まだまだ現役！人情あふれる2つの下町商店街

東京スカイツリーの登場で注目されることになった押上・向島は、もともとは昔ながらの下町エリア。震災や戦災を奇跡的に免れ、昭和レトロな香りが息づく商店街が今もなお残っている。

 

京島地区にある向島橘銀座商店街は「下町キラキラ橘商店街」として知られる商店街。スカイツリーから歩いて15分、全長450mの通りには、総菜屋や婦人服屋など約80店舗が並び、生活必需品がひと通り揃えられる。商店街を歩いていると、気さくに声をかけられたり、腰を据えて店員と話す客の様子も見られ、下町の情緒を感じられる空間。

 

下町キラキラ橘商店街

 

京島にある向島橘銀座商店街の通りの様子。昭和レトロな香りが息づく

 

向島橘銀座商店街にある青果販売店。激安の値札が並ぶ

約80年の歴史をもつ鳩の街通り商店街

約80年の歴史をもつ鳩の街通り商店街はノスタルジックな趣を感じる場所。車1台が通れるかどうかの狭い道幅や立ち並ぶ木造家屋が当時の面影をしのばせる。最盛期には300もの店舗が軒を連ね、この通りに店を出すことがステイタスだったそう。軒先でひなたぼっこする店主もいたりして、のんびりとした空間。そのせいか、自然と歩くスピードもゆったりとなるから不思議。

 

時代の流れにより、これらの商店街に空き店舗が目立つのも現実の話。
ただ、最近はこのエリアの魅力を感じとり、移り住む若い人たちが増えてきているのも事実。個人経営のカフェができたり若いクリエイターが拠点を構えたりと、ゆるやかな変化はたしかに始まっている。スカイツリーという強力なランドマークが誕生したことは、その変化にスピード感をもたらすに違いない。

 

約80年の歴史をもつ鳩の街商店街。右側のおでん種のお店が見える

 

鳩の街商店街にあるおでん屋さんの外に置かれたおでん。湯気が寒い日の冷えた心を温める

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向島で見つけた古民家リノベーション！新しさと古さに出会えるノスタルジックカフェ

鳩の街通り商店街のなかほどにある「こぐま」は、昭和2年築の古民家をリノベーションしたカフェ。ひときわ古く貫禄をまとった外観からは物言わぬ迫力がにじみでている。こぐまはこの街の歴史を大切に引き継ぎつつも、ゆるやかな変化を実感できるお店。

 

もともと薬屋さんだった場所が古道具屋に変わり、2006年11月にこぐまが産声をあげた。建物の歴史を尊重したリノベーションが施された店内は、当時の昭和が現在の感性で再現されているようで古いのに新しい。

 

古民家リノベーションカフェ、こぐまの入口に掲げられたメニュー

 

ガラス戸のプリントや薬棚。展示された薬類は当時からのもの。「動かないよ」と引き継いだ柱時計は、お店のオープンとともにふたたび動き出したのだとか

 

店内の机とテーブルはご主人の実家が運営する学習塾で使用していたものを譲り受けた。机の落書きが懐かしいですね

ランドマークの誕生でこの街はどう変化していくのか

オーナーの山中さんご夫妻は2003年から演劇活動でこの地を訪れていた。次第にこの街のゆったりとした時間の流れに惹かれたご夫妻は移住を決め、カフェの開店を決めた。その時はスカイツリーの建設予定もなく、若い人が移り住むことは珍しかったそう。

 

「よそ者扱いされるのでは？」との不安をよそに、商店街の人たちはこころよく迎え入れてくれ、今では商店街のホームページも山中さんが管理している。

 

「スカイツリーができて便利になりました。スカイツリーのおかげで、近隣のこのエリアもメディアに取り上げられるようになったのが嬉しいです」
ディープな街歩きマニアの間では有名だったこぐまにも一般のお客さんがくるようになった。多くの人がこの街を知り、通りが賑わうのは喜ばしい。なにせここは、全盛期には自転車で通行すると怒られるほど人で溢れた通りだったから。

 

「この辺はおだやかで本当に暮らしやすいです。スカイツリーができたことで、昔からの寺社巡りなどに加えて新旧楽しめる街になりました。住んでて楽しいです」

 

下町ならではのご近所付き合いも、押し付けがましくなくて自然で心地いいのだそう。ご近所さんが、「面白いお店があるのよ」と親戚一同引き連れてくることもあるんだとか。

 

今この場所は、ランドマークの誕生という時代の流れにより、新たな変化が芽吹きはじめている。これから何かを始める人、住環境を変えようと考えている人にはおススメのエリア。変化の渦中に身を任せるのはきっと刺激的で面白いはず。

 

ご夫妻のものである蔵書は800冊に及ぶ。。席に持って行ってゆっくりと読書も良さそうです

 

焼きオムライス　1,000円　「すみだモダン：グルメ部門賞」を受賞したこぐまの名物。オーブンで焼き上げるのが特徴で、11種類のスパイスをブレンドしたケチャップライスは独特の味わい

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こぐま

住所： 東京都墨田区東向島1-23-14
営業時間： 10：30～18：30
定休日： 火曜日・水曜日

 

右側の昔ながらのガラス戸は大正時代からのもの

“変化”はここから始まった 墨東のアートプロジェクト

このエリアに若手アーティストが集まりだしたきっかけとして、2010年から2013年にかけて開催された「墨東まち見世」というアートプロジェクトがあった。

 

「墨東まち見世」とは墨東エリア（隅田川、荒川、北十間川によって囲まれた墨田区の北半分を占める地域）を舞台に、アートを通じて、地域の魅力を発信し、ネットワークを育て、街の課題を共有することを目的とした活動のこと。スカイツリーの誕生でより注目度を増したこのエリアは、今後もこうした動きが活発になっていくだろう。

 

※2014年03月03日の情報です。最新の情報は訪れる前にご確認ください。

 

リノベーションカフェ

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