)の街

コロナ以前の2020年版(2019年調査)まで4年連続1位だった「池袋」は2021年以降5位→12位→暫定13位と順位を下げ続けています。賃料水準の高さと利便性はトレードオフの関係にありますが、コロナで多少利便性が劣っても賃料のより安価なエリアに住みたいというニーズが顕在化したため、都心一等地や高利便エリアは総じて順位を下げています。他にも「高円寺」は2019年4位→暫定20位、「中野」3位→暫定25位、「目黒」21位→暫定47位など都心周辺で人気のあった街はほとんど大きく順位を下げる結果となりました。

駅名

2019

2018年)

2020年版

2019年)

2021年版

2020年)

2022年版

2021年)

2023年版

2022

中間結果)

池袋

1

1

5

12

13

高円寺

4

13

11

18

20

中野

3

12

22

31

25

目黒

21

28

39

46

47

コロナ以降、順位を上げた都心近くのベッドタウン

都心&近郊の街が大きく順位を下げるなか、わずかながら都心近くのベッドタウンで順位を上位で維持、もしくはやや上げている街があります。「葛西」は2019年に5位で中間結果は暫定6位、「錦糸町」は同69位→暫定38位、「両国」48位→暫定39位、「三ノ輪」93位→暫定57位とコロナ禍でも健闘しています。いずれも都心に近い城東エリアで賃料が相対的にやや安価であり、利便性が高いという点では郊外の街と同様“コスパの良い街”といえます。

駅名

2019年版

(2018年)

2020年版

(2019年)

2021年版

(2020年)

2022年版

(2021年)

2023年版

(2022年

中間結果)

葛西

5

2

3

6

6

錦糸町

69

52

56

49

38

両国

48

67

59

53

39

三ノ輪

93

81

99

80

57

コロナ以降やや順位を下げたが、根強い人気がある街

「荻窪」は2019年に6位→暫定15位、「三軒茶屋」9位→暫定19位、「吉祥寺」8位→暫定16位と順位は下げていますが、コロナ禍でも20位以内を維持しています。すべて城西方面の人気住宅地で、コロナがなければベスト10の常連の街です。コロナの長期化でやや順位を下げたものの、“コロナでも根強い人気がある街”です。

駅名

2019年版

2018年)

2020年版

2019年)

2021年版

2020年)

2022年版

2021年)

2023年版
2022

中間結果)

荻窪

6

8

15

14

15

三軒茶屋

9

6

16

21

19

吉祥寺

8

9

18

16

16

暫定1位を含めて4回連続のトップを維持した「勝どき」や暫定3位とコロナ禍でも人気を維持する「白金高輪」はともに大規模なマンション分譲がコロナ禍とは関わりなく進行したことによる結果と見ることができます。コロナ前の2019年版(2018年調査)では「勝どき」は16位、「白金高輪」は82位だったので、マンション開発の計画が公表された以降に順位が急上昇しています。

コロナ前と比べ順位を上げた都心&周辺の街

「勝どき」は2019年以降16位→1位→1位→1位→暫定1位と断トツの注目度を誇っています。また「白金高輪」は総戸数1,247戸の“SHIROKANE The SKY”のほかにも大規模な分譲計画が複数あり、今後も注目度は高いまま維持される可能性が高まっています。1,000戸を超える大規模プロジェクトは都内でも限られますが、他にも「学芸大学」は117位→暫定18位、「亀戸」も2019年198位→暫定64位に急上昇しています。

 

駅名

2019年版

2018年)

2020年版

2019年)

2021年版

2020年)

2022年版

2021年)

2023年版
2022

中間結果)

勝どき

16

1

1

1

1

白金高輪

82

19

2

2

3

学芸大学

117

128

98

44

18

亀戸

198

145

74

65

64

※順位を記載。2021年版(2020年)以降がコロナ禍(以下同)

コロナ以降、順位を下げた都心&周辺の街

「目黒」はコロナ前の2019年版(2018年調査)では1位を獲得していますが、その後21位→8位→15位→暫定16位と順位を落としており、「恵比寿」も同3位→暫定102位、「大井町」同5位→暫定290位と急激な順位低下が発生しています。これは駅周辺での比較的大規模なマンション開発が終了し、販売も完了したことから注目度が下がり、これにコロナの影響も重なったものと考えられます。

駅名

2019年版

2018年)

2020年版

2019年)

2021

2020年)

2022年版

2021年)

2023年版
2022

中間結果)

目黒

1

21

8

15

16

恵比寿

3

2

9

45

102

大井町

5

10

40

152

290

コロナ前と比べ順位を上げた準近郊&郊外の街

借りて住みたい街でも上位に進出している「本厚木」は2019年以降14位→11位と推移しコロナ禍では3位→5位→暫定6位と健闘しています。同様に「柏」は46位→暫定15位、「平塚」も36位→暫定5位、「横浜」は(郊外に分類できませんが都心以外)22位→暫定2位とそれぞれ人気を高めています。交通利便性も生活利便性も高い都心の“衛星都市”的な街であり、商業施設やオフィスも兼ね備えた機能性の高い街でもありますから、購入ニーズが都心以外で高まっていることが明らかです。

駅名

2019年版

(2018年)

2020年版

(2019年)

2021年版

(2020年)

2022年版

(2021年)

2023年版
(2022年

中間結果)

本厚木

14

11

3

5

6

46

15

7

13

15

平塚

36

39

14

5

5

横浜

22

13

23

3

2

コロナ以降も順位が大きく変わっていない近郊&準近郊の街

この分類は埼玉県中心部の街が多く、「浦和」は2019年以降6位→7位→12位→34位と順位を下げていますが、今回暫定22位に浮上しました。「大宮」は同26位→暫定11位、「川口」も同25位→暫定27位と健闘しています。ベッドタウンとして大きく発展し、都心方面に通うのにも自宅でオンとオフを過ごすのにも適したエリアとの印象があり、物件価格が横浜や川崎よりもやや安価であることも順位を維持している要因の一つと考えられます。都心では求めることが困難な広さと利便性のバランスを取ることが可能なエリアがコロナ禍でも順位を維持しています。

駅名

2019年版

(2018年)

2020年版

(2019年)

2021年版

(2020年)

2022年版

(2021年)

2023年版
(2022年

中間結果)

浦和

6

7

12

34

22

大宮

26

24

15

19

11

川口

25

27

18

30

27

 

調査概要

対象期間

2022年1月1日 ~ 2022年6月30日

 

 

LIFULL HOME’S  ユーザー

┗首都圏版 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県

 

集計方法

 LIFULL HOME’S  に掲載された賃貸物件・購入物件のうち、問合せの多かった駅名をそれぞれ集計

 

分析

LIFULL HOME’S 総研

 

本件に関するお問合せ先

株式会社LIFULL(ライフル)

メール:sumai-homes@lifull.com

 

過去のLIFULL HOME’S住みたい街ランキング

 

その他のエリアのランキング

更新日: / 公開日:2022.09.14