注文住宅は悩む過程が多くあり、家を建てるまでの情報収集もそのひとつです。そこで今回、土地を買って家を建てた人500人にアンケートを取りました。すでに家を建てた先輩はどのように情報収集をしたのでしょうか。
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この記事のポイント
- 情報収集にかけた期間は「半年~1年未満」が最多
- 建築会社に問合せる前にやった方がいいことは「希望条件の整理」と「費用試算」
- モデルハウスの見学数は「4~5軒」、見積もり依頼は「2~3社」が多い
- 会社選びの決め手は「担当者との相性」「住宅性能」が約4割
住み替えのきっかけは、自身のライフステージを考えて判断
住み替えのきっかけは「子どもの誕生・成長」(43.9%)、「毎月の家賃の支払いがもったいないと思ったこと」(42.2%)が4割を超えました。次いで「住宅ローンを支払える年齢を考えたこと」(34.2%)、「住んでいる家に対する不満」(33.9%)が続きます。
住み替えのきっかけ(複数回答可) | % |
|---|---|
子どもの誕生・成長 | 43.9 |
毎月の家賃の支払いがもったいないと思ったこと | 42.2 |
住宅ローンを支払える年齢を考えたこと | 34.2 |
住んでいる家に対する不満(狭い、部屋数が足りない、古いなど) | 33.9 |
家族の希望 | 24.5 |
結婚 | 19.9 |
家から通勤・通学先などへの遠さ | 8.9 |
住宅を購入した友人・知人の家に行ったこと | 8.1 |
周辺環境に対する不満(スーパーが遠い、治安が悪いなど) | 7.2 |
自分や家族の仕事の都合(転勤、転職など) | 6.6 |
自分や家族の介護・高齢化 | 5.1 |
その他 | 3.3 |
特に深い理由はなく、何となく | 2.3 |
ライフステージの変化により、物理的に部屋が足りない、狭いなどの事情から住み替えを検討し始めた人が多いことが分かります。一方、通勤・通学先までの遠さや周辺環境への不満といった外的要因が住み替え理由になった人は少ない傾向です。自分たちにとっていつがいいのかを考えた結果、マイホーム購入を決めた人が多いといえそうです。
また、今の家賃を支払い続けることとマイホームを買うことを比較してみることや、住宅ローンを支払える年齢と金額を試算してみることは、今後のライフプランを考える気づきにもなるでしょう。
注文住宅を建てようと思った理由は?
マイホームにはさまざまな選択肢があります。なぜ“注文住宅”を選んだのでしょうか。
1位「こだわりの家にしたかったから」(34.6%)、2位「注文住宅に憧れがあったから」(31.1%)となり、それぞれ3割を超える結果となりました。はじめから“注文住宅がいい”と決めていた人が多いようです。
一方、「建売住宅やマンションには希望どおりの家がなかったから」(19.0%)、「希望するエリアに建売住宅やマンションがなかったから」(8.4%)、「マンションの価格が高すぎたから」(4.0%)など、注文住宅以外の住まいを考えていた人も一定数いるようです。
注文住宅を建てようと思った理由(複数回答可) | % |
|---|---|
こだわりの家にしたかったから | 34.6 |
注文住宅に憧れがあったから | 31.1 |
希望するエリアに土地があったから | 25.0 |
住宅展示場やモデルハウスを見に行って、建てたくなったから | 20.2 |
建売住宅やマンションには希望どおりの家がなかったから | 19.0 |
建てたいハウスメーカー・工務店・設計事務所があったから | 18.9 |
家族が注文住宅を希望したから | 18.7 |
注文住宅でも予算内に収まることが分かったから | 17.7 |
友人・知人の家を見て、注文住宅がいいと思ったから | 9.0 |
実家が注文住宅だったから | 9.0 |
希望するエリアに建売住宅やマンションがなかったから | 8.4 |
マンションの価格が高すぎたから | 4.0 |
二世帯住宅を建てるため | 1.9 |
その他 | 2.8 |
特に深い理由はなく、何となく | 4.3 |
情報収集にかけた期間は「半年~1年未満」が最多
注文住宅は、建て始めるまでにとても時間がかかるというイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。情報収集にどのくらいの期間をかけたのかも聞いてみました(※注文住宅を建てることを思い立ってから、契約が完了するまでの期間)。
もっとも多かったのは「半年~1年未満」で32.8%を占めました。次に多かったのは「3ヶ月~半年未満」で18.2%となります。中には、何年もかけて検討した人もいることが分かりました。
家を建てるときの情報収集にどのくらいの期間を費やすかは人によります。もっとも多い「半年~1年未満」はかかると考えておいた方がよいでしょう。

注文住宅の契約までにかかった期間
建築会社選びの情報収集。何を参考にして決めた?
ここからは会社選びの情報収集について見ていきましょう。
家を建てるときには、どのハウスメーカーや工務店にするか、建築設計事務所に依頼するかを決めなければなりませんが、どのような情報を見て判断したのでしょうか。結果は以下のようになりました。
会社選びに利用した情報源(複数回答可) | % |
|---|---|
モデルハウス・住宅展示場などを見学した | 59.1 |
ハウスメーカー・工務店・設計事務所のホームページを見た | 50.8 |
インターネット上のお役立ち記事を読んだ | 32.2 |
不動産情報ポータルサイトを見た | 30.6 |
SNS(Twitter、Instagramなど)を見た | 29.4 |
実際に家を建てた人のブログや口コミを読んだ | 28.4 |
知人・友人から話を聞いた | 28.0 |
YouTubeなど動画を見た | 21.7 |
チラシ・ダイレクトメールを見た | 16.6 |
地図情報・路線情報が分かるWebサイトを見た | 15.1 |
住宅・不動産関連のフリーペーパー・無料情報誌を読んだ | 14.4 |
住宅・不動産関連の情報誌(有料)を読んだ | 12.4 |
第三者の相談窓口・専門家に相談した | 12.2 |
その他 | 1.7 |
あてはまるものはない | 4.8 |
もっとも多かったのは、「モデルハウス・住宅展示場などを見学した」で59.1%となりました。次いで多かったのが、「ハウスメーカー・工務店・設計事務所のホームページを見た」で50.8%です。これに、「インターネット上のお役立ち記事を読んだ」(32.2%)、「不動産情報ポータルサイトを見た」(30.6%)、「SNSを見た」(29.4%)、「実際に家を建てた人のブログや口コミを読んだ」(28.4%)が続きます。
リアルとネットの情報をうまく組み合わせて収集していることが分かります。実際にモデルハウスを訪れて自分で雰囲気を体感し、SNSやブログ・口コミなどを見ていろいろな人の視点を取り入れると、より特徴をつかめるようになっていいかもしれません。
インターネット上のお役立ち情報や不動産情報ポータルサイトなどで広く、客観的な情報収集をしていくことも重要です。建てたい会社が決まっていないときは、気になるテーマのカタログを取り寄せてみてもいいでしょう。
注文住宅カタログを探す
なお、直近6ヶ月以内に家を建てた人に限定すると、全体に比べて「SNS」「動画」の割合が高まっています。今後の新たな情報収集スタイルとして、定着していく可能性がありそうです。
建築会社に問合せをする前にやった方がいいことは「希望条件の整理」と「費用試算」
モデルハウスや住宅展示場の見学は会社を決める際に役立ちますが、いきなり見に行くのが正解とは限らないようです。“不動産会社に連絡する前”にやった方がよいことを聞いたところ、「希望条件の整理をする」(46.7%)、「住宅の購入に使える費用を試算する」(40.7%)が、「モデルハウス・住宅展示場を見に行く」(39.8%)を上回る結果となりました。
建築会社に問合せをする前にやったことがいいこと(複数回答可) | % |
|---|---|
希望条件の整理をする | 46.7 |
住宅の購入に使える費用を試算する | 40.7 |
モデルハウス・住宅展示場を見に行く | 39.8 |
今後の生活に必要な費用を試算する | 37.2 |
ハウスメーカー・工務店・設計事務所の口コミを見る | 28.9 |
住宅ローンの組み方を検討する | 28.4 |
ファイナンシャルプランナーに相談する | 19.6 |
不動産情報ポータルサイトでカタログ・資料を取り寄せる | 15.8 |
住宅に関する相談窓口に話を聞く | 14.3 |
銀行に相談する | 10.6 |
あてはまるものはない | 6.4 |
なお、時期別に比較すると、過去6ヶ月以内に建てた人は全体に比べて、事前に費用を試算した人が多い傾向が見られます。
「2021年フラット35利用者調査(※)」によれば、注文住宅の建築費用は上昇傾向にあります。だからこそ資金計画をしっかり立ててから、マイホーム購入に踏み切る人が多かったのではないでしょうか。
※参照:2021年フラット35利用者調査
手軽に費用を試算できる方法として、「住宅ローンシミュレーター」や家計から試算できるシミュレーションツール「おうち予算シミュレーション」もあります。すぐに結果が分かるので上手に利用しましょう。
自分だけでは不安な場合にはファイナンシャルプランナーや、「住まいの窓口」など中立のアドバイザーに相談してみるといいでしょう。
モデルハウスの見学は「4~5軒」、見積もりは「2~3社」
モデルハウスは何軒程度、見て決めているのでしょうか。調査結果でもっとも多かった回答は「4~5軒」(32.2%)でした。
また、見積もりを依頼したのは「2~3社」が45.2%と半数近くを占めました。見積もり依頼よりも、モデルハウスの見学数の方が多いことから、モデルハウスを見積もりの判断材料やプラン検討にも利用したことがうかがえます。
自由意見では以下のような声もありました。
「できるできないは関係なく、いろいろな建物や設備などを見ておく。自己判断ではなく、こうしたらいくらかかるかなど何パターンも予算を出してもらうことで、後から後悔することが少なくなると思う」(岐阜県/50歳以上女性)
「こだわりの家を建てたいなら、何社も建築会社を見たりモデルハウスを見学したりするといいと思います。それぞれの会社によさがあるので、それを融合できるかなと」(静岡県/35歳~49歳男性)
設備や仕様の違いを知って判断材料を得るために、モデルハウスは少なくとも2軒以上見ること、また、比較するために見積もりは複数社に依頼することがおすすめです。
建築会社を探す 注文住宅カタログを探す専門家からのワンポイント
モデルハウスを見すぎても、情報が多くてかえって混乱してしまうこともあります。また予算を考えてあきらめざるをえず、満足感を下げる結果になってしまうことも。
そのため、情報収集は幅広く行い、実際に優先順位をつけて絞り込んでから見学すると判断しやすいでしょう。
家を建てる会社を選ぶ最終的な決め手は?
さまざまな情報を収集したうえで、最終的に会社を選ぶ決め手は何だったのでしょうか。実は一番多い回答は「担当者との相性」(41.4%)となりました。価格や設計ではないようです。
2位は僅差で「住宅性能(高気密・高断熱、省エネなど)」(39.7%)となりました。これに「希望の間取り・デザインをかなえる設計」(31.9%)、「提案内容と見積価格のバランス」(29.9%)が続きます。
家を建てる会社を選ぶ決め手になったこと(複数回答可) | % |
|---|---|
担当者との相性 | 41.4 |
住宅性能(高気密・高断熱、省エネなど) | 39.7 |
希望の間取り・デザインをかなえる設計 | 31.9 |
提案内容と見積価格のバランス | 29.9 |
アフターサービス・保証 | 27.1 |
建築工法・構造(木造軸組工法、2×4工法、RC造など) | 23.9 |
柔軟な対応 | 22.9 |
価格の安さ | 19.1 |
過去の建築実例 | 18.9 |
口コミ・評判 | 17.5 |
実績の多さ | 17.4 |
親族・友人・知人からの紹介・おすすめ | 16.8 |
建てたいエリアの情報に精通している | 15.8 |
知名度 | 14.2 |
得意なデザイン | 14.1 |
その他 | 4.0 |
時期別に見てみると、6ヶ月超から1年以内に注文住宅を建てた人は、「住宅性能」よりも「提案内容と見積価格のバランス」など価格を重視する傾向にありました。一方、6ヶ月以内に家を建てた人は「住宅性能」が高く、「口コミ・評判」「担当者との相性」も全体を5ポイント以上上回っています。
このことから、より長い目で見て住み心地のよい家を選んでいる人が増えたと考えられます。また、住宅ローン控除やこどもみらい住宅支援事業など、住宅の省エネ性能に応じて控除額や補助金が異なることも後押ししているかもしれません。
担当者との相性を重視した方がよいのは、なぜなのでしょうか。
「注文住宅でも、結局はお任せになる部分が出てくるので、信頼できる会社や担当者を見つけることが一番だと思う。自分の考えを持って話を進め、妥協はなるべくしない方がいい」(20歳~34歳男性/北海道)
「家を建てることについてほとんど下調べをしていなかったので、担当者の提案に乗る形で家づくりが進んだ。安心して任せていたが、結果的には至る所で自分たちの思っていた広さやデザインではなく…。もっと自分たちでちゃんと勉強してから家づくりを始められたらよかった」(20歳~34歳女性/新潟県)
プランにもよりますが、ある程度は担当者に任せたり頼ったりする部分があります。そこで、自分たちの意見を聞いて具現化してくれたり、あるいは円滑なコミュニケーションを通じて自分たちの意見がしっかり伝わることが重要になりそうです。そのためにも希望条件を事前に整理をしてから、相談に臨む方が齟齬なく進められるでしょう。
担当者選びなら「住まいの窓口」に頼る方法も
「住まいの窓口」では、希望条件に合いそうな会社を提案してもらえるほかにも、中立のアドバイザーに担当者の希望を伝えたり、担当者を変更してもらうことも可能です。担当者選びに不安がある人は、活用してみるといいでしょう。
住まいの窓口
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LIFULL HOME’S 総研 副所長 兼 チーフアナリスト 中山 登志朗
調査概要
【調査実施期間】
2022年8月26日(金)~8月30日(火)
【調査対象者】
現居住地:全国
過去3年以内に土地を購入して注文住宅を建て、注文住宅の検討に一定関与した20~69歳の男女(学生を除く)
【調査方法】
インターネット調査
【有効回答数】
500人
更新日: / 公開日:2022.10.19













