「魚を自分でさばいてみたいけれど、なんだか難しそう…」。そんなふうに思っていませんか?
魚をさばいたことのない方にとって、魚を一からさばくのはハードルが高く感じますよね。でも、経験がないから難しく思うだけで、実際にやってみると思っていた以上に簡単にできるんです。
今回は、自分で釣ってきた魚を美味しくいただくことが大好きな私が、秋の味覚の代表格である“アジ”のさばき方とおすすめレシピを紹介します。
ほかの魚にも応用できる方法なので、「魚を一から調理したい! 」という方はぜひ参考にしてみてくださいね。
釣りを始めたことで魚をさばけるようになった
はじめは見よう見まねで挑戦!
私が釣りを始めたのは4年前。それまでは特に趣味という趣味もなく、日々仕事に追われるだけの毎日でしたが、釣りと出会ったことでプライベートが充実し、毎日がとても楽しくなりました。
何より変わったことは、魚を自分でさばいて料理するようになったこと。
魚はスーパーでは食べやすく調理しやすい状態で売られていますが、釣りをするようになって自分で釣った魚を自分でさばく場面に直面しました。それまで私自身も親も魚をさばくという習慣はなく、何もわからない状態でした。
けれど、今はインターネット時代。やり方はいくらでも調べることができるので、不安になりながらも見よう見まねで挑戦し、「魚をさばくのって意外と簡単なんだ」「今までやったことがないから難しく感じていただけなんだ」と衝撃を受けました。
もちろん、最初の頃は見た目はボロボロで決してキレイといえる状態ではありませんでしたが、「自分一人で魚をさばけた」ということが強い自信に変わったことを今でも覚えています。
釣った魚を新鮮なうちにいただくのが醍醐味
それからすぐに魚をさばくのが上手になったわけでもないですし、今でもまだまだです。ただ、一度「自分でさばいてみる」ということを経験したことがきっかけで、今では「いろんな魚を釣って自分で調理して美味しく食べたい!」と、釣果を料理するのが一番の楽しみになりました。
釣ったばかりの新鮮な魚を自分好みに調理できるのは、釣り人ならではの特権です。また、釣ったことがない魚を求めて、自分で釣って調理して、美味しく食べる。そんな生活をまだまだ楽しみ続けたいと私は思います。
こんな魚がさばけるようになった
この4年間でさまざまな魚を釣って、さばけるようになりました。
まずはニジマス、アマゴ、アユといった川で釣れる魚。特にニジマスやアマゴといった渓流魚は魚独特の臭みがなく、とっても美味しいです。
湖ではワカサギ、海の近い河口付近ではハゼを釣って天ぷらにしました。抹茶塩と食べると家でも高級料亭の味が味わえますよ。
漁港ではアジ、イワシ、サバといった食卓で定番の魚をはじめ、ガシラ(カサゴ)、メバル、ヒラメ、タチウオ、そしてアオリイカを釣って調理しました。タチウオはウロコがないのでさばきやすい上に、刺身にするととても美味しいんです。
沖では、真鯛やマダコをゲットし、刺し身やたこ焼きにして食べました。真鯛は私が一番釣って食べたかった魚なので、調理することができてとても嬉しかったです。
今までさばいた中でも一番の大物は、なんといってもブリ。85センチもある魚体を自分でさばくなんて夢にも思いませんでした。大きいので身もたくさんで、刺し身、ぶりしゃぶ、煮付けなどブリ三昧で堪能しました。
このほかにもいろいろな魚をさばいていますが、基本的に今から紹介する三枚おろしでほとんどの魚をさばくことができますよ。
アジをさばいてみよう
初めて魚をさばくならアジがぴったり
アジといえば、年中食卓で楽しめる美味しい魚ですよね。サビキ釣りでもよく釣れる魚ですが、スーパーで必ず置いてあると言っても過言ではないほど人気で入手しやすいのがアジのいいところ。
アジは身崩れがしにくく、基本的な魚の形をしているので魚をさばく練習にとても向いています。さらに、焼き魚、フライ、たたき、刺し身といった色々な調理方法で美味しさを楽しめるので、飽きずに食卓を彩れるのもアジの魅力です
さばく練習にもなる上、たくさんのレシピを覚えることができるので、自炊の腕を上げたいあなたの心強い味方になってくれることでしょう。
基本のさばき方“三枚おろし”
アジをさばくときによく使う方法は“三枚おろし”です。
三枚おろしは魚のさばき方の基本として一番使われる方法なので、覚えていると色々な魚をさばくことができます。それでは手順を紹介していきますね。
①ウロコとゼイゴを取る
包丁を寝かせ、背の部分でウロコをこそぎ取っていきます。
アジはウロコが少ないのでざっと全体をこそぐ程度で大丈夫です。包丁にウロコがついたままだと、さばくときに身にウロコがくっついてしまうので、次の工程に移る前にキレイに拭き取っておきましょう。
次に尾の少し上にある硬い部分“ゼイゴ”を取り除きます。
ゼイゴは尾から頭に向かって包丁を滑らせていくとスムーズに取り外すことができますよ。
②アジの頭を落とす
胸びれの後ろから斜めに包丁を入れ、頭を切り落とします。この際、反対側も同じように切込みを入れると、頭を落としやすいです。
③お腹から内臓を取り出す
頭のついていた部分から腹の中央部分まで包丁で切り込みを入れます。そして、腹を割いたら包丁の先で内臓をかき出します。
④血合いを洗い流す
背骨の内側に黒い線状についているのが血合いです。血合いは薄い膜に覆われているので、包丁で切り込みを入れ、膜を割きます。
血合いは臭みのもとになりますので、親指の頭を使ってこそぎながら水で洗い流します。内臓の残りやお腹の内膜の汚れもこのとき一緒に落とし、上記の写真のような状態になれば大丈夫です。
水がついていると魚の鮮度が落ちやすいため、洗い終わったアジは、キッチンペーパーで取り押さえておきます。この際、内臓の入っていた腹の内側部分の水気もしっかり取っておきましょう。
⑤身を三枚におろす
背中に包丁の先で1ミリほど切り込みを入れ、そこから包丁の刃を中骨の上に当てながら身と骨を切り離していきます。
半分ほど切り離したら、お腹側からも同じように切り込みを入れて切り離していき、中骨から身を外します。
残りの半身も同じように中骨から切り離したら、三枚おろしの完成です。
切り離した身には腹骨がついているので、斜めに包丁を入れて薄くそぎ落とします。
これで下処理も完了です。下処理が済んだアジは、刺し身にしたり、たたいたり、焼いたり、揚げ物にしたりなど、お好きな料理に使用していただけます。
秋に食べたい! アジの簡単レシピ3選
アジの刺し身
新鮮なアジが手に入ったら刺し身で食べるのが一番です。脂の乗ったアジは、口の中でトロッととろけてとっても美味。刺し身は三枚おろしの手順の続きから作ることができます。
用意するもの
・包丁
・まな板
・骨抜き用ピンセット
・キッチンペーパー
・中アジ 1尾
①血合い骨を抜く
アジを三枚におろし、腹骨をとった身の状態にします。そして、身の中心部分(赤い点線)を指で探りながらピンセットで骨を抜き取っていきます。
②皮をはぐ
頭がついていた側の皮と身の間に指を入れ、皮をつかみます。そして徐々に身から皮を引きはがしていきます。
勢いよくはがしてしまうと、身が皮にくっついて身崩れしてしまうので、ゆっくり引き離していくのがポイントです。
手ではがれにくい場合は、皮部分を下に向け、包丁の背を使うと身から離しやすいですよ。その場合、包丁の背で皮をまな板に押しつけながら尾の方にスライドさせるとキレイにはがせます。
③身を食べやすいサイズに切る
包丁を斜めに入れ、そぐように切ります。この際、包丁をノコギリのようにギコギコ引くのではなく、スッと手前に引いて切ると断面が美しくなりますよ。
最後にお皿に盛り付けて、お好みで大葉などを添えれば刺身の完成です。
アジの塩焼き
晩ご飯のおかずにはもちろん、和食の朝ごはんにもぴったりなアジの塩焼き。
三枚おろしにして半身で焼くのもいいですが、頭つきで焼くと身を余すことなく食べることができ、見栄えもよいです。せっかくなので、アジの塩焼きを頭つきで作る際の下処理方法もご紹介します。
用意するもの
・包丁
・まな板
・キッチンペーパー
・中アジ 1尾
・塩 適量
①ウロコとゼイゴを取る
まずは三枚おろしのときと同じ要領で、ウロコとゼイゴを取ります。
②エラを取る
腹の部分を上に向けて魚を寝かし、喉元にあるエラの接合部分を包丁の先で切断します。
そして、エラを手で引っ張りながら取り外します。取りにくようであれば頭の方にあるエラの接合部分も切ると取り外しやすいです。
③内臓を取り出す
胸びれの下に4センチほど切り込みを入れ、そこから手で内臓を取り出します。
④腹の中を洗う
切り込み部分に指を入れ、軽く水で洗い流します。このとき、残った内臓がある場合は一緒に取り除いておきましょう。
水を使った後は、水気をしっかりキッチンペーパーで取っておきます。腹の中も忘れずに水気を取っておきましょう。
⑤飾り切りを入れる
さらに盛り付けるときに正面になる面に、飾り切りを入れます。こうすることで焼いたときに身が弾けて見た目が悪くなるのを防ぎます。
⑥塩を振る
アジ全体にたっぷりと塩を振りかけます。焦げやすい胸びれ・尾びれは塩をたっぷりのせることで、焼き上がりの見栄えがよくなりますよ。
⑥グリルで焼く
魚はグリルで焼くことで、臭みを含んだ水分や余分な脂が落ちるので、美味しく焼き上がります。グリルにアジを入れたら、やや強めの火で表面を軽く焦げ目がつくまで様子を見ながら焼きましょう。焦げ目がついたら裏返し、反対の面も同じように焼きます。
身がふっくら焼き上がったらできあがりです。
アジフライ
小さめのアジが手に入ったら、晩ご飯のおかずにアジフライがおすすめです。
揚げたてのアジフライは、歯応えがサックサクのフワフワでとても白ごはんによく合います。
用意するもの
・包丁
・まな板
・キッチンペーパー
・フライ鍋
・菜箸
・天ぷらバット
・小アジ 4尾
・塩、こしょう 各少々
・小麦粉 適量
・卵 一個
・パン粉 適量
・揚げ油 適量
①ウロコとゼイゴを取り、頭を落とす
三枚おろしと同様の手順でウロコとゼイゴを取り除き、頭も落とします。
②内臓を取り出し、洗い流す
開腹せず、指で内臓を取り除きます。そして流水で血合いや内臓の取り残しをきれいに洗い流します。水気も忘れずにキッチンペーパーで取っておきましょう。
③腹開きにする
頭があった部分を上に向け、腹側から中骨に包丁を沿わせながら切り開いていきます。背中の皮付近まできたら開きます。
切り込みすぎて身を切り離さないように注意しましょう。
④中骨を切り離す
開いた部分を上にし、尾に向かって身から骨をはがすように包丁を入れていきます。このとき包丁を滑らせて、アジを押さえている手を切らないように気をつけてくださいね。
そして尾の手前まで来たら、骨だけ切り落とします。
⑤腹骨をそぐ
開いたアジには腹骨がついている状態なので、腹の面の外側に向かって包丁を斜めに入れ、そぐように腹骨を切り落とします。
これでアジフライ用の下処理が完成です。
⑥衣をつけ、油で揚げる
塩、こしょうで下味をつけ、小麦粉・溶き卵・パン粉の順に衣をつけます。そして160〜170度に熱した油で揚げていきます。表面がキツネ色になったら天ぷらバットに上げ、しっかり油を切ったら完成です。
魚をさばくなら最低限の調理スペースはほしい
食べ応えのあるアジやサンマのサイズになってくると、狭いキッチンスペースではなかなかさばきにくいです。特に三枚におろすときは、魚の全長をめいっぱい包丁でさばくので、広いスペースでできる方がさばきやすい上に安全といえるでしょう。
魚の種類はたくさん、新たなチャレンジを自炊生活ではじめよう
三枚おろしはアジのような基本的な形の魚には応用できるので、一度覚えてしまえば魚の調理もスムーズです。新鮮な魚を、自分好みに一から料理する暮らしって素敵だと思いませんか?
一度魚をさばいてみれば、料理スキルが一段とレベルアップした新しい自分に出会えます。新鮮な魚に出会えたら自分で調理する! そんなチャレンジ精神でこれからも自炊生活を楽しんでいきたいと思います。