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スイスの日常を彩るパン文化 人気の編み込みパン「ツォプフ」も手作り
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スイスの日常を彩るパン文化 人気の編み込みパン「ツォプフ」も手作り

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山々の絶景で名高いスイス。豊かな自然に囲まれて暮らすスイス人たちは、じゃがいもや米、麵もよく食べますが、何といってもパンが大切な主食です。
朝食には、スイス発祥のシリアルであるミューズリーも人気ですが、パン派も多く、私もその一人。昼食や間食にはバゲットや丸いパン、クロワッサンを使ったサンドイッチが人気で、種類が豊富で迷ってしまうほどです。小さいサイズの食パンを焼かずに食材をのせたカナッペは、洋菓子店やカフェでよく見かけます。火を使って調理した食事は昼のみで、夕食はコールドミールと呼ばれる冷たい食事として、チーズや生ハム、生野菜、そしてパンにしている家庭も少なくありません。
いつでも、どこでもパンを食べるスイス人たち。街に出て、パンを楽しんでいる様子をキャッチしてみました。 

日常の食卓に欠かせないスイスのパン 

パンがおいしい欧州の国というと、フランスやドイツを思い浮かべる人は多いでしょう。この2国に隣接する小国スイスも、パン文化が発達しています。スイスパン協会によると、現在スイスには約300種類のパンがあり、職人がクリエーティビティーを発揮して、その数は増え続けているとのこと。地方特有のものも含まれ、26の各州でご当地自慢のパンが作られています。

スイスの各州特有のパンについては、スイスパン協会(Verein Schweizer Brot)のホームページで詳しく紹介されている © Verein Schweizer Brot, schweizerbrot.ch
スイスの各州特有のパンについては、スイスパン協会(Verein Schweizer Brot)のホームページで詳しく紹介されている © Verein Schweizer Brot, schweizerbrot.ch

粉の種類や焼き方で、さまざまな色に

スイスに来たら、パンによって色の濃淡が異なり、そのバリエーションの多さにきっと驚くはず。秘密は使う粉の色にあります。小麦、スペルト小麦、ライ麦などの全粒粉、麦の皮や胚芽の一部を含んだ粉、精白粉、精白粉に近いけれど、まだ皮が含まれるスイスで“半分白い”と呼ばれる粉の使い分けにより、茶色のグラデーションのパンと白いパンができるのです。粉の配分や焼き方、またドライフルーツやナッツ、オリーブやヒマワリの種、刻んだ乾燥肉などとの組み合わせでさらに色味が変わり、見ているだけでわくわくします。

典型的なパン朝食は、スイス風クロワッサンや白いパンとコーヒー

朝食パン派は、家では、手のひらにのるような小さいパン、または大きいパンをスライスして飲み物と一緒に食べるのが普通です。ヨーグルトやフルーツを添える人もいます。

小さいパンは「スイス風クロワッサン」が定番です。スイスで食べられているクロワッサンは、バターが少なめでさっぱりしています。形は弓型が一般的です。

クロワッサンの他に人気の小さいパンといえば、丸い白いパン2種でしょう。真ん中に浅い切り込みが入った歯応えある「ゼンメル」、そして真ん中に深い切り込みが入ったふわふわした「ヴェッグリ」です。私もこれらが好きで、スイス産のチーズ各種を必ず添えて食べています。

左が「ゼンメル」で、右が「ヴェッグリ」 © Satomi Iwasawa
左が「ゼンメル」で、右が「ヴェッグリ」 © Satomi Iwasawa

焼きたてのパンはどこで買う?

スイスでは、基本的に日曜・祝日に商店は開いていませんが、パン屋は別。焼きたてを買おうと、人々は日曜朝にパン屋へ。開いているカフェも多くあります。休日の朝はおいしいパンを頬張りながら、ゆっくりしたいものですね。

チューリヒ湖のそばのカフェ。各種朝食セットを用意しているカフェも多い © Satomi Iwasawa
チューリヒ湖のそばのカフェ。各種朝食セットを用意しているカフェも多い © Satomi Iwasawa

スーパーではオープン工房併設、市場のパン売り場も人気

焼きたてのパンは、スーパーやガソリンスタンド併設のショップでも購入可能。全国展開している大手スーパー2社では、 “見える”パン工房を店内に設置し、お客さまに焼く姿を身近に感じてもらえるようにしています。棚に並べられたパンはまだ温かくいい香り。購入後、手で触れたときの弾力に心が弾みます。

スーパーのオープン工房 © Coop
スーパーのオープン工房 © Coop

また、各地の朝市や週末市をのぞくと、野菜・果物、チーズやソーセージと並び、パンを買う人の姿も多く見られます。中には、パン屋のみという市場も。ルツェルン市をご存じでしょうか。ルツェルン湖にかかる、欧州最古といわれる屋根付きの古い木造橋「カペル橋」が印象的な観光名所です。同市では、毎年春と秋の2回、パンのマーケットを開催。ルツェルン州から集まった何軒もの店が、青空の下、パン生地を作って釜で焼き、販売しています。

スイス南部(イタリア語圏のティチーノ州)の市場で見かけたパンのスタンド © Satomi Iwasawa 協力:スイス政府観光局 www.myswiss.jp
スイス南部(イタリア語圏のティチーノ州)の市場で見かけたパンのスタンド © Satomi Iwasawa 協力:スイス政府観光局 www.myswiss.jp
スイスを代表する観光名所ルツェルン © Satomi Iwasawa
スイスを代表する観光名所ルツェルン © Satomi Iwasawa

行事に合わせた風味 建国の祝賀にもパンは必須

主食としてさまざまなパンが親しまれている中、祝祭日には特別なパンも登場します。

例えば、クリスマス前に食べるのは、足を広げた男性の人形型パン「グリッティベンツ」。サンタクロースのモデルとなった聖ニコラウスにちなんでいます。そして、東方の三博士がイエスの誕生を祝ったとされる1月6日には、丸いパンを花の形につなげた「ドライケーニヒスクーヘン」を、イースター(復活祭)にはウサギ型のパンを食べます。1980年、スイスでは90パーセント以上がキリスト教(カトリックとプロテスタント)信者でした。今は無宗教者や他宗教信者が増加し、キリスト教信者は50パーセント強に。とはいえ、キリスト教の行事に合わせたパンの人気は健在というわけです。

また、日本人が季節のご飯を愛でるように、スイスでも春には行者にんにく、秋にはかぼちゃや栗など、旬の食材を使ったパンがあります。

季節のパンで忘れてはならないのは、スイスの建国記念日である8月1日に食べるロールパン「8月1日ヴェッゲン」。スイス国旗をイメージし、丸い白いパンに十字のカットを施したり、十字を浮き彫りにしたりといった模様が入ったパンで、この日のために特別にスイス国旗が刺してあることも。「建国記念日用のスイスらしい名物」をぜひ広めようではないかと、1959 年にスイスのパン・菓子職人協会が考案しました。全国で販売したところ、同じパンを食べてみんなで祝うという連帯感が高まり、このパンが定着したのです

8月1日のスイス建国記念日には、各地で祝賀のブランチが開催される  © Schweizer Bauernverband
8月1日のスイス建国記念日には、各地で祝賀のブランチが開催される  © Schweizer Bauernverband

もう1つ、主に冬に食べるチーズフォンデュが挙げられます。小さい角型に切り分けやすいよう、切り込みが入った平らなパンが“フォンデュ用”として出回っていますが、実は、溶かしたチーズをどのパンと一緒に食べるかは決まっていません。小麦粉やライ麦を使った白いパンや薄い茶色いパンから、お好みで選びます。

フードウェイストを考慮し、売れ残ったパンを再販売

スイス人に愛されているフレッシュな焼きたてパンですが、問題もあります。それは、どうしても売れ残りが生じてしまうこと。そこで、廃棄される量を削減する店「エスバール」が、2013年、スイスに初めてオープン。前日に焼いて残ったパンや焼き菓子を回収し、定価より安く販売しています。反響が大きく、今では全国に店舗があります。

エスバールの各店舗が、地元の提携先の店から回収する量は、1日に60~80箱。1年にして約800 トンの量になります。その約90パーセントを同店で売り切っているというのですから、環境への貢献度は高いです。残った10パーセントは、醸造所に渡したり、バイオガス用に使ったりしているとのことです。

チューリヒ市の旧市街にある「Äss-Bar(エスバール)」 © Satomi Iwasawa
チューリヒ市の旧市街にある「Äss-Bar(エスバール)」 © Satomi Iwasawa

「ツォプフ」で挟んだサンドイッチも美味

パン文化の新しい動きは、他にもあります。スイスがルーツとされる白い編み込みパン「ツォプフ」の食べ方です。ツォプフも、スイスで最もポピュラーなパンの1つ。バターと牛乳の香りが高く、しっとりした食感は、食パンに少し似ているかもしれません。私もツォプフがお気に入り。最近、日本にもファンがいるようですね。

ツォプフは、500年以上前にスイスのベルン地方で作られたのが始まりといわれています。当時は材料が非常に高価で、ぜいたく品。年末年始のみ食べると決められ、その時期の贈り物としても喜ばれていました。やがてベルンからスイス全土に広まった後も、食べる期間は限定され、パン職人たちの要望によって規制が解かれたのは1600年代に入ってからです。

いつ作って食べても良くなったとはいえ、“特別感“は引き継がれ、パン屋でもスーパーでも焼いて売るタイミングは週末でした。私がスイスに住み始めた約20年前、スイス人の夫の親戚(当時50代)に、その習慣について聞いたところ、「その通り。ツォプフは週末に作るものよ」といい、「“日曜日”のツォプフ」という名前のレシピを見せてくれました。

そんなツォプフが平日にも店頭に並ぶようになったのは、10年ほど前からだったでしょうか。「平日でも買えるようになった!」と驚いた一方、今でも、ツォプフは週末のみ販売という店もたくさんあると耳にします。

2016年には、ツォプフに具を挟んだサンドイッチ専門店がベルン駅に登場しました。それまで見たことのなかったサンドイッチで、好評を博しています。大きめのサイズはランチにちょうど良く、1つ8フラン前後(1,300円ほど)と少し値が張りますが、私もときどき買っています。

専門店にずらりと並んでいるツォプフのサンドイッチ © Satomi Iwasawa
専門店にずらりと並んでいるツォプフのサンドイッチ © Satomi Iwasawa

伝統の編み込みパン「ツォプフ」の作り方

ツォプフはバターの風味がきいていて、ジャムやハチミツをつけなくても美味 © Satomi Iwasawa
ツォプフはバターの風味がきいていて、ジャムやハチミツをつけなくても美味 © Satomi Iwasawa

先ほどの親戚は、私が訪ねるとツォプフをよく作ってくれます。きっと、おもてなしの意味も込めているのでしょう。ここで、そのレシピをご紹介します。

基本のツォプフの材料 

約530グラムのツォプフ3つ分。2~3日間は日持ちします。

ツォプフ粉(スイスで販売。強力粉に、グルテンの割合が高いスペルト精白小麦粉約15パーセントを混ぜたもの)または強力粉:1kg
塩:20g(大さじ1+小さじ1)
砂糖:20g(大さじ1+小さじ1)
生イースト:砕いたもの30g ただし20gのみにすると風味が増し、少し日持ちする *ドライイーストの場合は10g
無塩バター:125g
牛乳:6.5〜7dl
卵黄:1個 *表面に塗るため

ツォプフの作り方

所要時間は3~4時間です。
(1)小鍋にバターを溶かし、冷たい牛乳を加える。(そうすると、イーストが混ざりやすい温度になるため)
(2)ボウルにツォプフ粉、塩、砂糖、生イーストを入れ、スプーンで混ぜる。(1)を流し込む。
(3)おおよそ固まるまで手でこねたらボウルから出す。ツォプフ粉をまいたテーブルの上で生地を押すようにして10分ほどこねる。

記事をボウルから出し、こねる作業へ © Satomi Iwasawa
記事をボウルから出し、こねる作業へ © Satomi Iwasawa

(4) ナイフで生地を切り、十分こねたかどうか確認する。中に小さい気泡がたくさんあれば、うまくいっている証拠。気泡が少なければ、再度こねる。

中の気泡を確認 © Satomi Iwasawa
中の気泡を確認 © Satomi Iwasawa

(5)ボウルに生地を戻し、水に濡らして絞った布でボウルを覆い、室温で約1時間発酵させる。
(6)膨らんだ生地を3等分する。等分した生地の一塊を半分に分け、2本の棒状にする。2本を十字に配置し、編んでいく。

生地を3等分に © Satomi Iwasawa
生地を3等分に © Satomi Iwasawa
2本の生地を編んでいく © Satomi Iwasawa
2本の生地を編んでいく © Satomi Iwasawa

(7)オーブンペーパーを敷いたトレーに、編んだ生地3つを並べる。ブラシで生地の表面に水を塗った後、15~30分間そのまま置く。
(8)ブラシで生地の表面に卵黄を塗る。200度に予熱したオーブンの下段で、45~55分焼く。
(9)オーブンから出し、冷ましてから食べる。

生地の編み方は、こちらの動画が参考になります。
https://youtu.be/5nqHbAfrI44
動画提供:© Betty Bossi

私は、パンはもっぱら買うことにしていて、家で作ることはありませんが、近いうちにぜひ挑戦してみようと思います。皆さんもスイスの美しい風景を思い浮かべながら、作ってみてはいかがですか。パン作りには広めのキッチンが理想的ですが、ダイニングテーブルなどを利用しても。見た目もユニークな手作りツォプフがあれば、食卓が華やぎ、お客さまを家に招待したときに盛り上がること間違いなしです!

トップ画像 © Satomi Iwasawa 協力:スイス政府観光局 www.myswiss.jp

岩澤里美ジャーナリスト/ライター 

東京都認定NPO(特定非営利活動法人)「Global Press」監事
東京で、教育・心理系雑誌の編集に携わった後、大学院博士課程留学のため渡英。2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信のチューリヒ通信員になり、その後、フリーランスで執筆を開始。フットワークの軽さを強みに、スイス内だけでなく欧州各地でも取材を続けている。社会現象、ユニークな新ビジネス、文化の話題で、さまざまな媒体に寄稿。最近は、欧州発の穴場のアート展のルポや、日本であまり知られていない芸術家のインタビュー記事執筆に夢中になっている。
ウェッブサイト:https://www.satomi-iwasawa.com

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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