回遊動線と造作の工夫で家事も子育ても快適な木の家（札幌市　S様邸）

玄関土間と上がり框との段差を少なくし、外から屋内へ緩やかにつながる。玄関ホールの塗り壁には、ご家族の手形が刻まれている。思い出が形として残り、訪れるたびに初心を思い出せる場所。日常の中で愛着を育む象徴的な空間だ。

奥さんセレクトのタイルや実験用シンクを用いた造作洗面台は、脱衣室と分けて玄関のすぐ近くにレイアウト。帰宅後すぐの手洗いに便利で、来客時もスムーズ。こだわりの素材選びが日常を彩り、空間に遊び心と実用性を兼ね備えている。

造作のキッチンはアイランド型を採用。採光窓を設け、江別の工場で自ら選んだレンガを壁に張って仕上げた。キッチンの並びには、奥さんのワークスペースを設けた。料理や家事の合間に作業ができ、効率と心地よさを両立した空間となっている。

使い勝手のいいキッチン収納やフラットなワークトップなど、かゆい所に手が届く仕様も造作ならでは。引き戸を介してまっすぐに洗濯室を兼ねた脱衣室へつながる家事動線も魅力。短い動線が日常の負担を軽くし、家事を気持ちよく支えている。

南面の窓からの光で明るいLDK空間。繊細な木の手すりが吹き抜けに美しいラインを描く。これから庭のある暮らしを満喫できるよう、リビングとダイニングの間に出入り口を設けた。内と外をつなぎ、四季の景色が生活に彩りを添えている。

階段下のスペースを活用した畳敷きの小上がりは、キッチンからも目が届きやすく、子どもの遊び場や昼寝にちょうど良い。大人も腰かけられる憩いの場として多用途に使え、家族の時間を支える柔軟なスペースとなっている。

階段を上ってすぐ正面にSさんの書斎。階下の家族の気配を感じながらも、落ち着いて仕事ができる。小さな空間ながら集中しやすく、在宅勤務や趣味に活躍。家族との距離感がちょうど良く、安心して作業ができる環境だ。

家族の衣類の片付けや管理がしやすいよう、大容量のファミリークローゼットを寝室と子ども室の隣に配した。動線が短くなり、片付けが自然と習慣になっていく。家事の負担を減らし、暮らしの整えやすさを実現している。

切妻の屋根なり天井で、構造材を現しにした2階のフリースペースは、道産カラマツの木肌が心地よい空間に。子どもの遊び場や趣味の場、将来の学習スペースにも柔軟に対応。木の香りに包まれた時間が、家族の思い出を重ねていく。

道産カラマツ材の外壁で仕上げた建物とカーポートを一体的に設計したSさんの家。カーポートの外物置スペースは、これから棚板や扉を設けてカスタマイズしていく予定。外観の統一感と機能性を兼ね備え、暮らしに寄り添い続ける。