2030年代半ばの完成を目指し準備を進める八丁堀3・7番地区の再開発

広島市の中心市街地である「紙屋町(かみやちょう)・八丁堀(はっちょうぼり)」エリアは、広島の行政・経済の中枢として、江戸時代から長きにわたり地域を支えてきた。今、紙屋町・八丁堀エリアでは複数の再開発事業が計画されている。その一つが「広島八丁堀3番7番地区第一種市街地再開発事業」だ。

日本経済新聞や中国新聞の記事によれば、「広島八丁堀3・7地区市街地再開発準備組合」により2021年に事業計画が発表され、事業費は300億~400億円を見込む。事業協力者に東京都のNTT都市開発や大成建設も加わる。また2025年度に都市計画決定、2026年度以降に本組合設立、権利変換計画認可、着工をし、2030年代半ばの完成を目指していると広島経済新聞は報じている。

本記事では「広島八丁堀3番7番地区第一種市街地再開発事業」は、まだ準備組合の段階で情報が少ないため、広島県・広島市が公表している情報、およびオフィス仲介大手・三鬼商事が運営するWebマガジンの「KEY-PRESS」、新聞記事などに基づき、再開発についての情報をまとめてみた。

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都市再生緊急整備地域に指定されている紙屋町・八丁堀エリアの区域(出典:広島市公式ウェブサイト)都市再生緊急整備地域に指定されている紙屋町・八丁堀エリアの区域(出典:広島市公式ウェブサイト)

再開発予定地がある紙屋町・八丁堀エリアは、広島市が目指す「楕円形の都心づくり」のうち、東の核である広島駅周辺とともに、西の核として位置づけられている。西側を南北に太田川が流れ、平和記念公園もある。エリアの北西には広島城があり、一帯はかつての広島城の城下町の一角だった。

北西の基町周辺は広島城のほかに、美術館や体育館・サッカー場など文化施設が多い。北東の八丁堀・上八丁堀(かみはっちょうぼり)、および紙屋町の東部付近は、官公庁や病院が多いエリアになっている。再開発事業が施行される広島八丁堀3番7番地区も、この地域にある。

なお、相生通り沿いやそれより南の紙屋町・立町(たてまち)・本通などの一帯は、百貨店や商店・企業などがひしめく繁華街。広島市最大の商店街「本通商店街」もある。江戸時代の城下町に起源がある一大商業地だ。

紙屋町・八丁堀エリアは、江戸時代から現代まで、広島の行政・経済の中心を担っているのである。

また広島市では、紙屋町・八丁堀エリアの更なる民間開発を誘発・促進するため、広島県・広島商工会議所とともに、内閣府へ同エリアを「都市再生緊急整備地域」として新規指定するよう申請。2018年に、紙屋町・八丁堀を含むエリアが「都市再生緊急整備地域」に指定されている。

南北にA・B街区の2ゾーンに分かれ、新たな公園の整備も予定

再開発事業の対象地区は、相生通りにある広島電鉄の路面電車電停「立町駅」から、北へ約200mの場所。「KAMIHACHI X(カミハチ クロス)」などが建つ予定の「広島市基町相生通地区第一種市街地再開発事業」の地区の、すぐ北東だ。また対象地区の周辺には広島中央警察署や広島県警察本部、広島県庁、日本銀行 広島支店、国土交通省 太田川河川事務所、同 中国地方整備局など、官公庁が多い。

KEY-PRESSによると、再開発の対象地区の面積は約1.2ヘクタールで、現在計画地には「広島YMCA」や銀行の支店など9棟が建つ。また、計画地の真ん中あたりを東西に道路が突っ切っている。この道路より北をA街区、南をB街区とする。

また、計画地北側のA街区には現在「京口門公園」がある。名称は、江戸時代に京口門公園あたりに、広島城の「京口御門」という門があったことに由来する。再開発では、対象地区内に新たな公園が整備される予定だと、KEY-PRESSは報じている。

A街区予定地の様子(南西部)。現在は広島YMCAが建つA街区予定地の様子(南西部)。現在は広島YMCAが建つ
A街区予定地の様子(南西部)。現在は広島YMCAが建つA街区予定地を北西部から見たところ。正面に見えるのは広島YMCA

オフィス・マンション・商業施設などが入るビル3棟を建設予定

日本経済新聞・中国新聞・広島経済新聞・KEY-PRESSが報じた広島八丁堀3番7番地区第一種市街地再開発事業の計画をまとめると、 以下のとおりだ。

現在ある9棟の建物を解体し、新たにビル3棟を建てる。3棟の中には、オフィスビルやマンション、商業施設などが入り、都市機能の強化により中心市街地のさらなる活性化を目指す。

また現在、対象地区に所在しているYMCAも、再開発でできる棟に入居。A街区を中心にYMCAの教育・国際交流・集会などの施設ができる予定だ。

B街区では、地上30階以上・高さ約120mで、総戸数約400戸のタワーマンションを建設。また、高さ約60mの中層ビルを建設し、オフィスなどが入る予定だ。このほか、先述した新公園も整備予定で、にぎわいと憩いの空間を目指す。

A街区予定地の現在の様子(南東部)A街区予定地の現在の様子(南東部)
A街区予定地の現在の様子(南東部)B街区予定地の現在の様子

事業費は、完成後に入居者・企業などにフロアを売却する資金のほか、国などの補助金でまかなう。

八丁堀3番7番地区の再開発は、2016年ごろから地権者が勉強会を重ねてきた。2017年に準備組合を設立し、広島市と協議を進めている。

今後本格的に始動していく八丁堀3番7番地区の再開発に注目

2025年12月、実際に八丁堀3番7番地区を訪れてみた。現在建っているYMCAなどの9棟は、いずれも築年数はかなり経過しているように見え、建て替え・更新が必要に感じるものだった。

広島市街地では広島駅南口の再開発やサッカー場の整備、基町相生通地区のKAMIHACHI Xなどの再開発事業も進んでいる。今後、再開発によって広島の街の雰囲気が変わり、街の魅力向上とにぎわいの創出につながることが期待される。

八丁堀3番7番地区の再開発が本格的に始動するのは、これからだ。生活・ビジネス・憩い・教育・交流などが融合する大規模プロジェクトに注視したい。

B街区の予定地に現在ある京口門公園B街区の予定地に現在ある京口門公園
B街区の予定地に現在ある京口門公園A街区とB街区の予定地の間を通る道路を、東から西へ向かって見たところ。このあたりに、新たな公園が整備される予定