数年前から、二拠点で生活する「デュアルライフ」という呼び方をよく聞くようになりました。生活の拠点が2ヶ所あるというライフスタイルに関心がある人も増えているようです。
私は主に西日本の各地で短期滞在しながら多拠点生活を続けてきました。現在は愛知県と兵庫県とで二拠点生活をしています。そんな私が、二拠点生活に興味がある人やこれから二拠点生活をしたいと思っている人に向けて、二拠点生活の魅力や注意点、さらに拠点の選び方や成功ポイントを解説します。物件を探す
二拠点生活の基礎知識 メリット・デメリットを解説

二拠点生活とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
まずは二拠点生活のごく基礎的な知識を説明したうえで、メリットとデメリットを解説し、二拠点生活の費用や注意点をあげてみましょう。
二拠点生活とは
二拠点生活(デュアルライフ)とは、2つのエリアに生活の拠点を持つライフスタイルです。以前はリタイヤ世代が田舎に別荘を購入して悠々と老後の生活を楽しむといったイメージでした。しかし、この数年でリモートワークやワーケーションの普及が進み、働き方が多様化してきたため、若い現役世代でもネット環境さえあれば働く場所に縛られないライフスタイルが可能になりつつあります。
例えば平日は都市部、週末は地方や郊外で二拠点生活を送る場合、都市生活の便利さや仕事のしやすさと、自然の中での癒やしを一定のサイクルで楽しめます。会社勤めであっても働き方のスタイルによっては、平日に都市部に戻る必要がなく、自由度の高い二拠点生活を送ることも可能です。
二拠点生活のメリット
二拠点生活のメリットは、生活にメリハリができ、オン・オフが切り替えやすいところです。
例えば、魚釣りやキャンプが趣味の場合、自然豊かな場所で趣味に集中できます。地方や郊外などで田舎暮らしをするなら、美しい夜空を眺めたり天体観測をしたりと、都会ではできない体験が可能になります。その結果、ストレスから解放され、エネルギーをチャージして、戻ってからの都会での仕事や暮らしに活力が湧くかもしれません。
子どもがいるファミリー層であれば、単なるレジャーだけでなく、自然の中での生活体験ができるのも刺激的でしょう。旅行で訪れるのとは違い、より深くその地域を知れるので、将来的な移住先の候補地として検討することも可能です。
また、都市と地方という二拠点にこだわる必要もありません。都市と都市・地方と地方というライフスタイルもよいでしょう。
二拠点生活のデメリット
二拠点生活のデメリットとして、経済的な問題があります。二拠点生活によって居住する住宅が2つになると、賃料や光熱費、交通費などのコストが高くなってしまいます。2つの拠点の距離が遠くなると、移動にお金も時間もかかるでしょう。
地方や郊外の自然豊かな場所を選ぶと、交通アクセスの問題で車が必要になることもあります。積雪があるエリアでは、寒さや雪への対応が必要です。水道管の凍結や雪下ろし、車なら冬用タイヤなどの備えや通行止めなど、都会の生活では慣れていない対応が必要になることも少なくありません。
住まいのタイプによっては草取りなどのメンテナンスが必要です。住まいが2つになるということは、かかる手間も2倍になります。そのため、この後ご紹介する「二拠点生活を始める前に確認したいこと」を参考に、事前にしっかりと準備してから始めましょう。
二拠点生活の費用や注意点
二拠点生活の費用は、まず住む場所の取得や賃貸にかかるコストがあります。次に維持費や移動のコストです。
注意点は、距離と交通アクセスです。あまりにも遠くて移動に時間がかかる場所の場合、移動するのが億劫になりやすいものですが、個人差がありますので、自分に合った距離感を把握するとよいでしょう。
交通アクセスは、駅に近く電車などで行き来しやすい場所であるに越したことはありません。しかし二拠点目は地方や郊外の不便な場所を選ぶ方が多いので、車を利用する機会が増えるでしょう。最初は多少の距離を歩くつもりでいても、荷物があるなどのさまざまな理由で、次第に面倒に感じるかもしれません。あらかじめ、車を利用するかどうかを明確にしておくことが大切です。
家族がいる場合は、物理的・経済的に納得してもらい、協力してもらうための理解が必要です。郵便物の対応も必要なケースがあるので、転送サービスを出すなどの対応が必要かどうか、注意しましょう。
愛知・名古屋市と兵庫・西宮市での二拠点生活の体験談

ここからは、実際に愛知県名古屋市と兵庫県西宮市で二拠点生活をしている私の体験談をご紹介します。
二拠点生活を始めたきっかけ
私が二拠点生活を始めたきっかけは、コロナウィルス感染症の流行と祖母の他界でした。コロナの流行が始まってまもなくリモートワークが導入され、会社へ行くことが少なくなりました。この頃から、旅先からついでに仕事をするスタイルを始めました。今でいうワーケーションです。
その後、もともと考えていたフリーでの活動を始めるために、思い切って退職しました。家がある名古屋市には年の半分くらい住み、残り半分は主に関西エリアを転々とする生活を開始。京都市や奈良市、伊勢市などにそれぞれ1週間から1ヶ月ほど滞在し、気が向いたら移るといった感じです。その頃はホテルに連泊したり、マンスリーマンションを借りたりもしていました。
関西方面にしたのは、私の趣味が歴史史跡めぐりだったからです。特にお城や神社仏閣・パワースポットが好きなので、文化財が豊富にある滋賀県や京都・奈良方面に自然と足が向いていました。
そしてもう少し範囲を西へ広げて行こうかなと思っていたときに、西宮市の祖母が亡くなりました。空き家になった祖母の家にしばらく滞在していたところ、交通アクセスのよさや住み心地のよさを知ったのです。西宮市は大阪市と神戸市の中間にあり、鉄道だけで3路線が走っています。
こうして私はフリーランスとして関西の仕事拠点としても西宮市を考えるようになりました。ただし、祖母の家は1人で住むには広いので、一軒家の賃貸に出して私は賃貸アパートを借りています。
二拠点生活を始めた方法
名古屋市と西宮市で二拠点生活をしている私ですが、最初は田舎暮らしに憧れていました。西宮市に行く前には琵琶湖が見える湖北の田舎や福井県の東尋坊の近くに滞在したこともあります。
しかし、父親が定年後の田舎暮らしで使っていた伊勢市の別荘に1ヶ月ほど滞在してみて、田舎暮らしに満足してしまいました。畑作業をしてみたところ、思ったほど向いていませんでした。個人差があると思いますが、私は自然が豊かな場所もいいけれど、長く住める気はしなかったです。できれば車に乗らない生活を望んでいたのも大きな理由といえます。
家族の理解も得てはいたのですが、特に妻は車の運転が苦手なので、たまにしか行かないにしてもできれば新幹線で行きやすい場所を希望していました。
西宮市では、フリーランスの仕事で大阪市や神戸市へ出ることも多いので、駅に近くて交通アクセスのいい立地を選びました。車で移動する人なら、他の選び方もあると思います。
賃貸を借りるほかにはマンスリーマンションや住宅のサブスクリプションサービスなどで仮住まいをして、様子を見てから本格的に決めてもいいでしょう。
名古屋市と西宮市なら距離にしておよそ200km、移動時間は2〜3時間です。賃貸のコストはかかりますが車のコストはなくなり、関西エリアでの仕事も存分に受注できたため、二拠点生活を決めました。
もう少し経済的に余裕のある人なら、もっと離れた場所でも郊外でも選択肢は広げていいと思います。
体験して分かった二拠点生活の魅力
二拠点生活を体験してみて感じた魅力は、新鮮な気持ちになれることです。それは、仕事をするにしても生活するにしても、環境が定期的に変化することでスイッチの入れ直しができるといってもいいでしょう。
私は環境の変化に伴って頭の中がリセットされ、思考や視点が変化するので意外なアイデアや解決策が生まれやすいと感じます。散歩をするにも定期的に景色が変わるので新鮮な感覚があり、外出に前向きになれます。1つの場所にずっといるときと比べて月日がゆっくり流れるように感じ、幸福度が向上しました。
また、2つ目の拠点からの行動範囲が広がるので趣味にも集中できました。私の場合は歴史史跡めぐりで、名古屋市からは遠かった場所でもゆっくり時間をかけて見学できます。
二拠点生活を始める前に確認したいこと

二拠点生活の実体験を話してきましたが、ここでは二拠点生活を始める前に確認しておきたいことをまとめてみました。二拠点生活を成功させるためのポイントにもなるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
確認したいこと(1)二拠点生活を始める目的
まずは二拠点生活を始める目的をはっきりさせましょう。私の場合は、仕事の幅を広げることと、趣味に集中して本格的に取り組むことの2点でした。
目的は人それぞれです。自然の豊かな郊外なら自然に癒やされますし、農業をして自給自足したり、のびのび子育てしたりと、さまざまな目的があるでしょう。
目的がはっきりすれば、どのような場所が拠点に向いているかが見えてきます。
確認したいこと(2)ライフスタイルに合った拠点はどこか
次は、自分のライフスタイルに合った拠点を探しましょう。週末だけの移動なら、あまり遠距離や時間がかかる場所は合いません。滞在する期間が長ければ遠距離も候補に入ります。
車で行くかどうかもポイントで、交通アクセスによって拠点を選ぶエリアが変わってきます。使える予算なども明確に把握しておくと、さらに選びやすくなるのでおすすめです。
確認したいこと(3)家族がいる場合、理解をしてくれているか
最後に家族がいる場合は、理解をしてくれるかを確認する必要があります。二拠点生活を家族全員で始めるのか、自分だけなのか。子どもがいれば学校の問題もあるでしょうし、1台しかない車を使うなら単独で行くことは難しいです。
お金もかかることなので、自分の気持ちだけで判断できません。しっかりと家族で話し合って決めることが大切です。
二拠点生活におすすめの住まい

ここでは、二拠点生活におすすめの住まいとして、個人的におすすめのエリアと条件などをご紹介していきます。
二拠点生活におすすめのエリア
二拠点生活におすすめのエリアは、目的やライフスタイルによって変わることはいうまでもありません。たとえば、車に乗らない人が交通アクセスの悪いエリアで二拠点生活するのは難しいでしょう。今住んでいる場所からの距離やかかる時間も、滞在期間などの条件によって変わります。
私が実際に二拠点生活をしている名古屋市と西宮市は、交通アクセスのよさと程よい距離で選んでいます。

3大都市圏の一角である愛知県名古屋市は東京と大阪とのあいだに位置し、交通アクセスも文句なくいい場所です。数年後にはリニア中央新幹線が開通予定で、名古屋駅周辺ではタワーマンションなどの開発が進んでいます。
広い濃尾平野なので起伏が少なく、山は近くにありませんので都市生活には向いた土地です。モノづくりと自動車産業の街なので、自然は少なめですが、少し郊外へ出れば大きな川が流れています。

甲子園で有名な兵庫県西宮市は大阪市と神戸市の中間にあり、大阪梅田へも神戸三宮へも在来線で15分ほどという立地です。
特徴はやはり交通アクセスのよさです。関西は私鉄王国といわれますが、西宮にもJRのほか阪急電車と阪神電車が走っており、立地によっては3路線の駅がすべて徒歩圏内というロケーションもありえます。
また、西宮市は南を海、北を山に挟まれています。大自然ではありませんが海辺があり背後には六甲山があります。

私が今まで滞在した中でもおすすめしたいエリアは、滋賀県湖北エリアです。米原市・長浜市・彦根市は、琵琶湖畔の自然と交通アクセスのよさのバランスがいいところが最大のポイントです。
米原駅はのぞみ以外の新幹線が止まりますので、名古屋からも京都からもおよそ30分。名古屋と敦賀を結ぶ特急「しらさぎ」も止まり、移動しやすい立地です。
隣の長浜市からは竹生島へのフェリーが出ています。彦根には国宝の彦根城があり、天守から広大な琵琶湖を望めます。
移動手段や時間の問題で交通アクセスのよさは外せず、かといってできるだけ自然の豊かなエリアを希望する人におすすめのエリアです。
二拠点生活におすすめの住まいの条件
二拠点生活は始めてみて分かることもありますが、私が考える二拠点生活におすすめの条件と物件の特徴を紹介します。
車で移動する人であれば、交通アクセスに縛られず、自然の豊かな山奥でもいいかもしれません。しかし、後の移住先も見据えた二拠点生活であれば、駅に近いなど交通アクセスはいいに越したことはありません。
自分だけでなく、他人が訪れてくることもあるでしょう。電車でも行けるなど、複数の手段があれば、何かと心強いものです。
いきなり住まいを買ったり借りたりするのではなく、できれば拠点を決める前に仮住まいをすることをおすすめします。ホテルやマンスリーマンションに1週間から1ヶ月ほど滞在してみると、生活スタイルをイメージしやすくなります。
マンスリーマンションはある程度の大きさの都市にしかないかもしれません。郊外ではホテルや旅館がメインになりそうです。
二拠点生活で楽しむ「自分も家族も新鮮な生活」

愛知と兵庫の「二拠点生活」を体験した私が、二拠点生活の魅力からメリット・デメリット、成功のためのポイントや選び方まで、ご紹介してきました。二拠点生活をすることで、自分も家族も新鮮な生活を楽しみ、幸福度が上がるのであれば、これほど素晴らしいライフスタイルはないでしょう。
今回の記事を参考に、ご自身の二拠点生活に対する目的をはっきりさせて、自分に合った拠点を選ぶようにしてみてください。
物件を探す更新日: / 公開日:2026.02.27









