魚の王様として知られる高級魚「真鯛」。その桜色の美しさからお祝いの席などで重宝される魚です。
刺身やお寿司といった生食はもちろん、ムニエルやあら汁などレシピが豊富な魚でもあります。とくに寒い時期の新鮮な真鯛の刺身は、脂がのっていて絶品です。そんな真鯛を自分でさばいて調理できたら、とてもすてきだと思いませんか?
そこで今回は、釣った魚を調理して食べるのが大好きな私が、鯛のさばき方やおすすめレシピをご紹介します。初心者の方でも慣れれば簡単なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
釣りが趣味の暮らし
最初はただ魚が釣れるのが楽しい、うれしい、という気持ちで釣りを楽しんでいました。そこから海や川で食べられる魚を釣るようになったことがきっかけで、自分で魚をさばき調理するようになりました。
釣りに出会うまでは魚を自分でさばくなんて考えられなかったので、趣味は人生を豊かにするなと感じました。私の釣りライフには、食の楽しみ以外にも自然の多い場所で小旅行気分を味わいながらリフレッシュするなど、いろいろな魅力が詰まっています。
寒い時期の釣りはハード
冬の釣りはハードです。寒いうえに釣れる魚の種類も少なく、他のシーズンに比べると魚も元気がなく、エサの食いつきもよくありません。
防寒対策をばっちりしていても冷え、集中力が続きません。手はかじかみ、足先や耳が痛くなってきて釣りどころではなくなるなんてことが多々あります。
ということもあって、このような悪条件の中で釣れる1匹は格別なのです。服装・場所・時間帯や仕掛けなど、すべて考えて挑んだ結果なので自分の立てた作戦が正解だった! という満足感があります。
脂がのった美味しい鯛のさばき方
寒い時期に手に入る真鯛は、春の産卵期に向けてたくさん栄養を蓄えていて脂がのっています。お刺身やお寿司といった、真鯛そのものの旨味を楽しむ料理がおすすめです。
鯛のさばき方【基本手順とコツ】
鯛は、魚の基本のさばき方「三枚おろし」でさばくのが主流です。鯛を三枚におろしてできる料理は、刺身から焼き物、煮付けなどのさまざまな調理方法に対応できます。
それでは鯛のさばき方の手順を解説していきます。
① ウロコを落とす
まず鯛の体にびっしりついたウロコを落としていきます。包丁の背でこそぎ落とすのもいいですが、鯛のウロコは大きくて硬いのでウロコ落としを使うと簡単です。鯛のウロコは飛び散りやすいので、シンクの中でウロコを落とすとキッチンが汚れにくく、掃除も楽になります。
三枚におろすときに包丁が通りやすいよう、背やおなかについているウロコも忘れずに落としておきましょう。
②頭を落とす
片面の胸びれの後ろから包丁をあて、頭の付け根からおなかに向かって斜めに包丁を入れ、中骨に当たるまで切り込みを入れます。ひっくり返し、反対面も同じように包丁を入れます。そして頭の付け根の上からまっすぐに包丁を入れて中骨を断ち切り、頭と胴を切り離します。
③おなかから内臓を取り出す
鯛のおなか側に穴があるので、そこに包丁の先を入れて頭側に向かって切り込み、おなかを割きます。おなかの中に入っていた内臓はすべて取り出します。
④血合いを洗い流す
次に中骨にびっしりついた血合いの表面膜に切り込みを入れ、血合いを水道水で洗い流します。血合いは臭みの元なのできれいに取り除くようにしましょう。
画像のような状態になればOKです。
⑤キッチンペーパーで水気を取る
魚に水がついている状態だと鮮度が落ちやすいので、キッチンペーパーで魚を抑えてしっかり水気を取ります。表面だけでなく内臓を取り出したおなか側や包丁の水気も取っておきましょう。
とくに刺身など生食で食べるときは、より鮮度よく美味しく食べるためには欠かせない工程です。
⑥三枚に身をおろす
包丁の刃を骨にあてながら身と骨を切り離していきます。中骨まで包丁が到達したら、背側も同じように1ミリの切り込みを入れ、そこから骨に当たるように身を骨から切り離します。
残りの反面も同じように中骨から身を切り離したら三枚おろしが完了です。
⑦腹骨を削ぎ落とす
三枚におろした鯛の身には腹骨がまだ残っているので、調理したときに食べやすいよう外しておきます。腹骨だけすくうように薄く削ぎ落とすと身が残りやすいです。
鯛を刺身にする場合
鮮度のいい天然真鯛が手に入ったらまずはお刺身にして食べたいですね。養殖鯛のコリコリとした食感とは違い、脂がのっていて柔らかくしっとりとした食感に驚くことでしょう。
①血合い骨の部分を切り取り柵にする
三枚におろした片身の中心筋に骨がついてるので、その筋をまっすぐ線状に切り外し、2つの柵にします。
②皮を引く
皮面を下にし、尾から頭に向かって刺身包丁を少し入れます。身から皮部分が一部離れるので空いている手でその皮をつかみ、包丁を皮にそわせた状態で皮を引っ張っていきます。するとスルスルと自動的に包丁が進み、皮をきれいに引くことができます。包丁は動かさず、皮だけを引っ張りながら上下にギザギザ動かすことが皮引きのコツです。
③身を食べやすいサイズに切る
皮を外した面を上にし、身の厚みが低い方を手前に向け、斜め45度に削ぎ切りしていきます。このとき、包丁をノコギリのようにギザギザと動かすのではなく、一切りでスッと断つと断面がきれいな刺身になります。
さばいた鯛を美味しく! おすすめレシピ3選
① 鯛のカルパッチョ
食卓をおしゃれに彩る一品として、色とりどりの野菜を添えた真鯛のカルパッチョはいかがでしょうか。さっぱりとした味わいで、量が多くてもペロッと食べられます。盛り付けてソースをかけるだけなので作るのが簡単なところもうれしいレシピです。
【用意する材料】
・鯛の刺身 適量
・ベビーリーフ 適量
・プチトマト お好みで
・レモン お好みで
・ブラックペッパー 少々
〜カルパッチョソース材料〜
・オリーブオイル 大さじ2
・醤油 小さじ2
・お酢 小さじ2
・塩 少々
・おろしニンニク 半かけ
① カルパッチョソースを作る
カルパッチョソースの材料をすべてボウルに入れ、混ぜ合わせます。味見をして、味が足りない場合は塩(またはハーブ入り塩調味料)で味を調えます。
②お皿に鯛と野菜を盛り付ける
お皿を用意し、鯛の刺身と野菜を自分好みに盛り付けます。
③ソース、ブラックペッパーをかける
カルパッチョソースを盛り付けた鯛と野菜に回しかけ、最後にブラックペッパーを振りかければ完成です。
② 鯛のだし茶漬け
鯛のだし茶漬けは、漬け丼で食べてもおだしをかけて食べてもよしの2度美味しいレシピです。ササっと作れるのに本格的な味に仕上がります。
【用意するもの (2人前)】
・鯛の刺身 2人分
・ご飯 2人分
・のり 適量
・三つ葉 適量
・だし汁 400cc
〜漬けダレの材料〜
・醤油 大さじ1
・みりん 大さじ1
・酒 大さじ1
・さとう 大さじ½
・チューブしょうが 5センチ
・ごま 大さじ2
① 鯛の刺身を漬けダレに浸す
ボウルに漬けダレの材料をすべて入れ、混ぜ合わせます。タレにしっかり浸るよう鯛の刺身を入れ、冷蔵庫で30分ほど寝かせてタレの味を染み込ませます。
② だし汁を作る
お鍋に水400ccとだしパックやだしの素を入れて沸騰させ、だし汁を作っておきます。
③ ご飯の上に盛り付ける
茶碗に盛った熱々のご飯の上に、のりをちぎってのせ、その上から30分漬け込んだ鯛の刺身を並べ、刻んだ三つ葉を散らします。残った漬けダレも一緒に回しかければ、鯛の漬け丼の完成。
このままだし汁をかけずに食べても絶品です。
④だし汁をかける
②で作った温かいだし汁を漬け丼の上から回しかければ、鯛のだし茶漬けの完成です。
③ 1匹まるごと使った鯛めし
鯛の風味を味わうなら鯛めしも見過ごせません。切り身でも作ることができますが、1匹丸ごと使った鯛めしは見た目のインパクトもありますし、骨からも旨味がたっぷり出ます。
【用意する材料】
・鯛 1匹
・米 2合
・水 2合分より少し少なめ
・酒 大さじ1
・醤油 大さじ1
・みりん 大さじ1
・塩 小さじ1
・昆布 5×10cm 2枚
・三つ葉 お好みで
①米を水に浸す
米を冷たい水(分量外)で30分浸しておきます。
②鯛の内臓を取り出し、血合いを流す
鯛の腹を包丁で割き、エラと内臓を手で取り出します。エラが取れにくい場合は、頭側と喉側のエラのつなぎ目を包丁で切り離すと取り出しやすいです。エラ、内臓が取れたら血合いを水で洗い流し、キッチンペーパーで抑えて水気を取ります。
③鯛を焼く
鯛の両面に塩(分量外)を振り、グリルの強火で表面に焦げ目がつくまで焼きます。鯛はこの後の工程で米と一緒に炊き込むので、中まで火を通さなくても大丈夫です。
④ 米と一緒に鯛を炊き込む
30分水に浸していた米を炊飯器の内釜に入れ、酒・醤油・みりん・塩・水(2合分よりやや少なめ)を加えて一混ぜします。さらに昆布を並べ、その上に焦げ目をつけた鯛を入れます。
鯛が大きくて内釜に入らない場合は、頭と胴を半分に切って入れるといいでしょう。そして炊飯ボタンを押し、炊き上がるまで待ちます。
⑤鯛の身から骨を取り除く
ご飯が炊けたら鯛を大きな皿に取り出し、身をほぐして骨を取り除きます。昆布も取り出し、ほぐした身だけ内釜に戻してご飯と混ぜれば鯛めしの完成です。
お茶碗に盛り、お好みで三つ葉を添えると彩りもいいですよ。
鯛をさばくには広めの調理スペースを
鯛をさばくなら、調理スペースが広いキッチンがおすすめです。調理スペースが狭いと魚をさばくことに慣れている人でも調理しにくいでしょう。
魚料理をたくさん楽しみたいならグリル付きコンロもあるといいですね。フライパンよりもじっくり火が通るので、ふっくらとした食感を楽しめます。
鯛のさばき方を覚えてみよう
鯛のさばき方を覚えれば、他の魚も近いさばき方で調理することができます。魚をさばくことは難しく感じられるかもしれませんが、一度チャレンジしてみると「自分にでもできるんだ」という自信につながるかもしれません。
魚をさばけるようになると、魚1匹を余すことなく贅沢に食べられるという醍醐味も感じられます。ぜひ、魚を自分でさばくという新しいチャレンジで自炊生活を満喫してくださいね。