ビルやタワーマンションが立ち並ぶ大阪・京町堀は、大阪市内ではビジネス街として、また、靱公園があることで知られています。そんな靱公園のすぐそばの通り沿いにあるビルの一階にあるのが、ニューヨークスタイルのモーニングメニューと美味しいコーヒーが人気の「EIGHT TO FIVE」。海外の街並みを想起させる大きなガラス窓の店構えが目印です。
今回は店主の伊勢誠さんに「EIGHT TO FIVE」のオープンに至るまでの経緯とニューヨークで感じた生活スタイルやその想いについて、お話を伺いました。大阪府の物件を探す

夜の音楽の世界からモーニングの経営へ
―土佐堀のイタリア料理店『The Tavern(ザ タバーン)』の中でやっていたお店を、2023年にこちらの京町堀へと移転されたと伺いました。
伊勢誠さん(以下:伊勢さん):「『The Tavern』は兄夫婦が経営しているお店で。僕が前職を無軌道に辞めて、どうしよう?と考えている時に『ほんなら一緒にやる?』と誘ってくれて。『タバーン』の営業前の朝の8時から夕方の5時に間借りのような形で『8to 5』を始めました。そこから2023年10月に京町堀に店名表記をあらため『EIGHT TO FIVE』を移転オープンしました。ちなみに今は18時まで営業しています」

―『The Tavern』時代から伊勢さんとシェフのお二人でされていたんですか?
伊勢さん:「そうですね。彼とはもともと会社員時代に知り合って、僕が監修したカフェで店長として働いていて、当時から仕事終わりに飲みに行ったりする仲でした。僕ひとりで『8 to 5』をやるとなった時に相当な精神力がないと偏屈な店になっていく気がして。彼も僕と同じようにニューヨークやボストンに行ったりとアメリカが好きだったので、ニューヨークスタイルのお店をしたいと話したら、賛同してくれたんです。それで彼を道連れに(笑)、エスプレッソマシーンだけ買って店に放り込んで、僕がコーヒーを淹れて、彼がキッチンという二人体制で最初は始めました」

―ではもともとカフェ関係で働かれていたのですか?
伊勢さん:「たまたまご縁があって、30歳を過ぎてから『ブルックリン・ロースティング・カンパニー』(以下:BRC)で働き始めました。ちょうど日本に店舗を出すタイミングで、東京で10年ぐらい仕事をしてニューヨークにも行かせてもらったりして」
―ニューヨークで高い支持を得ているロースターですよね。ではそこでコーヒーについて学ばれたんですか?
伊勢さん:「そうですね、もともと飲むのは好きだったけど、本格的にやり始めたのはBRCで勤めだしてからです。後、7年ほどは現場責任者として難波の店舗の立ち上げなどにも関わっていました」
―では、お店をつくることに関してもすでに経験があったんですね。
伊勢さん「エスプレッソマシーンの種類、店内の配置、壁、カウンターの高さまで当時全て任されていました。勤め人として働き始めたのがこの会社からで、いろいろ学ばせてもらいましたね。それまでは音楽で生きていこうと思っていて(笑)」
―ええ!BRCに入るまではずっと音楽の道に?
伊勢さん:「学生の頃からハードロックが好きでバンドをしていたんです。学生の頃はオーストラリアのロックバンド、AC/DCが好きで髪を伸ばしたりして(笑)。19歳の時からは兵庫県にあるプロのミュージシャンが来るようなライブハウスで丁稚奉公みたいに修業を兼ねて働きながらバンドをしたり。音楽関係となると夜の仕事が多いので夜中から朝まで音楽がかかっているようなところでずっと働いていました。やっぱりそれだけでは食べていけないので、レストランで働いたりもして。お酒と音楽がある空間で遊ぶのが好きだったので、夜型の生活がずっと続いていましたね」

―そんな生活がBRCで働くことをきっかけにガラッと変わったんですね。
伊勢さん:「その時にはもう30歳を過ぎていたので、真面目にやらなきゃいけないなと思い始めて。今、週末は4時に起きて準備しています」
―夜の楽しさを知っていたのに、生活を変えるのはすごく大変そうです…!
伊勢さん:「いざ仕事をし始めたら意外に真面目なところもあって、お酒はセーブして朝もしっかりと起きて…自分の本分みたいになりました。やっぱり朝に起きると、充実した1日が過ごせて、爽やかに働けますね。夜間の仕事だとやっぱりダラダラしてしまうし、お酒が絡んでくるとみんな横柄になってしまう部分もあるけど、コーヒーショップだとお客さんとの関係も対等で、僕にとっても嫌なことが少ない。この生活になって6年になるけど、朝の方が風通しも良くて働いていて気持ちがいいです」
ニューヨークスタイルにたどり着くまで

―大きな窓から外を眺めて食べられるのがとてもいいですね。
伊勢さん:「ここは大阪に西区だけどお客さんがニューヨークへ来たような気分になれる『飾らないニューヨークスタイル』をコンセプトにやっています。ニューヨークというと、タイムズスクエアのようなキラキラした看板や広告が埋め尽くす街を思い浮かべるかもしれませんが、少し外れたところには大きな窓のある、開放的でゆったりと落ち着いた空間のお店がたくさんあります。向こうにありそうなものを提供できるように、店づくりからメニューまであまり脚色しないことを心がけています」

―なぜニューヨークスタイルにたどり着いたんですか?
伊勢さん:「ニューヨークしか知らないんですよ(笑)」
―なるほど(笑)。ニューヨークはもともとお好きだったんですか?
伊勢さん:「高校を卒業してバイトでお金をためて19歳の時に初めて海外旅行へ行きました。それがニューヨークだったんです。最初は好きとかではなく、ただ友人がいるからという理由で行きましたが、その旅行がすごく楽しかったです。ダンスミュージックのDJもしたりしていたので、レコードを買ったり、楽器屋さんに行ったりコンサートに行ったりと、そこでしかできない音楽体験して、日本へ帰ってきてからは、ニューヨークの文化を好きになっていきました。それ以降お金をためて何回も足を運ぶようになりました」
―ではその時にモーニングを食べたりされたことがお店につながるんですね。
伊勢さん:「そうですね、ニューヨークは朝が早いです。すごく大都会だから、一日中働いている人がいるので、朝7時に行ったらもうお店は人でいっぱいで、みんなコーヒーと一緒にモーニングを食べている。コーヒーも美味しいモーニングのお店が向こうにはたくさんあります」
―今回用意していただきました『アメリカンブレックファスト』も実際よく食べられているのでしょうか?
伊勢さん:「店により内容は違いますが、パンケーキとベーコン、スクランブルエッグといった組み合わせがアメリカのモーニングスタイルでは多いです。そこにメープルシロップにをたっぷりと」


―ベーコンとメープルシロップの甘塩っぱい組み合わせがやみつきになります!
伊勢さん:「余談ですけど、カナダで採れるいいメープルシロップのほとんどはニューヨークで消費されているらしいです」
―そんなによく使うんですね…!コーヒーも美味しいです。もともとお好きだったんですか?
伊勢さん:「ずっとBRCとはつながりがあって、豆はBRCから仕入れています。やっぱり好きですね。でも今は僕なりのやり方で淹れています。週末にはBRC時代の後輩が東京の松陰神社前でやっている『GOODFEELING COFFEE』のコーヒーを提供したりしています」

ニューヨークの朝のようなこだわりの一杯を
―お客さんはどのような方が多いでしょうか?
伊勢さん:「この辺りはデザイン会社があったりとクリエイティブな活動をしている人が多い印象です。打ち合わせがてらランチをしにきたり。仕事前に来る人もいるけど、そうなると女性が多いです」


―京町堀はビルが立ち並んでいるので、会社員の方が多く訪れているのではないかと思っていました。
伊勢さん:「日本の会社員には一杯のコーヒーにこだわるというのがまだまだ根付いていないです。アメリカとかのコーヒー好きな人は『美味しいのを飲みたい!』という一杯にかける熱量がすごく高い。生活スタイルそのものが違うということもありますが、ニューヨークだとランチをした後にコーヒーだけ他の店にまた買いに行く人たちがたくさんいます。そこまでの情熱を持ってコーヒーを買う人は日本には少ないです。日本にコンビニや自動販売機が多いことでもわかりますが、牛丼チェーン店は朝早くに行くと人がいっぱいなんです」

―そうですね、手軽に早く、そして安く買えることを重要視している人が多いですよね。
伊勢さん:「みんながコーヒー一杯に対してもっとこだわることができるようになればいいなと思います。『美味しいコーヒーを飲みたい!』という純粋な想いに応えられるようにこれからも頑張りたいです」
◆今回取材したお店
「EIGHT TO FIVE」
住所:大阪府大阪市西区京町堀1丁目14-30, Delta Bldg., 1F
営業時間:8:00~18:00(L.O.17:30)
定休日:木曜休
Instagram:@ eighttofive2
こだわりを追求したい人におすすめ。大阪のおしゃれスポット・京町堀
今回紹介した「EIGHT TO FIVE」はOsaka Metro中央線、四つ橋線、御堂筋線の3路線が走る本町駅から徒歩約10分。靱公園沿いの通りにあります。また、肥後橋駅からも同じく徒歩10分圏内です。本町付近といえば、ビルが立ち並ぶエリアで会社員が多いイメージですが、タワーマンションが立ち、靱公園もあることからファミリーも多く、子どもから海外からの観光客までさまざまな人が行き交います。家賃相場はワンルーム8万円と比較的に高めではありますが、靱公園周辺をみれば一目瞭然。カフェやセレクトショップが立ち並ぶ、大阪随一のおしゃれスポットでもあるからです。
伊勢さんが言う“一杯のコーヒや生活にこだわりを持って生活をしたいという方”にうってつけのエリアとも言えます。京町堀にお越しの際は「EIGHT TO FIVE」モーニングから充実した1日を過ごしてみるのはいかがでしょうか?
取材・文:藤本らな 写真:三宅愛子
大阪府の物件を探す更新日: / 公開日:2026.02.27










