五月山や猪名川が通り、自然が溢れる池田。阪急電車に揺られて大阪梅田から約20分ほどして着いた駅に降り立つと、その自然に囲まれた環境に穏やかな雰囲気を感じる町です。そんな池田で、林澄子さんが2014年に始めたお店が「みくり食堂」。野菜をたっぷり使ったひと皿は、みずみずしく、滋味あふれるお料理をいただくと、身体だけでなく心もエネルギーをもらえるようなおいしさです。
以前は箕面に暮らしていたという林さんですが、なぜここ池田でお店を始めたのでしょう?「みくり食堂」ができるまでと、池田の町の魅力について、お聞きしました。大阪府の物件を探す

―「みくり食堂」を始めようと思ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

林さん:「もともとは食とは違う仕事をしていたんですね。うちは母子家庭なんですが、子どもが大きくなってきたので、そろそろ好きなことをしたいなと思って。子どもに『いいかな?いいかな?』と聞いたら『いいよ』って言ったので(笑)、食にまつわることを仕事にしよう!と思って。最初は絵本と食のお店のデリカ部門で働いて、そのあと池田の自然食のお店で働き、定食を担当していました」

―「ばんまい」の時から、定食をされていたんですね。

林さん:「そうですね。もともと自分の店をやりたいということは、勤める時に伝えていたので、オーナーからも『それまで、うちでやってみたら』と言ってもらえて。その後、瀬戸内国際芸術祭で期間限定のカフェに携わることになったんです。実はお店の内装などは、瀬戸芸で知り合った建築家の向井達也くんとそのお友達の飯坂拓也くんに設計してもらいました」

―壁の色やカウンターをはじめ、「みくり食堂」さんの雰囲気はとてもかわいらしくて、素敵です。

林さん:「向井くんは、大阪の建築集団Dot Architectsが行っていた家を建てるプロジェクトに参加していたんです。住み込みクルー同士でいろいろ話すうちに『帰ったら食堂やろうと思ってる』という話をすると、設計してくれることに。その後、飯坂くんも協力してくれて、二人が『みくり食堂』を作ってくれました。ここはもともと設計事務所で何もない場所だったので、天井と床はそのままにして、壁を塗ったりキッチンを作ったり、約3ヶ月かけてできあがり。私も最後の内装は一緒に手を動かして、たまたま見にきた友人にも塗るのを手伝ってもらったりして。食器や飾りなどは、全部私物なんです。自宅から移動させてきました」

「みくり食堂」のためにつくられたキッチン。店内にはドライフラワーや置き物など、林さんの好きなものが集まる

―そうだったんですね。では、ここは林さんの二つ目のお家のような空間なんですね。池田を選んだのは、何か理由があったんですか?

林さん:「1番の理由は、この物件を気に入ったので。箕面で暮らす以前は池田に住んでいたんです。街と田舎のちょうどまんなかのような適度な雰囲気が好きだったんですね。梅田から電車で帰ってくるとちょっと気温が低くてホッとするような」

―池田は山も近く、雰囲気がとても良いところですよね。

―「みくり食堂」さんの定食は、野菜をたっぷり使っているイメージですが、もともとメニューは決めていたんですか?

林さん:「よく自然食とかオーガニックと言ってくださる方が多いんですが、私自身はそういう意識はあんまりなくて。友人の農家さんや八百屋さんから仕入れる野菜におもしろいものが多く、自然とこういうメニューになりました」

―おもしろいというのは?

林さん:「それぞれの、野菜にストーリーがあるんです。例えば宝塚の『オーガニッククロッシング』さんから野菜を仕入れると、『ここの農家さんはこんな人で』とか、性格まで教えてくれたり(笑)。料理をしていると、そういうちいさなエピソードまで思い出して、楽しいんですよね。それに同じ野菜でも農家さんによって、全然味わいや特徴が違いますし、『この方のこのお野菜、どんなふうに料理しよう?』と考えるのが楽しくって。もうスーパーなどで買い物するのは、オーガニックのバナナと豆腐ぐらいかな」

―なるほど。考える楽しさがありますね。では、今週はこの野菜のメニューを、という感じで?

林さん:「小さな農家さんたちなので、発注したものがその通りに入ってくるわけではないんですね。ほんの数時間の雨で野菜がダメになってしまうこともあって、なかなか予想が立てられない。それに野菜の旬って想像以上に短くて、例えばレタスの旬なんか1週間で終わっちゃうんです。トマトだって地域差があるけど、ほんとうに短い。だから事前にメニューを決めるというより、その時手元にある野菜で考える、という感じです」

―それも、おもしろさの一つですか?

林さん:「そうですね。自分の性格に合っていると思います。あと、自分がその日に食べたいものを作るというのも大切にしていること。前の日に考えると、当日になって『今日はこの気分じゃないなあ』とかってあったりするので。だからいつもその日の朝にメニューを決めて仕込んでいます」

―野菜が多いですが、お肉やお魚は使わないようにしているんですか?

林さん:「そんなことは、全然なくて。出汁には鰹を使っていますし、料理にお肉を使うこともあります。自然と野菜がメインの食事になっていますが、基本はさっき話した『その日に自分が食べたいもの』。事前にご希望があればヴィーガン対応などはしています。でもどんなに一生懸命私が作っても『おかあさんのご飯』には勝てないなと思っています。だけど一人暮らしをしている方とかは、野菜がたくさん買えなかったりしていろいろなものを食べるのがすごく大変になりますよね。そんな方々に、ちょっと野菜をたっぷり食べたいなという時に来ていただけたらいいなと思っています。まあ、あんまり難しく考えることはせずに、普通の食堂でいたいので、お腹いっぱいになってホッとして帰ってもらえたら嬉しいなと思います」

「今日の定食」(1,500円)。この日は「やさいかきあげ」「コリンキーとクランベリーのラペ」「黄瓜の煮もの」「ラタトゥイユ」「モロヘイヤとオクラのおひたし」「プチトマトのバジル炒め」「ハスイモときゅうりの白味噌あえ」「グリルやさい」「五分づきご飯」「やさいスープ」。どれも野菜の甘みなど味わいを活かしたシンプルな味付けで、変化に富んだひと皿に

―外食はどうしてもお肉が多くなったりするので、お野菜たっぷりの定食がいただけるお店が家の近くにあったら、通いたくなりそうです。池田にまた戻ってきて、どんなふうに過ごされてますか?

林さん:「五月山のほうに、五月山動物園という小さい動物園があるんです。その近くの伊居太神社はすごく雰囲気が良いんですよ。お店の開店前や休憩の時に、よく散歩に行っています。だいたい往復で1時間ぐらいかしら」

―そうやって気軽に、小さな山や自然のある場所へ足を運べるのは、やはり池田の良いところですね。来年で10周年ですが、今後は、ここでどんなふうにお店を続けていきたいですか?

林さん:「いつも通り、ということをずっと思っています。10年続けて、今までと違うことやちょっと変わったことをしたら、もっと多くの方が来てくれるかもしれませんが、いつも通りでいることを大切にしたい。ここの雰囲気が好きで、ご飯を好きでいてくれる方がずっと足を運べる場所でありたいなと思います」

◆今回取材したお店

「みくり食堂」

住所:大阪府池田市姫室町6-13

電話:072-786-7066

営業時間:12:00〜夕方まで ※夜は予約のみ

定休日:水・木曜休

Instagram:@smikuri_shokudo

池田でもうすぐ10周年を迎える「みくり食堂」のお話は、いかがでしたか?野菜たっぷりの定食がいただける場所は、実は意外と少ないもの。店主の林さんの穏やかな雰囲気や、ゆるやかな時の流れを感じる店内にいると、忙しない日々から少し離れたひとときを過ごせます。住まいの近くに「みくり食堂」のようなお店があったら、休日や毎日のランチなどが贅沢な時間へと変わりそう。

池田の家賃平均は6.43万円。2LDKも相場は10万円以下。五月山動物園や五月山が徒歩圏内にあるので、休日のちょっとしたおでかけにも便利。特に子育て世代の方、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

◆本記事の担当者

取材・文:小島知世 写真:沖本明

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