なぜ、月島で再開発が活発化しているのか
「月島」といえば、もんじゃ焼きの印象がある人が多いかもしれない。その一方で、もんじゃストリートに接続する細い路地など、街区の形成が古く趣きのある建築物と、超高層建築物が立ち並び、新旧の対比が織りなす街並みが月島の魅力を形成している。
地理的に月島エリアは、勝どきエリアと佃島エリアの間に挟まれている。鉄道としては、都営大江戸線ならびに東京メトロ有楽町線を利用することができる。
月島エリアでの再開発については、これまでに「月島駅前地区」、「月島一丁目3、4、5番地区」、「月島一丁目西仲通り地区」で事業が実施され、約1,800戸近い住宅が供給されると同時に当該再開発により木造密集市街地の解消が行われてきた。
月島の課題の一つに木造密集市街地の改善がある。歴史的に街区が形成された時期が古く、狭あいな道路に面して木造の住宅等が過密に立地しているため、火災による延焼拡大の危険性が高い。このこともあり、市街地再開発により災害リスクの低減が進められている。
そして、現在、「月島三丁目南地区」と「月島三丁目北地区」の2地区において市街地再開発事業が進められており、合計で約2,000戸近い住宅が供給されようとしている。
月島エリアでは、こうした市街地再開発事業による住宅供給以外にも土地利用の転換や土地の高度利用化などに伴い、人口増加が進んでいる。また、これに伴い鉄道駅の利用者数も増加傾向にある。さらに、月島に隣接する形で、佃島と勝どきエリアがあり、それらも中央区の中では人口が多いエリアとなっており、ここ数十年で街並みが変化している。
少し話が逸れるが、街並みの変化を知る上で一つ手がかりになる本がある。月島が舞台となった石田衣良の小説「4TEEN」だ。読者の中には、この小説を覚えている人もいるのではないだろうか。2003年の直木賞受賞作品で14歳の少年4人組の友情や成長を描いたものだ。作中で描写される月島ならではの風景は、再開発等により土地利用の転換が進んだ今となっては少しばかり失われつつある当時の空気感を伝えてくれる貴重な資料と言える。もし機会があったら読んでみてほしい。
南地区での再開発概要
南地区の再開発は、月島三丁目の一部エリアで施行面積は約1.0ヘクタールとなっている。当該エリアは、木造密集市街地が形成されており、そうした土地の解消による防災性の向上が目的として掲げられている。また、月島を含めた広範囲が都市再生緊急整備地域に指定されていることなどの理由から、住宅供給を主目的とした高度利用による再開発が行われる。
すでに販売事業者によるサイトが立ち上がっており、マンション名については「セントラルガーデン月島 ザ タワー」とされている。
計画されている建物は2棟、その概要は次のとおり。
<建物概要A>
・建物用途:住宅、店舗等
・敷地面積:約5,640m2
・建築面積:約2,752m2
・延べ面積:約7万6,429m2
・規模等 :地下1階、地上48階、高さ約182m
・容積率 :約937%
・建蔽率 :約49%
・その他 :駐車場約217台、駐輪場約1,195台、バイク置場約39台
<建物概要B>
・建物用途:子育て支援施設、店舗等
・敷地面積:約935m2
・建築面積:約624m2
・延べ面積:約1,244m2
・規模等 :地上2階、高さ約10m
・容積率 :約127%
・建蔽率 :約67%
・その他 :駐輪場約7台
※出典:月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業 事業計画書(2024年12月変更)
この他、A敷地には約1m460m2の広場に加えて、災害時における帰宅困難者一時退避場所の提供や災害トイレ、かまどベンチ等の設置が予定されている。さらに、B棟の屋上には約200m2の広場が整備される。また、再開発に接する道路の拡幅などによる歩行者空間の確保などが予定されている。総事業費は、約590億円を予定しており、このうち、補助金が約88億円計上されている。
また、住戸部分については、多様な生活様式に対応可能な形態として、1K〜4LDKまで総戸数744戸(平均約63m2)が予定されている。概要は次のとおり。
・1K:30戸、戸当たり床面積約30〜35m2
・1LDK:131戸、戸当たり床面積約35〜45m2
・2DK:45戸、戸当たり床面積約45〜55m2
・2LDK:277戸、戸当たり床面積約50〜70m2
・3LDK:255戸、戸当たり床面積約65〜100m2
・4LDK:6戸、戸当たり床面積約100〜105m2
都市整備局 月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業
北地区での再開発概要
北地区は、南地区と同様に月島三丁目の一部エリアで実施される。施行面積は約1.5haとなっており、3街区に分かれてそれぞれ建築が計画されている。メインとなるA街区は住宅や店舗、保育所、デイサービス等の用途で構成される超高層建築物が建築される。
隅田川沿いに面するB街区はB-1とB-2に分かれており、それぞれグループホームと住宅が計画されている。また、B街区については、隅田川のスーパー堤防と一体的な整備が行われる。この他、広場等の空地の確保や道路拡幅などが行われる。総事業費は約852 億円を予定しており、このうち補助金は134億円が計上されている。
なお、すでにB-1街区のグループホームについては、2024年11月に施設名「リヴェール月島」としてオープンしている。加えて、分譲住宅部分については、販売事業者によるサイトが立ち上がっており、マンション名については「グランドシティタワー月島」とされている。
計画されている建物は3棟、その概要は次のとおり。
<建物概要A:グランドシティタワー月島>
・建物用途:住宅、店舗、保育所、デイサービス等
・敷地面積:約1万76m2
・建築面積:約6,592m2
・延べ面積:約14万4,450m2
・規模等 :地下2階、地上58階、高さ約199m
・容積率 :約1,000%
・建蔽率 :約65%
・その他 :駐車場約394台、バイク置場約85台、駐輪場約1,803台
<建物概要B:リヴェール月島>
・建物用途:グループホーム、店舗等
・敷地面積:約1,054m2
・建築面積:約626m2
・延べ面積:約1,927m2
・規模等 :地上6階、高さ約24m
・容積率 :約158%
・建蔽率 :約59%
・その他 :駐車場約1台、駐輪場約7台
<建物概要C>
・建物用途:住宅
・敷地面積:約882m2
・建築面積:約553m2
・延べ面積:約3,245m2
・規模等 :地上7階、高さ約25m
・容積率 :約277%
・建蔽率 :約63%
・その他 :駐車場約3台、バイク置場約3台、駐輪場約76台
※出典:月島三丁目北地区第一種市街地再開発事業 事業計画書(2024年10月変更)
また、住宅については、A街区で1,285戸、B-2街区で56戸が計画されている。それぞれの住戸タイプと専有床面積は次のとおりとなっている。
<A街区:グランドシティタワー月島>
・1LDK:120戸、専有床面積約35〜50m2
・2LDK:477戸、専有床面積約50m2〜
・3LDK〜:688戸、専有床面積約70m2〜
<B-2街区>
・1R・1DK:28戸、専有床面積約25〜30m2
・1LDK:18戸、専有床面積約35〜50m2
・2LDK:10戸、専有床面積約50m2〜
都市整備局 月島三丁目北地区第一種市街地再開発事業
事業スケジュール
それぞれのスケジュールは次のとおり計画されている。
<月島三丁目南地区:セントラルガーデン月島 ザ タワー>
・都市計画決定:2018年2月
・再開発組合設立認可:2020年11月
・権利変換計画認可:2022年11月
・建築工事着工:2024年1月
・建築工事竣工予定:2028年6月
<月島三丁目北地区:グランドシティタワー月島>
・都市計画決定:2018年12月
・再開発組合設立認可:2020年8月
・権利変換計画認可:2022年1月
・建築工事着工:2022年10月
・建築工事竣工予定:2026年6月
都市計画決定については、北地区に比べて月島三丁目南地区の方が早かったものの、その後の組合設立認可や建築工事着工については北地区の方が早く、工事の竣工についても同様に月島地区の方が早く竣工する予定となっている。同時期による竣工ではないものの、およそ3年後までには、月島エリアに新たに超高層建築物が2棟建築されることとなる。
再開発後の街の変化
月島地区は、東京港の発展とともに役割を変えてきた。東京港では大型の船舶が出入りできるよう明治時代に入ってから東京湾内の浚渫工事(しゅんせつこうじ)が実施され、それに伴い発生した土砂を埋め立てる形で完成したのが現在の月島1号地(月島1〜4丁目)にあたる。工業・倉庫群に加えて、関連する工場等の労働者向けの居住地として発展した歴史をもつことで、狭い路地に木造住宅が密集している特徴を持つ。
一方で、前項までに述べたようにそうした木造密集市街地の解消などを目的に積極的に市街地再開発事業が行われているエリアでもあるが、隣接する勝どきエリアに比べると交通利便性の面において東京メトロ有楽町線を利用できる点にメリットがある。
再開発が実施されることで、新しく約2,000戸に及ぶ住宅が供給されることから、さらに人口が増加することが予定されており、これに伴いより新たに店舗や飲食店などが立地する可能性もあり、より魅力的なエリアに変化していく可能性を有している。
その一方で、狭あい道路と趣きのある木造建築物が織りなす空間に魅力もある。狭あいな道路空間と防火性の低い旧法による木造構造の住宅密集ということもあり災害時の課題をどう捉えながら、今後のまちづくりを進めていくのか、今後も注目したいエリアである。
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