建替え時に知っておきたい、平屋という選択肢

家の建替えでは、現在の家族構成やライフスタイルだけでなく、将来のことも見越して、家のつくりや間取りを検討することが大切です。最近では、ライフステージに変化があっても安全かつ快適に過ごせるという理由から、「平屋」を選択する人も増えています。

平屋住宅とは？

平屋住宅とは、1階建ての家を指します。2階がなく、生活スペースがすべてワンフロアにそろっているため、階段の上り下りが必要ないのが大きな特徴です。

平屋と聞くと、昔ながらの日本家屋をイメージする人も多いかもしれません。しかし、近年では、上下移動が必要なく、マンションと一戸建ての両方の良さを併せ持つ家として、注目を集めています。

平屋に建替えるメリット・デメリット

平屋には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか？ それぞれ詳しく見ていきましょう。

平屋のメリット

平屋では、階段の上り下りが必要ないため、子どもや高齢者のほか、ペットの移動も安心です。上階のスペースに移動したり、洗濯物や荷物を上階に運んだりする手間もないので、暮らしやすい生活動線を確保できます。設計の際に段差を減らしたり、手すりを設置したりすれば、バリアフリーを実現できるのも魅力といえるでしょう。

加えて、住んでいる人のライフステージやライフスタイルの変化に対応しやすいのも、平屋に建替えるメリットです。ワンフロアにすべてのスペースが収まっているので、将来、足腰が弱くなったり、子どもが独立したりした場合でも、空間を有効活用しやすくなります。

上階がない分、設計の自由度が高いのも利点です。階段のスペースを確保する必要がなく、天井を高くしたり、中庭を設けたりすることで、開放感のある空間をつくれるのも、平屋ならではのメリットといえるでしょう。

平屋のデメリット

一方、平屋に建替えるデメリットとしては、2階建ての家と比べて、床面積が小さくなる点が挙げられます。敷地があまり広くない場合は、理想の広さや間取りを実現できない場合もあるでしょう。

さらに、平屋では、基礎部分や屋根などの面積が2階建ての家よりも大きくなります。その分、建築工事費もかさむため、坪単価が高くなる傾向があります。

加えて、周辺の建物の影響を受けやすい点もデメリットの一つです。隣接地に高い建物がある場合は、日当たりが悪くなるため、窓を高い位置に設定するなどして、採光性を高める必要があります。

平屋に建替える場合の費用相場

平屋に建替える際の費用は、坪数のほか、設備や性能のグレード、家のつくりなどによって大きく変動します。ここからは、坪数別の費用相場と、ローコスト住宅を選んだ場合の相場、二世帯住宅に建替える場合の相場を見ていきましょう。

坪数別の費用相場

平屋に建替える場合の坪単価は、約60〜80万円程度が相場とされています。坪単価70万円の場合、付帯工事費・諸費用を含む建築工事費の目安は下記の通りです。

建替えでは、上記にプラスして、元の家の解体・撤去や仮住まい、引越しなどにも費用がかかります。

坪数別の建替え費用について詳しく知りたい方は、こちらの記事もチェックしてみてください。

平屋の建て替えに必要な費用は？ 相場から予算を抑えるコツまで解説

平屋に建替えることは、子どもが独立した家庭や小さな子どもがいる家庭にとって魅力的な選択肢です。メリッ…記事を読む

ローコスト住宅を選択する場合

少しでも建築費を安くしたい場合は、ローコスト住宅を選ぶのも一つの方法です。一般的に、ローコスト住宅であれば、坪単価は40～60万円程度まで抑えられるといわれています。

その場合、30坪の住宅の本体工事費は1,200～1,800万円程度に収まる計算になります。付帯工事費・諸費用を含む建築工事費は、1,600〜2,400万円程度が目安になるでしょう。

ローコスト住宅で費用を抑えるには、オプションをつけずに、標準的な仕様に留めるのがポイントです。

二世帯住宅を選択する場合

建替えを考えている人の中には、二世帯住宅への建替えを検討している人もいるでしょう。二世帯住宅では、独立した生活空間が2つ必要になるため、特に平屋にする場合は費用も割高になります。坪単価も、60～100万円程度はかかると考えておきましょう。

その場合、30坪であれば、付帯工事費・諸費用を含む建築工事費は2,400～4,000万円程度かかる計算になります。お風呂やトイレ、キッチンなどの設備を世帯ごとにつくる場合は、これらのコストも考慮する必要があります。

建替え時の参考に！ 平屋の間取りの実例

平屋の間取りは自由度が高いところがメリットの一つです。しかし、自由度が高い分、迷ってしまう人も多いかもしれません。ここでは、間取りの成功例として、LIFULL HOME’Sに掲載されている物件の間取りを紹介します。

20坪前後の間取りモデル

こちらは、玄関入ってすぐに廊下があり、各部屋が廊下に面している間取りです。廊下の突き当たりがキッチンになっており、トイレや洗面室のほか、洋室5部屋が廊下の左右に配置されています。

キッチンの横の洋室は、キッチンから行き来できるので、リビングとして使うことも可能です。その他の洋室は、他の部屋を経由せず、廊下から出入りできるので、家族のプライバシーも確保しやすいでしょう。

40坪前後の間取りモデル

こちらはバリアフリー対応の平屋です。リビングダイニングキッチンを中心に置き、左右に洋室を設けた間取りになっています。生活のメインとなるリビングが中央にあるため、家族間のコミュニケーションがとりやすいのが特徴です。

また、キッチンのすぐ隣に洗濯機置き場のある脱衣所や浴室があるので、家事動線も効率化できます。各洋室にクローゼットと押し入れが設けられているのも利点です。

住みやすい平屋の間取りに建替えるためのポイント

平屋の間取りを考える際は、デザイン面だけではなく、機能性も考慮することが大切です。最後に、平屋に建替える際のポイントを詳しく解説します。

暮らしやすい生活動線を確保する

間取りを考える際には、生活動線が暮らしやすいものになっているか、シミュレーションしておくことが大切です。どんな生活動線を効率的と感じるかは、ライフスタイルや好みによって異なります。

水回りの位置を近くすることで、料理や洗濯などを同時に行えるようにしたいという人もいれば、玄関からキッチンまでの距離を近くすることで、食料品を運ぶ手間を楽にしたいという人もいるでしょう。生活動線の最短ルートや動きやすさなどを考慮すると、ライフスタイルに合った間取りをつくれます。

収納スペースを確保する

平屋はワンフロアのため、各スペースがコンパクトになりやすく、後から収納棚などを置くと、部屋が狭くなってしまうケースも少なくありません。そのため、間取りを考える際は、収納スペースを意識的に確保しておく必要があります。

平屋では、大きな収納スペースを設けるのが難しい場合もあるため、部屋ごとによく使うものを収納できる空間をこまめに設けることが大切です。

日当たりが悪い場合は窓や天井の位置を工夫する

平屋は、周辺に高い建物がある場合、日当たりが悪くなる傾向があります。また、ワンフロアにすべての部屋が収まっているので、間取りによっては、日差しが入らない部屋なども出てくるでしょう。

そのため、平屋に建替える際は、高い位置に窓を配置したり、天井を高くしたりすることで、日当たりを良くすることが大切です。部屋全体に日差しが入りやすくなるだけでなく、部屋に開放感を与えられます。

記事のおさらい

そもそも、平屋の住宅ってどんな家？

平屋とは、1階建ての家のこと。上下移動が必要ないのが大きな特徴です。詳しくは「建替え時に知っておきたい、平屋という選択肢」をご覧ください。

平屋に建替えるメリット・デメリットは？

バリアフリーや生活動線の効率化が実現でき、ライフステージの変化にも対応しやすい点が、平屋のメリットです。一方、デメリットとしては、広い土地が必要なため、坪単価が高くなることや、周辺の環境によって影響を受けやすい点が挙げられます。詳しくは「平屋に建替えるメリット・デメリット」をご覧ください。

平屋に建替えるときの費用相場はどれくらい？

坪単価は60万～80万程度が相場とされています。建築工事費は、坪単価を中間の70万とした場合、30坪なら約3,000万円、40坪なら約3,800万円かかる計算になります。詳しくは「平屋に建替える場合の費用相場」をご覧ください。

平屋に建替えるとき、どのような間取りが考えられる？

平屋に建替える際は、生活動線やライフスタイルを考慮した間取りにすることが大切です。動線を一直線上にするなど、効率性を重視した間取りや、リビングを中心に据えた構成の間取りなどもいいでしょう。詳しくは「建替え時の参考に！ 平屋の間取りの実例」をご覧ください。

住みやすい平屋に建替えるには？

間取りを考える際は、生活の動線や収納スペース、日当たりを確保するなど、平屋のデメリットをカバーすることが重要です。詳しくは「住みやすい平屋の間取りに建替えるためのポイント」をご覧ください。