「マンションはオートロックがあるから安心。でも、一戸建てのセキュリティ対策はどうしたらいいの?」といった不安を抱いたことはありませんか。
一般的に一戸建ては床面積が広く、足音やドアの開閉音などマンションほどは気にする必要がないので、ファミリー層に人気があります。しかしいざ一戸建てに住もうと思っても、どんな防犯対策が必要なのかイメージしにくいもの。
私はホームセキュリティの会社へ勤務していたため、一戸建てのセキュリティに対する多くの質問に答えてきました。そこで今回は、私の経験を活かし、一戸建ての防犯対策や物件選びのコツなどをご紹介します。
一戸建てで防犯対策が大切な理由とは?
一戸建ての住まいに、防犯対策は必要なのでしょうか?
広さや居住環境の快適さが一戸建ての住まいは魅力。ただし、一戸建てにはさまざまな観点からの防犯対策が必要です。なぜ防犯対策が必要なのか、詳しく見ていきましょう。
ドアや窓が複数ある
一戸建てには建物の特性上、出入りできるドアや窓が複数あります。生活をしている中で、玄関以外からも部屋に出入りできると、便利に感じる場面が多いでしょう。
窓が多いと、風通しも良く、部屋を快適に保てます。太陽光を部屋に取り入れやすく、居住空間を明るく保てるのも魅力的。しかし、ドアや窓が多くなると、それだけ施錠が必要な場所が増え、施錠し忘れてしまうと泥棒や強盗に侵入されてしまう可能性が高まります。
ドアや窓が複数ある一戸建てにはいくつものメリットがありますが、防犯対策も必要だと覚えておきましょう。
隣家と距離が離れている場合もある
マンションは必ず隣家と接していますが、一戸建ては隣家と距離が離れている場合もあります。そのため、洗濯の時間や掃除機の音など、神経質にならなくて済むところが魅力です。
共働き世帯の場合、日中に家事をこなすのは難しく、騒音の関係上、休日の昼間にまとめてこなすこともあるでしょう。一戸建てであれば、隣家と接していないため、ある程度自由な時間に家事をこなせます。足音やドアの開閉音など、神経質になる必要もないため、子育て世帯にぴったりです。
しかし、隣家と離れていると、空き巣に狙われやすくなります。理由はドアや窓のピッキングに気づかれにくいからです。隣家と離れていると、人に見られる危険性が低くなるため、空き巣にとっては好都合な条件がそろってしまうのです。
騒音などのトラブルから解放され、快適な空間を確保できる一方、隣家と離れている場合には防犯対策が重要です。
目立つセキュリティシステムが少ない
オートロックや防犯カメラなど、備え付けのセキュリティシステムが充実しているマンションが増えてきました。さらには、セキュリティの充実度をうたい文句にしたマンションも出てきています。
一方で、一戸建てにはオートロックなどの目立つ備え付けのセキュリティシステムがない物件が多いです。目立つ設備がなければ、セキュリティシステムは設置されていないと判断され、空き巣に狙われやすくなってしまいます。
泥棒は防犯カメラやホームセキュリティ加入を示すステッカー、二重施錠や足音が発生する砂利道など、セキュリティ対策の施された一戸建てを非常に警戒します。防犯意識が高い家だと判断した家にわざわざ空き巣に入る泥棒はいません。一戸建てに防犯対策を施せば、空き巣の防止につながります。
一戸建てにおすすめの防犯対策
一戸建ての防犯対策について必要性をお伝えしました。では、実際にどんな対策をすれば良いのでしょうか。ここからは一戸建てにおすすめの防犯対策を5つご紹介します。
1. 防犯カメラを設置する
一戸建てにおすすめの防犯対策は、防犯カメラの設置です。
最近では、防犯カメラの価格も安くなってきました。防犯カメラは、単純に記録するだけでなく、犯罪の抑止力にもなります。いざというときは犯人を捕まえるのに役立つため、非常に便利です。
泥棒や空き巣は、外出中や就寝中に侵入することが大半で、姿を見られないように警戒しています。犯行を記録する防犯カメラの存在は空き巣にとっては不都合なため、防犯カメラがある家は狙われにくくなるのです。
2. ディンプルキーを導入する
ディンプルキーとは、表面に複数のくぼみがある鍵のことです。ピッキングによる空き巣被害が急増した2000年代前半から急速に普及しました。
ディンプルキーの特徴は、ピッキングされにくいことです。従来の鍵ではピッキングされやすく、手慣れた空き巣であれば解錠するまであっという間です。
しかし、ディンプルキーはそもそもピッキングしにくいことと、構造が複雑なため解錠に時間を要することから、高い防犯効果を期待できます。玄関や勝手口など、ドアの鍵をディンプルキーに変更することで、一戸建ての防犯力は格段に高まるでしょう。
通常の鍵からディンプルキーへ交換する費用は1万円~2万円程度が目安。また、ディンプルキーの中でも登録制シリンダーのものは簡単に合鍵を作れません。
登録制シリンダーには名前、住所、鍵番号に加えてパスワードが必要です。簡単に合鍵を作られる心配がないため、女性や子どもがいる家庭は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
3. ホームセキュリティに加入する
数ある防犯対策の中でも特に安心感を得られるのは、ホームセキュリティサービスではないでしょうか。セキュリティサービスの中には、自動通報システムや駆けつけサービスなどさまざまなものがあります。
ホームセキュリティサービスのIoTを活用した侵入者検知サービスを利用すれば、外出中でもすぐに異常を発見できます。IoTとはInternet of Things(モノのインターネット)の略で、インターネットに接続できる機器や家電製品のことを指します。
これがあれば、旅行中や長期間家を空けるときでも安心です。外出中に侵入者がいることを知らせてくれるため、家の中で鉢合わせる心配もありません。
就寝中でもドアや窓の開閉を監視しているため、不審な動きがあればすぐに発見できます。警察に来てもらうほどではないけれど、誰かに駆けつけて欲しい、そんなときもホームセキュリティサービスは活躍します。
セキュリティ会社の警備員がすぐに駆けつけてくれるため、安心して毎日を過ごせるでしょう。ホームセキュリティサービスは、毎月数百円から申し込めます。日々安心して過ごすためにも、ホームセキュリティサービスへの加入がおすすめです。
4. セキュリティステッカーを貼る
ドアや窓にセキュリティステッカーを貼るだけでも防犯効果を期待できます。セキュリティ会社の駆けつけサービス申し込みの有無、ドアや窓の開閉検知機器を設置しているかどうかは、空き巣には分かりません。
セキュリティステッカーを見るだけで、泥棒は警備員や開閉検知機器があるのではないか、と警戒します。もちろん突破されれば効果がないので、できるだけ目立つ位置にステッカーを貼ってアピールしましょう。
5. 玄関や窓の近くに砂利を敷く
玄関や窓の外に砂利を敷くのも、空き巣などへの防犯対策として効果的です。砂利が敷いてある場所を移動すると足音が発生します。空き巣が何より嫌うのは、存在に気づかれることなので、砂利を侵入口になってしまう玄関や窓の近くに敷いておけば、防犯効果を期待できるでしょう。
防犯対策に関する注意点
さまざまな防犯対策を紹介してきましたが、防犯対策を施すと、気を抜いてしまいやすくなるので注意しましょう。肝心な施錠を忘れてしまったり、セキュリティのスイッチを入れ忘れたりしてしまっては意味がありません。
出かける前や、就寝前はドアや窓の鍵が閉まっていることをしっかりと確認するように心がけることが大切です。一戸建てはマンションに比べて確認すべき窓やドアの数が多いので、確認漏れのないように気をつけてくださいね。
防犯対策につながる一戸建ての条件とは?
一戸建ての防犯対策にはさまざまな手法があります。それでは、どのような一戸建てだと防犯効果が高いのでしょうか。
見通しが良く、死角のない家
外からの見通しが良く、死角のない家は防犯効果が高いです。
高い塀に囲われた家は、外から人に見られないのでプライベートが守られる感覚は強くなります。しかし、周りから見えないということは、それだけ泥棒などにとっても都合が良い環境といえるのです。
最近では、低い塀で囲ったり、中が見えるフェンスで敷地を囲ったりする家も増えてきました。家の中を見えにくくするためには、カーテンや家具の位置を工夫しましょう。
スリット窓を取り入れた家
防犯効果を高めるためには、人が侵入できないサイズのスリット窓がおすすめです。
一戸建てのメリットには、窓が多く、光や風をたくさん部屋の中に取り入れられることがあげられます。しかし、大きな窓は空き巣にとっては侵入口となるため、数が多ければ多いほど危険度が上がります。
スリット窓を取り入れれば光や風を取り入れられますが、人は侵入できないので一戸建てのメリットだけを得られるのです。
防犯カメラ付きの家
防犯カメラ付きの家は、防犯効果が高いといえるでしょう。
防犯カメラはその存在だけで、高い防犯効果を期待できます。最近では、安価で防犯カメラを設置できるようになり、防犯カメラが設置されている一戸建ての賃貸物件が増えています。
一戸建ての防犯対策として、防犯カメラの設置を検討してみてはいかがでしょうか。
ホームセキュリティ付きの家
一戸建ての防犯対策に特におすすめなのは、ホームセキュリティサービスへ加入することです。ホームセキュリティサービスに加入していれば、サービス加入証明のステッカーをもらえます。ボタンや電話1つで警備員がすぐに駆けつけるホームセキュリティサービスは、泥棒にとって避けたい存在です。
また、ドアや窓を開けるだけで異常を検知する機能もあるため、侵入を諦めます。ホームセキュリティ付きの家は非常に防犯力の高い住まいといえるでしょう。
防犯対策をした一戸建てで安心できる暮らしを
一戸建てはマンションとは違った防犯対策が求められます。しかし、適切な対策をしていれば安心して過ごせます。広々としたプライベート空間で、隣人に気をつかうことなく過ごせる一戸建てはまさに理想的な住まいといえるでしょう。最適な防犯対策を施して、安心の一戸建て生活をしてみてはいかがでしょうか。