売買仲介のフランチャイズ展開を進める、株式会社SUMiTAS

住まいの”本当”と”今”を発信するLIFULL HOME'S PRESS編集部が、不動産・住宅会社のトップにインタビューし、その考え方や取り組みを聞く企画。今回編集部が訪ねたのは、北海道札幌市に本社を置く株式会社SUMiTAS代表取締役の吉田宏氏。直営で3店舗を運営するほか、不動産売買仲介のフランチャイズとして、全国に「SUMiTAS」ブランドを62店舗展開している。街で「SUMiTAS」という青い看板を目にしたことがある人もいるのではないだろうか。

なお吉田氏は、愛媛県を代表する賃貸管理会社である株式会社アート不動産の代表取締役も兼任している。賃貸と売買という2つの事業を展開する理由、フランチャイズや不動産業界のこれからについてお話を伺った。

株式会社SUMiTAS 代表取締役 吉田宏氏。2024年4月、東京都港区のSUMiTAS 東京事務局にて株式会社SUMiTAS 代表取締役 吉田宏氏。2024年4月、東京都港区のSUMiTAS 東京事務局にて

学生時代に不動産業で起業。現在はフランチャイズ事業にチャレンジ

<b>吉田 宏(よしだ ひろし):</b>株式会社SUMiTAS・株式会社アセットバンク・株式会社アート不動産 代表取締役社長。20代でアート不動産を創業し、現在アパマンショップを5店舗、管理センターを1店舗、売買店舗を1店舗運営。不動産売買・賃貸斡旋・賃貸管理事業を行う。業績は右肩上がりで、令和5年期に売上高34億円を突破。誠実で真面目な人柄とこれまでの実績から、令和元年に不動産売買事業の株式会社SUMiTASを引き継ぐ吉田 宏(よしだ ひろし):株式会社SUMiTAS・株式会社アセットバンク・株式会社アート不動産 代表取締役社長。20代でアート不動産を創業し、現在アパマンショップを5店舗、管理センターを1店舗、売買店舗を1店舗運営。不動産売買・賃貸斡旋・賃貸管理事業を行う。業績は右肩上がりで、令和5年期に売上高34億円を突破。誠実で真面目な人柄とこれまでの実績から、令和元年に不動産売買事業の株式会社SUMiTASを引き継ぐ

編集部:吉田社長は2020年に株式会社SUMiTASの代表取締役に就任されています。それまでの経歴を教えてください。

吉田氏:私は香川県出身で、実家は不動産業を営んでいました。地元の高専を卒業した後に愛媛大学へ編入することとなり、松山で部屋探しをしたのですが、そのとき私は愛媛の不動産会社を見て驚きました。香川では大きな不動産会社でも社員は15人や20人程度。ほとんどは家内産業でした。しかし愛媛では、大きな組織として不動産業が成り立っていたのです。私は「組織としての不動産業も面白い。大学に通いながら不動産会社でアルバイトをして学びたい」と父に相談します。ところが父は、「よそで働くくらいなら、うちで別会社をつくるからその立ち上げをやりなさい」と言うのです。そうして2001年に友人ら4人で設立したのが、現在愛媛県内に8店舗を展開する株式会社アート不動産です。

設立の半年後には、店舗のある松山市久米地区での賃貸仲介シェアはトップになったのではないでしょうか。しかし今のようにSNSなどはなく、地方企業がブランディングをするのは難しい時代でした。例えば、家電量販店に来るお客さんは大きく2種類に分かれます。チラシを見て「安いから」と来るお客さんと、企業ブランドを信頼して来るお客さんです。私は「安さで来るお客さまだけだと厳しい。企業ブランドで来るお客さまを集めたい」と考え、2002年に賃貸仲介のフランチャイズ(以下、FC)であるApaman Networkに加盟することにしました。

やがて従業員や店舗も増え、売買事業にも事業領域を拡大していきます。そんななか、北海道で不動産売買事業を展開していたスミタス株式会社の佐藤直樹社長から、事業承継の話をいただきました。スミタスの前身である副都心住宅販売株式会社の創業社長・藤本隆さんのこともよく存じ上げており、縁あって株式会社SUMiTASとして引き継がせていただくことになりました。2020年のことです。

やはり私はチャレンジすることが好きなんですね。不動産業というのは、地域や業界に知り合いがいないとなかなか経営が難しいといわれますが、愛媛で不動産会社を立ち上げた時は、誰も知らないところからの起業でした。今回も、チャレンジする機会に巡り合えたことは幸せだと感じました。

賃貸が主力の会社の売買事業サポートに強み

SUMiTASが30年の歴史で培った売買仲介のノウハウのほか、アート不動産での売買事業参入の経験も生かしてフランチャイズ展開を進めるSUMiTASが30年の歴史で培った売買仲介のノウハウのほか、アート不動産での売買事業参入の経験も生かしてフランチャイズ展開を進める

編集部:SUMiTASの事業についてもお聞かせください。

吉田氏:SUMiTASは「売却受託」に強いノウハウを持っていることが特徴となります。2020年からは直営店の運営に加え、その強みを生かそうとFCネットワーク事業を開始しています。

かつての私はFCにブランドやノウハウを求めていましたが、今はその存在価値が変わりつつあるように思います。ノウハウなどはネットで調べれば情報がどんどん出てくる時代です。しかし頭ではわかっていても、いざ実践するとできないということも多く、それをいかに落とし込ませるかが大事になってきます。SUMiTASのFCでは、皆が仲間意識を持って情報開示をしながら協力していく形を目指しています。


編集部:SUMiTASのFC加盟店の募集では、アート不動産と同じような賃貸事業が主力の会社の売買事業への参入支援を前面に出されているように見受けられます。この点は、どのような狙いがあるのでしょうか。

吉田氏:賃貸事業をメインとしながら売買事業も行っている会社では、社員が100人いても、売買の担当者は数人という会社が多いです。しかしその場合、売買担当者の成果を図りにくいという実情があります。例えば問合せからの面談率がどの程度ならよいのかなど、比較対象が少なく基準がわからないのです。

また、社長が創業者から2代目に代わった会社でよくある課題もあります。創業者は賃貸にも売買にも取り組んできたものの、結果的に賃貸が伸びて会社が拡大したという会社は多いのですが、2代目社長は主力事業である賃貸ばかりを勉強してきたために、創業者が引退した後、トップが売買事業のことがわからないという状況に陥ることがあります。結果として経営者が売買部門をコントロールできなくなっている会社は散見されます。

そこでSUMiTASでは、加盟店と直営店による合同ロールプレイングの開催や再現性を高める数値管理のほか、最新のITシステムの提供や本部とリアルタイムでコミュニケーションが取れる体制を提供。それらの課題解決を支援しています。

弊社は大手FCのようなブランド力は現時点ではありませんが、ノウハウ提供に関しては大手に勝るサービスが提供できると自負しています。賃貸事業から売買事業への参入支援はもちろん、その他の業界からの異業種参入や新規開業もサポートする体制を整えております。

SUMiTASが30年の歴史で培った売買仲介のノウハウのほか、アート不動産での売買事業参入の経験も生かしてフランチャイズ展開を進める青い看板が目印のSUMiTASの店舗。加盟店に合わせた柔軟なデザインが可能だという

事業領域拡大のメリットは人材育成の面にも

編集部:不動産業界では他業界と同様に人手不足が叫ばれています。SUMiTASのFCは、人材育成の面でどのようなノウハウがありますか。

吉田氏:キャリアとしては、賃貸仲介、売買仲介、賃貸管理の順で経験を積むのが最も正しいと思っています。実は少し前までは賃貸仲介を経験した後に賃貸管理を担当することが多かったのですが、今この順番でやると、離職する人が多いのです。

というのも、以前は賃貸物件のオーナーさまはほとんどが地主でした。それが最近では世代交代や不動産投資の拡大によって、経営者マインドを持ったオーナーさまが増えています。その結果、従来の賃料収入を上げたいというニーズに加え、出口で売却益を出したいというニーズも大きくなっています。こうしたオーナーさまからすると、将来の売買も見据えているなかで、売買のことがわからない担当者とは話をしたくないとなってしまうのです。賃貸仲介、売買仲介、賃貸管理の順で業務を経験すると、それを防ぐことができるというわけです。

このように、社内に売買事業を持つことは、管理業の強化や社員のキャリアアップという面でもメリットがあると考えています。

マラソンが趣味だという吉田氏。インタビュー当日も、松山市の自宅から松山空港まで約30分走ってきたそうだマラソンが趣味だという吉田氏。インタビュー当日も、松山市の自宅から松山空港まで約30分走ってきたそうだ

編集部:事業領域を広げることにはさまざまなメリットがあるのですね。

吉田氏:自社としてもさらに事業領域を広げたいですし、加盟店さまにもそのように提案をしていきたいと思っています。例えばアート不動産では民泊事業を広げる構想を持っています。

インフレの状況下でも家賃は上がりづらいものです。しかし、宿泊費は比較的インフレに連動していると感じています。オーナーさまに対しては、インフレに連動する収益源をつくるべきだと提案しており、アート不動産が物件を借り上げて民泊で運用できればと考えています。

引越しシーズンに入居者が決まらなかった物件が翌シーズンまで1年間空室になるくらいなら、その期間は民泊で運用できるといいいですね。また民泊新法でフロント業務が無人でできるようになったことで、民泊と賃貸管理業のオペレーションは似てきています。賃貸管理の主な業務はポータルサイトへの物件登録、入居の契約、入居中の管理、退去後の修繕という流れですが、民泊の場合も、ポータルサイトへの登録、宿泊予約の受け付け、滞在中の管理、退室後の清掃と、業務が類似しているのです。ひょっとしたらホテル業界よりも不動産業界のほうが民泊との親和性はあるかもしれません。

北海道札幌市に本社を置く株式会社SUMiTAS代表取締役の吉田宏氏にトップインタビュー。賃貸と売買という2つの事業を展開する理由、フランチャイズや不動産業界のこれからについてお話を伺った。社名を冠したマンション「SUMiTAS-Villa」、分譲地「SUMiTAS-Vita」シリーズを展開。加盟店へは管理依頼および売買時の専任媒介を依頼している。こうした自社保有物件も、事業領域拡大の一環だ

人口減少社会でも不動産業界のパイは減少しない

編集部:今までは「いずれは持ち家を」という風潮がありました。今後は社会が多様化するにつれ、ずっと賃貸住まいという暮らし方や、何度も買い替える暮らし方など、さまざまなパターンが生まれてくるのではないかと思います。御社のこれからの時代に向けたお考えを聞かせてください。

吉田氏:そうですね。結論を申し上げると、より多くの人が「リセール」を考えて家を買うようになるのではないかと思っています。

今までは、家を資産だとは考えても、売れるかどうかを考えながら買うケースは少なかったように思います。しかし昨今ではフリマアプリなども普及し、高価なものでもその後売れればよいという考え方が一般的になってきました。また、中古に対する抵抗感も薄れてきているのではないでしょうか。

そういった背景を考えると、あくまで仮説ですが、オーダーコストがかかる一方で万人受けしにくい注文住宅の割合が減って、万人受けする間取りの建て売り住宅や規格住宅の割合が増えるのではないかと思います。実際に国が公表する住宅着工統計でも、注文住宅にあたる「持家」と、建て売りの一戸建てや分譲マンションにあたる「分譲住宅」の割合を比べたとき、分譲住宅が50%を超え、2023年にはこれまでで最もその割合が高くなりました。

住宅の価格が上がるなか、今の所得を考えると、「夢のマイホームだからオーダーで注文したいけれど、先々は不安だし、手も届きやすく売るときにも売れやすい建て売り住宅や規格住宅がいいのでは」と考える方が増えるのではないでしょうか。

工務店やハウスメーカーを広義の建設業、仲介や建て売り・分譲デベロッパーを広義の不動産業とすると、不動産業から買う人が主流となるわけです。人口が減少し、賃貸派の方も増えるなかで、家を買う人の絶対数は減りますが、今までは注文住宅派だった方々が私たち不動産業界のお客さまとなる可能性を考えると、不動産業界全体のパイも減るとは限りません。
また、これまでは一生に1回だった住宅購入が、リセールによって2回・3回と買うようになれば、当然それだけ業界の市場規模は大きくなっていきます。それらを考えると、不動産業界の市場規模はこれからも増えていくのではないかと考えています。

住宅着工統計における分譲住宅と持家の割合住宅着工統計における分譲住宅と持家の割合

リタイアメントビザが日本の地方を救う

編集部:SUMiTASが、または吉田社長ご自身が、これからチャレンジしていきたいことはありますか。

吉田氏:SUMiTASとしては、さらにリセールがしやすくなるよう「買取保証制度」を導入できないかと考えています。例えば築8~10年くらいで、住宅ローンの残債程度での買い取りをイメージしています。弊社が専任で仲介をすることを条件とし、買い取り保証を付帯して販売します。もし売りに出しても売れなかったときには、弊社が「買取保証金額」で買い取るという考え方です。

また、リタイアメントビザをつくれないかという提案もしています。今の日本のビザは長期滞在と就労がセットになっています。だから日本で仕事をする気がない人は、簡単に長期滞在ができません。海外には、働くことができないけど10年滞在できるというようなビザがある国もあります。すると、定年退職した後に移住するというニーズが生まれるわけです。

今の日本の経済状況からすると、お金を稼ぐために日本に来たい人はそう多くないでしょう。でも、老後を日本で過ごしたいという人は一定数いるのではないかと思っています。
またこれらのターゲットは富裕層ですから、日本で1人1,000万円使うとして仮に100万人が来たら10兆円。さまざなな業種の経済が潤います。飲食店も、物販店も、VIPは外国籍の人たちになるでしょう。日本人の外国語のレベルも一気に上がると思いますよ。

今は人手不足なのに賃金もなかなか上がらない。人手不足のなかで海外の人々が来ると、さらに働き手が足りなくなるという問題も出てきますが、それでもお金持ちの人々が来れば、若い時に働いてためたお金を日本に落としてくれます。私たちは日本で普通にビジネスをしながら外貨を稼げるようになり、賃金の上昇にもつながります。

また、仕事を求めて日本に来る人の多くは都市部に住みますが、老後に移住するのはストレスなく暮らしたいという人々。ニーズは地方に向くはずで、地方創生の一手にもなります。

また、世界では人口が増え続け、常に1億人分以上の住宅が不足しています。日本の空き家はたった800万戸ですので、これを世界に開放すれば、日本の空き家は瞬時に埋まるでしょう。ここに風穴を開けることができれば、非常に大きな観光の需要を不動産業界に持ってくることができます。

編集部:不動産業界の新しい価値、新しいマーケットが生まれそうですね。本日はありがとうございました。

SUMiTASとしての価値創造はもちろん、不動産業界の価値創造について語る吉田氏SUMiTASとしての価値創造はもちろん、不動産業界の価値創造について語る吉田氏

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