いい街にはいい書店があるというのが、本当かはわからないけれど、いい書店がいい影響を街に与えるのは確かなことでしょう。それは、本はさまざまな知識や知恵を与えてくれるものと同時に、いい書店はそれをうまく人と結びつけてくれているから。このコーナーではそんな大阪の書店とその店から見える界隈の様子をご紹介します。大阪府の物件を探す
中津から千鳥橋へ移転した書店「シカク」、広さ3倍になって本もギャラリー空間も充実

ミニコミ、同人誌、ZINE、リトルプレス、さまざまな呼び名が与えられるいわゆる少部数発行の図書。個人の趣味性が大いに活かされ、一般的な書店では出合えないこれらの書籍を多数扱い、大阪でも有数の名実ともにインディペンデントな書店「シカク」。
2017年に、中津から千鳥橋に移転し面積も広くなり、ギャラリーも以前の一部という状態から独立した空間となりました。とはいえ、コロナでなかなか思うようにいかないこともあったよう。店主の武重さんに伺いました。
竹重みゆきさん(以下:竹重さん):「此花に移転してきて、前の店よりもだいぶ広くなったので、取り扱いする本の数は圧倒的に多くなりました。以前の場所は、駅から近かったので利便性は良かったのですが、今は、わざわざここまで足を運んでくださるだけあって、買っていこうという意識が前よりも強い人がたくさんいらしてくれていると思います。最近は、レトロ建築の本や街歩き、日記やノンフィクションものがよく売れています」
取材に訪れた日は、ギャラリー空間は建物の形状を利用して3つの展示を同時に開催していました。

竹重さん:「千鳥橋駅前に飲み屋さんなどは多数あるのですが、文化的な側面が強いお店というとなかなかこの周辺に多くありません。そこで、『シカク』の店内でそれをやってみようと。つまり、複数の展示を用意することで、『シカク』店内でついでが発生する。というような取り組みを、2022年はしていました。でも、ちょっとこれはしんどいですね(笑)」

出版にも力を入れ、展示も1本で勝負の今後

シカクは書店であると同時に、出版も手がけています。これまで出版物は、漫画、団地の給水塔の写真を集めたビジュアルブック、画家の作品集、さらにスタッフでもあり、ライターでもあるスズキナオさんの酒場エッセイ本などさまざま。しかし、コロナ禍では少しペースが落ちていたようです。
竹重さん:「今後は、改めて出版に力を入れていきたいと思っています。12月にも新刊を出すんですが、中村一般さんというイラストレーターの漫画を出します。そして、その本の原画展もギャラリーでやりたいなと思っています。ギャラリーはもう少し企画数を絞って、しんどくならないよう調整しながらやっていきたいです。また新しくやってみたい試みもいくつかあるので、それも進めていきたいです」
『シカク』だからこそ出合える本というのが多数あります。それは前述の通り、少部数ということもありますが、もともとの竹重さんの趣味性が大きく関わっているように思います。趣味性といっても、当然ながらクオリティの担保も重要です。趣味性も高く、品質も高いものを作るということは、書店をやりながらとなると、なかなかまねできることではありません。そんな『シカク』には、行く価値が大いにあると思います。
視野を広げて千鳥橋エリアを楽しむ1冊

竹重さんオススメの街を楽しむための1冊は
竹重さん:「まずこの本は、“名もなき素敵な景色たち”というタイトルがとてもいいなと思いました。本当にちょっとしたことなんですが、建物のデザインで構造的には意味のない出っ張りや鉄塔のさまざまな形や豊富な動物型の遊具。掲載されているそういった写真を見た後で、次に自分が街を見ると、同じようにディテールを見ようとするので、街を見る解像度が必然的に上がります。そうすると勝手に気づきが増えるんです」
この本を読んで日常の中の素敵な景色を探してみたいものです。

◆今回取材したお店
「シカク」
住所:大阪府大阪市此花区梅香1-6-13
電話:06-6694-5268
営業時間:13:00〜19:00
定休日:不定休
https://twitter.com/n_SHIKAKU
千鳥橋駅周辺は、商店街の賑わいで安心して暮らせるエリア
「シカク」のある千鳥橋駅には、駅前にスーパーなど商店街があり、少し先に進むと、近年、たくさんの若手作家やそれをキューレーションする人たちが入り、アートスポットなどが少しずつできてきています。
下町の住宅街という印象が強く、2階建ての戸建て住宅が多いですが、マンションもあり一人暮らしも住み心地が良さそう。ただし、大通りは夜の交通量が比較的多いことも心に留めておく必要があるとのこと。千鳥橋周辺に興味を持った方は、ぜひ物件情報を探してみてくださいね。
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◆本記事の担当者
取材・文:松村貴樹 写真:大塚杏子
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