いい街にはいい書店があるというのが、本当かはわからないけれど、いい書店がいい影響を街に与えるのは確かなことでしょう。それは、本はさまざまな知識や知恵を与えてくれるものと同時に、いい書店はそれをうまく人と結びつけてくれているから。この記事ではそんな大阪の書店とその店から見える近隣の様子をご紹介します。大阪府の物件を探す

2016年に心斎橋でオープンし、2020年に天王寺へ移転した「スタンダードブックストア」。カフェで購入前の本を持ち込んで読めるということで、当時話題となり、小説家以外にもさまざまな著者を呼んだトークショーなど、全国屈指のカルチャー発信地として機能してきました。その店主である中川和彦さんに日頃から考えている棚づくり、そして町のことについて今回改めて聞いてみました。

店の棚づくりと感性を磨く

中川和彦さん:「ジャンル別に分けて本を並べるというのは一見便利そうに思えるが、本当にそうなんかな?とどこか釈然としなかった。美しいグラデーションのように内容に沿って本を並べると、常に同じような本に出会うことにならないか?それってオモロイのかな?といつも引っかかっていました。うちの店の使われ方は、どちらかと言うと思わぬ本との出会いを求める方が多い。これまでも何度か棚を並べ替えてきたが、思いの外時間がかかるんです。定休日に棚替えをし、何度もやり直す羽目に陥り、結局疲れ果て未完成のまま営業日を迎える。もちろん棚は支離滅裂になっていて。なのにお客さんは何の違和感もなく本を探しているんです。その姿を見て『中途半端な棚ですみません』と言うと、『これはこれでおもしろいですよ。整理されすぎていないところに発見もある』と偶然が何かを引き起こすこともあって、これはこれでいいのかなと思わせてもらうこともあります」

店主が完璧に狙って投げたボールでも、それをストライクとしてくれるお客さんばかりではありません。そこには、何らかのコミュニケーションがあるのだと思うけれど、これは狙いすぎないという話の好例。つまり、お客さんが考える余地というのも店の棚には必要なことなのかもしれません。余地があることによって、その店に自分が介入できるスペースが生まれ、もしかすると自然にその横の本も、さらにその横の棚もと見ていってしまうのかも。と考えると偶然が必然とも考えられることもできます。ところで、そんな中でも最近はどのような本が、よく売れているのでしょう?

中川和彦さん:「最近よく取り扱うようになったのは、詩や短歌、他にもcareであったり差別を題材にしたり、それこそ、よく話題になる社会問題がテーマのものが多いです。ジェンダーのこともそうです。それら全てではないけれど、共通しているのは心の問題ちゃうかなと。“町を楽しむための本”の紹介を依頼されたけど、それでいうと『みんなでつくる中国山地』『センス・オブ・ワンダー』がいいのではないかと思う。『センス・オブ・ワンダー』は昔から好きな作品。これらをお勧めしたいのは、もっと感性を磨く必要あるなと常々思うから。地に足つけた、そういうことを考えていくのがいいんじゃないかと思いますね」

<町を楽しむための1冊>

町を楽しむためにも自分の価値観をアップデートしたい。そんな感性を磨く、という意味でこの2冊を選んでいただいた。スタンダードブックストアでぜひ、ご購入を

「みんなでつくる中国山地」(中国山地編集舎)

「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著(‎ 新潮社)

地内町、町と文学との関わり

スタンダードブックストアのある天王寺、阿倍野エリア。大阪が一望できるビル「あべのハルカス」ができる以前から、雑誌などで登場するのは南側のエリアでした。

中川和彦さん:「スタンダードブックストアは天王寺、阿倍野エリアの中でも北側にあるので、四天王寺、一心寺のお参り帰りのお客さんがたくさん訪れてくれます。でも、お参りに行ったりすることが日常にかなり浸透しているのと、お寺が町に落ち着きをもたらしてくれているなと感じます。近いのに、オープンしてからはなかなかご近所を回るということもできてはいませんが、天王寺七坂も近くにあったり、『夫婦善哉』で有名な織田作之助の生まれ育ったところもこの界隈です。『木の都』を読むとこの辺りのことが書かれていて、その頃の情景を想像して歩くのも楽しいと思います」

寺巡りと同様に、歩いて巡るというのがとても似合う天王寺・阿倍野エリア。大阪でも有数の地内町としても知られ、『スタンダードブックストア』の目と鼻の先には、通天閣も望める茶臼山の存在もあります。南側での買い物なども楽しいけれど、自然や町をゆったりと感じたい時には、ぜひ北側へどうぞ。

◆今回取材したお店

「スタンダードブックストア」

住所:大阪府大阪市天王寺区堀越町8-16 TENNOJI BASE

電話: 06-6796-8933

営業時間:11:30〜19:30

定休日:火曜

https://www.standardbookstore.net

「スタンダードブックストア」のある天王寺エリアは、Osaka Metro御堂筋線・谷町線、近鉄、阪堺線、そしてJRが利用でき、和歌山や関西空港へのアクセスも良好。

駅前には「あべのハルカス」を始め、「天王寺mio」「あべのキューズモール」など、商業施設が並びます。隣駅にある四天王寺をはじめ、お寺や神社も多く下町情緒のある街並みも。また、「天王寺動物園」や「てんしば」などもあり、暮らしと遊びが近しい距離の街なので、休日は若者だけでなく家族連れでも賑わっています。

平均家賃は5万5千円ほどと、比較的安い家賃でさまざまな間取りに出会えるでしょう。 天王寺へ興味を持った方は、ぜひ物件情報を探してみてくださいね。

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◆本記事の担当者

取材・文:松村貴樹

写真:大塚杏子

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公開日: