高円寺の朝は遅い
高円寺の朝は、正直いって遅い。もちろん、ごく一般的な会社に勤めている人も住んでいるから、朝の通勤ラッシュ風景は見られるけれど、「さぁ朝だ!」というようなシャキっとした活動的な空気が、ほかの街に比べてちょっと少ない気がする。少しけだるい雰囲気というか、街の動くスピードがゆるやかなイメージ。「気のせいか…」と思っていたら、やっぱりその感覚は間違っていなかったよう。
チェーン店など、朝早くから開いているお店もあるけれど、多くのお店は開店時間が遅め。通勤客がたくさん乗り換えるターミナル駅だと、出勤前のサラリーマンを狙った「朝ごはん戦争」的なものがあったりするけれど、高円寺の飲食店はそんなもの見向きもしない。なぜって、高円寺が一番活気づくのは夕方からだから。
高円寺は、バンドマンやショップの店員、編集者など、ちょっとアート寄りの人が多い街。不規則な仕事で、夜中まで働いている人も多いから、その生活スタイルにあわせて深夜まで営業しているお店が多い。街を歩いていてもシャッターが降りているところが多くて、「街全体が夜に向けてエネルギーを充電している最中」という印象。

朝はすっかりシャッターが降ろされている。
飲食店も午後からの営業が多い
新宿まで2駅7分。 都心まで10分以内という好アクセス
朝が遅いといっても、普通に通勤・通学している人ももちろんいる。そんな人たちにとって、新宿までJR中央線快速で7分という近さは、最大の魅力。新宿や代々木あたりの専門学校に通う学生に人気があるのもうなずける。ただ、電車は八王子(下り)方面から乗ってくる人で超満員。でも新宿までたった2駅だから、そこはちょっとガマンして。
JR線の阿佐ヶ谷方面の高架下は「高円寺ストリート」と呼ばれる商業エリア。飲食店や古書店が並んでいて、奥には駐輪場も整備されている。雨の日でも濡れずに駅まで行けるから、JR高円寺駅を使って通勤する人にとっては、ココはなかなか便利なルート。ちなみに、駅から南へ延びる「高円寺パル商店街」もアーケードになっている。こんな風に、快適な通勤・通学ルートを事前に知っておくのも、賢い物件選びのポイント。

中央線と中央・総武線が停車する高円寺駅。
高架下にある高円寺ストリートも朝は静か
街中が熱気を帯びる、都内屈指のお祭り「東京高円寺阿波おどり」
1957(昭和32)年、パル商店街青年部が「街を活性化したい」という思いからスタートしたのが、「東京高円寺阿波おどり」。毎年8月末の週末に開催され、今では100万人以上の人出となる大人気のお祭りだ。JR 高円寺駅を中心に8つの演舞場が設けられ、1万人の踊り子が高円寺に集結する。
踊りが見学できる場所でお祭りのスタートを待っていると、「これから通りにゴザを敷きます」と、主催者からのアナウンスが。座って見物できるように、通りの両側にゴザを敷いてくれるという。主催者側がここまで準備してくれるって、あまりない気がする。「勝手に見てね」というスタンスではなく、観客のことを考えた粋なはからいに、高円寺の人のやさしさを感じる。
お祭りが始まると、鐘や太鼓のにぎやかな音が、街に響き渡る。美しい「女おどり」、腰を低く粋に踊る「男おどり」など、参加する連によって踊り方もさまざま。この日のために練習を積んできた踊り子たちの真剣なまなざしに、見ているこちらも徐々にテンションがあがってくる。隣に座っていた見知らぬ人と、すっかりお友達になってしまったりするのも、お祭りならではのこと。
踊りを見ながら通りを歩いていると、沿道の屋台がほかのお祭りとはちょっと違うことに気づく。他からやってくる屋台は見当たらず、商店街の各店がオリジナルのフードやドリンクを販売しているのだ。インド料理店はインドスナック、八百屋さんはキュウリのお漬物串、居酒屋さんは焼鳥。どのお店も「いらっしゃい!おいしいよ!」と威勢のいい声をあげている。「よう!色男!」なんて気軽に声をかけてくるお店の人たち。見物客や踊り子は高円寺在住ではない人が多いけれど、「舞台を支えるのは俺達だ!」といわんばかりに、街をあげてお祭りを盛り上げている雰囲気が、高円寺の人や街全体から伝わってきた。
※2011年09月22日の情報です。最新の情報は訪れる前にご確認ください。

東京高円寺阿波おどり

東京高円寺阿波おどり

祭り期間中は高円寺全体が盛り上がる
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更新日: / 公開日:2011.09.22










