都心に1時間弱。千葉県野田市に生まれる500区画の新しい街

東武野田線は大宮、春日部、流山おおたかの森、柏、新鎌ヶ谷、船橋で他路線と交差しており、都心への足も便利東武野田線は大宮、春日部、流山おおたかの森、柏、新鎌ヶ谷、船橋で他路線と交差しており、都心への足も便利

2014年4月1日から東武アーバンパークラインという愛称名が導入される東武野田線清水公園駅駅前(千葉県野田市)に戸建住宅を中心とした約500区画(約9.1ha)という大規模分譲開発が始まる。東武野田線は埼玉県の大宮駅から千葉県の船橋駅をつなぐ路線で、春日部で東武スカイツリーライン、流山おおたかの森でつくばエクスプレス、柏で常磐線などと交差しており、大手町へも約1時間で通勤できる立地である。

予定地は平成4年から土地区画整理事業が行われてきた場所で、事業自体は平成19年に終了している。今後、6月には駅前の広場に販売センターがオープン、2014年秋には入居開始となっており、最終的な戸数は未定だが、約500区画のうち、半分程度は戸建分譲となり、残りは土地分譲になるとか。年間50戸程度の戸建て分譲が計画されており、価格は3LDK~4LDKで2000万円台後半から3000万円台になる予定だ。全500区画はおおむね8年から10年をめどに供給し終える予定だ。

フィールドアスレチックのメッカ、清水公園に豊かな自然、歴史のある街、野田市

清水公園は桜のほかにも、つつじや紅葉などが楽しめ、四季折々に違う表情を見せる清水公園は桜のほかにも、つつじや紅葉などが楽しめ、四季折々に違う表情を見せる

ところで、東武野田線は知っていても清水公園という駅をご存知という方は少ないだろうと思う。どんな場所か、この計画に長年関わり、環境共生、ハンドメイドタウンというコンセプトを生み出したプロデューサーの甲斐徹郎さん(㈱チームネット)に聞いた。

「駅名となっている清水公園は1894年(明治27年)に野田醤油(現キッコーマン)初代社長の父が作った民営の自然公園。東京ドーム6個分もの広さに『日本さくら名所100選』」に選定された桜やつつじなどの花々が楽しめ、日本最大級のフィールドアスレチックも。地元では幼稚園、小学校の遠足の場としても親しまれています。また、ここは都心に住んでいる人には羨ましいほどに自然が残っているエリアで、トトロの森を彷彿とさせるような里山あり、カヌーが楽しめる川あり、全国有数の生産量を誇る枝豆の畑ありと変化に富んだ環境に恵まれています」。

また、キッコーマンの名が出たように、野田市には長年醤油作りで培ってきた醸造を中心にした食文化、歴史があり、それを通じた街づくりを考えようという動きもあるという。
「地産地消を実践するレストラン、有機にこだわった農家などがあり、この方々にも今後入居者を対象に行われるイベントなどに参加していただく予定で、事業を通じて一緒に野田市らしい暮らしを模索していけたらと考えています」。

未完成の家に自分で手を入れることで満足度を高め、環境共生を実践していく

庭先に設けられる予定のアプローチデッキ。ここも自分で手を入れられる空間になる庭先に設けられる予定のアプローチデッキ。ここも自分で手を入れられる空間になる

こうした立地を生かしたコンセプトが前述の2つ、環境共生とハンドメイドタウンである。環境共生は立地を知り、文字を見ればおおよそのイメージは湧くが、それとハンドメイドタウンとはどうつながるのか。

「環境と共生する暮らしは、建物の中に閉じこもり、エアコンだけに頼る暮らしとは対極にあるもの。住戸内で完結するのではなく、そこに暮らす人、地域、街と繋がる、交わることによって生み出されていきます。しかし、建売分譲で出来上がった家を買う場合、どうしてもその中だけでの暮らしになってしまいがちです。そこで、あえて未完成の家を売ることで、そこに自分で手を入れる余地を残し、生活を作り上げていく経験をしていただき、さらに他の入居者とともにその作業をやることで、そこに交流を生んで行こうと考えました」。

といっても、未完成で残される部分は家の中の壁の一部や、ウッドデッキの塗装、ガーデニングの一部などといった、素人でも十分に作れるようなものばかり。「おおよそ90%できている家を買って、そこに自分で手を入れることで満足度150%の家になれば良いと思っています」。

工房を利用して家づくり、街づくり、人間関係づくりを模索

環境共生型の街づくりには実績のある㈱チームネットの甲斐徹郎さん環境共生型の街づくりには実績のある㈱チームネットの甲斐徹郎さん

こうした家作りを支援するために販売センターの敷地内には入居者なら無料で利用できる工房が設置されることになっている。工具などが用意されるほか、ガーデニングや木工その他のノウハウ、技術を教えてくれるサポートスタッフが駐在する予定だ。また、工房が支援するのは、それぞれの家作りだけではない。「敷地中央に最初は原っぱだけの広場が作られます。住んでいる人がみんなでピザ焼き窯を作ったり、ベンチを作っていく予定で、工房はそうした作業をバックアップする役目を担っています」。

家だけでなく、共用の広場も未完成状態であり、ここでは街づくりそのものに住む人が関わっていく仕組みになっているのである。「これまでの不動産の世界では供給する側が住宅はもちろん、付随するサービスの全てを親切、丁寧に供給していました。だから購入した人は何もせず、お客さんでいるだけで良かった。でも、それでは人とのつながりは生まれませんし、暮らしに対してクリエイティビティを持てない。そこを変えたいというのがこの試みです」。

最近のリノベーション、賃貸のカスタマイズといったブームを考えると、自分の手で暮らしを変えたい、好きな暮らしを形作っていきたいというニーズは確実にある。それを新築でも可能にしたのが未完成での販売というわけだ。

そのために工房が交流の場となり、家づくり、街づくりという共通の目的を掲げる人たちが新しいコミュニティを作り、この街の魅力を形作っていく。ハンドメイドという言葉にはそんな意味があるのだ。

地域の人と一緒に街を作り、この地らしい暮らしを提案

駅前の広場に設けられる販売センターはここに住む人、地域の人などが交流できる場になる予定駅前の広場に設けられる販売センターはここに住む人、地域の人などが交流できる場になる予定

ここで目指す人とのつながりは入居した人たちだけのものではない。たとえば、駅前広場に作られる販売センターにはコミュニティカフェ、絵本の図書館が併設される予定で、訪れた人、地域の人の交流の場となることが意図されている。一般には販売センターの役目は住宅を売ることだけだが、この事業では人間関係づくりの場としても大きな役割を持っているのだ。

前述したように、イベントでは地元の農家、NPOなどが参加する予定で、新しく引っ越してきた人、元から住んでいる人が交わるような仕組みも考えられている。「ここを見に来た人が『家を見に来る』のではなく、この地域に住みたい、街づくりに参加したいと感じるような場にしていけたらと考えています。街のあちこちで住人たちが汗を流して楽しそうに作業をしていたら、多くの人がそう感じて下さるのではないでしょうか」。

この3月16日にはプロジェクトの概要、背景などを解説、これからの暮らし方を考えるフォーラムが予定されてもいる。また、日干し煉瓦からつくる石窯づくりのワークショップも企画されている。自然に囲まれた暮らしに惹かれる人はもちろん、生活を手作りしたいと考える人なら出かけてみても損はないだろうと思う。

2014年 03月10日 11時21分