引越しと聞くと、「専門会社に依頼するもの」「たくさんお金がかかる」と思っていませんか?
私はなんとか低予算で、楽しく引越しできないかと考えた結果、“自力で引越し”することを選んできました。
引越し作業は、家族とワクワクしながら進めるときも、友達に手伝ってもらいながら進めているときも、大変な作業に変わりありません。しかし自力で行った引越しの方が、精神的には楽しく充実した時間になりました。
「自力でもできるなら、挑戦してみたい」、「やったことあるけど大変だった」。そのような方のために、私の自力での引越し経験をもとに、楽しくスムーズに引越しができる方法をご紹介します。
自力で引越しをした私の体験談
私は2度ほど、自力での引越しを経験しています。どちらも、エレベーターがない物件への引越しだったため、体力的にはとても大変でした。
しかし、自力でやったことにより、引越しにかかる費用を大幅に節約できました。事前に見積もりをとった引越し会社からは5~6万と提示されていたのですが、自力で行った結果、2万円程度(レンタカー代と、手伝ってくれた友人へのお昼代)に抑えられました。
友人や家族とワイワイ作業するのは、楽しい時間です。私の場合、ライフスタイルが変わるタイミングの引越しだったこともあり、普段なら恥ずかしくて語れない、これからの目標や夢の話ができる貴重な時間にもなりました。
自力で引越しの内容を簡単にご紹介
1度目の自力引越しは、実家からアパートの2階にある1Kの20m2程度の部屋への引越しで、いわゆるひとり立ちのときです。
初めての一人暮らしだったため、家具や家電を購入して、届いたものを配置していく作業が多かった印象です。実家から運んだものは、洋服や本などの細々した物だけだったので、簡単に完了しました。
2度目の自力引越しは、初めて一人暮らしをした1K(20m2)の部屋から1DKの30m2程度の部屋への引越しでした。今度は家具や家電も運ばなければならず、友人や家族に手伝ってもらうことに。1日がかりでなんとか完了させましたが、正直にいうと、かなり大変でした。
洋服や小物も量が多いと重量があって運び難いので、小分けにしたところ、荷物の個数が増えてしまい、荷造りの段階から悪戦苦闘した思い出があります。
2度も自力での引越しを選んだ理由
「結構大変そうなのに、なぜ自力で引越ししたの?」と、思う方も多いのではないでしょうか。
たしかに自分で引越し作業をするのは大変です。それでも私が自力での引越しを選ぶ理由は、「節約になること」「自分のペースでできること」の2つです。
自力で荷物を運ぶ場合、自家用車で済めば、ガソリン代だけで引越しすることもできます。レンタカーを借りても1万円程度で済むので、引越し会社に依頼した場合と比べると、数万円単位で差が出ます。
引越し会社に依頼する場合、「希望の日時に動けない」「予定変更ができない」などの制約があり、なかなか思うように進まないことが多く、不便さを感じていました。
引越し当日も、初対面の引越し会社の方々から、家具の位置や梱包方法など、質問や確認のために声をかけられ続けます。指示をするだけなので平気だと思っていたのですが、実際に経験してみると意外に大変で、体力面だけでなく、気疲れしてしまうこともありました。
自力の引越しであれば、家族や友人に手伝ってもらえることもあり、メンタル的な負担が少ないところが利点です。
自力引越しを成功させるポイント
自力での引越しを成功させるためには、徹底した事前準備が重要です。自力で行う分、予定よりも時間がかかる場合もあります。予定や手順、注意点を上手にリスト化して、しっかり準備しましょう。
自力といっても、一人でできることには限界があるので、家族や友人など、信用できる人に手伝ってもらうのがおすすめです。身近な人に手伝ってもらうためにも、しっかりと細かなところまで予定を立てておくことが大切です。
自力引越しが本当にできるのか、事前にチェックする
引越しが決まった段階で、“本当に自力で引越しできるのか”チェックしておきましょう。チェックポイントは、以下の3つです。
引越し先の部屋に荷物が入るかの確認
運搬の方法と経路の確認
手伝ってくれる人の有無
数字上の面積は同じくらいでも、間取り・天井の高さ・ドアの位置が違うと、「置けない家具」や、「運び込めないもの」が出てくる可能性があります。
周りの道が狭いと、大きな車を用意しても、家の目の前まで行けません。せっかく近くまで行っても、車両のサイズによっては、載せられない家具が出るときもあります。
家中の荷物を運ぶため、人手は多い方がいいですが、貴重品や大切なものを常に見張れる状況ではないので、信用して預けられる人に手伝いをお願いしましょう。
自力引越しは事前準備が大切
自力での引越しは、事前準備がもっとも大切。細かなところまで検討して準備できていれば、当日はひたすら運ぶだけです。仕事や学校による予定変更や、自力で運べない荷物の発覚により、引越し会社を利用したいと考えた場合にも、早めに気づくことで対処できます。
特に、1月後半からゴールデンウィークにかけては、引越し会社の予約が取り難い期間のため、早めに準備を始めましょう。
今回は、事前準備の中でも、とくに重要な準備を4つご紹介します。
準備(1)計画をリスト化する
いつ、どうやって作業をするのかをリスト化しましょう。引越しの日程を決めるときは、新居のごみの日の前日がおすすめです。梱包材や掃除でごみがたくさん出るので、翌日に処分できると、スッキリと新生活を始められます。
今住んでいる地域の習慣や決まりごとだけでなく、新しく住む地域のルールも考慮する必要があります。いつ何をするかという「日付の管理」と、何をどうやって運ぶかの「技術的な計画」は、細かく決めておきましょう。
準備(2)荷造りを早めに済ませる
一番後回しになりがちな荷造りは、最初に終わらせるのがおすすめ。荷造りのポイントとして、“無理して箱に詰める必要はない”ことを覚えておきましょう。
引き出し類や衣装ケースなど、もともと箱状で一つにまとまっているものは、そのまま運べます。箱にまとめながら断捨離するのもいいのですが、箱が増えると処分するときも大変です。引き出しのまま持っていけば、そのまま新しい生活が始められます。
準備(3)手段を確保する
ある程度、荷物がまとまり、量やサイズが分かってきたら、荷物を運ぶ方法を決めましょう。
車は小さくても、軽トラックのような“貨物タイプ”の車両が必要です。できれば、箱バンなどの貨物ワゴンがおすすめ。ワゴンタイプであれば、天候に左右されず、普通免許で運転できます。
車を決めるときは、今の家と新居の周りの道路状況を考慮しましょう。せっかく荷物を積んでも、停車させて荷下ろしができなければ、引越しは終わりません。道幅や交通量を、事前にチェックしておくと、作業をスムーズに進められます。
準備(4)手伝ってくれる人がいるか確認する
手伝ってくれる人はいるのか、引越し日にその人の予定を押さえられるのかを、確認しておきましょう。
最低限の荷物だけを運び、その他の家具や家電を新しく買いそろえる場合、時間と体力に余裕があれば、一人でも自力引越しは可能です。
しかし、家具や家電まで全てを運ぶとなると、やはり一人では難しいのが現実です。スケジュールや荷物の量を考慮して、信頼できる人に手伝いをお願いしてみましょう。
自力引越し当日を切り抜けるために
当日の作業で注意したいポイントと、知っておくと便利なコツがあります。
当日編(1)新居の掃除は搬入前に行う
私は、とにかく虫が苦手なので、新居の掃除は徹底的に行いました。アレルギーがある方や、少しの汚れでも気になるという方にも、入居前の掃除は重要です。荷物を運び入れてからでは掃除がしづらくなってしまう場所も、入居前なら掃除がしやすいです。
荷物を全て運び終えてから掃除をすると、手の届かない場所ができてしまいます。さらに、後で配置を変えるのも難しいので、予定通りのレイアウトができなくなる可能性があります。
当日編(2)ブルーシートを敷く
荷物を運ぶときは、玄関から廊下にかけてビニールシートを敷いて、靴を脱がずに部屋まで入れるようにしておきましょう。荷物を持ったまま、靴を脱いだり履いたりしなくて済むようにしておくと、楽に運べるだけでなく、転んで怪我をするリスクも軽減できます。
私は100円ショップで、できるだけ大きなブルーシートを2枚購入し、玄関から廊下・部屋の入り口までを覆いました。
当日編(3)適度な休憩と食事を確保する
掃除や運搬は、想像よりも重労働です。慣れない姿勢で重いものを運び、慣れない部屋で動き回っていると、体力・メンタル的にも疲れが溜まります。適度に休憩をとって、水分補給やおやつタイムをとるようにしましょう。
食事については、電気やガスの手続きミスにより使用開始できない場合を想定しておくことが重要です。当日の夜と翌日の朝の食事は、調理せずに食べられるものを用意しておきましょう。
自力引越しの翌日も気にしておきたいポイント
自力で引越しした翌日は、疲れが残っているので無理せずにゆっくり過ごしたいもの。しかし私は、引越し当日に終わらなかった荷解きや、手が回らなかった掃除を終わらせるようにしています。
翌日編(1)家具の配置を再確認する
引越し当日に終わらなかった荷解きや、家具の配置で気になるところを修正します。本格的に生活し始めると、徐々に面倒になって放置しがちな細かな作業は、引越し翌日に終わらせてしまいましょう。
翌日編(2)ごみ捨てをすませる
梱包材や掃除で出たごみを捨てます。これも荷解きと同じで、後回しにすればするほど、めんどうに感じる作業です。
せっかくの新しい部屋に、段ボールやごみ袋があったら、テンションが下がってしまいます。疲れていて面倒に感じても、ここでいっきに片付けましょう。
翌日編(3)身体を休める
引越し翌日は、無理せず新しいお部屋をゆっくり堪能してください。もし、元気があれば、新居の周辺を探検してみるのも楽しいです。
自力引越しの注意点
ここからは、自力で引越しをする際に、気を付けたいポイントをご紹介します。
失敗から学ぶ自力引越しの注意点
まずは、私が失敗したポイントから、注意点をお伝えします。
家電や棚などの大きな家具は、「予想以上に運ぶのが難しい」です。大きな家具・家電こそ、無くては生活に困るもの。体力がある最初のうちに、運ぶようにしましょう。
私の場合、本棚と洗濯機を運ぶのに苦労しました。本棚が想像以上に重く、新居の床にぶつけて、キズを付けてしまいました。洗濯機は重たくて大きいうえに、機械です。落とす・ぶつけるなどの行動により、壊れて使えなくなる可能性があるため、運ぶのに時間がかかりました。
大型の家具や家電は、当日までに運ぶためのシミュレーションしておくといいでしょう。
自力引越しでは神経質になりすぎないこと
理想の新しい部屋や生活を実現したい気持ちは、よく分かります。しかし、日程や時間だけでなく、家具の配置やキズまで、細かく気にしすぎてはキリがありません。「傷つけるかも・壊れるかも」と心配しすぎると、梱包・荷解きに、必要以上に時間がかかってしまいます。
家具の配置はいくら細かくこだわっても、実際に生活を始めてみたら、「邪魔な位置だった」「結局大がかりな移動をした」という場合もあります。
引越し当日の配置は、仮置きくらいの気持ちで、気軽に決めた方がよさそうです。
私も、引越し日の配置は“お試し配置”でした。実際に生活していく中で、不便な配置が出たときに、修正するようにしています。
自力で運ぶのが難しいものを見極めよう
どれほどに体力や時間に余裕があっても、自力での引越しが難しい場合もあります。
新居の入り口のサイズによっては、運び込めない大きさや形の家具があります。県を跨ぐような長距離の場合、相当手慣れていてノウハウがないと難しいです。怪我は大切な家や荷物の破損につながるので、無理はしないようにしましょう。
自力引越しがしやすい物件とは?
部屋の作りが複雑すぎない間取りを選ぶ
私は、お部屋探しの段階で、今ある家具が“希望の場所に配置しやすい”間取りを選ぶようにしています。家具・家電など大きなものが運び込みやすく、配置しやすいのは、凹凸の少ない間取りです。
引越しの度に、その部屋にぴったり合うサイズの家具を買うのは難しいです。できるだけ今ある家具が、スッキリ収まる間取りを選びましょう。
今後、家具を買い足す可能性も考慮しておくことも大切です。在宅ワークが増えたことで、今までは必要なかったパソコンデスクや椅子が必要になりました。趣味の幅が広がって、急に荷物が増えることもあります。そのため、環境の変化によって、家具を買い足す可能性を想定して物件を選んでおくのもおすすめです。
備え付けの収納が多い部屋を選ぶ
「趣味の道具や洋服、仕事道具など、荷物が増える一方」「リモートワークで自宅にいる時間が増え、狭さを感じる」など。収納に関する悩みは、備え付けの収納が充実しているお部屋を選ぶと解決します。
収納を買ったり持ち込んだりしていると、スペースが圧迫されて、部屋が狭くなってしまいます。今後、別の家に引越すことになった場合、間取り的に置けない家具が出てきてしまうのはもったいないです。
「全居室収納」「クローゼット」「シューズボックス」など、備え付けの設備がある部屋であれば、荷物の運び出しもスムーズです。
備え付けの収納が多い部屋を探してみよう
エリア別に住まいを見る
無理せずプロに依頼することも検討しよう
自力での引越しは、精神的にも予算的にも余裕をもって行えるため、おすすめです。しかし、判断の段階で、「自力では厳しそうだ」と感じたら、無理せず引越し会社さんに相談してみましょう。
無理して運び、「家具を壊す」「部屋に傷を付ける」などの事態が起きたら大変です。時間がかかったり運べなかったりするだけならまだしも、転倒や落下で怪我をしてしまう可能性も考えられます。
引越しが決まった段階で、さまざまな方法を検討しておくことが重要です。「LIFULL引越し」のような比較サイトを活用し、引越しのプロに相談してみましょう。
予算や日程によっては、どうしても自力では難しいものだけをお願いしてみるのもいいかもしれません。
引越しを自力でするなら事前準備を入念に!
プロの力に頼らず、自力で引越しを行う場合は、事前準備がとても大切です。当日のスケジュールや引越しを手伝ってくれる人への連絡など、忘れずに確認しましょう。引越し先の物件も運搬しやすい間取りを選ぶことで、よりスムーズに行えます。
私は自力での引越しを経験したことで、費用の節約に加えて、引越し会社さんとのやり取りなどがなく、気持ち的に楽だと感じました。
単身者など比較的荷物が少ない方であれば、初めての自力引越しでも行いやすいと思います。「引越し会社の見積もりが高い」といった不満があるなら、自力引越しに挑戦してみてはいかがでしょうか。