始まりは娘の洋服づくりから
私が初めてミシンを買ったのは、夫の転勤で横浜に住むことになってからすぐのことです。
それは娘が1歳になる頃でした。2人でお散歩をしていて、よちよち歩きの娘を見ていると、ふと「ワンピースを作ってあげたいな」と、思ったのです。
早速、手芸店に向かい、可愛い花柄の生地を買いました。手芸の本を持っていなかったので、なんとなくのイメージだけで、丸3日かけて簡単なキャミソールワンピースを作りました。それだけでも、まるで自分がデザイナーになった気分でした。仕上がりは不細工だったけれど、すごく楽しい時間だったことを覚えています。
それからというもの、どんどん手作りが楽しくなり、手芸に関係なくなんでも自分で作りたくなりました。例えば飾り棚や収納家具、ダイニングテーブルまで。ホームセンターで木材を買ってきて、のこぎりでカットし、組み立ててペンキを塗る…という作業を毎日ようにしていました。
家は賃貸住宅だったので、原状回復ができるような壁面を作り、DIYした家具を並べてはお部屋作りを楽しんでいました。私はそれが楽しくて毎日が充実していたのですが、実家の両親には「転勤で知らない土地に住んでから、ストレスが溜まって様子がおかしい」と心配されていました(笑)
娘が幼稚園に入学するころには、自分でアトリエと名付けて、リビングの一角に手芸がはかどるスペースを作りました。そこで毎朝5時に起きて、子どもが寝ている間に手芸を楽しみました。子育てで忙しい中でも自分の時間ができていることが、幸せでした。
また、その頃にはブログを開設していたので、作ったものを写真に撮って載せることもありました。そんな時、ブログの読者さまから、「がま口ポシェットを作ってください」と、コメントをいただきました。売れるほどのものを作れるのかどうか、販売することをとても迷いましたが、「喜んでいただけるように頑張ろう!」と、気持ちを切り替えて、今までにないくらい丁寧に作ったことを覚えています。
ラッピングも丁寧に心込めて、ご注文をいただいた読者さまに送りました。するとすぐに、「思っていた通りのすてきながま口ポシェットが届きました。ありがとうございました!」と、読者さまからコメントをいただきました。さらに、「色違いも欲しいです!」とまで。それが少しの自信に繋がり、オンラインショップを本格的に始めようと思った瞬間でもありました。
ハンドメイド作家としての活動
2011年には、私の手作り品を販売しているオンラインショップ「yasumin’s-mini」を開設しました。
弟も生まれ、さらに子育ても大変でしたので、慣れるまでは2~3ヶ月に1回のペースでの開催でした。ご紹介できる作品も10個程度。作品数が少ないこともあり、いつも数分で完売してしまいました。
嬉しい気持ちと同時に、もっとたくさん作ってお客様に満足していただきたいという気持ちが芽生えました。そして3年後には、目標としていた「月に一度のペースでショップを開催すること」が、できるように。それから5年が経ちましたが、今でも毎月末ショップを開催し、多くの方にご覧いただいています。
さらに雑誌にも隔月で掲載させていただいており、読者の方からの反応やメッセージもものづくりの参考にさせていただいています。
ハンドメイドでつくる様々なアイテム
ここからは、実際に私がこれまで作ってきたものを紹介していきます。気軽に始められるコースターの作り方なども紹介しますので、手作りの魅力を少しでも感じていただけると嬉しいです。
まるい巾着袋
布合わせが楽しい作品です。リバティプリントやリネンを合わせて、丸底のぷっくりとした形の巾着袋を作りました。こちらは雑誌にも掲載していただいた作品で、海外の方にも人気でした。私はいつもキャンディやおにぎりなどの食べ物を入れることが多いです。世界に1つの布合わせで、柄と形に癒される作品となりました。
ダブルファスナーポーチ
こちらもリバティプリントとリネンの布合わせを楽しんだダブルファスナーポーチです。「ぺたんこのポーチも作って欲しいです。」というお客様の声から、早速、形にしてみました。通帳が余裕で入る大きさで、バッグの中の整理にも役立つアイテムです。
おせんべいバッグ
正面から見たときに、「おせんべい」に見えてきた小さめバッグ。私は少し和風でレトロテイストな作品づくりを目指しているので、ネーミングも和風にしてみました。まち底がたっぷりあるので、見た目よりもたくさん入り、使いやすさも抜群。両方の外ポケットに、リバティプリントを使っています。
マスコットキーホルダー
手縫いでチクチク、隙間時間にコツコツ作る作品です。顔は手縫いで刺繍をしているので、どの子も個性的に仕上がっています。着ている洋服もみんな違う組み合わせ。世界に1つのマスコットキーホルダーです。お客様からは、「写真より実物の方がかわいい! 癒しのアイテムになりました」と、メッセージをいただいています。手作り感たっぷりの作品です。
綿コート
こちらは自分用の洋服。たまにですが、ショップ用の作品以外に自分の洋服やバッグを作ることがあります。ショップ用の作品作りも楽しいですが、集中力も必要でたまに疲れてくるときがあります。そんな時は、気分転換にソーイング本を読んで自分の服を作ることがあります。自分で作った服を着て、ショップ用の布を探しに出掛けることも気分が上がるので好きです。
ノベルティにしているコースター
こちらは、お買い上げくださったお客様にプレゼントしているコースターです。ハギレで簡単にできるので、読者さまにもぜひお試しいただきたいです。
<用意する布>
表布1(11cm×4cm)1枚
表布2(11cm×8cm)1枚
裏布 (11cm×11cm)1枚
① :表布1と表布2を中が表になるようにして、縫い合わせる。
② :①と裏布を中が表になるように合わせる。
③ :②の四隅を返し口(4.5cm)を残して、縫い合わせる。
④ :返し口から表に返しアイロンで整えてから、周りをステッチして完成。
おうちランチやお茶の時間に、手作りのコースターがあると、ほっこりと温かい雰囲気になりますよ。さらに手縫いだと素朴な雰囲気に仕上がります。
鎌倉でゆったりハンドメイド生活を楽しむ
私がよく行く手芸店は、鎌倉にあります。今回、2つのお店をご紹介します。
スワニー 鎌倉本店
まず1つ目は、「スワニー 鎌倉本店」さん。ナチュラルな雰囲気が漂うオフホワイトな外壁と手入れがされたガーデンを見ているだけで、このお店にはどんな可愛い布が揃っているのだろうとワクワクします。
お買い物に疲れたら、すてきなガーデンで休憩ができて癒されます。3階にもガーデンスペースがあるので、まだ小さい子ども達と遊びにきた時はよく利用していました。
リネン、コットン、ニットの種類も豊富なのですが、その他に、オーナーさんが世界から集めたインポート生地もすてきです。インテリアファブリックとして使うとオシャレで高級感が出ますし、少し購入してバッグに使っても楽しそうです。
ダブルガーゼのコーナー。まだ小さいお子さんには、お気に入りの柄を見つけて、ガーゼタオルを手縫いしてプレゼントしたら喜ばれそうです。
「スワニー 鎌倉本店」さんは、たくさんの種類の材料が揃っているので、手芸が初めての方でも店員さんと相談しながらハンドメイドを楽しめる場所だと思います。私にとって、何時間いても飽きない場所です。
店舗情報
スワニー鎌倉本店
住所:神奈川県鎌倉市大町1-1-8 (横須賀線 鎌倉駅東口より徒歩4分)
営業時間:10:00~18:00 (定休日:日曜日)
CHEKE & STRIPE little shop
次に、「CHEKE & STRIPE little shop」さん。
小さいお店ですが、外から見ていても店内の可愛さが溢れ出ていて、中に入りたくてしょうがない気持ちになります。
窓枠から覗く店内の様子。リバティプリントが棚に並び、ちょこんと座るぬいぐるみや巾着、バッグが飾られています。可愛いものが作れそう! という予感しかしません。
リネンの種類が豊富です。どんなものを作りたいのか店員さんと相談しながら選べるので、でき上がりに納得できます。私はこちらのリネンで洋服やエプロンを作っています。
私のアトリエもこんな風にしたいな、と憧れる店内です。布の配置や飾り方、作品のデザインもすてきなので、学びの場にもなっています。ずっと通い続けたいお店です。
店舗情報
CHEKE & STRIPE little shop
住所:神奈川県鎌倉市由比ガ浜2-16-1(江の島電鉄 和田塚駅より徒歩5分)
営業時間:10:00~18:30 (定休日:なし ※年末年始を除く)
ハンドメイド生活には欠かせない快適な空間作り
「誰かに喜んでもらいたい!」と思ってコツコツ進める作業は、私にとって楽しい時間であり、そして大切な仕事になっています。
また、家事や子育ての合間に効率よく進めることも大事なので、快適な空間作りも外せません。そこで、もし皆さまが「私も何か作ってみたいな」と思われた時、どんな作業スペースがおすすめなのかをご紹介します。
作業スペースに自然光が入ること
細かい作業なので、明るい場所を確保することはもちろんなのですが、布や糸の色味を自然光で確認することも大切なポイントです。夜の蛍光灯で見る布の色と昼間の自然光で見る布の色は、意外と大きな差があります。
私がよく間違えてしまうのが、布の表と裏。夜の蛍光灯ではわかりづらい布があるのです。なるべく昼間の自然光の中で布の色を確認できる場所に作業スペースを作ることをおすすめします。
作業スペースにコンセントが多めにあること
これは作るものにもよると思うのですが、私の作るものはバッグやポーチ、洋服が多いので、ミシンとアイロンはすぐ近くに置いておきたいのと、手元を照らすスタンドも必要になってきます。
さらに作品をブログなどにアップする場合、カメラやPCも近くにあると導線が短くなり作業がはかどります。そうなると、コンセントが多めに必要になってくるのです。
冷暖房が完備されていること
夏の暑い時期に、汗がダラダラ出る中で細かい作業をするのはなかなか集中できないものです。冬も同様に、寒くて体がカチカチだとすぐに肩が凝ってしまいます。時間は限られているので、集中力を高めるためにも作業しやすい室温調節は大切なのです。