コロナ禍を契機に、最近では都会の喧騒から離れて「ゆったりしたい」という人が増えています。そんな思いを手軽に実現でき、リラックスできることから注目されているのが「古民家カフェ」です。
古い民家のテイストを残し、独特の趣ある雰囲気にした店構えが特徴です。歴史を刻んできた壁、床、天井に囲まれ、時を忘れる。そんな古民家は、今、地方創生の一翼を担う貴重な存在にもなっています。
今回は、各地で活用が進む古民家の状況とともに、都会のオアシスともいえる東京の古民家カフェをいくつかご紹介していきましょう。東京都の物件を探す
地方で活用が進む古民家

そもそも「古民家」とはどのようなものを指すのでしょうか。
一般社団法人全国古民家再生協会では、古民家を「建築後50年経過した建物とされるが、昭和25年の建築基準法の制定時にすでに建てられていた伝統的建造物の住宅」と定義しています。このような建物は、100年、200年の間、多くの自然災害などを乗り越え生き残ってきました。古民家を見て落ち着くのは、そんな変わらない姿に人々が安心感を持つからでしょう。
このような古民家を利用して、地方創生を進めていこうという取り組みも行われていて、観光庁も「歴史的資源を活用した観光まちづくり」の中で、地域に眠る古民家などの歴史的建築物を活用し、魅力ある観光まちづくりを進めています。
地域活性化の一端を担う古民家
古民家カフェもそうですが、古民家が国内でどのように活用されているかを少しご紹介していきましょう。 (出典:観光庁「歴史的資源を活用した観光まちづくりについて」令和3年1月25日)。
一般社団法人ノオトが40軒を超える古民家を再生。起業家や事業者を誘致し、ホテル、レストラン、カフェ、工房などが立ち並ぶ城下町の街並みを実現しました。20名以上の移住者、50名近くの雇用を生み出すととともに、限界集落といわれていた丸山地区に古民家を改装した宿泊施設を造り、観光面から地域の再生に大きく寄与しました。
重要伝統的建造物群保存地区に選定されている千葉県香取市佐原地区。成田空港からのアクセスも良いためインバウンド需要が期待されていますが、宿泊施設などが不足しています。このためまちづくりを行う会社を設立し、篠山市の成功モデルを関東でも実現するべく複数の古民家改装を続けています。
栃木県の那珂川町にある登録有形文化財指定の古民家と蔵を宿泊施設に改修。「本当の日本のライフスタイルの提供」をコンセプトに、有形文化財の高品質な宿泊施設と町内の飲食店やお店と町一体となったホテルとして営業しています。地域の飲食店と連携することで、夕食は歩いて行ける飲食店などが利用できるようになっています。

非日常が体験できる古民家の魅力とは
こういった大がかりな取り組みだけではなく、地方の古民家を購入・自分でリフォームし、ゆったり暮らしている方をSNSの投稿や動画サイトでも見かけるようになりました。
私も古民家ホテルに宿泊したことがありますが、非日常感を味わえるとともに、祖父母の家に泊まりに来たような安心感もあり、とても癒やされる空間でした。周辺の地域にも風情のある建物や歴史ある建造物があり、いつもと違う世界に来たような感覚を味わえました。「この街に住んでいた人は、こんな暮らしをしていたのだろう」と思いを巡らせることでその街をより身近に感じることができたという経験があります。
カフェの中には有形文化財を利用したものもある

このように、古民家はさまざまな形で活用が進んでいますが、私たちが一番身近に利用できる場所の一つ、古民家を改修したカフェではないでしょうか。古民家は建物自体に価値があるものも少なくなく、中には有形文化財に指定された建物を利用しているものもあります。
例えば、愛知県にある「蘇山荘」は、1937年(昭和12年)に名古屋汎太平洋平和博覧会の迎賓館和館として建築された歴史ある建物。2011年には国の有形文化財に登録されました。現在では、日本庭園を眺めながら軽食や甘味を楽しめます。また、日本三大秘境と言われる徳島県三好市の祖谷地区では、国指定重要文化財の民家である木村家住宅の一角を利用して、「古民家喫茶きむら」が営まれています。
東京の古民家カフェ3選
私はたまに古民家カフェに行くのですが、ゆったりした雰囲気の中、深呼吸して心を落ち着かせたり、本を読んだり、デジタルデトックスする場所として利用しています。店員さんも“ふんわり”した雰囲気の方が多く、ホッとできるのもお気に入りのポイントです。
そんな古民家カフェですが、しっかり人気もあります。SNSでハッシュタグ「#古民家カフェ」と検索すると98万件以上も投稿されており、「人気のカフェまとめ」や「デートスポットまとめ」などにも登場。最近では、テレビなどでも取り上げられた「古民家かき氷」がトレンドとなっています。古民家カフェは、大通りから一本裏に入った道など目立たないところにある店も多く、「知る人ぞ知るスポット」としても注目を集めています。
都内で古民家カフェが多い地域としては、世田谷区、港区南麻布周辺から渋谷区広尾にかけてのエリア、目黒区の祐天寺や碑文谷よりも南側のエリア、代々木上原駅周辺の西原や大山、渋谷駅近くの桜丘町、鶯谷町、猿楽町の一部、西荻窪などが挙げられます。東京屈指のおしゃれスポットも多く含まれています。
では、そんな知る人ぞ知る都内のおすすめ古民家カフェをご紹介します。
三軒茶屋の街にひっそりとたたずむ「RAIN ON THE ROOF」

東急田園都市線、三軒茶屋駅の北口から徒歩5分ほどの裏路地にひっそりとたたずむカフェです。ここにカフェがあると知らなければ通り過ぎてしまいそうな入り口から階段を上って行きます。
店内はとても広々としています。天井が高く、長くて立派な一本木の梁が歴史を感じさせます。年代物のエアコンや重厚感のあるソファに囲まれると、親戚の家に来たかのような気持ちになりました。他のお客さんとの距離もあるため、1人でも来やすいです。メニューから注文までをオンラインで完結でき、店の奥側には1人でのパソコン作業に向いていそうな席もありました。

今回は自家製チャイと、焼きりんごのレアチーズケーキを注文しました。
自家製チャイはスパイスも強すぎず、飲みやすかったです。自分で調節できるようハッカクと角砂糖が添えられています。クリームチーズの濃厚さとベリーの酸味がちょうどよく、食べ進めていくとパイ生地の食感もあり、飽きない美味しさでした。
今回特に古民家を改装したことがわかったのが、お手洗いでした。昔ながらのお手洗いを改装してあり、不便さはありつつも風情を感じました。三軒茶屋という立地もあってか、幅広いお客様に愛されているようでした。
店名:RAIN ON THE ROOF
住所:〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-14-22 池田屋 2F
営業時間:午前11時半~午後11時半
松陰神社前の地元民に愛される「KANNON CAFE」

東急世田谷線の松陰神社前駅から徒歩2分ほどの古民家カフェです。松陰神社通りという商店街を真っ直ぐ南に行ったところにあり、アクセスが良く、テイクアウトにも便利です。
通学路にもなっているためコーヒー店でありながら地域の子どもたちも訪れるようで、店内には子どもたちが身長を測ってシールを貼っている柱がありました。使い捨てではないオリジナルカップを使用している常連さんの姿も多く、地域から愛されていることがわかります。

商店街に面した古民家を改装した店舗は、天井が高く室内ですが開放的です。都会的な外観に反して、欄間(らんま)や木の柱をそのまま残しているため古民家らしさを感じられる内装になっていました。

注文したのは、8月限定メニューの「ミントエスプレッソソーダ」です。自家製ミントシロップの香りにエスプレッソの苦味が効いていて夏らしい逸品。まさに暑い日にピッタリでした。
店名: KANNON COFFE shoinjinja
住所:〒167-0054 東京都世田谷区若林3-17-4
営業時間:午前9時~午後7時
こだわりの自家製チーズケーキが楽しめる「tenement」

東京メトロ日比谷線 広尾駅から徒歩10分、JR山手線・埼京線 恵比寿駅から徒歩14分の場所にあるチーズケーキ専門店です。
のれんをくぐって店内に入ると、長屋らしい奥行きのある空間が広がります。まず入ると目に飛び込んでくるショーケースにはさまざまな種類のチーズケーキが並んでいました。

オーナーのINO hidefumiさんはミュージシャンで、店内にはレコードも飾ってありました。おしゃれな店内にはこだわりを感じました。メニューも、「身体に優しい食」をモットーにすべて手作りしているそうです。九州からの新鮮な食材を中心に旬の野菜やフルーツを使用しているため、体をいたわりたいときにもピッタリです。

今回は自家製レモネード、期間限定の桃のチーズケーキと、ジンジャーレモンのチーズケーキを注文しました。自家製レモネードは暑い日にピッタリの爽やかさ。桃のチーズケーキは、桃のコンポートの甘さとクリームチーズのような甘さと酸味のコンビネーションが最高でした。
ジンジャーレモンチーズケーキは、桃のチーズケーキとは違ってベイクドチーズケーキの上に、甘さと程よいピリッと感の合わさったジンジャーレモンがのっていました。チーズケーキはテイクアウトも可能です。帰りに待っていたのは、ショーケースに並んだチーズケーキの誘惑でした。
店名:tenement
住所:東京都渋谷区恵比寿2-39-4
電話:午前11時半~午後8時
ゆったりできる古民家カフェのある暮らし
今回は、東京でゆったりと暮らすために一人で静かに落ち着ける場所として、古民家カフェをご紹介しました。
せわしない日常から離れて自分の時間を少しでも持つことで、普段は見逃してしまいがちな自分の心と向き合うことができるような気がします。
普通のカフェとは違った、日本人の精神を受け継いで現代まで残っている空間が、古民家の持つ魅力だと再発見することができました。休日に静かに通いたくなる、そんな古民家カフェが近くにある暮らしはいかがでしょうか。
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