借りる部屋を決める際、多くの候補のなかから2つの物件にまで絞ったものの、どちらを選ぶべきか判断に迷ってしまうこともあります。
最終的には細かな項目を比較しながら、より適した方を選ぶことになるので、できるだけ数多くの判断基準を持っておきたいものです。
この記事では、物件選びで見落としてしまいがちな比較ポイントをピックアップして「費用」「立地」「その他の条件」の3点から詳しく紹介します。
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まず知っておきたい! 気になる物件の仮押さえはできる?

借りたい物件をある程度絞り込めているときには、ほかの入居希望者に先を越されないように「取りあえず仮押さえをしておきたい」と考える人も多いでしょう。
しかし、賃貸物件は基本的に「借りるか迷っているけれど、取りあえずキープ」という意味で押さえておくことはできません。
賃貸物件の契約において、仮押さえと呼ばれるものは「入居申し込み」のことです。入居申し込みは、原則として借りることを前提にした手続きなので、2つの物件で同時に行うことはできません。
そのため、借りる候補を2つまで絞り込めているのであれば、できるだけ早く結論を出すことが大切です。
物件選びに悩んだときは優先順位を明確にしよう

物件選びに悩んでしまったときには、まず条件の優先順位が明確になっているかどうか見直してみるといいでしょう。ここでは、優先順位の決め方を具体的に解説します。
3つの基本条件を明確にする
賃貸物件における3つの基本条件とは、「家賃」「立地」「広さ」です。2つの物件で迷ってしまったときには、まずこれらのポイントを比較してみましょう。
たとえば、2つの物件の家賃が異なる場合には、立地や広さの面での違いを含めて、より優れたコストバランスの物件を見極めることが大切です。
また、家賃や広さの条件が似ているなら、最寄り駅からの距離だけでなく周辺環境にも目を向けて、立地上の違いを比較する必要があります。
こだわり条件には優先順位をつける
賃貸物件のこだわり条件にはさまざまな種類があるので、すべてにおいて理想に当てはまる物件を探すのは至難の業です。スムーズに部屋探しを進めるためには、条件の具体的な内容を把握したうえで、それぞれの優先度を決めておくといいでしょう。
また、妥協してもいいポイントを明確にしておくと、2つの物件を比較するときに役立ちます。
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悩んだときの比較ポイント1:家賃・費用に関する項目

2つの物件で悩んだとき、まず目を向けておきたいのは「コスト」に関する項目です。ここでは、見落としてしまいがちなポイントを3つに分けて見ていきましょう。
管理費・共益費を含めた賃料で比較する
賃貸物件には、あらかじめ家賃に管理費・共益費が含まれている物件と、別途計算される物件があります。別で計算される物件の場合は、表面上は同じ家賃のように見えていても、管理費・共益費を含めると毎月のコストに大きな違いが生まれます。
そのため、2つの物件で迷ったときには、これらの費用を含めた賃料を基に比較するようにしましょう。
初期費用を比較する
賃貸物件を借りるときには、敷金・礼金や仲介手数料といった初期費用がかかります。初期費用の金額は「家賃の4~6ヶ月分程度」が目安とされていますが、物件によっても異なるので、きちんと計算しておくことが大切です。
たとえば、家賃と初期費用が異なる2つの物件で迷っている以下のケースを例にして、詳しく見ていきましょう。
ケース
- 物件A:家賃7万円、初期費用は家賃6ヶ月分
- 物件B:家賃7万3,000円、初期費用は家賃4ヶ月分
一見すると家賃の安い物件Aの方がお得に感じられますが、2年間住み続ける場合で比較をしても、以下のように物件Bの方がトータルコストは安くつきます。
| 物件A | 物件B |
|---|---|---|
初期費用 | 42万円 | 29.2万円 |
2年間の家賃合計 | 168万円 | 175.2万円 |
トータルコスト | 210万円 | 204.4万円 |
このように、家賃を含めてほとんどの条件が類似しているのなら、初期費用と、どのくらいの期間住むことになるかのバランスで比較してみるのもひとつの方法です。
ガスのタイプを比較する
見落としがちなポイントのひとつに、「ガスのタイプ」が挙げられます。賃貸物件のガス供給方法には、「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類がありますが、一般的にはプロパンガスの方が料金は高くなる傾向があります。
プロパンガスはガス会社ごとに自由な料金設定が可能で、契約会社によって料金に大きな開きが見られます。
一方、都市ガスも現在では料金の自由化がスタートしているものの、2017年までは水道や電気などと同じような料金制度(総括原価方式)が使われていました。そのため、プロパンガスに比べると価格は抑えられている傾向にあります。
タイプによってガス代に大きな違いが生まれることもあるので、比較ポイントとして意識しておきましょう。
悩んだときの比較ポイント2:立地・周辺環境に関する項目

続いて、立地に関する比較ポイントを見ていきましょう。
最寄り駅までの距離とルート
最寄り駅までの距離は、それぞれ徒歩所要時間が明確に示されているので簡単に比較できます。しかし、徒歩所要時間はあくまで距離を示す数字であり、短い方が楽に行き来できるとは限りません。
たとえば、「途中に急な坂道がある」「踏切や信号で何度もストップしてしまう」など、数字上では把握しきれない特徴もあります。そのため、最寄り駅からの距離を比較するときには、実際のルートも含めてチェックすることが大切です。
近隣の利便性
近隣の利便性を比較するときには、商業施設や公共施設までの距離、頻繁に利用する施設へのルートをチェックしましょう。
また、自家用車での移動を想定する場合には、自宅から対象施設までの道路状況や交通量などの細かなポイントも意識しておきたいところです。
駐車場・駐輪場の有無
立地に関して見落としてしまいやすいのが、駐車場・駐輪場の有無です。また、駐車・駐輪スペースの管理状況や利用しやすいかどうかにも目を向けることが大切となります。
特に車を使用する場合には、前面道路の広さや交通量など、周辺環境によって駐車の難易度が変わることもあるため注意しましょう。駐輪場については「屋根の有無」「段差の有無」などが細かな比較ポイントといえます。
騒音・治安
騒音や治安といった周辺環境は、住み心地に大きな影響を与えるポイントです。特に幹線道路や線路沿いの物件は、時間帯によって騒音が気になってしまうケースも多いので、可能であれば複数の時間帯や曜日で状況をチェックしておけると安心です。
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悩んだときの比較ポイント3:こだわり条件に関する項目

こだわり条件に関する比較ポイントは数が多く、人によって違いが生まれやすい部分でもあります。ここでは、意識しておきたい主なポイントをピックアップして紹介します。
物件の階数、エレベーターの有無
部屋の階数は、賃貸物件の人気条件のなかでも上位にランクインする項目です。「2階以上」という条件で部屋探しをしていた場合には、もう少し踏み込んで2つの物件の階数を具体的に比較しましょう。
周辺の建物によっては、階数が1つ違うだけで眺望や日当たりに大きな差が生まれることもあるので、こだわりたい人は現地の状況をきちんとチェックする必要があります。また、ある程度の高さがある場合には、エレベーターの有無にも目を向けておきましょう。
特に総戸数の多いマンションでは、エレベーターの台数によっても利便性に大きな違いが生まれるので、確認しておきたいポイントです。
方角・日当たり
部屋の方角は日当たりに大きな影響を与える要素です。一般的には日当たりに優れた南向きが人気の傾向がありますが、その分家賃も高くなりやすい面があります。
午前中の日が入りやすい東向き、日当たりには恵まれないものの夏でも涼しい北向きなど、人によって快適に感じる方角は異なるので、生活リズムに合わせて比較するのもコツです。
防音性、建物の構造
一般的に、防音性は木造よりも鉄骨造や鉄筋コンクリート造の方が優れているとされています。しかし、建物のつくりや部屋同士の距離によっても異なるので、気になる場合は内見時にきちんとチェックしておくことが大切です。
水回り
水回りは毎日の生活で使う設備ばかりなので、こだわり条件のなかでも特に優先度が高くなりやすいものです。
一般的には「バス・トイレ別」「室内洗濯機置き場」「独立洗面台」などが人気の条件ですが、人によって重視したいポイントが異なる場合もあるので、それぞれのメリットを理解しておくことが大切です。
また、基本的なスペックが同じなら、配置や動線から比較してみるのもいいでしょう。たとえば、「洗濯機置き場からベランダが近い」「オープンキッチンで調理から配膳まで効率よく済ませられる」など、家事動線を確保しやすいかどうかにも目を向けてみましょう。
セキュリティー
セキュリティーに関する設備には数多くの種類があるので、比較するのは難しいポイントです。
基本的には設備の有無や充実度で比較するのがスムーズですが、住まいの安全性を確認するのであれば、周辺の治安や街灯の有無といった近隣の環境も確認しておくことが大切です。
収納スペースの使い勝手
収納スペースについては、「広さ」や「個数」は比較的目につきやすいので、すでにチェックしているという人も多いでしょう。ただ、実際に生活するうえでは、「配置」も重要なポイントとなります。
たとえば、シンプルなワンルームであれば、収納スペースの位置によって、家具全体のレイアウトもある程度決まってきます。収納スペース前は少し空けておく必要があるので、大型のベッドなどを置くのは難しい場合も少なくありません。
また、扉のタイプや開閉方向も使い勝手を大きく左右するので、それぞれの物件でどのようなタイプが導入されているか見直してみるといいでしょう。
まとめ

- 賃貸物件は原則として仮押さえができないので、人気の物件ならできるだけ早く判断することも大切
- 賃料は管理費・共益費、初期費用を含めたトータルコストで比較する
- ガスのタイプにも目を向けておく
- 最寄り駅からの距離だけでなく、実際のルートも確かめておく
- こだわり条件はあらかじめ優先順位を決めてから比較するとスムーズ
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