賃貸物件を選ぶとき、駅近物件に魅力を感じる人は多いでしょう。
不動産広告に表示されている駅までの徒歩時間は80m/分で計算されていますが、「なんとなくそれ以上かかっている気がする…」「とてもその時間では駅に着かない!」といった経験はありませんか?
実は、「徒歩◯分」という表示と実際にかかる時間はイコールではないケースが存在します。その要因とは…?
今回は後悔のない部屋選びができるよう、「徒歩◯分」にまつわる落とし穴を徹底解説! 賢い部屋選びのヒントをお伝えします。
駅まで徒歩5分の便利な物件
「徒歩1分=80m」のルールとは?

まずは「徒歩◯分」がどのように決められているのかを知っておきましょう。
不動産広告における徒歩所要時間は、「不動産の表示に関する公正競争規約」によって、以下のようなルールで算出されます。
・「1分=道路距離80m」で計算
・秒数は切り上げて表示する(例/1分◯秒だったら2分と表示)
・道路距離は「歩く道の長さ」(道路環境は考慮されない)
・速度の基準は「女性がハイヒールを履いて歩いたときの速さ」
全国どの物件にも共通してこのルールが適用されます。しかし、実際にはもっと多様な要素が関係し合って徒歩時間は決まるはずです。
例えば、信号があれば信号待ちをする時間があり、坂道があれば歩くペースは遅くなります。
実際の徒歩時間には「物件、駅、道路、天候、周辺環境の特徴」という5つの要素が関係するもの。では、具体的にどんな状況が考えられるでしょうか。詳しく説明していきます。
駅まで徒歩5分の便利な物件「徒歩◯分」の落とし穴とは? 注意したい7つのポイント

「徒歩◯分」の表示には、環境の特徴までは考慮されていません。徒歩◯分だからOK、またはNGと安易に判断すると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。
「徒歩◯分」で注意したいポイントを7つピックアップしました。
部屋は何階? 階段とエレベーターにかかる時間
部屋から物件の敷地外に出るときに、階段やエレベーターを利用する人は、その時間も考慮する必要があります。
特に、マンションの上層階に住んでいる場合、朝の通勤・通学の時間帯は「エレベーター渋滞」が起こることを想定すべきです。エレベーターを呼ぶのに5分、エレベーターを降りるのに5分かかるなんてことも。駅直結物件なのに、駅に着くまで20分近くかかってしまうというケースもあります。
駅の出入り口からホームが遠い
「徒歩◯分」という表示は駅の出入り口までの時間です。いくら駅まで近くても、駅構内が広ければ電車に乗るまでに時間がかかるもの。
地下鉄の階段が長い場合は、時間がかかるうえに体力も消耗します。駅の広さや構造は、徒歩所要時間に大きく関係する要素です。
そもそも駅の利便性がよくない
運行本数が少ない、急行の通過待ちが多い駅も注意が必要です。乗り損ねたら数十分待つリスクや、乗りたい電車になかなか乗れないというストレスが生じ、駅近物件のメリットを十分に感じられません。
引越しの際は、利用駅の利便性を確認することが大事。その際、終電の時間もチェックするとなおいいです。

信号、踏切、坂道、歩道橋はある? 歩きやすい?
どんな道を歩くのかは、とても重要なポイントです。先に説明した通り、徒歩◯分ルールには、信号や踏切、坂道、歩道橋などにかかる時間は考慮されていません。
道中に信号がいくつもある、開かずの踏切がある、急勾配の道を歩くといった場合は、5~10分くらい余分に見ておく必要があるでしょう。
また、道が狭い、自転車や車の往来が激しくて歩きにくいといった場合も想定より時間がかかるもの。スムーズに歩けないとストレスにもなります。
夜間も安心して歩ける?
日中は安心して歩けても、夜間になると危険を感じる道もあります。例えば、街灯がない、人通りがない道は、夜間の一人歩きは避けたいところ。
安全な道に迂回したら倍近い時間がかかってしまった、というケースも考えられます。帰宅時間が遅い人は、夜間の道路状況にも配慮しましょう。
雨の日も想定しよう
雨の日の道路状態も注意したいポイントです。コンクリート道路ではない場合、雨が降ると水たまりができたり、道がぬかるんだりして歩きにくくなります。通常より時間がかかるうえ、足元が汚れるリスクがあります。
なかには、雨の日はバスを利用する、車で送ってもらえるから心配ないという人もいるかもしれません。しかし、雨の日は渋滞が起きやすいもの。
バスが時間通りに来なかったり、道が混雑してなかなか進まなかったりすることがあり、場合によっては徒歩より時間がかかることも。また、駅までの道が細くて車が入れないということもあります。
駅までの道中にお店がない
仕事や学校帰りに食料品や日用品を購入したいという人は多いのではないでしょうか。道中にめぼしいお店がなく、買い物をするのに遠回りをしなければならない場合は、便利な駅近物件のメリットを十分に活かせません。
多少駅から離れても、よく利用するお店が道中にあるほうが結果的に便利なケースも。「徒歩◯分」の意外な落とし穴と言えるでしょう。
駅までの道を実際に歩こう

賃貸物件を選ぶ際の「徒歩◯分」の注意点を紹介しました。これらを踏まえてリアルな所要時間を知るためには、「実際の通勤・通学時間帯などに合わせて、物件と駅までを歩いてみる」ことが最も確実な方法です。
一般的に、駅に近いほうが家賃は高い傾向にあります。せっかく駅近物件を借りるのであれば、そのメリットを最大限に享受したいですよね。今回紹介した内容をチェックして、ぜひ後悔のない部屋選びを行ってください。
まとめ
- ・不動産広告では「徒歩1分=道路距離80m」
・物件の階段やエレベーターを使う時間を考慮する
・駅の広さや利便性もポイント
・信号、踏切、坂道などの有無、歩きやすさもチェックする
・夜間や雨の日の道路状態、混雑状況も加味しよう
・駅までの道中にお店があると便利
・実際に歩く時間帯に家と駅を往復してみよう
更新日: / 公開日:2019.04.02










