住まいの立地を選ぶとき、職場との距離や交通アクセスは重要なポイントのひとつ。通勤の利便性については、どのような基準で決めるといいのでしょうか。

今回は、職場までの通勤距離に関するさまざまなデータとともに、交通アクセスの利便性から住まいを選ぶときに意識したいポイントを紹介します。
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通勤

 

一般的な通勤距離の平均値は、どのくらいなのでしょうか。ここでは、さまざまなデータを基に確認します。

 

独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の報告書(※)では、東京都に居住する人の平均通勤距離がさまざまなパターンから算出されています。

 

まずは居住地と勤務先のパターン別、平均通勤距離に関するデータを見てみましょう。

 

なお、地域区分は、以下のように分けられています。

地域区分

  • 都心区:千代田区、中央区、港区
  • 都心周辺区:新宿区、文京区、台東区、品川区、渋谷区、豊島区
  • 周辺区:都心区、都心周辺区を除く14区
  • 多摩地区:23区以外の都内西部
  • 関東大都市圏:さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市

居住地と勤務先のパターン別平均通勤距離

居住地

勤務先のエリア

都心区

都心周辺区

周辺区

多摩地区

関東大都市圏

都心区

2.1km

6.1km

10.1km

都心周辺区

6.3km

3.5km

9.2km

23.2km

周辺区

10.5km

8.9km

4.5km

16.9km

19.8km

多摩地区

25.1km

21.3km

19.1km

5km

18.8km

全体

10.7km

9.3km

6.5km

6.2km

19.9km

※調査対象数が少ないパターンは「-」と記載

 

上記のように、居住地と勤務先の通勤距離平均値を見ていくと、東京都においてはおおむね「10km程度」がひとつの目安だといえます。

 

実際、勤務先が都心にある場合の平均通勤距離は平均10.7kmとなっています。

 

(※)出典:労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.199 大都市の若者の就業行動と意識の分化 ―『第4回 若者のワークスタイル調査』から―

 

続いて、就業形態別に東京都の平均通勤距離を見ていきましょう。

居住地と就業形態別平均通勤距離

居住地

就業形態

正社員・公務員

契約社員

派遣社員

パート・アルバイト

全体

都心区

4.4km

4.3km

都心周辺区

7.7km

9.1km

6.2km

6.0km

7.0km

周辺区

9.5km

9.7km

8.7km

9.4km

8.9km

多摩地区

14.1km

10.7km

13.7km

15.0km

12.4km

全体

10.1km

9.8km

9.6km

9.6km

9.4km

※調査対象数が少ないパターンは「-」と記載

 

上記の結果から、正社員がもっとも通勤距離は長いものの、どの就業形態においてもそれほど差がなく、「9~10km」が平均的であることが分かります。

 

通勤距離に影響を与えているのは居住地であり、都心区(4.4km)と多摩地区(14.1km)では大きな差が生じています。

 

国土交通省総合政策局のデータによれば、マイカー通勤者の全国平均通勤距離は片道で「10.5km」とされています。

 

この結果から見ると、通勤手段を限定してみても、前述の東京都の平均通勤距離とそれほど大差がないことが分かります。

通勤中の読書

 

一般的には、居住地から勤務先までの距離は近いほうが利便性も高いと考えられます。しかし、通勤距離が長いことにも一定のメリットはあるのです。

 

ここでは、通勤距離の長短による主な違いを見ていきましょう。

 

通勤距離が長い場合は、通勤時間をどのように利用するのかが重要です。たとえば、電車通勤をする場合は、行き帰りの時間を読書や情報収集にあてるなどの有効利用が可能です。

 

また、車通勤をする場合は、運転が好きな人にとっては良い気分転換になると感じられるケースもあります。ただ、やはり毎日の通勤を考えると、負担は大きくなってしまう面は否定できません。

 

交通利便性や混雑状況にもよるものの、通勤だけで気力や体力を消耗してしまうと、生活に支障が出ることもあるといえます。

 

通勤時間が短いメリットは、時間をより有効活用しやすくなる点にあります。勤務先と往復する時間を考えると、短縮できた時間を睡眠時間にあてたり趣味の時間にしたりと、「職住近接」のメリットはとても大きいといえます。

 

ただ、職場が都心区にある場合は、近いエリアだと家賃が高額になってしまう点が大きなデメリットです。また、職場が徒歩圏内にある場合は、自然と行動範囲が狭まってしまうという面もあります。

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住宅の立地を選ぶときには、通勤時間だけでなくエリアの特徴にも目を向けておくことが大切です。ここでは、「都市部と郊外」を対比しながら、主な違いについて紹介します。

都市部

 

都市部の土地の魅力は、なんといっても交通アクセスに優れている点にあります。特に東京都区部では、公共交通機関が充実していることから、自家用車がなくても快適に通勤することが可能です。

 

周辺環境においても、徒歩圏内に多数の商業施設があり、買い物に困ることはありません。主要な駅までも電車やバスですぐにアクセスできるため、気軽に出かけられます。

 

一方、土地価格は郊外と比べて高く、予算内に収めようとするとどうしても十分な敷地面積を確保するのが難しくなってしまいます。そのため、生活スペースを広げるために、都市部では3階建ての一戸建て住宅も決してめずらしくありません。

 

また、住宅が密集しやすいことから、日当たりなどの面で郊外よりも不利になってしまうケースは多いです。

郊外

 

郊外の魅力は土地価格が比較的安く、都市部よりも広い敷地を購入しやすい点にあります。都市では難しい広い庭や駐車場付きの一戸建て住宅の購入も、郊外であれば十分に実現することが可能です。

 

また、自然が豊かで落ち着いたエリアが多く、のびのびと子育てできる点もメリットです。広い公園や緑地、川なども多いため、遊び場所に困ることはありません。

 

一方、交通アクセスには不便さを感じてしまうことが多く、エリアによっては自家用車が手放せないところも少なくありません。また、勤務先や私立学校の多くは都市部に集中するため、どうしても通勤・通学の負担は大きくなってしまいます。

通勤通学

 

立地の利便性を決める項目のひとつに「最寄り駅からの距離」が挙げられます。駅から近いほうが利便性は高く、人気も集まりやすいため、当然ながら土地の価格も高くなるのです。

 

ここでは、駅からの距離で土地の価格がどの程度変化するのかについて解説します。

 

一例として、2020度の「東京都公示地価」を基に、最寄り駅からの距離別平均地価を調べました。具体的な結果は以下の表のとおりです。

最寄り駅からの距離

平均地価(1平米当たり)

0km以上0.5km未満

214万8,322円

0.5km以上1.0km未満

55万6,094円

1.0km以上1.5km未満

29万6,123円

1.5km以上2.0km未満

21万1,541円

2.0km以上2.5km未満

17万7,427円

2.5km以上3.0km未満

15万7,979円

3.0km以上

9万5,976円

 

上記のように、最寄り駅から離れれば離れるほど、地価は安くなっていきます。また、距離が近いエリアほど地価の上昇額は大きく、距離が遠いエリアでは差が小さくなっていくことも読み取れます。

 

シンプルな通勤距離だけでなく、最寄り駅までの距離も生活の利便性を大きく左右するポイントとなるため、価格とのバランスを考慮しながら慎重に検討しましょう。

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住宅街

 

ここまで、主に交通アクセスをテーマに通勤距離や最寄り駅との距離について見てきました。しかし、土地の利便性を決める条件にはほかにもさまざまなポイントがあります。

 

最後に、土地選びで重要なポイントとなる項目を確認しておきましょう。

 

土地選びにおいては、交通アクセスとともに以下のポイントを意識することが大切です。

ポイント

  • 商業施設、公共施設の充実度
  • 教育環境の充実度
  • 土地の形、傾斜の向き、法令等の制限
  • 方角、日当たり

商業施設などの周辺環境は、実際に生活するうえでとても重要な条件です。特に、緊急度や頻度が高くなりやすい「役場」「金融機関」「病院」などとの距離を意識しておきましょう。

 

また、子育て世帯にとっては、教育環境の充実度も見逃せないポイントです。保育園や幼稚園へのアクセスや募集状況、小学校や中学校の学区、主な高校へのアクセスといった子どもの成長過程に合わせた観点から判断することが重要です。

 

さらに、こうした周辺環境に加えて、土地そのものの状態にも目を向けておく必要があります。土地の形や傾斜の向き、法令による制限は、建てられる住宅にも大きな影響を及ぼす要因となるため、施工会社などの専門家にもアドバイスをもらいながら土地を選びましょう。

 

立地に関しては、家族ともていねいに話し合いを重ねながら決めることが大切です。そのうえで、子どもの進学や自身の転勤・転職といったライフプランによっても判断が異なるため、長期的な視点を持つことも重要です。

 

また、地震や水害などの災害に強いかどうかもチェックする必要があります。「ハザードマップ」を活用して、事前に該当エリアの情報を集めておきましょう。

 

具体的な土地の候補を絞り込んでからは、「土地の高低差」「接面道路との関係性」といったより専門的な判断が求められます。そのため、住宅の建築を依頼する施工会社に立ち会ってもらいながら検討することが大切です。

通勤

 

  • 東京都の平均通勤距離は10km程度
  • マイカー通勤者の平均通勤距離は片道10.5km
  • 職住近接であれば利便性は高いといえるが、都心部に職場がある場合は家賃や地価が高くなってしまう
  • 都市と郊外の違いや、最寄り駅からの距離による地価の違いにも目を向けておく
  • 交通アクセス以外には、周辺施設や教育環境、土地の形状や方角も意識しておく
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更新日: / 公開日:2021.09.07