「ミニマリスト」というと、どんな人物を思い浮かべますか?
マメで昔から整理整頓が得意? 細かい家事が好き?
いいえ、そのどちらにも当てはまらない、面倒くさがりで元「汚部屋」出身の私でも、試行錯誤の結果ミニマリスト生活が送れるようになりました。
そこで今回は、ずぼら主婦でもリバウンドしないキッチンづくりのルールを紹介します! キッチンを快適に保ちたいと考えている方の参考になればうれしいです。
ミニマリストとは
ミニマリストとは、「必要最低限の持ち物でコンパクトな生活を望む人のこと」です。一つのものに対するこだわりが強く、お皿や洋服、カバンなどは使い回しがしやすいものを選ぶ人が多い印象です。
「ミニマリスト」という単語でくくられることが多いですが、実際はその中でも、考え方の違いでいくつかに分類することができると思います。
私は節約主義のミニマリスト
① 持ち物最小限主義
② 1点豪華主義
③ 自然派主義
④ 節約主義
①の「持ち物最小限主義」は、独身の方や男性に多い印象です。ガランとしたお部屋、家具がほとんどない。中には車や布団も手放したツワモノも。
②の「1点豪華主義」は、おしゃれで持ち物へのこだわりが強い方、ファッションアイテムや食器などが好きな女性に多い印象です。1つのモノを長く愛用するので、本当に好きなモノしか持たない。そのぶん、1つあたりのアイテムに少しお金がかかっても、日常使いする中で満足度が高い買い物を重視するタイプのミニマリストです。
③の「自然派主義」の方は、服の素材や食材などに重きを置く方が多いです。無添加食品や手づくりの調味料など、ひと手間かけることで生活の質をあげるのが上手で、日々を丁寧に過ごされる方が多い印象です。
最後に④の「節約主義」のタイプ。手持ちの持ち物を見直し、節約のために無駄買いを減らすことからスタートした方で、私もここからミニマリストに目覚めました。
これまで「安いから」「便利そうだから」と手軽に買っていたアイテムが、本当に必要なものなのか見直す機会が増えました。自分や家族の趣味趣向に向き合うと、それ以外のものはいくら安くても買わなくなり、結果的に節約につながるのです。
このようにいろいろなタイプのミニマリストがいますが、どのタイプでも持ち物を厳選していると、「収納スペース>物の量」を守っていくことができます。整理整頓が苦手な方でも部屋が散らかりにくくなりますよ。
ミニマリスト生活をはじめたきっかけ
私がミニマリスト生活を始めたきっかけは、転勤族だったため持ち物の量を見直す機会が増えたことです。
兄弟が多く、元々はミニマリストとは真逆の、家中にモノが散乱する実家で育ちました。そのため私自身は片付けスキルを全く身につけないまま、一人暮らしがスタート。その後、結婚して夫との共同生活をする際に、あまりに無駄なモノが多く引越し代金がびっくりするほどの金額に!
「モノを持つって、お金がかかるんだ…」と引越し費用や家賃の管理コストを見直し、節約の面から断捨離を開始したのです。
転勤族のため、家具や家電などが新しい家に合うかも分からないことから、本当に必要なモノ以外を手放す生活に切り替えました。ミニマリスト生活はもうかれこれ5年になりますが、一度手放したモノについて後悔したことはありません。モノを増やさない工夫で生活が豊かなものに変わっていくのは、とても楽しい体験でした。
ミニマリストのこだわりが出やすいキッチン
キッチンは利用頻度が高く、散らかりやすい場所でもあります。ミニマリストとしてスッキリしたキッチンを維持するために、私はキッチンアイテムを選ぶ際、以下の3つのポイントを大切にしています。
① 最低限の数
② 1アイテム2役以上アレンジが効くもの
③ あったら便利=なくても平気
このポイントに沿って選んだキッチンツールや調味料、常備アイテムなどのこだわりを解説していきますね。
ミニマリストのキッチンツール選び
キッチンツールも上記のポイントに沿って、必要最低限しか持ちません。
愛用しているキッチンツール
私がよく使っているのは、SNSで人気のシリコン製スプーンです。炒め物をするときは木ヘラの代わりになり、盛り付けのときはスプーンの代わりに。フライ返しにもなりますし、ゴムベラのように最後の一滴まできれいにすくうこともできます。
これひとつで何役もこなしてくれるので、代用できるおたま、木べら、ゴムベラ、フライ返しはすべて手放しました! キッチンツールは調理中にはさっと取り出して使うことが多いので、数が少ないほど快適で本当におすすめです。
使わなくなったキッチンツール
一方買わなくなったのは、「◯◯専用」のもの。卵焼き専用のフライパンや100円ショップの茹で卵クッカー、電子レンジでパスタをゆでるプラパックなど…確かにあれば便利ですが、その用途で使用しないときは、日常のほとんどで登場しません。
月に1〜2回程度しか使わないものが、キッチンの端っこや棚の奥に眠っていませんか? 「あれば便利」は「なくてもよい」と同じ意味です。
何か買いたくなったとき、「今あるモノで代用できないか?」と常に自分に問いかけることが、モノを増やさず快適に暮らす秘訣かもしれません。
ミニマリストの調味料選び
使用頻度の高い調味料ほど、少し質の良いものを選ぶようにしています。特に劇的に仕上がりが変わるのが、塩や砂糖、麺つゆ、しょうゆの4点。
良いもの、と言ってもそこまで値段が張るわけではありませんし、少しのランクアップで、出来上がりに格段の差が出ます。料理の腕に自信があれば別ですが、私はそうではないので…。
いい調味料は料理の失敗が減る
昔の私は調味料で失敗することが多かったです。味付けが決まらず後から調味料を足して台無しにするなど。一方、良い調味料はそれ一つだけで素材の味を引き出してくれるので、味付けで迷うことも、調味料での失敗も減りました。焼いただけ、煮ただけのものがごちそうに変わり、家族の評判も上々です。
新しい味は少量から試す
そして、むやみにめずらしい調味料に手を出さないようにもしています。大抵は使い切れずに賞味期限切れになってしまうことも多いからです。
また、わが家はドレッシングがつい増えがちですが、新しい商品を試す場合は必ず一番小さいサイズで。コスパは悪いかもしれませんが、口に合うかわからないものは他の調味料でもすべて、一番小さなサイズから試すようにしています。
決まったものだけ使うようにすれば、大きめのサイズでも賞味期限切れの前に使い切ることができるようになりました。ぜひ試してみてくださいね。
ミニマリストの食材選び
次にミニマリスト的食材選びです。買い出しの頻度は週に一度、夫婦で一緒に行っています。各々が食べたいものを買うので、食事への満足度が高くなります。
わが家は夫が外食好きで、平日の夜でも急に食べに行きたいと言われ、買った食材を使いきれず、ダメにしてしまうことが何度もありました。
これではいけない! と思い立ち、買い出しを一緒にするようにルール変更。献立もルーティン化し、買うものを固定化し、各々選んだ食材を責任を持って食べ切るようにしたのです。
【献立基本の型】
・メイン:肉or魚
・副菜:メインとは逆の肉or魚
・毎日:野菜たっぷり味噌汁、納豆or豆腐、果物
土日の昼は基本外食。夜は余り食材でスープや鍋など、適当に。
上記のような献立のルーティンを決めたことで、わが家は外食頻度が減り、結果的に食費節約につながりました。食材を無駄なく使い切ることができるようになり、献立も悩まず、週末には冷蔵庫の中身もスッキリ。いいことずくめですよ!
作り置きは特にせず、その日の気分で食べたい味付けに調理するのが、ちょっとした息抜きになっています。
また、冷凍する常備野菜も固定化しています。
【冷凍庫の常備野菜】
・たまねぎ(みじん切り、細ぎり)
・きのこ(しめじ、えのき)
・にんじん(半月切り、細切り)
・コーン
・ほうれんそう
・ブロッコリー(もともと冷凍のもの)
何もないとき、とりあえず味噌汁・カレー・クリームシチューに入れられるものを冷凍で常備しています。冷凍ストックも定番のものだけにしぼり、在庫を見なくても必ずアレがある! とルール化することで、食材のロスや無駄買いを防いでいます。
ミニマリストの常備キッチンアイテム
常備アイテムはできるだけ持たないようにしています。そもそもわが家は収納が少ないので、ストックを持つとすぐに収納スペースからあふれてしまうのです。
新婚当時はお互いに気を利かせてストックを買うとかぶってしまったり、シャンプーとトリートメントを間違えて片方だけ増えてしまったり…在庫管理が苦手すぎて、私のストレスが倍増。
「今あるものがなくなったら買いに行く」のルールを守るだけで、在庫管理から解放されました。
ただし、災害時に備えてトイレットペーパーとカップ麺などの保存食、飲料水だけはストックしています。この場合も「このスペースに収まるだけ」と決めて、それ以上はどんなに安いセールに遭遇しても、絶対に購入しないように徹底しました。
自分だけでなく家族にもこのルールを守ってもらうことで、予想外の出費やモノが増えるのを防ぐことができています。
備え付け以外のモノを増やさない
私は、キッチンの収納グッズはできるだけ買わないようにしています。安価で便利な収納グッズですが、収納グッズ自体もゆくゆくはゴミになる可能性を秘めていますよね。また、「そのスペース内ならモノを入れてもOK!」となってしまいがちです。
そのため、収納グッズもどうしても必要な場合をのぞいて、できるだけ買わないようにしています。
水切りカゴは小さいビニール袋で代用
また、同じような理由でゴミ箱、水切りカゴも置いていません。どちらも衛生面を保つにはお手入れが必要です。そもそもゴミを入れるためのカゴ、お金を出すのも嫌ですし、大きなゴミ箱は処分にも手間がかかります。
そこで、水切りカゴは小さなビニール袋で代用し、生ゴミは毎日まとめて捨てるようにしています。また、各部屋に配置していたプラスチック製のゴミ箱はすべて撤去。今はしっかり目の紙袋にビニールを入れて、ゴミ箱として使っています。
キッチンにゴミ箱は置かない メインのゴミ袋は流し台の下のスペースに浮かせて引っ掛け、こちらも週2回のゴミ収集のタイミングで捨てるようになりました。 最初は本当になしでいけるか不安な部分もありましたが、実際にやってみると、ゴミ箱がなくても全く問題なく過ごせています。むしろ以前よりマメにゴミをまとめるようになったので、臭いや害虫などの衛生面も、かえって改善された気がします。
とはいえ家族がいる場合、いきなりゴミ袋なしはハードルが高いかもしれませんね。まずは水切りカゴからトライして、徐々に様子を見ながらゴミ箱の数を減らしてみるのが個人的におすすめです。
ミニマリストのキッチンを選ぶポイント
これまで転勤族として複数のお部屋で暮らしてきましたが、住む家の間取りや収納の状況によって快適さに大きく差が出ていました。すっきりしたキッチンで生活したい場合、おすすめのポイントは以下の3点です。
・キッチンは開き扉より引き出し
・キッチン収納が多い
・調味料ラックがある
順番に説明していきますね。
キッチンは開き扉より引き出し
もしキッチンにこだわるのであれば、開き戸よりも引き出しタイプの収納がおすすめです。築年数がたっている家ほど開き扉が多く、私が今住んでいるお部屋も開き扉です。
ですが、どうしても死角ができやすいことと、基本は積み上げる収納になるので、下のものが取りにくくなります。また、持ち物に合わせて収納グッズを足して隙間を埋めたり、角度を調整したりすることになるので、自分が使いやすく整えるのに少し手間がかかります。
一方、引き出し式であれば、立てる収納が可能になるのでモノが雪崩になったり、下のモノが見えなかったりすることがありません。キッチンが使いやすいと、それだけで料理しよう! と思う意欲も高まります。
実際に開き扉、引き戸の両方の部屋を経験しましたが、料理の頻度があがったのは圧倒的に引き戸の家に住んだときです。毎日使うキッチンなので、この差はかなり重要だと思います。
キッチン収納が多い部屋
そもそもの話になりますが、キッチン周りの収納スペースが多いかどうかは、ぜひ事前にチェックしておいてください。コンロが二口以上あるか、調理スペースが広いか、などは重視される方が多いですが、それらと同じぐらい収納スペースの広さは暮らしの質を左右します。
今私が住んでいるのは、築年数が古く、全体的に収納が少ない賃貸物件。そのため、収納スペースがとにかく少なく、工夫はしていますが「もっと使いやすい間取りであれば…」と感じる場面はたくさんあります。例えば床下収納がついている、引き戸が大きく使いやすい、パントリーがある…など。
逆にどうしても気に入った家で収納が少ない場合は、後付けで収納グッズを設置できそうかどうかも確認しておきましょう。
調味料ラックがある
コンロと壁とのスペースに調味料用の引き出しがついている物件もあります。
また、ラックがあらかじめ壁に付いている場合もあります。
調味料は、スパイスなどカラフルなものも多いため飾っておくとインテリアとしても楽しむことができます。棚タイプであれば簡単に後付けできますので、そのスペースがあるかどうかもチェックしておきましょう。
以上、すっきりしたキッチンで生活するための、おすすめのポイント3点でした。
「最小限の持ち物で生活したい」人向けの賃貸物件
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まとめ
ここまで、ミニマリストのキッチン周りについて解説してきました。
大前提はモノを厳選して増やさないこと。増やすときは、本当に必要なモノか、用途を何度もシミュレーションすること。また、そもそもの収納スペースがあるかどうかも、暮らしやすい生活になるかを左右します。これからお部屋を探される方は、ぜひキッチン周りの収納重視で探してみてくださいね。
モノを大切にすることは、心の余裕につながります。お気に入りのお皿で食事をすること。クローゼットを開けるといつも服がきちんと収まっていて、どれを手に取ってもワクワクすること。
片付けが下手でも、そもそものモノの量が少なければ、モノであふれることも散らかることもありません。外出しなくても、散財しなくても、暮らしの中で眼に映るものを大切にするなかで心が満たされる。家族みんなが、そんな小さな幸せを感じられる生活を続けたいと思っています。
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