晴海地区は、東京都中央区の最南端に位置しています。 晴海地区では近年、五輪の選手村が整備され、多くの大会関係者が訪れたことで国内外から注目を集めました。また、同大会にあわせ2016年から「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」が行われており、施行区域面積約18ヘクタールの中に、総棟数24、約5,600戸の住戸の整備が進められています。なお、この再開発事業については、2025年7月時点で大半の事業が完了しており、最終となる超高層棟が2025年秋に竣工を迎えます。

そこで本稿では、晴海地区の歴史や、住みやすさの指標となる日常生活サービス施設の立地状況、さらには市街地の環境や将来のまちづくりなどを踏まえながら、晴海地区の暮らしやすさについて紹介していきます。中央区の物件を探す

晴海地区の位置関係 ※出典:国土地理院地図一部加工

「晴海」という名称は、1937年当時の京橋区議会において「いつも晴れた海を望みたい」という希望を込めて「晴海町」と名付けられたことに始まります。

晴海地区は1931年に月島4号地として埋め立て工事が行われ、最終的に現在の形となったのは1966年です。その間に、1955年には晴海埠頭の開港、1957年には日本住宅公団晴海団地の完成、1991年には晴海客船ターミナルの開業など、晴海地区は隣接する勝どきや月島などとともに、時代の移り変わりとともに、その役割を変えながら歩んできました。

近年では、五輪の選手村跡地における大規模なまちづくりとして、「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」プロジェクトが注目されています。このプロジェクトでは、約5,600戸に及ぶ住宅が供給され、圧倒的なスケールで同大会のレガシーとなるまちづくりが進められています。中央区によると、2025年7月1日現在、晴海地区に居住している人は約2万6,000人で、中央区の約14%を占めています。

朝潮運河と超高層建築物(ベイシティ晴海スカイリンクタワーなど) ※2025年6月撮影

晴海地区には現在、選手村跡地に整備された住宅や商業施設、公共施設などが多く位置しています。同じ埋め立て地の勝どきや月島と異なるのは、土地利用が細分化されていないため、街区が整っている点です。このため、狭あい道路や路地空間、木造密集市街地はありません。整然とした街並みで暮らしたいと思っている方にとっては、魅力的に感じるはずです。

晴海周辺の交通利便性

HARUMI FLAG マルチモビリティステーション ※2025年6月撮影

晴海地区には鉄道路線がなく、最も近い鉄道駅は勝どき駅となります。近年、勝どきエリアでの再開発(パークタワー勝どきミッド・サウスの整備)にあわせて勝どき地区と晴海地区とを結ぶ人道橋「黎明小橋」が設置されたことで、勝どき駅までのアクセス性が改善されています。

また、五輪当時に整備された東京BRTによって、晴海地区と新橋駅が結ばれています。晴海地区内には、東京BRTやシェアサイクルなどを利用可能な交通広場(マルチモビリティステーション)が整備されており、HARUMI FLAG内の交通利便性向上に寄与しています。

<晴海五丁目ターミナルから主要駅へのアクセス時間>

・新橋駅:約10分(TOKYO BRT)

ルート・駅位置 ※出典:東京都、都心部・臨海地域地下鉄構想 事業計画検討会(2022年11月)「事業計画案」

晴海地区の交通利便性を向上させ得る取り組みが進んでいます。それが、つくばエクスプレス(TX)の東京駅と接続する「都心・臨海地下鉄新線」です。TXの現在の起点は秋葉原駅ですが、東京駅まで延伸する計画があり、その東京駅(仮称)を起点として、新銀座、新築地、勝どき、晴海を経て、有明・東京ビッグサイトに至る約6.5kmの路線です。

都心と臨海副都心を結び、アクセス性を飛躍的に向上させることを目的としています。2024年2月には、東京都、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、東京臨海高速鉄道の3者で事業計画の検討を行うことに合意がなされており、事業化に向けた動きが加速しています。この新しい地下鉄路線が開通すると、晴海地区から東京駅までダイレクトに結ばれることになります。従来であれば、都心へ出るためには、勝どき駅の利用や東京BRTなどの利用が必要でしたが、開通後は交通の選択肢が増えることから、現在以上にエリアの交通利便性が高まることが考えられます。

地下鉄新線については、今後、環境影響評価や都市計画決定手続きが行われる予定ですので、その際に具体的な整備時期が示されると考えられます。

晴海周辺の買い物・飲食店事情

ららテラスTOKYO-BAY ※2025年6月撮影

晴海地区内での日用品の買い物や飲食店の利用については、晴海アイランドトリトンスクエアや、ららテラスといった大型商業施設があり、十分な環境が整っていると言えます。隣の勝どきや月島と異なる点は、こうした大型商業施設があることで、一つの施設内でさまざまな用事を完結できる点にあります。子育て世代の方々にとっては、移動に時間を取られる必要がないため魅力的に感じるかもしれません。

一方で、中小規模の店舗はほとんどないため、月島に多くあるような個人店に魅力を感じている人にとっては、十分な環境とは言えないかもしれません。とはいえ、朝潮運河に架かる橋を渡れば月島は目の前ですから容易にアクセスできます。

TOBU STORE ※2025年6月撮影

晴海周辺の自然環境

晴海ふ頭公園 ※2025年6月撮影

晴海ふ頭公園 ※2025年6月撮影

晴海ふ頭公園 ※2025年6月撮影

中央区立晴海第三公園 ※2025年6月撮影

晴海地区の魅力のひとつが公園の豊富さです。街区の再整備によって誕生した公園が多く、特に晴海ふ頭公園は船をモチーフにした遊具をはじめ、広場やテラス、遊歩道、カフェなど、面積約3.6ヘクタールにも及ぶ大きな公園です。このように、都心に近いエリアで大規模な公園を利用できる点は、子育て世帯の暮らしやすさに直結するはずです。これに限らず、晴海地区では水辺に近い位置に緑道が多く整備されており、身近に自然を感じられる空間となっています。

晴海周辺の治安・ハザード

町丁別犯罪認知件数 ※出典:犯罪認知件数:警視庁「令和6年区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」。町丁別境界:e-Stat。下図:国土地理院地図。

上図は、警視庁が公表している2024年の町丁別の犯罪認知件数を地図上の表示したものです。参考情報として、晴海地区以外の中央区のエリアについても表示しています。ご覧いただくと、中央区の銀座(赤色部分)などと比べて晴海地区は件数が少ないことが分かります。

晴海地区は晴海1〜5丁目から構成されていますが、犯罪認知件数は全体で96件とされ、中央区全体の認知件数である1,979件の約5%を占めています。また、犯罪の種別は、多い順に自転車窃盗(17件)、詐欺(12件)、万引き (12件)となっています。人口(2025年1月1日時点)1,000人あたりの認知件数でみると、中央区全体が約10件なのに対し、晴海地区は、半分以下の約4件となります。

この傾向から見て取れるように、中央区の中では晴海地区の犯罪認知件数は少ない傾向にあります。なお、あくまでも認知件数のため、警察が認知できていない犯罪は統計化されておらず、実際の発生件数ではないことに注意が必要です。

中央区では防犯対策に関する特設ページを設けています。地域の治安状況や注意喚起情報を得るためにも、住まい探しの検討の前に一度確認しておくと安心です。

︎参考ページ:中央区「防犯」

高潮浸水想定(抜粋) ※出典:「ハザードマップポータルサイト」を一部加工

晴海が位置するエリアは、冒頭でお伝えしたように昭和初期に埋め立ててつくられた土地(人工島)です。また、この人工島は運河に挟まれています。こうした地形的特徴から、高潮浸水や河川洪水のリスクがあります。特に高潮浸水については、東京都などが公表しているリスクデータによると、晴海地区のほぼ全体が浸水する可能性があるとされています。過去には、1917年の「大正6年10月台風」による高潮浸水により、隣接する月島などにおいて死傷者1,524名、浸水被害約18万棟を記録しています。

晴海では近年、防潮堤が整備されて安全性が高まっていますが、それでもなお、過去最大クラスの中心気圧を有する台風と満潮が重なるなどすると浸水する恐れがあるため、注意しておく必要があります。

高潮浸水が発生する確率は非常に稀ですが、いざ発生した時には避難経路の把握が重要となるので、ハザードマップで浸水想定エリアを確認しておくことをおすすめします。

︎参照:不動産情報ライブラリ

︎参照:中央区防災パンフレット等一覧

晴海周辺の病院事情

晴海地区には日常的な生活に不可欠な内科や小児科などの診療所があります。また、隣の月島駅から近い佃2丁目には、中央区休日応急診療所があり、休日の応急診療を担っています。

中央区「休日応急診療所・休日応急歯科診療所・休日応急薬局」

東京都「救急医療機関」

晴海周辺の子育て環境

中央区立晴海西小学校・西中学校 ※2025年6月撮影

「晴海地区には幼稚園や小中学校はあるの?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。晴海地区の公立学校等は、北側エリアに区立晴海幼稚園、月島第三小学校、晴海中学校が、南側エリア(晴海フラッグ側)には晴海西小学校、晴海西中学校があります。さらに、都立晴海総合高等学校も地区内に位置しています。

子育て環境としては、これらに加えて豊富な公園、大型商業施設や区立図書館、地域交流センターなどの区施設があることもあり、充実した子育て環境が整っているといえます。

参考:︎中央区「子育て・教育」

晴海周辺の家賃相場

晴海の不動産情報を調べると、最も近い鉄道駅である「勝どき駅」から「徒歩何分」という表示がされています。このため、特に晴海5丁目付近では、比較的利便性の高い東京BRTの停留場からの近さが示されていない点に注意が必要です。晴海フラッグが位置する5丁目地区では東京BRTの利用が便利ですので、住まいを探す場合には参考にしてみてはいかがでしょうか。

晴海周辺の公共施設

月島警察署 ※2025年6月撮影

中央区晴海地域交流センター ※2025年6月撮影

晴海緑道公園 ※2025年6月撮影

晴海地区内には、都や区の重要な施設が多数あります。例えば、中央清掃工場や月島警察署、臨港消防署、中央区晴海地域交流センターはるみらい、区立図書館や区民センター、都市公園施設などです。五輪の開催に合わせて街区整備が行われたことで、街並みが整っているだけでなく、こうした建築物が真新しいのも特徴的です。

晴海周辺の市街地再開発事業

市街地再開発事業により建築中の最終高層棟(HARUMI FLAG SKY DUO)  ※2025年6月撮影

現在、晴海5丁目西地区第一種市街地再開発事業により進められてきた整備も大詰めを迎えており、五輪後に建設するとされていた高層棟2棟が2025年9月に竣工を迎えました。私が現地を取材した2025年6月時点では、街区整備も完了し、残りは入居を待つだけといった感じでした。両棟あわせて約1,400戸以上が供給されるため、晴海地区の人口はさらに増加する見込みです。

開放的な晴海地区内のガソリンスタンド・水素ステーション ※2025年6月撮影

東京都中央区の最南端に位置する晴海地区は、昭和初期の埋め立てにより整備されたエリアです。住宅公団の晴海団地や晴海埠頭などの土地利用を経て、国際見本市会場や客船ターミナルとしての役割を担ってきました。そして近年、大きく注目を集めたのが五輪選手村跡地に整備された「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」です。また、交通面では東京BRTが新橋方面へのアクセスを担い、将来的に「都心・臨海地下鉄新線」の整備が進めば、東京駅方面へのダイレクトアクセスも可能になります。こうした将来の交通計画は、街の価値を長期的に押し上げる要因になるはずです。

日常の暮らしに目を向けても、「ららテラス TOKYO-BAY」や「晴海アイランドトリトンスクエア」といった大型商業施設が整い、特に子育て世帯にとって生活利便性の高い市街地環境が形成されています。さらに、晴海ふ頭公園や水辺に沿って整備された緑道は、都市生活の中で自然と触れ合える貴重な空間となっており、子育て世帯はもちろん健康志向の方々にとっても魅力的な環境といえます。

さらに、教育や医療施設も適切に配置され、保育園・小中学校・高校までがエリア内にそろっている点も安心材料です。犯罪件数も中央区の中では比較的少なく、付近に月島警察署があることに加え、防犯や災害リスクに対する備えも進められていることから、都心に近いながらも落ち着いて暮らせる街としての魅力が高まっています。

一方で現時点では、最寄りの勝どき駅など鉄道駅から距離がある点は懸念材料として挙げられます。この懸念は、東京BRTの認知度がまだ低いことや、将来の地下鉄計画が不確定であることに起因するのかもしれません。しかし、その点を考慮してもなお、都心への近接性と整然とした街並みは、晴海ならではの魅力といえます。

“これから成熟し、発展していく街”に住むという体験ができるエリアともいえます。街が育っていく様子を肌で感じながら、変化を楽しめる。そんなポテンシャルに溢れた晴海を住まい探しの候補に加えてみてはいかがでしょうか。

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