大江戸線の延伸の計画内容とは
大江戸線の光が丘駅から大泉学園町駅(仮称)までの延伸計画が具体化しつつある。大江戸線の延伸は、2016年4月に行われた交通政策審議会答申で「進めるべき」プロジェクトとして位置づけられている。
交通政策審議会とは国の諮問機関であり、おおむね15年に1度のペースで今後の鉄道のあり方についての審議が行われている。鉄道施策は交通政策審議会の答申の考え方を基に進められることから、交通政策審議会で進めるべきと判断されたことで実現の蓋然性は高まったといえる。2016年4月の交通政策審議会において、都内で進めるべきプロジェクトとされたのは以下の6つの計画である。
都営大江戸線の延伸(光が丘~大泉学園町)
羽田空港アクセス線の新設(田町駅付近・大井町駅付近~羽田空港)
新空港線の新設(矢口渡~蒲田~京急蒲田~大鳥居)
有楽町線の延伸(豊洲から住吉)
多摩都市モノレール(上北台~箱根ヶ崎)
多摩都市モノレール(多摩センター~町田)
大江戸線の延伸に関しては、2016年の交通政策審議会では実は光が丘駅から埼玉県のJR武蔵野線東所沢駅までの延伸が議論されていた。ただし、交通政策審議会の答申では、大泉学園町駅を境に異なる見解が示されている。
まず、光が丘駅から大泉学園町駅までの延伸に関しては、導入空間となりうる道路整備が進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において費用負担のあり方などについて合意形成を「進めるべき」と判断されている。つまり、光が丘駅から大泉学園町駅に関してはGOサインが出たということだ。
一方で、大泉学園町駅から東所沢駅までの延伸については、事業性に課題があり、関係地方公共団体等において、事業性の確保に必要な沿線開発の取り組みなどを進めたうえで、事業計画の十分な検討が行われることを「期待」と判断されている。つまり、東所沢駅までの延伸は頓挫したわけではないが、東京都と埼玉県にまたがる延伸となることから、関係地方公共団体が協調して事業計画を検討することが期待されている段階にあるということだ。
よって、大江戸線の延伸は、当面の間は光が丘駅から大泉学園町駅までで行われるということになる。光が丘駅から大泉学園町駅までの延伸距離は約3.2kmであり、開業時期は今のところ未定である。
新駅の場所
光が丘駅から大泉学園町駅までに関しては、練馬区内において土支田駅、大泉町駅、大泉学園町駅という3つの駅が新設される予定である(3駅名は現時点ですべて仮称)。
光が丘駅から大泉学園町駅までのエリアは鉄道駅から1km離れた鉄道空白地域となっており、延伸することで当該地域の利便性が大きく向上する見込みだ。現在、都営大江戸線が延伸する地上部分においては、都市計画道路補助230号線の整備が進められている。
土支田駅周辺は、土地区画整理事業も終えており、現在は更地の交通広場となっている。所在は練馬区土支田2丁目16の街区であり、延伸決定後は駅前広場として二次整備される予定である。
大泉町駅は、まだ都市計画道路補助230号線が開通しておらず、地上の道路整備はしばらく時間がかかりそうである。新駅の場所は、練馬区立大泉町もみじやま公園の南側付近で東京外環自動車道と新しくできる都市計画道路が交差する辺りに計画されている。
大泉学園町駅も、まだ都市計画道路補助230号線の拡幅が完了しておらず、地上の道路整備はしばらく時間がかかると思われる。新駅の場所は、大泉学園通りと都市計画道路補助230号線が交差する現在家電量販店が立つ交差点辺りに計画されている。
これまでの検討の経緯
大江戸線の延伸は、長い年月と多くの人の努力が費やされて現段階に至っている。光が丘駅以西の延伸計画はかなり早い段階から議論されており、1985年の運輸政策審議会答申第7号において、「光が丘~大泉学園町」間の計画が追加されている。1988年には大江戸線延伸促進期成同盟が設立され、延伸に向けた活動が開始される。
2000年には大江戸線が全線開業となるが、この年に運輸政策審議会答申第18号で「光が丘から大泉学園町」間が目標年次までに整備着手することが適当である路線と位置づけられている。
その後、2005年には土支田中央土地区画整理事業が着手され、2006年には笹目通りから土支田通り区間の都市計画道路補助230号線が事業認可される。この頃から延伸の実現性が少しずつ出始めており、練馬区では2007年より「大江戸線延伸ニュース」の第1号を発行している。大江戸線延伸ニュースは長きにわたり発行され続け、2023年には第25号が発行されるに至っている。
また、2015年には東京都との実務的協議が開始され、2016年には交通政策審議会答申第198号において「光が丘から大泉学園町」間が進めるべきプロジェクトの一つに位置づけられた。直近では、2023年2月21日に東京都が副知事をトップとする庁内検討組織を設置したと公表している。
延伸で期待される効果
延伸で期待される効果は、以下の点が挙げられる。
・練馬区北西部の鉄道空白地域の改善
・練馬区北西部と新宿副都心間の移動にかかる所要時間の短縮
・まちづくりによる地域の活性化
・道路混雑緩和や地球環境への影響緩和、防災機能の向上
効果として大きいのは、練馬区北西部にある鉄道空白地域の解消である。鉄道ができることで都心部への移動時間が短くなり、西武池袋線等の周辺路線の混雑の緩和も期待される。
大江戸線延伸ニュース第17
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/machi/kakuchiiki/oedo/4.files/enshinnews17.pdf
によると、現状では新駅が想定されている大泉学園町駅から新宿までは49分かかるのに対し、延伸後は31分(18分の短縮)でアクセスできる見込みとなっている。
新宿まで直通で30分程度となれば、通勤に非常に便利なエリアとして注目されることになる。池袋へも28分で行けるようになることから、勤務先が新宿や池袋の人にとって新たな住まいの候補地になると期待される。
今後の課題
大江戸線延伸の課題は、鉄道事業の経営の安定性を確保することが挙げられる。経営の安定性を確保するには、「鉄道用地費を削減する」ことと、「安定した利用者を確保する」ことの2点の対策が必要となってくる。
1つ目の対策である鉄道用地費の削減については、導入空間である都市計画道路の補助230号線を整備することで大幅な経費削減をする計画だ。補助230号線の用地取得は「土支田・高松地区」から開始しており、徐々に大泉町駅(仮称)と大泉学園町(仮称)駅の方面に向かって拡大している状況にある。
2023年春に練馬区が発行した 「大江戸線延伸ニュース(第25号)」によると、土支田通りから外環道の約850mにおける用地取得率は約93%となっている。土支田通りから外環道までの都市計画道路の整備は、事業認可期間が2028年(令和10年)3月までである。
また、外環道から大泉学園通りの約1,250mにおける用地取得率は約68%となっている。外環道から大泉学園通りまでの都市計画道路の整備は、事業認可期間が2027年(令和9年)3月までである。都市計画道路の事業認可期間から推測すると2028年3月までには地上部の道路整備が終わるため、地下鉄の延伸工事は恐らくそれ以降になると思われる。
2つ目の対策である安定した利用者を確保することについては、周辺のまちづくりを進めて新たな生活拠点を形成し、住民を増やしていく計画だ。新駅の周辺や都市計画道路補助230号線の沿線には、複数の地区計画が指定されており、道路の拡幅と同時に街づくりも行われている。地区計画では住宅を整備するだけでなく、駅周辺に店舗やサービス施設も建築できる内容にもなっており、広域的に人を呼び込める街となることも期待される。
2016年4月の交通政策審議会答申では、大泉学園町駅から先の東所沢駅までの延伸については事業性に課題があるという理由で進めるべきプロジェクトとはならなかった。今後、大泉学園町駅から東所沢駅までの延伸も実現していくには、光が丘駅から大泉学園町駅までの延伸で成功モデルを示すことも必要となってくる。
実現に向けて長年多くの人が関わってきたプロジェクトであるため、東所沢駅への延伸にもつながる計画になることを期待したい。










