- 親からの資金援助「贈与」の注意点
- 親から資金を贈与してもらう場合、原則として贈与税がかかります。しかし、住宅購入資金の贈与には税負担を軽減できる非課税特例などがあるため、利用できる制度の仕組みや要件を事前に確認しておくことが大切です。
詳しくは、「資金を贈与してもらうときの注意点」をご覧ください。 - 親からの資金援助「借入」の注意点
- 親からお金を借りる「借入」も資金援助の一つの方法です。親子間であっても、返済計画や金利を定めた借用書を作成しましょう。取り決めが曖昧だと贈与とみなされ、思わぬ贈与税が発生する可能性があるためです。
詳しくは、「資金を借り入れるときの注意点」をご覧ください。 - 親との物件「共用」での注意点
- 親と資金を出し合って住宅を「共用」名義にする方法もあります。この場合、親にも持分に応じた固定資産税などの負担が生じます。また、出資額と持分割合が異なると贈与とみなされるため、正確な登記が必要です。
詳しくは、「物件を親と共用するときの注意点」をご覧ください。
マイホームの購入にあたって、頭金を支払うことは住宅ローンの返済や金利の負担を減らす重要な役割を持っています。最近では貯金などの自己資金で賄えない場合は、親から援助を受けるケースも珍しくありません。
親に金銭的なサポートをしてもらう方法には、贈与、借入、共用の3つのパターンがあります。
どれも資金援助をしてもらえるといった点では大きなメリットがありますが、注意しておかなければならないデメリットもあるため、この記事を通じて仕組みを正しく理解しておきましょう。
親から資金援助を受ける3つのパターン

親から資金援助を受けるパターンとしては、「贈与」「借入」「共用」の3つの方法があります。
ここではまず、それぞれの具体的な内容について解説します。
パターン1:贈与
贈与契約とは、一方(贈与者)が相手(受贈者)に無償で財産を与えるという意思表示を行い、相手方も承諾することで成り立つ契約の一種です。つまり、贈与契約が成立するためには、双方の意思表示が前提になります。
なお、贈与には無償で財産を譲り渡すケースだけでなく、受贈者に一定の義務を負わせる方法もあります。これを「負担付贈与」と呼び、当事者同士が合意すれば「介護をしてほしい」「ペットの飼育をしてほしい」といったさまざまな条件をつけることが可能です。
この場合、受贈者が負担を負わないようであれば、贈与者が贈与契約を無効とすることもできます。
パターン2:借入
借入とは、文字どおり親から資金を借りて住宅の購入資金に充てる方法です。親子間のやりとりであるため、土地や建物を担保として設定する必要がなく、借入条件も柔軟に決められる点が大きなメリットとなります。
ただし、あくまでも借入金であるため、親子の間柄であってもきちんと返済計画や金利などの借入条件を決めておかなければいけません。
パターン3:共用
共用とは、複数人で1つの財産を所有することです。住宅の取得においては、親と子の共同で資金を出し合い、負担額に応じた持分を所有することを指します。
共用のメリットは、負担額に応じた登記を正確に行えば、実質的には援助であったとしても贈与とはならない点にあります。また、あくまでも共同で所有しているだけなので、必ずしも親子で同居しなければならないわけではありません。
ただし、共同で所有権を持つことからデメリットも生じるため、その注意点を具体的に把握しておくことが大切です。ここからは、贈与・借入・共用のそれぞれについて、どのような点に気をつけるべきか詳しく見ていきましょう。
無料で住まいの窓口に相談する 注文住宅カタログを探す資金を贈与してもらうときの注意点

親から資金を贈与してもらうときの注意点は、「親子間であっても贈与税がかかる」というポイントにあります。ここでは、贈与税の仕組みについて詳しく解説します。
贈与税の仕組み
贈与税とは、個人がほかの個人から財産をもらったときに課される税金のことです。ただし、贈与税には年間110万円の基礎控除枠が設けられているため、年間でもらった財産の合計額が110万円以下であれば税金はかかりません。
また、夫婦や親子などの扶養義務者から支払われる生活費や教育費は、原則として贈与にあたりません。そのため、親子間の金銭のやりとりで贈与税を意識するのは、多くの場合で住宅購入資金の贈与が初めてのケースとなるでしょう。
なお、贈与の金額は受贈者の立場に基づいて計算することとなっており、複数の個人から財産をもらった場合には、その合計額が課税の対象となります。
たとえば、父母のそれぞれから100万円ずつ贈与を受けた場合には、200万円の贈与を受けたことになり、贈与税が発生してしまう点に注意が必要です。
直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税特例
住宅の購入資金として親から贈与を受けた場合は、一定の要件を満たすことで贈与税が非課税になる制度が設けられています。
これは「直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税特例」と呼ばれ、住宅の購入やリフォームなどの費用を親から贈与されたときに、110万円の基礎控除に加えて以下の金額までが非課税になる仕組みです。
| 非課税枠 | 一般住宅 |
|---|---|---|
| 質の高い住宅 | 1,000万円 | 1,000万円 |
上記以外の住宅 | 500万円 | 500万円 |
質の高い住宅とは、以下のような住宅を指します。
| 質の高い住宅の要件 |
|---|
新築 以下のいずれかに該当する住宅 ・断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上 (2023年末までに建築確認を受けた住宅または2024年6月末までに建築された住宅は、断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上) ・耐震等級2以上または免震建築物 ・高齢者等配慮対策等級3以上
中古 以下のいずれかに該当する住宅 ・断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上 ・耐震等級2以上または免震建築物 ・高齢者等配慮対策等級3以上 |
なお、この特例を利用するためには、受贈者と家屋の2点について主に以下の要件を満たす必要があります。
受贈者の要件 |
|---|
・贈与者の直系の子や孫であること ・贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること ・贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下(床面積40平米以上50平米未満の新築の住宅用家屋である場合は1,000万円以下)であること ・自己の親族などの特別の関係のある人からの取得や請負契約等をしたものではないこと ・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその資金の全額を住宅用家屋の取得等に充てていること ・贈与を受けた翌年の3月15日までに居住していること、または居住が確実に見込まれていること |
家屋の要件 | |
|---|---|
新築 ・床面積が50平米以上240平米以下(合計所得が1,000万円以下の場合は40平米以上50平米未満)であること ・床面積の2分の1以上が居住用であること
| 中古 ・新築と同様の条件を満たしていること ・以下のいずれかの条件に該当すること 1.1982年以降に建築された住宅 2.耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し、既存住宅売買瑕疵保険付保証明書のいずれかを提出 |
このうち、家屋の要件は「住宅ローン控除」の条件と類似しているため、併せて確認しておくといいでしょう。
相続時精算課税制度
贈与税の課税を減免できるもう1つの仕組みとして、「相続時精算課税制度」があります。
この制度は、贈与時に110万円の基礎控除に加えて2,500万円までの特別控除枠があるため、その金額までは贈与税が発生せず、相続時まで課税を繰り延べることができる仕組みとなっています。
なお、2,500万円を超えた部分については一律で20%の税金が課されますが、通常の贈与と比べると税率が低い点が大きなメリットです。
また、この制度の対象となった財産は、贈与者の相続時に課税財産として相続税の計算に取り込まれるため、贈与時に納税した金額は相続時に最終的な相続税と精算されます。
この仕組みが「相続時精算課税制度」と呼ばれる理由です。
資金を借り入れるときの注意点

続いて、親から資金を借り入れるときの注意点について見ていきましょう。
贈与とみなされると贈与税がかかってしまう
親子間の借入では、返済条件や金利などを柔軟に設定できる点がメリットとなります。しかし、きちんと段取りを踏んでおかなければ贈与とみなされ、思わぬ贈与税が発生してしまうこともあるため注意が必要です。
まず、明確に借入であることが分かるように、返済計画と金利を設定したうえで借用書を作成しましょう。借用書があれば、後から返済をめぐるトラブルが発生してしまうのを防ぐこともできます。
また、「返済不能な高額な借入」「金利ゼロあるいは極端な低金利」「返済期限を設けていない」「約定どおりに弁済がされていない」といった理由から贈与とみなされてしまうケースもあるため、取り決めの内容にも注意し、その取り決めにしたがって計画的に返済をすることが大切です。
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物件を親と共用するときの注意点

次に、共用を行う際に気をつけるべきポイントについて解説します。共用においては、大きく分けて2つの注意点があります。
親にも税金を負担させてしまう
共用によって親に持分割合が発生すると、共同で新たに住宅を取得したことになりますので、親も不動産取得税や固定資産税の一部を負担することになります。
税額は持分に応じた割合で決まるため、親に多くの資金を出してもらった場合は、子よりも負担が大きくなってしまう可能性があります。
そのため、トラブルの原因とならないように、あらかじめ購入後の税負担についても話し合っておくことが大切です。
負担割合と持分割合が異なると贈与とみなされてしまう
共用においては、金額を負担した割合に基づいて持分割合を設定する必要があります。
たとえば、4,000万円の住宅を購入するにあたって、「子が2,500万円」「親が1,500万円」の資金を負担したとき、持分は「子62.5%」「親37.5%」となります。
しかし、仮に子の持分を80%と登記してしまうと、差額の17.5%(700万円)が親から子へ贈与されたとみなされてしまうのです。このケースでは、贈与額が基礎控除の110万円を超えているため、贈与税が発生することとなります。
そのため、共用を行う際には、「いくら資金援助をしてもらうのか」「住宅の購入額の何%にあたるのか」をあらかじめ明確にしておくことが重要です。
資金援助の相談はどのタイミングですべき?

住宅の購入・建築においては、何よりもまず予算を明確にしましょう。予算が曖昧な状態でプランを決めても、後から計画を変更せざるを得なくなり、スケジュールに無駄が生じてしまいます。
特に、親からの資金援助は予算に大きな影響を与えるポイントでもあるため、家の購入を検討するタイミングで後の資金負担のことまで話し合っておくことが大切です。
ただし、事前に相談することで、「購入そのものを反対されてしまう」「立地や間取りに口出しされてしまう」といったトラブルが起こる可能性があるのも確かです。
そのため、あらかじめ夫婦間で意見をすり合わせ、親の意見にも柔軟に耳を傾けられる余地をつくっておくことが大切となります。
また、住まいについて分からないことがあれば、無料で相談可能な「住まいの窓口」を利用してみるのも1つの方法です。
「住まいの窓口」では、家づくり・家探しに関するさまざまな悩みや不安について、ハウジングアドバイザーに無料で相談することができます。
住宅ローンや購入予算についても客観的なアドバイスがもらえるため、住まい探しの心強い味方となるでしょう。
住まいの窓口に相談するまとめ

- 親から頭金の資金援助を受ける方法には「贈与」「借入」「共用」の3つのパターンがある
- 贈与は親子間のやりとりであっても課税対象となるため、仕組みや非課税特例についてチェックしておく
- 借入は贈与とみなされてしまわないように、返済方法や金利を明確に設定したうえで借用書を残しておく
- 共用は親にも持分に応じた固定資産税などが発生してしまう点に注意
- 共用での贈与税の発生を防ぐため、資金負担額に応じた持分割合を正しく登記することが重要
よくある質問
Q1:親から住宅購入資金の援助を受ける方法はどのようなものがありますか?
A1:親から住宅購入資金の援助を受ける方法には、大きく分けて「贈与」「借入」「共有」の3つの方法があります。贈与は無償で資金をもらう方法、借入は親から資金を借りて返済する方法、共有は親と共同で住宅を所有する方法です。
Q2:親から資金を贈与してもらう場合、税金はかかりますか?
A2:はい、原則として贈与税がかかります。ただし、年間110万円の基礎控除があり、この金額以内であれば税金はかかりません。また、住宅の購入資金として親(直系尊属)から贈与を受ける場合は、「直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税特例」を利用することで、さらに一定額まで非課税になる場合があります。この特例には受贈者や家屋の要件がありますので、確認が必要です。
Q3:相続時精算課税制度とは何ですか?
A3:「相続時精算課税制度」は、贈与時に110万円の基礎控除に加えて2,500万円までの特別控除枠があり、この金額までは贈与税が発生せず、相続時まで課税を繰り延べることができる制度です。贈与された財産は、贈与者の相続時に相続税の計算に含まれ、贈与時に納税した金額は相続時に最終的な相続税と精算されます。
Q4:親から資金を借り入れる際に、贈与とみなされないための注意点はありますか?
A4:はい、親子間の借入であっても、明確に借入であることを示すために、返済計画と金利を設定し、借用書を作成することが重要です。また、「返済不能な高額な借入」「金利ゼロあるいは極端な低金利」「返済期限を設けていない」「約定どおりに弁済がされていない」といった状況だと贈与とみなされてしまう可能性があるため、取り決めに従って計画的に返済を行う必要があります。
Q5:親と住宅を共有する場合、どのような点に注意が必要ですか?
A5:親と住宅を共有する場合、親にも不動産取得税や固定資産税の一部を負担させることになるため、あらかじめ税負担について話し合っておくことが大切です。また、資金を負担した割合に基づいて持分割合を正確に登記しないと、実際の負担額と持分割合が異なる場合に、差額が贈与とみなされて贈与税が発生する可能性があります。
Q6:親への資金援助の相談は、いつ頃するのが良いですか?
A6:住宅購入・建築の予算を明確にする段階で、親からの資金援助についても相談しておくことが大切です。早い段階で話し合うことで、後の計画変更や無駄を避けることができます。ただし、親の意見にも柔軟に耳を傾けられるよう、事前に夫婦間で意見をすり合わせておくことも重要です。
更新日: / 公開日:2021.09.07










