粉もんだけじゃない! 大阪の郷土料理の魅力と家庭のレシピ

粉もんだけじゃない! 大阪の郷土料理の魅力と家庭のレシピ

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「大阪の食べ物」といって皆さんが思いつくものは何ですか? 多くの人が、たこ焼き、お好み焼きといった「粉もん」を挙げるのではないでしょうか。

でも、大阪らしいおいしさはそれだけではありません。何といっても「天下の台所」「食いだおれ」と言われる大阪ですから…!

そこで今回は「大阪で生まれた女」であり、今も大阪のど真ん中で家族の食卓をあずかるワタクシが、この地に隠れた郷土料理の魅力をお伝えしましょう。併せて、おすすめしたいレシピもご紹介します!

大阪にはうまい郷土料理がいっぱいあるんやで~

わが家の子どもたちが小さい頃、「お〜さかに〜は、う〜まいもんが、いっぱいあるんやで〜」とよく歌っていました。この「大阪うまいもんの歌」は、「イーアイ・イーアイ・オー」で有名なアメリカ民謡「ゆかいな牧場」の替え歌です。大阪の人形劇団の活動から生まれたそうで、府内の保育園や幼稚園に広がり、うちの子どもたちも先生から教わっていました。

この替え歌の歌詞に出てくるのは、たこ焼き、ぎょうざ、お好み焼き、豚まん。なるほど大阪らしさがあり、たこ焼きやお好み焼きは家庭でも作るので郷土料理といえますが、ぎょうざや豚まんの知名度は企業の力によるところが大きいでしょう。

郷土料理とは、各地域の気候風土や特産物、歴史などの影響を受け、独自に発展してきた料理のことをいいます。あまりにも生活に溶け込んでいるため、派手に目立つ料理は少ないのですが、そこには家庭ならではの知恵やぬくもりがあります。

では、大阪の家庭で脈々と受け継がれてきた郷土料理には、一体どんな特徴があるのでしょうか。

まったりと、だしを効かせて合理的に

大阪の郷土料理に共通するキーワードは、「まったり味」です。「甘っ! 」とか「辛っ! 」といったパンチは効いていません。その代わり、口にするとホッとするようなやさしさがあり、じんわり、まろやかなコクが感じられます。

そして、この「まったり味」を支えているのが「だし」。昆布やかつおぶし、干し椎茸など、料理に合わせた食材を使ってだしをとり、料理のベースにします。だし文化がなければ、大阪の郷土料理はここまで発展していなかったでしょう。

よく、うどんつゆについて「関東は濃い、関西は薄い」と言われるように、大阪のだしは基本的に色が薄く、あっさりしています。昆布でだしをとることが多く、醤油もうすくちを使うことが多いからです。

これには理由があり、関西の水は関東よりも軟水なので、昆布のうま味成分であるグルタミン酸が溶け出しやすいのです。うすくち醤油は昆布だしの上品さや透明感を損なわないよう、風味づけ程度に使います。

こうしただしを使い、鯨の肉を使った「はりはり鍋」や、茶碗蒸しにうどんを入れた「小田巻き蒸し」、鯖と大根で作る「船場汁」など、さまざまな郷土料理が生まれました。

また大阪の郷土料理は、「かやくご飯」や「バラずし」のように、具だくさんなものが多いことも特徴です。これは、大阪には商売をしている家庭が多く、家族経営でお母さんも忙しくしていたことが影響しています。一度に色々な食材を食べて栄養を摂取できるメニューを…という、実に合理的な考え方といえるでしょう。

「昆布ロード」で始まった、だし文化の歴史

昆布は、大阪から遠く離れた北海道が主な産地です。その昔、日本の中心地が京都や大阪であった頃、昆布は「昆布ロード」と呼ばれるルートで航路と陸路によって運ばれていました。

江戸時代になると、下関を経由して、大阪まで船だけでつながるルートが開かれたことから、大阪・堺が昆布の集積地となり、だしも昆布でとることが定着しました。当時、北海道から関東まで太平洋を渡って昆布を送ることは難しく、昆布は関東地方には広まりませんでした。そのため関東では、主にかつおぶしを使ってだしをとるようになったということです。

関西の水が昆布だしに向いているだけでなく、生産地からの輸送ルートが開けたことも後押しとなって、大阪のだし文化が花開いたのですね。

大阪の郷土料理に使われる地域の食材

大阪の郷土料理のベースは、だし。では、使う食材はどんなものでしょうか。

大阪は古墳時代、応神天皇の時代にいち早く開港し、日本の貿易港として栄えてきた歴史があります。そのため、日本各地の食材が手に入り、外国の料理も早く普及し、「天下の台所」と言われるほど食文化が発展してきました。

しかし、盆地状の地形で風通りが悪く、夏は暑く、一年を通して雨が少ないという土地柄から、他に比べて「地域の食材」といえるものの数は多くありません。それでも、伝統的に栽培されてきた野菜の在来品種があり、これらは「なにわの伝統野菜」として認証制度が整えられています。郷土料理にもよく使われているので、ぜひ注目してみてください。

うちの息子は今、中学校での取り組みとして、なにわの伝統野菜のひとつである「大阪しろな」を育てています。食育の一環として、このような活動は素晴らしいですね。収穫して持ち帰ってきた日には、大阪しろなを使ったメニューを食卓にのせ、伝統の味をわが子にも教えたいと思っています。

作ってみよう! 大阪の郷土料理4選

合理的に工夫された主食「かやくご飯」

さまざまな具材を加えた炊き込みご飯が「かやくご飯」。かやくは漢字で「加薬」と書きます。
大阪の中心部には薬問屋が多く、漢方薬を混ぜて調合することを「かやく(加薬)」と言いました。このことから、ご飯に多くの種類の具材を混ぜ込んだものを「かやくご飯」と呼ぶようになったのです。

ご飯が冷めてもおいしく、具材がたくさん入っているので、これ一品で満足。残り物の野菜などをムダなく使えることも人気の理由です。

<材料(4人分)>
米…2カップ
だし汁…2カップ
うすくちしょうゆ…大さじ2
酒…大さじ1
塩…少々
ごぼう…20g
人参…20g
里芋…80g
こんにゃく…20g
油揚げ…10g
ちくわ…20g
きざみのり…適量

<作り方>
② 米は洗って30分以上おく。
②ごぼうはささがきにし、水にさらしてアクを抜く。人参は3cmの千切り、里芋は皮をむいて塩もみして洗った後4つ切り、こんにゃくは3cmの千切り、油揚げは小口切り、ちくわは小さく切る。
③米と具、調味料、だし汁を入れて炊き上げる。
④器に盛ってきざみのりをちらす。

牛肉とはひとあじ違う「かしわのすき焼き」

「かしわしばきにいかへん? 」が、某フライドチキンのお店への誘い文句であることは、もはや都市伝説のようになっていますが、「かしわ」が鶏肉を指す大阪の方言であることは事実です。今も、ご高齢の方からはよく聞きます。

昔は大阪のそこそこ都市部でも、庭先で鶏を飼い、特別な日には主人が鶏を締めて客人にふるまう習慣がありました。牛肉のすき焼きも美味ですが、「かしわのすき焼き」もかなりおすすめ。牛肉に比べて安価なのもうれしいですね。

春菊がまた、いい仕事をするので、苦手でなければどっさり入れましょう。最後に煮詰まった汁を水で少しのばし、卵でとじれば、締めのミニ親子丼も楽しめます。

<材料(4人分)>
鶏もも肉…800g
白菜…200g
葉ねぎ…3杷
春菊…1杷
焼き豆腐…1丁
糸こんにゃく…250g
水…0.5カップ
砂糖…大さじ3
しょうゆ…50cc

<作り方>
①鶏肉は大きめの一口大に。白菜は3cm、葉ねぎと春菊は5cmぐらいの長さに切る。焼き豆腐は縦半分に切って四角に切る。
②深めのフライパンに水、しょうゆ、砂糖を入れて煮立ったら鶏肉を入れ、こんにゃくや野菜を入れながら食べ頃まで煮る。

秋冬に芯からあったまる汁物「粕汁」

「かすじる」と読みます。だし汁に根菜類や鮭をたっぷり入れ、酒粕を煮溶かした具だくさんな汁物です。

私はまったくお酒が飲めず、甘酒も苦手なのですが、なぜかこの粕汁だけは小さい頃から大好きでした。今も実家に帰ると母が作ってくれる、私にとってのおふくろの味です。汁がどろどろするほど、惜しみなく酒粕を入れるのがわが家流です。

ずっと全国区の料理だと思っていたのですが、関東の友人に聞いてみると「食べたことない。見たこともない」という反応で驚きました。調べてみると、大阪では北摂地域で酒造りが行われ、酒どころの灘や伏見も近いため、冬になると搾りたての酒粕が出回って安価に入手することができたそうです。粕汁はそれを使って大阪に根づいた料理なのですね。

<材料(4人分)>
だし汁…3カップ
大根…60g
塩鮭…60g
油揚げ…12g
人参…20g
里芋…40g
葉ねぎ…12g
こんにゃく…20g
酒粕…60g
みそ…20g

<作り方>
①酒粕は細かくちぎってすり鉢に入れ、ひたひたに湯を入れてやわらかくしておく。
②大根、人参は4〜5cmの短冊切りに。里芋は皮をむき塩もみしてから洗い、厚さ1cmの輪切りに。こんにゃくはサッと下ゆでして短冊切りに。
③鮭は一口大に切り、熱湯に通して臭みをとる。
④だし汁を煮立てて②を入れ、沸騰したら③を加えてアクを取り、根菜類がやわらかくなってくるまで5分ほど煮る。
⑤①をよくすり、みそもすり混ぜる。④に加えて根菜類に火が通るまで弱火で煮る。器に盛り、ななめ切りにした葉ねぎをのせる。

サッとできる手軽な副菜「小松菜の炊いたん」

大阪で「炊いたん」とは、だしを食材に含ませた煮物のことです。「イカと大根の炊いたん」などはその代表格です。

私はどちらかというと、ゆっくりコトコト煮るのが「炊いたん」のイメージでしたが、このレシピはいわゆる「サッと煮」で時間はかかりません。昔は、煮びたし料理を「炊いたん」と呼んでいたそうです。あと一品、というときに手早く作れて、鉄分やカルシウム豊富な小松菜をおいしく食べられる優秀レシピです。

<材料(4人分)>
小松菜…240g
白菜…160g
油揚げ…20g
砂糖…大さじ1
みりん…大さじ1
うすくちしょうゆ…大さじ2

<作り方>
① 小松菜と白菜は2cmに切る。
② 油揚げは1cm幅に切り、熱湯をかけて油抜きをしておく。
③ 鍋に野菜を入れ、ふたをして蒸し煮する。
④ ②と調味料を加えて、弱火で煮る。

大阪の郷土料理をもっと身近に

なにわの伝統野菜が採れるエリアはココ!

先ほどご紹介した「なにわの伝統野菜」は、北は豊能町・高槻市・茨木市、南は泉南市まで、大阪の広範囲で生産されており、全部で18品目あります。

中でも大阪市では、玉造黒門越瓜(たまつくりくろもんしろうり)、天王寺蕪(てんのうじかぶ)、最近になって認証品目に加わった難波葱(なんばねぎ)など10品目もの伝統野菜を生産。
市内は都会のイメージが強いかもしれませんが、平野部なので野菜を栽培しやすいのです。

スーパーの産直コーナーも要チェック

なにわの伝統野菜は、スーパーの産直コーナーや、道の駅などで手に入ります。認証マークをチェックしてみましょう。今はネットで生産者さんと直接つながれるシステムもあります。

また認証を受けていない野菜でも、スーパーの産直コーナーや道の駅には、地元の生産者さんが育てる、地域の気候風土に合った新鮮な野菜が売られています。ぜひ目を向けてみてください。

まとめ

そこに暮らしてきた人々の思いを集め、さまざまに発展してきた郷土料理。地域の食材がよく使われているため、郷土料理を楽しむことは「地産地消」に貢献することにもつながります。
まだ知らなかったその魅力を、食べて、感じて、土地の恵みに感謝しながら健やかな毎日を送りましょう! 

Matsuyakko

Matsuyakkoライター/編集者/プランナー

専門知識:住宅・住宅設備関連の知識が豊富。もともとインテリアや建築が大好きで、趣味と実益を兼ねて仕事をしている。「お宅拝見」的な取材を数多く経験し、これまでに取材した実例は200邸以上。

※このページの内容は、2021年1月12日時点での情報です。掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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