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天神橋筋六丁目・たこ焼き「うまい屋」創業70年を迎えた老舗が語る、街と人のつながり
天神橋筋六丁目・たこ焼き「うまい屋」創業70年を迎えた老舗が語る、街と人のつながり

天神橋筋六丁目・たこ焼き「うまい屋」創業70年を迎えた老舗が語る、街と人のつながり

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大阪のグルメといえば「たこ焼き」。関東と比べれば確かに街中にたこ焼き屋が多く、今も大阪グルメのメインポジションを担っています。
そんな数あるたこ焼き屋さんの中で、今回は天五中崎通商店街の中にある老舗の「うまい屋」さんを訪問。そこには、70年という歳月をかけて続くからこそのエピソードが、詰まっていたのでした。

職人的な感覚と技術を受け継ぎ70年―天神橋筋六丁目・うまい屋

―昭和28年創業とのことですが、店主の喜多太造さんで、何代目なんでしょう?
喜多さん:「僕は4代目です。ひいおばあちゃんが始めました」

―創業当時から守っているこだわりをお聞きできたら。
喜多さん:「やっぱり道具ですね。大阪の企業に依頼して、全部特注で熱伝導の良い銅板で作ってもらっているんです。たこ焼きはスピード感が大切。うちは外はカリッと中はモチッとするようにこだわっています。店の外で焼いているので結構難しくて。季節によって粉の量も焼き加減もすべて変わってしまうので、一つずつ焼き加減を見てちょうど適した状態になるように見極めていってますね。毎日たこ焼きを焼いているからこそ、できる仕事かもしれません」

―たこ焼きと聞くと手軽に食べられる一品ですが、作るには職人的な感覚や技術が必要なんですね。

紅生姜は地元の漬物屋さんが作った、国産紅生姜。透き通るような上品な色合いでおいしい
紅生姜は地元の漬物屋さんが作った、国産紅生姜。透き通るような上品な色合いでおいしい

喜多さん:「実はそうなんですね。僕も跡を継ぐまでは、家でたこ焼きを作るのと同じような感覚で考えていましたが、全然違いましたね(笑)」

(取材中、次々にお客さんが。なんと、中には60個注文する人も…!)

―60個注文した方が!すごい大量注文ですね。
喜多さん:「実は結構いるんですよ。価格表に74個まで値段を書いているので、そのぐらい一度に買われる方もいらっしゃいますね。手土産にしてくれているのかな…?土日は京都や神戸からのお客さんも多く、混んでいる時は1時間待ってもらうこともあって。平日は近所の方が多いですね。常連さんがほとんど。何代にもわたって食べてくれはる方とか、引越ししはっても家族で食べに来てくれはったりとか。たこ焼きはうちでしか食べたことがないという方もいます」

12個、16個、60個…と次々と注文が入る平日の夕方。忙しいときは先代のお母さんも一緒に、たこ焼きを返していく
12個、16個、60個…と次々と注文が入る平日の夕方。忙しいときは先代のお母さんも一緒に、たこ焼きを返していく

「最後に食べたいもの」に選ばれる「うまい屋」のたこ焼き

―実際にお店を継いでみて、どうですか?
喜多さん:「たこ焼きって家でも作ったりするやないですか。だから先ほど言ったように、たこ焼きを焼くことをもう少し軽く考えていました。実は繊細ですし、長年通ってくれているお客さんたちのことを思うと、そんなのではダメやと。僕が思っていた以上に、うちへのお客さんの思いが強かったんです。『何十年ここ通ってるよ』や『あんたの生まれる前から来てる』と言われて、緊張しましたし、期待を裏切れないという気持ちが湧いてきました」

店内ではビール(中 550円)やコーヒー牛乳(160円)などドリンクも。夏はかき氷もいただける
店内ではビール(中 550円)やコーヒー牛乳(160円)などドリンクも。夏はかき氷もいただける

―確かにそれは緊張します。
先代の桂子さん:「この間もね、ご近所のおばあちゃんが亡くなられたんですが、その方は施設に入ってたんだけどね。いつも息子さんが差し入れでここのたこ焼きを持っていってて。本当に昔から来てくれてた方で私もそのおばあちゃんを知ってて。亡くなる前は食欲も落ちていたそうなんやけど、たこ焼き6個を食べて『おいしかった』って言うてくれはって」

―それは素敵ですね。
桂子さん:「四十九日のお供えにもうちのたこ焼きを『これが一番喜ぶから』と買っていってくれたんです。そんなん聞いたらやっぱりうれしいよね」

喜多さん:「昔から食べていたものの力ってすごいですよね」

桂子さん:「ほかにも結構、お供えとして買って帰りはる人もいはるよ。よくあるやないですか。『死ぬ前に何が食べたい?』っていう質問。あれの答えにうちのたこ焼きが入っているんやと思うとうれしいですよね。世の中にはいろんな食べ物があるのに、なんかすごいことやなって」

たこ焼き(8個460円)。かつおベースの出汁が香る一品。中のたこは、湯だこを1匹仕入れ、喜多さんが一つずつ丁寧にさばいたもの
たこ焼き(8個460円)。かつおベースの出汁が香る一品。中のたこは、湯だこを1匹仕入れ、喜多さんが一つずつ丁寧にさばいたもの

―素敵です。本当に地元の人の生活の一部になっているたこ焼きなんですね。
喜多さん:「そうあり続けられたらうれしいです。昔は3件くらいたこ焼き屋があったそうなんですが、今はうちしか残ってなくて。母が若い頃は映画館や市場、洋品店などがあって商店街も賑わっていたそうです」

桂子さん:「そうそうお茶屋さんとか弓矢さんとかね。結構面白いお店が多かったんですよ。今は駅前に飲み屋が増えて、それはそれでにぎわっているみたい」

喜多さん:「昼飲みをしている方とか多いですね。ここは、変わらずチェーン店が少ない街やと思うんですね。個人店が多いからこそ、自分で探していく楽しみがある街やと思いますね」

常連さんの小学生が描いた「うまい屋」
常連さんの小学生が描いた「うまい屋」

◆今回取材したお店
「うまい屋」
住所:大阪府大阪市北区浪花町4-21
電話:06-6373-2929
営業時間:11:30〜18:30
定休日:火曜休

日本一長い商店街がある天神橋筋六丁目

「うまい屋」のある天神橋筋六丁目駅は、新旧の店が連なる天神橋筋商店街だけでなく、その先にも梅田方面へ続く商店街が広がっています。個人店が多くにぎわいがある通りは、買い物をする選択肢が多く、一人暮らしもファミリー層も住みやすそう。

家賃相場は2DKが8万円台など、広い家での暮らしが望めそうですね。下町風情も残る雰囲気で、生活を始めてみてはいかがでしょう。

◆本記事の担当者
取材・文:小島知世 写真:沖本明

IN/SECTS編集部

プロフィール:大阪という物理的なローカリティと、感性や共感といった同時代性的ローカリティを軸に、ローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行。現在、大阪の京町堀を拠点に、「IN/SECTS」のほか、書籍の出版も行う。年に一度、イラストレーターや飲食店、作家、アーティストと、アジアの出版社を集めたイベント「KITAKAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET」を、北加賀屋にて開催。LIFE LISTでは、個の視点を通して見えてくる街や人の姿を紹介する。

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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