
渋谷駅通勤なら、どこに住みますか?
国土交通省が「職住近接のまちづくり」を推進して数年が経ちました。会社の近隣に住む場合には住宅補助や近距離手当を支給するなどの制度を取り入れている企業もありますが、実際に勤務地と居住地の関係はどのようになっているでしょうか?
都内の主要ターミナル駅(東京駅、池袋駅、渋谷駅、新宿駅)周辺に通勤する人たちについて、株式会社ドコモ・インサイトマーケティングが提供する「モバイル空間統計」「di-PiNK」を用いて調査・分析を行いました。
「モバイル空間統計」はドコモの携帯電話ネットワークのしくみを利用して作成される人口統計情報です。1時間ごとの人口を、24時間365日把握することができる新しい人口統計で、実態に近いリアルなデータを知ることができます。
渋谷駅周辺について
今回調査した通勤エリアは渋谷駅を中心とすると少し西側に伸びたエリア(図参照)で、推定される通勤人数は256,356人です。渋谷駅はJR山手線、東京メトロ銀座線、半蔵門線のほか東急東横線、京王井の頭線なども乗り入れるビッグターミナルです。以前からアパレルや雑貨などファッション系の企業が多くあるお洒落な街でしたが、現在ではIT関連企業の集積も進みハイテク産業を担う若年層のサラリーマンが多く集います。

1位三軒茶屋駅(東急田園都市線 他)
- 住んでいる人数
- 2,189人
- 渋谷駅までの所要時間
- 6分(乗換なし)
賑やかな駅前周辺とは対照的に、一歩裏手の道に入ると閑静な住宅地が広がる三軒茶屋は、渋谷駅へのアクセスの良さから、以前から多くの分譲マンションが販売されてきました。今となっては開発用地が限られていることから物件数はわずかですが、現在でもコンスタントな分譲計画があり、依然として渋谷至近で一番の人気住宅地の地位を維持しています。
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2位西太子堂駅(東急世田谷線)
- 住んでいる人数
- 2,041人
- 渋谷駅までの所要時間
- 12分(乗換1回)
西太子堂は、三軒茶屋から徒歩圏ながらとても閑静な住宅地であり、また街区が細かく分かれていて大規模な開発に適さないため、個性的で住み心地が良さそうな住宅が立ち並んでいる地域でもあります。一戸建ても多く、隣駅の若林と並んで都会の一角に残された昔ながらの長閑な住宅地としてのステータスを獲得しています。
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3位若林駅(東急世田谷線)
- 住んでいる人数
- 1,680人
- 渋谷駅までの所要時間
- 14分(乗換1回)
三軒茶屋、西太子堂に続いて隣駅の若林がアクセスランキング3位となりました。東急世田谷線の沿線が渋谷駅へのアクセスの上位を独占しているという結果は、世田谷線沿線の物価や生活利便施設の充実度を含めた住み心地の良さを示すものと言えます。若林駅周辺は以前から環状7号線沿いの閑静な住宅地であり、また国士舘大学の最寄駅で文教地区としても知られています。また世田谷区役所があることから区民会館や保健所、法務局なども集積しており、世田谷区の中心エリアでもあります。なお、世田谷線の駅は10位に松陰神社前もランクインしています。
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4位明大前(京王線 他)
- 住んでいる人数
- 1,674人
- 渋谷駅までの所要時間
- 8分(乗換なし)
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5位新代田駅(京王井の頭線)
- 住んでいる人数
- 1,533人
- 渋谷駅までの所要時間
- 9分(乗換なし)
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6位代田橋駅(京王線)
- 住んでいる人数
- 1,460人
- 渋谷駅までの所要時間
- 16分(乗換1回)
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7位東松原駅(京王井の頭線)
- 住んでいる人数
- 1,441人
- 渋谷駅までの所要時間
- 10分(乗換なし)
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8位駒沢大学駅(東急田園都市線)
- 住んでいる人数
- 1,429人
- 渋谷駅までの所要時間
- 9分(乗換なし)
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9位世田谷代田駅(小田急小田原線)
- 住んでいる人数
- 1,418人
- 渋谷駅までの所要時間
- 13分(乗換1回)
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10位松陰神社前駅(東急世田谷線)
- 住んでいる人数
- 1,344人
- 渋谷駅までの所要時間
- 15分(乗換1回)
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まとめ
渋谷駅はJR山手線、JR埼京線、東京メトロ銀座線、東急東横線、京王井の頭線など9路線が乗り入れるビッグターミナルで、一日平均の乗降客数も合計で約143万人(※)と東京駅を約4割も上回ります。渋谷駅の東側はJR山手線の内側エリアで青山や表参道などの高級住宅地およびオフィス街ですから、居住エリアとして多くの支持を集めているのは専ら西側エリアになりますが、その中でもアクセスランキング上位を東急世田谷線および田園都市線の駅(世田谷区若林および代田エリア)が占める結果となりました。1978年に開業した東京メトロ半蔵門線は、当初から東急田園都市線(当時は新玉川線)に相互乗り入れすることを前提に開発されていたため、青山一丁目、永田町、大手町など都心ビジネスエリアに直結しているという交通利便性がすでに担保されており、渋谷駅へのアクセスに上記エリアの駅が集中する結果になったこともうなずけます。東急電鉄は沿線の宅地開発および商業施設開発を積極展開し、沿線各駅のイメージや住み心地が話題になるような "企業努力"を現在に至るまで継続してきたこともこれらのエリアが人気を維持している要因と考えられます。
特に、渋谷駅に10分程度でアクセス可能な三軒茶屋や駒沢大学、世田谷線の西太子堂、若林などがランキング最上位に登場するのは、同線を代表する瀟洒な住宅地である二子玉川、鷺沼、たまプラーザ、青葉台などよりも物理的に渋谷~都心に近く、コストパフォーマンスに優れた効率的な生活が望めるという実利的な選択結果が反映されていると考えられます。 また京王井の頭線の明大前、新代田、東松原もベスト10にランクインしており、東急線沿線と並んで京王線沿線も人気が高いことがわかります。 これらの駅も、物理的に渋谷〜都心寄りでコストパフォーマンスの高い生活が期待できるという共通点があります。
※乗降客数は各鉄道会社の公表値の合算を概数化
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