親から土地付きの古い一戸建てを相続したり、長年住んできた家が老朽化したりした場合、建替えを検討することがあります。その際、費用の相場や注意点について気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、家を建替える際の費用相場や注意点などを解説していきます。

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国土交通省の2023年度「住宅市場動向調査」によると、家の建替えにかかる住宅建築資金の全国平均は5,745万円でした。

 

ただし、家を建替える際には建築費以外にも住んでいた家の解体費用や税金といった諸経費など、さまざまな費用が必要になってきます。

 

まずはその内訳と支払いタイミングについて見ていきましょう。

 

建替えの際にかかる建築費以外の費用としては下記のものが挙げられます。

費用名

費用の相場

解体工事費

木造は4万~5万円/坪、鉄骨造は6万~7

万/坪、RC(鉄筋コンクリート造)は6万

~8万円/坪

地盤調査・地盤改良費

調査:5万〜10万円、整地:30万〜50万円(表層改良工事の場合)

引越し・仮住まい費用

・引越し:36万円前後

・仮住まい:100万〜200万円程度(期間は10ヶ月、賃貸物件を借りる場合)

税金などの諸経費

・不動産取得税:10万〜100万円(建物の固定資産税評価額による)

・登録免許税:10万円程度(建物の固定資産税評価額や住宅ローンの借入額による)

・印紙税:2万円程度

・設計料:一般的に建替え費用全体の10〜20%が相場

実際に費用を支払うタイミングについても見ていきましょう。

 

建替えにかかる費用の支払いは一括精算ではありません。どのタイミングで何の費用を支払うのか、事前に確認しておきましょう。

 

STEP1:建築会社を選び、建築請負契約を締結する

建築費の10%程度の契約金、印紙税の支払いが発生

 

STEP2:仮住まいへの引越し

…引越し費用、仮住まいの家賃が発生

 

STEP3:建替え工事の開始

…建築費の30%程度×2回(着工金・中間金)

 

STEP4:建替え工事完成

…建築費の残金、登記費用、住宅ローン関係費用、火災・地震保険料が発生

 

STEP5:新居に住み始める

…引越し費用、不動産取得税が発生

 

※依頼する建築会社によっても支払いタイミングなどが変わってくるので、事前によく確認してください。

 

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今ある土地の広さによっても建替え費用は大きく変わります。先ほど説明したように、建替えの際にかかる住宅建築資金の全国平均は5,745万円です。

 

また、建替え後の住宅の延床面積は全国平均で約37坪(121.3平米)なので、5,745万円を37坪で割ると、坪単価は約155万円となります。

 

この坪単価を基に、20坪・30坪・40坪の費用相場をシミュレーションします。

建築費

約3,100万円 

解体工事費

約120万円(木造の場合)

地盤調査・地盤改良費

調査:5万〜10万円、整地:30万〜50万円(表層改良工事の場合)

引越し・仮住まい費用

・引越し:36万円前後

・仮住まい:100万〜200万円程度(期間は10ヶ月、賃貸物件を借りる場合)

税金などの諸経費

・不動産取得税:10万〜100万円(建物の固定資産税評価額による)

・登録免許税:10万円程度(建物の固定資産税評価額や住宅ローンの借入額による)

・印紙税:2万円程度

・設計料:一般的に建替え費用全体の10~20%が相場(今回のケースは約300万600万円)

建替え費用総額

約3,700万円

建築費

約4,600万円 

解体工事費

約180万円(木造の場合)

地盤調査・地盤改良費

調査:5万〜10万円、整地:30万〜50万円(表層改良工事の場合)

引越し・仮住まい費用

・引越し:36万円前後

・仮住まい:100万〜200万円程度(期間は10ヶ月、賃貸物件を借りる場合)

税金などの諸経費

・不動産取得税:10万〜100万円(建物の固定資産税評価額による)

・登録免許税:10万円程度(建物の固定資産税評価額や住宅ローンの借入額による)

・印紙税:2万円程度

・設計料:一般的に建替え費用全体の10~20%が相場(今回のケースは約450万900万円)

建替え費用総額

約5,400万円

建築費

約6,200万円 

解体工事費

約240万円(木造の場合)

地盤調査・地盤改良費

調査:5万〜10万円、整地:30万〜50万円(表層改良工事の場合)

引越し・仮住まい費用

・引越し:36万円前後

・仮住まい:100万〜200万円程度(期間は10ヶ月、賃貸物件を借りる場合)

税金などの諸経費

・不動産取得税:10万〜100万円(建物の固定資産税評価額による)

・登録免許税:10万円程度(建物の固定資産税評価額や住宅ローンの借入額による)

・印紙税:2万円程度

・設計料:一般的に建替え費用全体の10~20%が相場(今回のケースは約580万1,100万円)

建替え費用総額

約7,200万円

このように坪数によって費用の総額も大きく変わります。こちらの費用相場を参考に、建替えにかかるおおよその費用を考えてみてください。

 

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土地があったとしても、今住んでいる一戸建てをそのまま建替えできないケースや、さらに費用がかさんでしまうケースもあります。これから説明する注意点を参考にしてみてください。

 

再建築不可物件とは、建築基準法で決められた「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という「接道義務」を満たしていない物件のことです。

 

消火活動などで緊急車両の通行確保や、災害時の避難経路の確保が必要となるために定められています。

 

今建っている家を解体して更地にしても、現行法が適用されるため、新たに家を建てられなくなるので注意しましょう。

 

日本の住宅地には、閑静な住宅地から駅前のマンションなどが立ち並んでいる地域などさまざまな場所があります。

 

現在の日本国内では都市計画に基づいて指定されるエリアが13あり、そのなかでも第一種・第二種低層住居専用地域について解説していきましょう。

 

第一種・第二種低層住居専用地域は、主に低層住宅の良好な住環境を守るための地域として設定されているため、新しく建てる住宅の高さや大きさに制限がかかります。

 

これは良好な住環境を維持するため、高さを10mまたは12mに制限する「高さ制限」や、道路や隣地との境界線から外壁を一定距離だけ後退させる決まりがあるからです。

 

さらに、「建ぺい率」や「容積率」の規制も厳しく決められているので、建替え前によく確認しておきましょう。

 

既存不適格建築物とは、新築時点では法令に則って建築されたものの、その後の法改正によって不適格な部分が生じた建築物のことをいいます。

 

売買や建替えも禁止されてはいませんが、新しく建替える際には今の耐震基準や都市計画などの法令に則って建築する必要があるため同じ建物はつくれません。

 

また延床面積が小さくなったり、費用がかさんでしまったりすることもあるので注意しましょう。

 

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今ある土地と物件を活用するためにはリフォーム・リノベーションを選ぶべきか、建替えにすべきか迷うこともあるでしょう。状況によってどちらの方がおすすめなのか、解説していきます。

 

子どもの頃から家族と一緒に生活してきた家に愛着があり、壊したくないと考える人も多いのではないでしょうか。その場合はリフォーム・リノベーションがおすすめです。

 

現実的に今ある家の基礎部分に劣化がないか、あまりにも築年数が経って危険な状態ではないかを確認する必要はありますが、そうでない場合は水回りなどの劣化が気になる箇所、使い勝手が悪いと感じるところだけ、設備を入れ替えたり補修をしたりして大事に住み続けるのもいいでしょう。

 

たとえば、子どもが独立して部屋が余っているので部屋数を減らしたい、2階に移動するのが辛いので平屋にしたいなどの希望があったら建替えがおすすめです。

 

減築リフォームという手段もありますが、以前に比べ耐震基準が厳しくなり、建築許可を得られにくくなっています。

 

ただし、引越しや仮住まいでの生活が体力的に厳しいという人は、無理せずリフォーム・リノベーションの方がいいでしょう。

 

家の耐震性、断熱性などに不安がある場合は、建替えがおすすめです。特に1981年以前の旧耐震基準で建てられた家の場合は、リフォームよりも建替えを行った方がよい場合が多いです。

 

せっかく費用をかけても、基礎部分の劣化や害虫の被害などもあり得るので、リフォームを選んだ際にも基礎部分をよく確認するようにしましょう。

 

なお、どちらが適しているか迷ってしまったときには、専門家による「ホームインスペクション」を受けてみるのもひとつの方法です。

 

ホームインスペクションでは、建物の劣化状況や必要な改修作業などを専門家に診断してもらえるため、有効な手がかりが得られるでしょう。

 

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