住んでいる家を一度取り壊し、新しい家をつくり直す「建替え」。その資金を用意する方法として、住宅ローンの利用を検討している人も多いでしょう。
この記事では、建替えで利用できるローンの種類のほか、利用する場合の流れや注意点を解説します。
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建替えで使えるローンの種類は?

建替えには、通常の住宅ローンのほか、ペアローンや建替えローンも利用できます。ここでは、それぞれのローンとつなぎ融資について見ていきましょう。
一般的な住宅ローン
一般的な住宅ローンでは、家や土地を担保にすることで、金融機関から融資を受けます。以前に住宅ローンを利用したことがある人でも、残債がなければ申し込むことが可能です。
その場合は、前の住宅ローンを完済した後、家や土地に登記された抵当権を抹消する手続きを行い、建替えた住宅と土地にあらためて抵当権を設定する必要があります。
一般的な住宅ローンでは、契約者が死亡したり、高度の障がい状態などになったりした際にローンの支払いが不要になる「団体信用生命保険(団信)」に加入できます。
また、住宅ローン控除の対象にもなり、種類も豊富なため、住宅ローンを完済している人には、もっともおすすめのローンといえるでしょう。
ペアローン
ペアローンは、親子や夫婦など、2人で住宅ローンを組む方法で、ダブルローンとも呼ばれています。
1人でローンを組むより返済能力が高くなるため、金融機関の審査に通りやすくなる、借入可能額を増やせる、1人当たりの返済負担を減らせるといったメリットがあります。また、団体信用生命保険や住宅ローン控除も、2人それぞれが利用可能です。
デメリットとしては、どちらか1人が仕事を辞めたり、収入が減ったりした場合、返済が難しくなる点が挙げられます。
また、夫婦でペアローンを組んでいて、離婚することになった場合、残りの返済や所有権をどうするのかといった問題が発生することも。
「親子や夫婦でそれぞれに一定の収入がある」「高額の住宅ローンを借りたい」という人は、こうしたデメリットも考慮しつつ、ペアローンを検討してみるのもいいでしょう。
建替えローン
前の住宅ローンの残債がある場合は、「建替えローン」を利用するのもひとつの手です。
建替えローンは、前の住宅ローンの残債と建替え用に組んだ新しいローンを合わせて1つのローンにまとめるもので、「住み替えローン」とも呼ばれています。
それまで借りていた住宅ローンの金利が高かった場合、一本化することで金利を下げられるのも利点です。
ただし、これまでの家の残債と新しい家のローンの2棟分を借りることになるので、ローンの金額が増えるだけでなく、審査も通常の住宅ローンより厳しくなります。
「住宅ローンの残債があるが、建替えを行いたい」「ローンの残高が増えても返済できる見込みがある」という場合は、建替えローンを検討してみるといいでしょう。
つなぎ融資とは?
通常、注文住宅で家を建てるときは、代金は工期の途中で数回に分けて支払うことになります。しかし、住宅ローンの融資は、家が完成した後に実行されるため、代金の支払いが難しいというケースもあるでしょう。
そんなとき、住宅ローンが支払われるまでの資金として利用できるのが「つなぎ融資」です。
つなぎ融資の概要や利用方法については、「家の建て替えで利用できるつなぎ融資とは? メリット・デメリットと注意点について解説」をご覧ください。
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建替えでローンを利用する場合、どのような手順で進めればいいのでしょうか? ここでは、建替えの際のおおまかな流れとローンの審査のタイミングについて見ていきましょう。
建替えの大まかな流れ
建替えでは、既存の家の解体・撤去が必要になるため、新築よりも工程が多くなります。ローンの審査を含めたおおまかな流れは下記のとおりです。
- ハウスメーカーを探す
- 建替えプランと見積もりを出してもらう
- 住宅ローンの仮審査(事前審査)に申し込む
- 工事請負契約を交わす
- 住宅ローンの本審査に申し込む
- 解体工事を依頼する
- 仮住まい先を決めて引越しを行う
- 解体工事を行う
- 新築工事を行う
- 引き渡し・登記手続き
- 仮住まいから新居に引越す
上記のように、住宅ローンの審査は、「仮審査(事前審査)」と「本審査」の2回に分けて行われます。仮審査では、年収などの情報を基に希望額のローンを返済できる能力があるのかチェックされます。
正式な審査は本審査で行われますが、本審査には手間も時間もかかります。仮審査である程度振り分けることで、金融機関と申し込み者、双方の手間や時間のロスを省いているのです。
住宅ローンの仮審査と本審査のタイミング
建替えのプランや必要な費用が定まってきた段階で、仮審査に申し込みます。仮審査の結果は、3〜4日ほどで出るのが一般的です。
その後、ハウスメーカーと工事請負契約を交わしたら、契約書のコピーを金融機関に提出し、本審査に申し込みます。
本審査では、仮審査よりもさらに綿密な審査が行われるため、一般的に結果が判明するまでに1〜2週間ほどかかります。
ローンの審査をスムーズに進めるには、どのハウスメーカーに依頼するか早めに検討し、具体的なプランや工事費用の見積もりを出してもらうことが大切です。
さらに、「いざ住宅ローンを組もうとしたら審査に通らなかった」といった事態が起きないよう、審査基準を事前に確認しておくといいでしょう。
建替えの際に頭金は必要?
建替えでは土地代がかからない分、借入金額を抑えられるので、頭金なしで住宅ローンを組み、家を建てるケースもあります。
しかし、ローンの融資が始まる前に、仮住まいの家賃や引越し費用、住宅ローン手数料などの諸費用の支払いが発生するため、その分の資金を用意しておく必要はあるでしょう。
注文住宅の頭金の相場は、住宅の本体価格の1〜2割ほどといわれています。頭金を支払うタイミングはハウスメーカーなどによって異なるので、頭金を用意する場合は、ハウスメーカーの担当者に事前に確認しておきましょう。

建替えでローンを利用する場合の注意点

建替えでローンを利用する場合、事前に確認しておくべきポイントがいくつかあります。最後に、主な注意点を見ていきましょう。
あらかじめ返済プランを立てておく
住宅ローンを組む際は、毎月無理なく支払いができるよう、あらかじめ返済プランを立てておくことが重要です。まずは、銀行や不動産会社の住宅ローンシミュレーションなどを利用して、月々の返済額をイメージしておくといいでしょう。
返済の目処が立たない場合は、頭金を増やす、借入額を抑えるといった調整が必要になります。特に建替えローンは、通常の住宅ローンより返済額が大きくなるため、将来的なリスクなども考慮しながら検討するようにしましょう。
実家の場合は相続トラブルや贈与税に注意
実家を建替える場合、相続トラブルを引き起こさないよう、「誰がローンを組むのか」「誰の名義にするのか」「土地や家の相続はどうするのか」といった点を事前によく話し合うことが大切です。
特に親名義の土地に、子どもの名義で家を建てる場合、ほかの兄弟姉妹は土地を相続できても資産として活用できず、トラブルに発展するケースもあるでしょう。
加えて、子どもの名義でローンを組むと、親名義の土地にも抵当権が設定されるケースが一般的です。その場合、連帯保証人を親にするように求められる場合もあるため、金融機関に事前に確認するようにしましょう。
さらに、親が建替え費用の一部を負担したにもかかわらず、建物を子ども単独の名義にした場合、贈与税の対象になる可能性もあります。
対象にならないようにするには、負担の割合に応じて名義を分け合うか、負担する金額を住宅取得資金として贈与する手続きを行うようにしましょう。
建替えでも「住宅ローン控除」を利用できる
「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」とは、住宅ローンを組んで家を建てたり、買ったりした場合に、最大13年間、住宅ローンの残高の0.7%が所得税や住民税などから控除される制度です。減税制度のひとつで、住宅ローン減税とも呼ばれています。
「住宅ローン控除は、前の家で一度受けたから、建替えのときには使えないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、前述したように、建替えでも利用することが可能です。
ただし、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準を満たしていないと住宅ローン控除の対象外になっています。
借入限度額も省エネ性能に応じて設定されているため、住宅ローン控除の利用を検討している場合は、建築プランを組む際に省エネ性能についても考慮するようにしましょう。
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