これから家を建てる方の中には、将来を考慮して二世帯住宅や三世帯住宅を検討している方もいるでしょう。

具体的に進めようとする前に、二世帯・三世帯住宅だからこそのメリット・デメリットを整理して、家族の暮らしと照らし合わせることが大切です。

ここでは生活面と経済面のメリット・デメリットを同居タイプ別に見ていくとともに、将来的に賃貸に出す場合の留意点や、建てるときに押さえておきたいポイントなどを解説します。
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二世帯住宅と三世帯住宅のメリット、デメリット

子世帯と親世帯が同居する二世帯住宅、子世帯と親世帯、祖父母世帯が同居する三世帯住宅、そして子世帯の独身である兄弟姉妹が同居する二.五世帯住宅と多世帯住宅には3つのタイプがあります。

 

3つとも共通してあるのが、同じ屋根の下に住むという距離感の近さ。まずはメリットとデメリット双方を見てみますが、ともにこの距離感の近さが要因になっています。

子育てと介護を両立できるメリット

移動距離その他が楽になるので、子世帯にとって子育ての際は親世帯、祖父母世帯の協力が得やすく、祖父母世帯にとって介護の際は親世帯、子世帯の協力が得やすくなります。

経済的なメリット

土地建物に関する取得費や維持費を多世帯で負担するので、一世帯当たりの支払いは軽くなります。また、子世帯、親世帯、祖父母世帯間で経済状況を共有しやすいので、状況が分かる分、経済的な支援をしやすく、かつ受けやすくなります。

節税のメリット

一定の条件を満たせば特定居住用宅地等として認められるため、祖父母世帯、親世帯にとって相続時に土地評価が8割減となることで、相続税を少なくすることができます。

プライバシーのデメリット

同じ屋根の下に暮らすことになりますから何かとプライバシーの問題が出てきます。間取りなどの工夫でプライバシーの確保を検討していきたいところです。

トータルコスト増加のデメリット

キッチンや浴室、トイレが2つあるため一世帯と比べてトータルコストが上がります。またプライバシー確保を徹底しようとするとコストが上がり気味になります。

売却しづらいデメリット

二世帯、三世帯住宅を中古で求める方は一世帯住宅と比べてそう多くはありません。そのため売却する場合、思ったよりもスムーズにいかないことが多いようです。

また、世帯によって売る、売らないと意見が分かれることがあります。売却は土地建物の名義人全員の同意が必要。もし名義のある一世帯が土地建物を売らないと言い出すとそのまま住み続けなければなりません。

 

このようなメリットとデメリットがあることを理解して検討していきましょう。

 

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完全同居型、部分共用型、完全分離型どのタイプにする?

完全同居型とは1つの建物に多世帯の家族がすべてを共有して居住するタイプです。普通の一戸建てに多世帯全員で暮らしをすると考えれば分かりやすいと思います。

 

部分共用型とは多世帯ごとに居住空間は独立していますが、玄関やキッチン・浴室などの水回り、リビングなど住宅の一部を共有するタイプです。

 

それに対して世帯ごとにすべて分離するのが完全分離型といえます。完全分離型でも階によって世帯が違う階層分離型と、壁を使って平面で世帯を分ける平面分離型の2つがあります。

 

それぞれを比較してみますと以下の表のようになります。

 

 

プライバシー

コスト

完全同居型

×(工夫が必要)

〇(かからない)

部分共有型

完全分離型

〇(確保される)

×(かかる)

どのタイプにするかはプライバシー確保をどうするか、かかるコストと維持するコストをどう考えるか次第といえます。資金計算など慎重な検討が必要です。

 

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賃貸に貸し出すときは

二世帯住宅は二世帯でちょうどよい大きさに建てますので、もし一世帯だけで住むとなると大きすぎるということがあります。たとえば、祖父母世帯が施設に入ったり、子世帯が出ていったときなどがそうです。その分、広く使うかというと、そこまでのスペースは不要のことが多く、空いたままにするかどうかについて頭を悩ますことが多いようです。

 

そこで完全分離型の場合は、賃貸に出すことを検討すると思います。完全同居型や部分共有型では難しいことも、プライバシーが確保できる完全分離型なら検討は可能です。ここでは、賃貸に出す場合の留意点について説明してみたいと思います。

1.生活リズムが近い世帯に借りてもらう

同じ屋根の下に住むため、あまりにも生活リズムが異なる世帯に借りられてしまうとストレスを感じてしまいます。できれば賃借人と事前に面談をし、生活リズムが近いかどうかを確認しましょう。

 

2.出入り口を別に設ける

今まで敷地内への出入り口が一緒だった場合、新たに別に設けたほうがいいでしょう。

 

賃借人は賃貸人(大家)とそこまで多く顔を合わせたくないと思っています。音がうるさいなど何か言われるかもしれないと思っているからです。そのため、敷地外への出入り口は賃借人用に別に設けたほうが早く借り手が見つかるかもしれません。

 

3.定期借家契約の制度を利用する

賃借人が場合によっては不良入居者の可能性があります。また、本来は二世帯・三世帯住宅で建てた家。賃貸に出し続けているうちに、ここまでの広さは不要と売却することも視野に入り、賃借人に立ち退いてもらいたいなと思うかもしれません。

 

そのようなときに、賃借人の権利が強く、原則契約が更新しやすい普通借家契約では賃借人に立ち退いてもらうことが容易ではありません。そこで、賃貸人の権利が強く一定期間が過ぎれば更新せず退去してもらいたい定期借家契約の制度も検討していきましょう。

 

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建てるうえで押さえておきたいポイント

同じ屋根の下に住むという距離感の近さが二世帯・三世帯・二.五世帯のメリット、デメリットをつくっています。この点を踏まえて建てるうえで押さえておきたいポイントを3つ書いてみます。

1.プライバシーを確保しつつ、交流もできる間取りの工夫

距離感が近いがゆえに長く一緒に住むにはプライバシーの確保が必要ですが、と同時に、コミュニケーションがないとトラブルが起きやすくなってしまいます。

そのためプライバシーと交流が両立できるような間取りの工夫をしましょう。

 

たとえば、階層分離の完全分離型で、リビングは上下で同じ位置にし、一角だけ吹き抜けをつくり、上下階で声のやり取りをできるようにした事例があります。それによって改まってコミュニケーションを取らずとも、何げない会話が生まれ、意思疎通は常にできるようになったということがあります。間取りのちょっとした工夫でプライバシーの確保と交流両方ができるのです。

2.共有できる部分は共有することでコストを削減

二世帯・三世帯住宅のメリットは他人の世帯とはなかなかできない空間の共有があります。

 

また何でもかんでも世帯ごとにつくっていると、かかるコストはすぐ跳ね上がりますので、そうならないようにできる部分は共有することでコストを削減したいところです。

 

私が面白いなと思ったのはキッチンと洗面スペースを共有している部分共有型のご自宅です。

 

キッチンはかなり大きめの物を入れて親世帯、子世帯で同時に使えるようにし、洗面スペースは2つのボウルがある大きな洗面台を入れ、使う時間帯が違う親世帯、子世帯がおのおので広く使えるようにしていました。

 

このように時間差を使って共有するという方法も検討してみてはいかがでしょうか。

3.コストをかけてでも処分活用しやすい建て方・つくり方

デメリットでも書きましたが、二世帯・三世帯住宅は売却や賃貸などで処分や活用がしにくいのがネックとなります。そのため、建て方やつくり方などは万一のことを考えて処分・活用しやすいようにしておきましょう。また、場合によってはコストをかけてでもそうしておきたいところです。

 

二世帯・三世帯住宅で本当に困るのは世帯間でトラブルが起きたときです。

 

つくるときは共通の家を建てるという目的があるので、あまり顕在化しませんが、いざ住み始めると実の親子でも意外にトラブルとなることがあるのです。そうなったときに、出ていこうにも住宅ローンがあって売却しないといけないが、親世帯は売らないと言って承諾してくれない。でも、親世帯は住宅ローン分を完済できる現金がないので、どうにもならずこのまま我慢して住み続けるしかない……という生々しい現実がよくあるのです。

 

そうならないように処分・活用することも考えて、たとえば2分割できるような建て方、つくり方をする、名義もできるだけシンプルにするといったことを心がけておいたほうがいいかもしれません。

 

二世帯・三世帯住宅を建てるときは、建物の専門家の意見だけではなく、不動産の専門家の意見も聞いておいたほうがいいかもしれませんね。

 

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更新日: / 公開日:2020.07.30