引越し先を考えた時、交通の便やスーパーマーケットに商店の数など、人それぞれの条件があるもの。けれど、スペック的なところは検索すればわかるものの、実際にその街で暮らすとどんな雰囲気や光景に出合えるかは、未知数です。
本企画「私の街を紹介します」では、そんな、暮らしてみたからこそわかる街の良さを求めて、その街へ暮らす人々へインタビュー。数字や検索だけではわからない、その街に流れる空気を紹介します。大阪府の物件を探す

今回、街を紹介してくださるのは、大阪・北加賀屋で「みんなのうえん」を営む一般社団法人グッドラックの金田康孝さん。金田さんは2010年にNPO法人Co.to.hanaのメンバーとして北加賀屋に訪れたことに始まり、8年間この街で暮らしてきたのだそう。現在は家族が増え住まいは別の町へと変わったものの、北加賀屋を拠点に活動し続けています。

最近アートの町としても知られ始めた北加賀屋ですが、暮らしてみるとどのような場所なのでしょう?町の魅力と活動について教えていただきました。

―そもそもNPO法人Co.to.hanaが北加賀屋へ拠点を構えることになったのはなぜですか?

金田さん:「北加賀屋はもともと造船業で栄えた町ですが、空き地や空き家が増えてきていたんです。そこへアーティストなどを招き町を活性化させようと中心になっていらっしゃるのが千島土地株式会社。僕らも事務所を探していたときに、千島土地株式会社の社長さんからお誘いいただき、北加賀屋に事務所を構えることになりました」

―そういうきっかけだったんですね。初めて北加賀屋に来たときはどういう印象でした?

金田さん:「12年前のことなのであまり覚えていないですが…大きな工場と住宅の距離が近い町。今ほどアートの壁画もなかったですし、住んでいるアーティストの数も少なかったので、昔から住んでいる方が多い印象でした」

現在北加賀屋の町には約30のアート作品や壁画が点在する。写真はBen Eineによる作品

―金田さんご自身が北加賀屋に住むようになったのは、いつ頃ですか?

金田さん:「2012年に引越してきました。神戸出身なので、通うのが大変になってきて」

―神戸と北加賀屋では、雰囲気が違いそうですね。

金田さん:「全然違いますね(笑)。街並みはきれいですが…子育てするなら、北加賀屋の方がおもしろそうだなと個人的には思います」

ーと言いますと?

金田さん:「刺激やコミュニケーションがある環境で育てたい人には、北加賀屋は人と人の距離が近いですし、アーティストが住んでいたりとおもしろい人が集まっていて、刺激がもらえるなって」

―確かにいろいろな生き方や職業の人が身近にいる環境は、子どもにとっておもしろそうです。

金田さん:「そうですよね。北加賀屋は統一感がなくてバラバラ。カオスな感じの町なんですよ」

NPO法人Co.to.hanaが手がける北加賀屋のアートマップ「北加賀屋CHAOS」。アートや施設の情報だけでなく、飲食店の情報も満載!

―例えばどのような点を、そう感じます?

金田さん:「北加賀屋は住んでいる人が好きに暮らしている街だなって。住宅街の中に不思議な眼鏡屋さんがあったりと、デザイン的に街並みが統一されてないのがいい」

―きれいな街並みを作るというより、そこにあるものを活かした街並みのような?

金田さん:「はい。例えばリノベーションをしようとなっても、壁の色を真っ白にしたりきれいにするという発想の人はあまりいない。結局白くするとどこにでもある建物と同じになってしまいますよね。古いものが持っている時間の積み重ねを活かした方がおもしろい、そう考える人が北加賀屋には多いように思います」

金田さんの好きな、長屋が並ぶ北加賀屋の風景。左手にはオーダーメイドメガネの専門店「隠れ屋1632秘密基地」が

―実際暮らしてみて、生活面はどうでしたか?

金田さん:「地域の人がやっている小さなお店がいっぱいあるし、公園もスーパーもたくさん!ホームセンターも近い。地下鉄四つ橋線で難波も梅田も一本で行けるので、実は便利な町でした。引越した当初は今ほど若い人のお店は多くなかったので、少し薄暗い印象がありましたが、今はカフェ巡りに外から来る若者も多くだいぶ雰囲気が変わってきています。定食・喫茶の『紫光』さんや蕎麦の『わか草』さん、スパイスカレー の『cafe&bar O'hara』さんはよく行きますね。北加賀屋には知り合いのデザイナーやアーティストも多く、よくお店で鉢合わせてランチを一緒にすることもあります」

「紫光」

住所:大阪市住之江区北加賀屋2-3-15

電話:06-6685-6280

営業:6:30〜21:00

定休日:土曜、第3日曜

街のコミュニティとしての農園

―「みんなのうえん」はどういう経緯で始めたんですか?

金田さん:「北加賀屋でどんな活動ができるかな?と街を歩いているときに、空き地が結構多かったり、軒先で植木鉢をたくさん並べているおばあちゃんの姿をよく目にしたんです。それなら、空き地をみんなの庭のようにできたらおもしろいんじゃないか?そう考えるようになって。千島土地の方も賛同してくださって、実験的に空き地を使って始めたのがきっかけでした。今は40区画あるのですが、家族など複数人で1区画使うことも多いので、約100人が利用しています。自転車で10〜15分圏内の人が多いですね」

―そんなに多くの方が利用されているんですね。実際に「みんなのうえん」を始めてみてどうでしたか?

金田さん:「食や農に関心がある人が多く、仲良くなりやすいですね。なかなか暮らしている街の中で、共通のテーマに関心がある人が集う場ってないと思うんです。だから仲間探しのような感覚で来てくれている人が多いように思います」

―そういう場所が暮らしている街にあったら、すごくいいですよね。

金田さん:「食に限らず、趣味や関心をもとに人と出会える場所があるというのは、いいですよね。最近は親子で参加している人が多くて、30〜40代の家族もいますが、小さい子連れだけでなく『70代の親を外に連れ出したくて』という親子の方々もいらっしゃいます」

「みんなのうえん」にはキッチンや食事をいただけるスペースが。料理教室やマルシェなどイベントをすることも多いそう

―今後「みんなのうえん」はどのようにしていきたいですか?

金田さん:「2018年から独立して、一般社団法人グッドラックとして『みんなのうえん』を運営していて、寝屋川や湊川でも同じように農園を作っているんですね。そのため活動全体としては大阪市内でもっと増やしていきたい。市内は大きな畑がないので、使われなくなった小さな農園の管理を担って、小さな『みんなのうえん』を町中に点在させるのもいいなと考えています。畑は小さくてもネットワークは大きく。北加賀屋だけで言えば、『みんなのうえん』は公園ではないけれど、会員だけのプライベートスペースというわけでもないので、ポテンシャルがもう少しあるように思っていて。農園の手前に『千鳥文化』という昔の文化住宅をリノベーションした複合施設があるのですが、そこで買った食事をここで食べることができるなど、農園の外ともっと一体化した場としての使い方を考えられたらいいなと思っています」

Osaka Metro四つ橋線が通る北加賀屋駅。梅田や難波、四ツ橋、そして本町など中心地やオフィス街へ1本で行くことができます。

ライブやイベントが行われる「クリエイティブセンター大阪」をはじめ、アートに関する施設も点在。また、アートや壁画を楽しめるエリアから駅を挟んだ反対側には新しいマンションや昔からの商店街もあり、若い世代も増えてきている模様。

アーティストやクリエイターがリノベーションを手掛けた住宅「APertMENT」などもあり、ひと味違った物件探しをしたい方にもおすすめです。

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◆本記事の担当者

取材・文:小島知世

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