ペットを飼っていてこれから新しく家を建てるという場合は、人間だけでなくペットにとっても暮らしやすい住まいづくりにこだわりたいところです。特に注文住宅の場合は、間取りや設計にこだわることで、ペットが安心・安全に暮らす家を建てやすいという魅力があります。
そこで今回は、森住宅コンサルタント株式会社代表取締役の森雅樹さんにお話を伺い、ペットと暮らす家の間取りのポイントや必要な設備、ペットとの暮らしにありがちな問題点とその対策について紹介します。
無料で住まいの窓口に相談するペットと暮らす住宅カタログを探す
ペットと暮らす家を考える際に知っておきたい犬・猫の特徴は?

ペットと暮らす家の間取りを考える際は、まずはペットの習性について理解しておくことが大切です。ここでは、犬と猫の特性について紹介します。
犬の特性
犬は好奇心が強く体を動かすことが好きな性質があります。また、狭い所を好む一方、寂しがり屋で孤立した環境が苦手です。
家族と一緒のスペースで過ごすと安心しますが、暑さが苦手で寒さに強いので、特に夏場は体温調整がしやすいように工夫する必要があるでしょう。
猫の特性
猫は獲物や外敵を発見しやすいなどの理由から、高い場所や身を隠せる狭い場所を好みます。また、好奇心が旺盛で夜行性なため、室内飼いの場合は自由に動き回れるような環境作りがポイントになります。
日当たりのいい場所を好み、キレイ好きで縄張り意識が高いので、トイレは常に清潔に保つようにし、テリトリーを確保しやすい間取りを考えることが大切です。また、猫の習性の一つに“爪とぎ”があるので、爪とぎ用の柱などを用意する必要があります。
ペットと暮らす家の間取りで考えるべきこととは?

ペットと暮らす家を建てるときは、ペットの習性を整理しながら間取りに反映させていくのがいいでしょう。ペットが快適に暮らすための間取りのポイントは、以下のとおりです。
犬の場合
- 室外に出やすい設計にする
- リビングの一角にハウス(ドッグスペース)をつくる
- 室内を自由に動き回れる回遊動線にする
猫の場合
- キャットウォークやキャットドアで動線をつくる
- 日当たりの良い場所に猫がくつろげるスペース(出窓など)を設置する
犬を飼育する場合は、回遊動線で室内を自由に動き回れるようにすることで、運動不足によるストレス軽減につながります。犬は一度回遊ルートを発見すると同じルートを何度も回る動きをすることがあります。リビングと廊下を一周できるような動線は取り入れやすいので、ぜひ検討してみましょう。
ペット用のプライベートスペースですが、スペースに限りがある場合はリビングの一角に犬用のハウスを設置したり、猫であれば猫専用のベッドなどを置くだけでもいいでしょう。寝室にペットを入れたくないという人は、寝室だけ少し離れた場所に配置したり、柵を設けるのもおすすめです。
また、犬であればリビングに隣接してウッドデッキを設けたり、猫であれば吹き抜けを利用して高い場所をつくったりと、ペットが好みそうなルートをイメージしながら間取りに反映させるといいでしょう。玄関のそばにマルチシンクやゴミ箱を設置すると散歩後に足を拭いたり、掃除をしたりする作業がスムーズになるので、飼い主のストレス軽減になります。
無料で住まいの窓口に相談する ペットと暮らす住宅カタログを探すペットと暮らす家で取り入れたい設備は?

ペットと暮らす注文住宅では、一般的な住まいとは異なる設備を導入することで、より快適に暮らすことができます。犬や猫と暮らす際に取り入れたい設備は、以下のとおりです。
犬
- 足洗い場
- ハウス(ペットスペース)
- ドッグラン(屋上や庭など)
- 足に負担のかからない床材
- コルクマットやカーペット
猫
- キャットドア
- 出窓
- 爪とぎ用の柱
- ひっかき傷に強い特性のあるクロス
- 湿度調整化粧壁材
- キャットウォーク
犬と猫共通
- 自動センサー付き天井換気扇
- 転落防止用フェンス
犬を飼っている場合は、散歩から帰ったときの洗い場は必須です。しかし、洗い場があればいいということではなく、洗った後にすぐに室内に入れるようにするのがポイントです。大型犬の場合は抱えて室内に入ることは難しいため、勝手口などに立水栓を設置して洗った後にすぐに家に上がれるようにするのもいいでしょう。
また、室内で安全に暮らすためにも、クッション性のある滑りにくい床材を使用したり、転落防止用フェンスなどがあると安心です。トイレ回りには自動センサー付きの換気扇を設置すると、ニオイがこもるのを防いでくれます。
そのほかにも、なるべく段差をなくしたり、キッチンなどのケガをしてしまいそうな場所に入らないようにフェンスを設置するのもおすすめです。防音・防臭・ケガ対策をふまえたうえで設備を検討するようにしましょう。
ペットと暮らす家のおすすめ間取り図を紹介

それでは次に、ペットと暮らす注文住宅の間取り図(事例)とそのポイントについて紹介します。
ドッグランに最適な屋上付き3SLDK

1階には洗面室を中心とした水回りと上部に吹き抜けのあるリビングがあり、2階には3つの居室が配置されています。玄関・洗面室・LDKを回遊できる動線で家事がしやすく、ペットが室内で動きやすい点がポイントです。
また、屋上はドッグランやペットが自由にくつろげる空間として活用することができ、周囲の視線を気にせず楽しむことができます。開放感ある吹き抜けの空間は家族の気配を感じやすいので、寂しがりやのペットでも安心して過ごすことができるでしょう。
1LDKの平屋(吹き抜け・ドッグラン・土間収納付き)

間取りは1LDKですが、8.5畳のロフトが付いている物件です。ワーキングスペースやプライベート空間として活用できます。吹き抜け・柵付きのドッグラン・土間収納と、ペットにうれしい設備が付いており、段差が少ないのでペットの安全面にも配慮された設計となっています。
1階はLDKを中心として水回りや居室が配置されており、ドッグランスペースや庭は室内から見渡すことができるので、いつでもペットの様子を確認できます。
平屋というと、「ペットにとっては窮屈かも?」と思われがちですが、この間取りのようにロフト・吹き抜け・ドッグランなど、敷地を有効に使うことでペットが快適に暮らせる間取りにすることができます。
無料で住まいの窓口に相談する ペットと暮らす住宅カタログを探すペットと暮らす家でよくある困りごとと対策

ペットと暮らす際に気をつけたいのが、汚れやニオイ、音などです。また、長毛種の場合は毛の生え代わり時期に多くの毛が室内を舞うため、掃除の頻度も多くなります。
汚れに関しては、壁紙を貼り替えのしやすい上下貼り分けクロスにしたり、汚れても水洗いしやすいタイルや床材を使用するのがおすすめです。上下貼り分けクロスは全面的に貼り替えるよりもコストを抑えられるというメリットもあります。
ニオイに関しては、特にトイレ回りに換気扇をつけたり、脱臭と湿度調整機能を備えた化粧壁材を使用するといいでしょう。通気断熱WB工法のように室内のニオイがクロスを透過して壁体内から外に放出するような仕掛けをつくるという方法もあります。
鳴き声やほえ声が気になるという人は、音が漏れにくい樹脂サッシを採用することで防音対策ができます。ペットと暮らす際は掃除道具を複数の場所に設けて掃除がしやすいように工夫することなどもポイントです。
まとめ

家族の一員であるペットと暮らす家は、間取りや取り入れる設備を工夫することで快適に暮らすことができます。注文住宅を建てる際はペットの習性についても考慮し、住む人が快適に暮らせる住まいづくりを心がけましょう。
無料で住まいの窓口に相談する ペットと暮らす住宅カタログを探す更新日: / 公開日:2021.12.17










